18 ワールドアナウンス
「上がりました!」
「「「「「おめ~!」」」」」
「きゅー!」 『おめでと~!』
あれから暫く森の真ん中辺りで狩りをすること1時間くらい。 レベルが10になりました。
ちなみに、クランに入るとレベルに応じて経験値増加効果が貰えるそうです。
なので本当はこんなに早く上がったりはしないとか。
皆からお祝いの言葉が飛び、あ、しょーいちは一足先にレベル10になりましたよ。
そしてわたしの目の前にウィンドゥがポップアップしました。
”レベル10になりましたので一次転職出来ます。 以下の中から転職する職業を選んでください”
あれ? この文に疑問を覚えたわたしは、皆に聞いてみる事にしました。
「あの、転職の所に2つの職の中から選べってあるんですけど?」
「え? 一次転はそのまま基本職から持ち上がりのはずだけど?」
「ああ職の選択肢が増えるのは二次転からだな」
「ちなみにどんな職があるんじゃい?」
上からエリザベータ、紅蓮、まさかりまっするです。 クランに入ったんなら呼び捨てOKと言われそうしています。
「えーと」
改めてウィンドゥを見て見る。
一つ目は【ウォーテイマー】で、これは話に聴いていたテイマーからの一次転職の職ですね。
問題は2つ目の……
【獣の巫女】 神獣と心を通わせた幼きテイマーが目指す頂の、その始まりの職。
とあります。 あとは転職してみないと分からないようですね。
「ほほう、面白そうじゃない」
エリザベータはそう言ってニヤリと笑います。
「しょーいちが普通に【ビショップ】になってつまんなかったしいいんじゃない~?」
「えー! 無茶いわないでよっ!?」
リナリーとしょーいちが言い合い? をしていますね。
「この場合その巫女とやらがテイムできるかどうかじゃのう」
まさかりまっするは転職先の特性が気になるようです。
「色々問題が起きそうな職だが、まあ仲間は絶対守るし? ミリオの好きな方でいいんじゃないかな」
紅蓮はいつものハンサムスマイルでわたしの意思を尊重してくれるようです。
そうですね、神獣、トウカと心通わせられたからこその職、選ばない訳にはいきませんよね?
多分人に言わなければ問題ないと思いますし。 でも少し不安……
トウカを見て、シャナを見る。 シャナは一つ頷き親指を立てた拳を見せます。 トウカはペロペロとわたしの頬をなめてきました。
二人の後押しに勇気を貰ったわたしは、【獣の巫女】を選びました。
立ち上がる光の柱とファンファーレ。
そして世界に響き渡る声。
”ワールドアナウンス:こちらはラグナスフィア公式GMはぴぽんです。 平素より本ゲームをお遊びいただきありがとうございます。 この度、本ゲームにて初の【巫女】が誕生いたしました。 よって、これより《デスゲーム》の開催を……(なにかを殴りつけるような音が聞こえ) うそですごめんなさい。 ……巫女が誕生したことによりこれより《神獣(幼体)》がワールド各所に出現します。 戦うもよし、テイムするもよし、皆さまぜひ探してみてください。 それではGMはぴぽんでした。”
「おいおい、予想よりえらい事になったぞい」
まさかりまっするはそう言って面白そうに髭をいじります。
「ワールドアナウンスが入るとは思わなかったわ」
エリザベータはなにか考えだし。
「こりゃ掲示板が荒れるなぁ」
リナリーはなんだか楽しそう。 しょーいちはあわあわしてました。
周りにはわたし達の他にも何人かのプレイヤーが居て、その人達は固まって話合い、時たまわたしに視線を向けてきます。
そうしたら、紅蓮がスッとわたしの前に立ち視線を妨げてくれます。
「ありがとうございます」
「気にすんな」
長居は無用とエリザベータから一枚のスクロールを渡されました。 これは?
「これは【クラン帰還スクロール】よ。 普通の帰還スクと違ってクラン拠点に帰還できるの」
なるほど色々あるんですね。
全員一斉にスクを使用する。
そして目を開けた時、わたしは大きな広間の真ん中にいました。
広間の両脇には騎士を思わせる甲冑がそこかしこに並び、幾人かのメイドらしき人、天井にはシャンデリア。 かなり豪華な造りでどことなく海外のお城を思わせます。
「ここは……」
紅蓮がニヤリと笑い芝居がかったしぐさで両手を広げます。 そして。
「ようこそ我らがクラン拠点、《さまよえる空中城》へ!」
……本当にお城でした。
ミリオのステータスは次に回します。
見たことないテイムモンスターを従え、転職のエフェクトが立ち上がった後にワールドアナウンス。
注目しない訳もなく。
なおレベルアップは紙吹雪の演出 これはシステムでカット可能。