157 ウサギクエの終わりに
30分ほど掛けて探し回った結果、最初に見つけたウサギ穴の側に1つ。
そこから北に向かってちょっといった辺りに1つ、その側の北東に1つ、そこからさらに北に1つ、合計5つの穴がありました。
多分、メインの道がこの北に向かって連なっている穴で、側の穴がトロールの生息地に近い事からトロールの監視用の穴ではないか?と言う意見がありました。
たしかにそれっぽいですね。
因みに後で探した結果、穴はそれだけではなく、トロールのいる所を挟んで何か所か見つけました。
多分この5つの穴で一家族なのではないでしょうか?
この穴の範囲にトロールはやってこないので、ひとまず皆と休憩がてら話し合います。
「5つあるならここに捕獲機セットすればいいんじゃね?」
「そうねぇ、それが正解かしらね」
「……PTクエだから合ってそう」
PTクエというのは、クエストをPTメンバーで受けれるタイプのクエストで、討伐数などPT全体でカウントされる物です。
一人ずつそれぞれ倒さないといけないのはソロクエと呼ばれます。
つまりPT間でなら誰が倒しても全員のクエが進行する訳ですね。
このウサギ捕獲もPTクエなので、全員で一匹ずつ捕獲してもOKという事ですね。
そして色々試したのですが、結局同時に捕獲機をセットして初めて捕獲出来ました。
それぞれ時間を置いてセットした場合、セットしていない穴からウサギが逃げ出していたためそれならと皆それぞれの穴に向かい、PTチャットで話してタイミングを合わせてセットしたら成功しました。
捕獲機は鳥かごのような形で、下の円形の部分を穴の側にセットするようになっています。
穴から顔を出したウサギが、スルッという感じに吸い込まれていくのはなんか変な感じでした。
捕獲して初めてウサギの名前が表示され、このウサギが”穴掘りウサギ”である事が分かりました。
「まんまじゃねーか」
「ま、そんなものじゃないかな~?」
紅蓮の愚痴めいた呟きに、しいなさんが答えます。
まだ時間があるので、今度はトロールとの戦闘をメインにします。
そこで分かったのですが、ウサギ穴がある所にトロールを引き寄せると、穴が消えてしまいます。
トロールは自分からはこの穴のある場所に来ませんが、戦闘などでここに引き寄せる事自体は出来るようで、そうすると何時の間にか穴が消えてしまうのでした。
そしてしばらくすると穴が復活しているのです。
こういうギミックは今までなかったそうで、今回のアプデで実装されたのだと思います。
「ここの運営、こういうの凝り出してから面白くなるのよねぇ」
「なお、ネーミングセンス」
ジャーノさんがそう言って笑います。 ツッコミは紅蓮ですね。
ジャーノさんはここの、アルカ社でしたっけ? この運営のゲームを幾つかやっているそうでマニアックなやつほど面白いらしいですね。
そう言えばアルカってイタリア語だと箱舟という意味ですが、そういう意味を持たせているんですかね。
そう言えば、フネガイという二枚貝がいますね。
あれも形がノアの箱舟に似てるという事で…… いえ、そもそもノアノハコブネガイという貝がありますね。
因みに、昔は食用で食べられていましたが現在では絶滅危惧種に認定されているので食べてはいけませんよ?
さて、トロールは一匹に集中すれば問題なく倒せることが分かったので、そろそろ時間でもありますし今日は終わりにしましょうか。
清美の事も気になりますしね。
「そだね~、ちょっと眠くなってきたし、いいよ~」
「しいなさんは何時も眠いでしょ! 私もOKよ」
しいなさんとジャーノさんも終わる事に賛成という事で、あ、紅蓮とナインの許可は取っていますよ。
なので戻りましょうか。
ユクシに一度戻り、クエを清算してから拠点に戻り、挨拶をクランチャットで済ませ、ゲームを終了します。
その後、清美に連絡すると、うさ太も調子が戻ったようでエサのおねだりが激しいと苦笑ぎみに言っていました。
うちはお母さんが動物アレルギーなので、ペット飼えないんですよね。
まあそのおかげでラグナをやる事になったので、文句はないんですが。
アレルギーってどうしようもないですしね。
命の危険があるのに文句を言ったりするのはちょっとどうかと思いますしね。
さて、問題ないようなので安心して今日は寝ましょう。
おやすみなさい。
フネガイ:フネガイ科フネガイ目に属する二枚貝の科の一つ。 全世界に約200種が生息する。 化石記録も豊富であり、特にエガイ属は三畳紀の層からも発見されている。
ノアノハコブネガイ:フネガイ科に分類される二枚貝の一種。 地中海から大西洋東部に分布する。 フネガイ属 のタイプ種で、フネガイ属はフネガイ科 のタイプ属。
2枚の殻を合わせると殻頂の間に広い平たいスペースが出来る。 これを甲板に見立てると、全体としてノアの方舟のような形となるためその名で呼ばれる。
食用に利用され、地域によっては商業的に漁獲される。 クロアチアでは過剰な漁獲によって資源量が減りつつあり、地域個体群の絶滅の危険性が増大している可能性も指摘されている。
今作では絶滅危惧種の設定にしている。




