２１ 森のボス戦
晩御飯も食べその片づけも終え、お風呂にも入って、宿題はまだでていないのでこれで準備完了です。
ではＶＲギア（通称）をかぶり諸々接続して、ベッドに横になったらスタートします。
脳にあるというプシオン波を検知したＶＲギアが、空気中に散布されたフロギストン粒子に干渉を開始。
フロギストン内に構成されている無限に広がるスフィアへわたしをいざないます。
これがフロギストン・プシオン反応、通称フロプスダイブです。
それではフロプス！
目を開けてすぐトウカがわたしの胸に飛び込んできました。
「トウカは甘えんぼさんだねぇ よしよし」
『こんばんわ～ミリオ』
シャナも定位置となったわたしの肩に座るとご機嫌なようす。
「シャナもこんばんわ」
おっと、クランチャットしないと。
”ミリオ：こんばんわ”
”紅蓮：こんー”
”エリザベータ：こんばんわー”
”まさかりまっする：こんじゃぞい”
リナリーとしょーいちは今日はＩＮしないとのこと。
そこで紅蓮とエリザベータと狩りに誘われました。
まあ正確にはわたしの狩りに付き合ってもらう、が正しいんですが。
まさかりまっするは依頼された鍛冶仕事が忙しくパスだそうです。
謝られましたが、本来こちらがお願いする立場ですからね？ 気にしないでほしいと伝え、ファストトの街へ。
新しい装備をひとしきり確かめた所で、問題なさそうなので森のボスを倒す事になりました。
実は、転職すると初期街周辺の狩場は経験値がほとんど入らなくなるそうです。
森の奥に進むのを阻む森のボス ディープフォレストウルフは一次転職を済ました２～３人のパーティーで余裕なんだそうです。 さらにわたしは研修生の装備なのでさらに余裕と。
ボスは、レベル差が２０以上の場合攻撃すれば石化状態になるんだそうで紅蓮たちは手を出せないと言われましたが、さすがにボスまで手伝って貰うのはなんか違うと思います。
とはいえ、エリザベータからのバフはひとしきり貰うんですけどね。
「じゃあいくわよ？ アタックブースト３（トウカにだけ掛かりました）、ディフェンスシールド３、マジックブースト３、エレメンタルキッス（これもトウカだけに）、ヘイスト２、ブレスオブボディ、ブレスオブソウル、あ、あとインビガー。 私に掛けれるのはこれぐらいね」
大盤振る舞いじゃないですかね。 紅蓮が呆れていますよ。
「ここのボス相手に掛け過ぎじゃね？」
「いいのよ、余裕をもって挑んでもらわないとＰＳ的には問題ないでしょ？」
「まあ、トウカがこのレベル帯のわりに結構強いしタゲ維持できれば楽勝だろうけど」
ヘイト管理ですね？ 新しい装備での初戦闘でタゲがこっちに来て大変でした……
攻撃力が上がり過ぎても問題なんだと知りませんでしたよ。
ちなみに、アタックブーストとディフェンスブーストは魔法（無）の魔法なのでわたしも覚えましたが、まだ１なので今回は掛けません。 効果が上の方に上書きされるので。
さてでは森の中、前に行った湖ほどの大きさではないけれど広場に出ます。
その中央には森にいるオオカミの２倍くらいの大きさの深緑色のオオカミが。
これがディープフォレストウルフですね。
ディープフォレストウルフはわたし達が広場に入ると高々と威嚇の声を上げます。
「ＧＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡＡ！！」
その声に負けじとトウカも声を上げます。
「きゅーーーーーーーーーーん！」
かわいいですね！
……それはともかく、トウカは素早くオオカミの前に移動し、まず【焔玉】を使用します。
続けて爪による攻撃。
トウカのスピードが予想以上だったのかオオカミは避けれずに連続攻撃を喰らいました。
さらに続けて爪攻撃。
これでタゲを固定できたはず。
わたしもマナバレットを詠唱し攻撃します。
装備の力で加速した詠唱は、すぐさま魔法は完成しオオカミへ向かう。
その攻撃でオオカミは此方に向き直り、「きゅーーーん！！」トウカの《アテンション》がオオカミの関心を再びひきつけます。
なんというか可哀想になるくらオオカミはなにも出来ずに消えていきました。
”エリアボスの討伐を完了しました。 次のエリアへの道が開きます”
さてドロップですが、これまでのは殆ど店売りの換金アイテムという状況でした。
レア武器なんかも店売りのほうが強いという状況だそうです。
しかし、このボスのレアドロップは人気なんだそうで。
「いきなりレア引くとか豪運だなあ」
「物欲センサー仕事しろっ！」
そのアイテムがこちら。
深緑のイヤリング ボスアクセサリー
魔法抵抗力 ３０
ＭＰ増加 １５
地属性防御力上昇４０％
サイレンスに対する抵抗力上昇３０％
となります。
「あの、いりますか？」
なんだか悔しそうなエリザベータに差し出すと、苦笑して首を横に振ります。
「いいえいいのよ。 それの上位アイテム持ってるしね」
「エリは最初の頃、このアクセ狙いで何度もこのボスに特攻してまったくドロップしなかったんだよ」
その紅蓮の言葉にジト目となったエリザベータ。
「そうよね、魔法使い系御用達アイテムをあなたが引くという事もあったわね」
「なんだよ格安で売ってやったろ？」
「その節はどうも！」
二人は言い合いながらも仲良さそうです。
わたしはその二人を見ながらいいクランに出会えた事を感謝するのでした。
あ！ もちろんシャナやトウカに出会えたこともですよ。
アタックブースト３ 物理攻撃力４％上昇
ディフェンスブースト３ 物理防御力４％上昇
マジックブースト３ 魔法攻撃力４％上昇
エレメンタルキッス 近接物理攻撃で敵に加えたダメージの一部だけ自分のHPを回復する能力を付与する
ヘイスト２ 攻撃速度３％上昇 エリザベータの場合このスキル使用は装備品による物
ブレスオブボディ 最大ＨＰ増加 ５％
ブレスオブソウル 最大ＭＰ増加 ５％
インビガー 出血攻撃への耐性上昇 ３０％
