20 新しい魔法と
日曜だしもう一話いけるか?
さて、では次は新しく手に入った魔法の方を見て見ましょう。
《魔法(神域)》 説明によると、神域と呼ばれる所から力を得て様々な効果を発揮する魔法とあります。
ちなみに魔法(聖)というのがありますが、これは神聖魔法と言われる物ですが、このゲームの設定だと神がいなくなった世界なので神の力そのものではなく、神の残した力の残滓を利用する魔法なんだそうです。
紅蓮によると、オープンβの時は別の名前で《それが魔法(神残)》と言われる物で、分かりずらい、イメージが悪く感じるなどの声が上がり正式版で名前が変更になったらしいです。
スキルの説明には、神域がどういった物なのか書いていません。
パッと見たかぎりでもヘルプにもないような?
ちょっと悩んでいると、シャナがベッドの上を飛び跳ねて遊んでいたのを止めこちらにやってきます。
ちなみにトウカはわたしの膝の上でおやすみ中です。
『新しく出て来た言葉なんかはある程度調べないとヘルプに出てこないよ~』
なるほど、つまり調べれる場所なり知っている人なりがいる訳ですね?
『そゆこと~ 図書館とかおすすめ』
ふむふむ、後で誰かに聞いてみましょう。
おっと、続きを見て見ましょうか。
《魔法(神域)》のレベル1では魔法が一つあります。
それが【清浄なる場】という物で、これは半径2mのMP回復速度が上昇する特殊なフィールドを作る魔法らしいですね。
戦闘中にも使用できるらしいので便利なのではないでしょうか。
効果は+5%が5分間。 リキャスト(次に使えるようになる時間)は20分とそこそこ長いのかな?
ちなみにバフは基本的に10分間効果は持続します。
次は変化したスキル《使役》ですね。
これは説明によると、神獣をテイムする際にボーナス。 テイムしている神獣と協力する事で通常モンスター(闇属性)は除いたモンスターをテイムする際にボーナスがつくという物でした。
協力って具体的にどうするか書いてないのでわかりませんが、これも便利なスキルだと思います。
と、そこで説明されていたクランチャットが飛んできました。
えーと紅蓮からですね。
”紅蓮:オレそろそろ晩ご飯だから落ちるな。 夜INしたら遊ぼうぜ”
”ミリオ:はい、なら丁度いいのでわたしも落ちましょうか お疲れ様でした”
”エリザベータ:私もご飯作らないと! 乙よー”
「じゃあシャナわたし一度落ちますね。 んとトウカはこの場合どうなるんです?」
『トウカは普通は消えて、ミリオがINすれば現れるよ~ あたしも一緒!』
なら問題なさそうですね。 ではまた夜に。
VRヘッドアップディスプレイを頭から外し、ベッドから起き上がります。
付けていた酸素濃度測定器と血圧計も外し伸びを一つ。
うーん、結構凝ってますね。 なんだかんだでかれこれ5時間くらい遊んでいました。
階下からは物音がするのでお母さんが夕飯の支度中なのでしょう。
わたしは急いで下に降りようとして、眼鏡を掛けていない事に気付き苦笑いを浮かべてしまいました。
ゲームのわたしは眼鏡してませんでしたからね。
眼鏡を掛けようやく台所まで。
「あら操、寝てたんじゃないの?」
お母さん、朝霧 美咲は専業主婦です。
家の一切を切り盛りする人でもあります。
「寝ていたというかゲームをしていました」
お母さんの横に立って準備を手伝います。
「ゲーム? 珍しいわね。 わたしがさそっても遊んでくれなかったのに」
お母さんは結構ゲームが好きで、あ、でもVRゲームはやった事ないんでした。
「VRMMOなんですよ」
「へー、あら? うちにゲーム用のVR器機あったかしら?」
不思議そうな顔のお母さんに懸賞で当たった事を告げます。
「昔から結構運よかったものねえ」
と、納得の顔でそれでも手は止まらず、着々と料理の下準備は進みます。
んー、今日はお母さん特製カレーですか。 お父さんのリクエストでしょうか? なら今日はお父さんが帰ってくるんですね。
お父さんはそこそこ大きい研究所の所長を務めています。
所長といっても学者肌のお父さんは研究一筋で、よく研究所に泊まり込みをしてお母さんに叱られています。
最近忙しそうにしていたからお母さんカレーで釣りましたね?
そうやっていると、居間につけっぱなしにしていたテレビからニュースが流れました。
『今年はフロギストン粒子が発明されて100年を迎える訳ですが……』
「あら、もうそんなになるのね」
フロギストン粒子ですか。
2172年現在、なくてはならない物ですね。
いわゆる、ネットインフラを劇的に進化させた新しい存在。
これにより地球上であれば遅延なくデータのやり取りが出来る物。
……まあ学校でもそれくらいしか教えてもらってないので難しいことは分からないんですが。
ただお父さんの研究がこれ絡みなのは知っています。
そうしていると。
「ただいまー おお! カレーのいい匂いがする」
どうやらお父さんが帰ってきたようです。
大母神ラーファー 世界の管理を神獣に託し旅立ったとされる。
神殿はラーファーの聖遺物を管理するのが主な仕事。 宗教というよりお役所っぽい。