159 謎の転校生(棒)
INしまして、狩り場をユーティや紅蓮と共に回っているんですが、2森、3森はあまり変化はないですね。
「クエ周りが整理されてるかな? あんまり美味しくないクエが無くなってる」
そう紅蓮が言うのでそうなんでしょう。 わたしはあまりここらへんのクエをやってないんですよね。
「そうだ、ユーティはクランどうするか決めたか? うちなら歓迎するけど?」
紅蓮が思い出したようにユーティに聞いてきます。
「うーん、それなんだけど、私なんかが入って大丈夫なのかなぁ。 別に強い訳でも珍しい職でもないし」
ユーティはそう自身なさげに言います。
どうもゲーム内でのヴァニティの名声? みたいな物に尻込みしている様ですね。
しかし、紅蓮はそれを笑い飛ばします。
「うちのモットーは気の合う仲間と楽しくゲームする。 これだけなんだよ! だから気にすんな!」
まあ他の人との相性もあるので、最初は仮入団みたいな感じになるようですね。
今回はとりあえず、日曜日にでもエリザベータに会ってみると言う事になりました。
入ってくれると嬉しいんですが、こればかりは本人次第ですからね。
さて、そんな話をしている間に狩り場巡りは続きます。
これは、バッファーの転クエは戦闘は少ないけど狩場をあちこち回ってイベントNPCに会う必要があるためだそうです。
「攻略板にも書いてるけど、クエやるときにしか見ないよなあ」
紅蓮はそう言って笑います。
「先に狩り場GK解放しておけって後で言われてもねえ」
ユーティも苦笑していますが、まあ仕方ない部分もあるのでしょう。
クエで回る所全部登録し終えた時には、結構な時間が過ぎていました。
ちょこちょこ敵を倒しながらでしたからね。
「ありゃ、もうこんな時間かぁ」
「そろそろ上がるか?」
「ですね」
夜更かしを言い出さないのは、全員真面目だからですかね。
まあするつもりはありませんが。
明日は、ドロレスさんがゲーム開始するんでしたっけ。
まあその時は紅蓮に連絡が行くのでしょうから、その時分かりますかね。
ユーティは気になってるようで紅蓮にお願いしてますね。
「ローさんが来た連絡お願いねー!」
「ほいほい、判ったよ」
そう言った紅蓮を見てユーティは言います。
「うーん、やっとその口調に慣れた気がする」
紅蓮はそれを聞いて苦笑し。
「それは良かった」
と言いました。
まあ、わたしの場合は乙女の喋り方の方が違和感ありましたけどね。
ユーティと別れてお城に戻り、皆に挨拶をしてから落ちます。
おやすみなさい。
次の日、登校すると教室がざわめいていました。
「おは~操! 聞いた? 今日転校生が来るんだって!」
「お早うございます 清美。 うん? 転校生ですか?」
「そうそう、というか相手が誰か想像つくよね~」
清美はそう言って笑います。 まあその転校生が外国の方なのは皆の話から漏れ聞こえているので分かります。
となるとある人物しか浮かびませんね。
「おはようございますわ」
そうこうしている内に乙女が教室に現れました。
「乙女~今日転校生が来るんだって!」
清美が早速、乙女に向かって行きました。
「でしょうね」
乙女はそうため息を吐きながら言います。
どうやら知っているようですね。 お疲れ様です。
清美はそれを見てアハハと力なく笑います。
予鈴が鳴ったので席に着き先生を待ちます。
ちょっと遅れているのは転校がらみでしょうか?
やがて、何時もより10分ほど遅れて先生がやって来ました。
もう一人を連れて。
その子は金髪の外国の人でした。
昨日会った時とは服装が違い、うちの制服を着たその子は教室に入り、周りをサッと見渡し、乙女、わたし、清美を見て目を細めニコリと笑います。
教先生の説明の後、自己紹介が始まります。
『初めまして! 私はイタリアから来た、ドロレス・シラーと言います。 どうぞローと気軽に呼んでね!』
ドロレスさんの席を示しつつ先生が口を開きます。
「あーそんな訳で皆、仲良く頼む。 それと嵐山。シラーさんと知り合いだそうだな? 学校での事とか助けてやってくれ」
先生がそう言うとチャイムが鳴り、先生は急いで教室から出ていきました
生徒達はドロレスさんに質問とかしたかったらしいですがすぐに1限目の先生が来るので諦めて授業の準備に掛かりました。
先生に示されたドロレスさんの席は乙女の隣でした。
元々の隣だった男子生徒があきらめたような表情で席を移っていますね。
先生から、知り合いなので隣が良いだろうと言われた時から表情が冴えませんでしたがどうしたんですかね?
ドロレスさんは乙女になにか言って、そしてわたしの方を見てウインクすると入って来た1限目の先生の方に向き直りました。
後は休憩時間に話しをしましょうか。 出来るかはともかく……




