156 ウサギ追いし、かの……
ウサギ可愛いよウサギ。
門を抜け、そのまま道なりに進むとイルガン山脈が見えてきます。
さらに進むと、その山脈が一部途切れていてそこを塞ぐようにしに砦が建てられていました。
これが、国境砦ですね。
山脈が途切れた部分から壁が作られていて、そのままでは向こうに行けない様になっているようですね。
この砦の中に狩り場GKがあるそうなので登録しておきましょう。
砦の中は必要最低限の施設しかありませんが、アプデから採用されたクエストボードという物が設置されています。
これはギルドの依頼がこのボードで受けれるようになる物ですが、ギルドの依頼にはない物もあったりするようです。
皆、興味があるようなので早速見に行ってみましょう。
ふむふむ、たしかに見た事がないような依頼がありますね。
まあ、わたしはあんまり受けた事がないんですが。
んー、珍しい物だと”山脈ウサギの捕獲 5匹”という物がありますね。
捕獲って見た事がありませんけども、どうやるんでしょうか?
「あーこれね。 アプデで新しく”環境生物”って種類が出来たぽいよ?」
他の依頼を見ていたしいなさんが、わたしに向き直りながら教えてくれました。
ふむふむ、つまりモンスターではないんですかね?
「みたいだな。 こっちを攻撃しては来ないみたいだし」
わたしが誰に言うでもなしに呟いた言葉を受け、紅蓮がそう答えました。
因みに捕獲機と呼ばれる道具が道具屋で売られていました。
なので全員購入し、捕獲依頼を受ける事に。
巨大な門を潜り抜けると、そこには平野が広がっていました。
この先に進んでいくと帝国の領地に行けるそうですが、まだそこまで行った人はいないそうです。
平野の広さは、検証班が必死に調べているそうですが、見渡す限りではしばらく時間が掛かりそうです。
ここはそれほどの広さを持っています。
ここに出てくるモンスターは、トロールと呼ばれるモンスターだそうで、3mくらいの巨体に凄まじい怪力と再生能力を持っているようです。
ただ、物理、魔法共に耐性を持っていないようで、しっかりと装備を調えていれば苦戦する事はないそうです。
「お? あれかな?」
紅蓮が指さす先を見れば、一体のモンスターがいました。
濃い緑色の3mほどの巨体。
腕が長く、立っていても拳が地面に付きそうなほどです。
顔自体は小さいのですが、顎がその顔の倍はあるほどで上に向かって大きな牙が2本突き出ています。
その手にはこれまた巨大なこん棒を持っており、わたしだと一撃で死んでしまいそうですね。
名前は、イルガン トロール プレッシャー の様ですね。
「んじゃやるか?」
「はい」 「何時でもいいわよ」 「……任せる」
「んじゃ、しいなさんのヘイト後に攻撃よろ~」
そう言ってしいなさんがヘイトスキルで敵意を取り、攻撃を加えた後、一斉に攻撃を加えました。
「ふーむ、スキルなしだとHP半分も減らないな。 てか回復してってるぞ」
紅蓮の言葉にHPバーを見れば、トロールのHPがグングン回復していっていますね。
「……一気に攻める!」
ナインがそう言うと、その手に持つ杖の先から一条の光がトロールに向かっていきます。
「……むーん【ピアースレイ】!」
その光はトロールに当たるとその身体を貫きました。
おお、HPも4分の1は減った様です。
「よっし、続け!」
紅蓮達がスキル攻撃を2度ほど叩き込む事で、なんとかトロールは沈みました。
「結構しぶといな」
「レベルどれくらいなんだろ?」
紅蓮達のMPが結構減っていますね。 大技使ったぽいですし、一体に対して燃費悪そうです。
「うーん、見る限り一体ごとでばらけてるから休み休みやりましょ?」
ジャーノさんの提案を受け、それならウサギを探しつつ戦闘に切り替えます。
ウサギは、遠くに何匹か見えるんですが近づくとサッ見えなくなりますね。
どうもウサギの側に穴があってそこに逃げ込むようですね。
しばらくするとヒョコっと顔を出し辺りを見渡しながら出てきますね。
「これはアレかな? ウサギ穴を押さえる方が楽かな?」
「だな」
と言う事でまず穴を探す事になりました。
穴自体はすぐ見つかるのですが、そこにウサギがいるかどうかはよくわかりませんね。
わたし達が穴に近づくと、遠くの穴からウサギが出て来たりします。
穴の前に捕獲機を置いてしばらく待ってみましたが反応がありませんね。
「これって穴同士で繋がってます?」
わたしがそう言うと、紅蓮の考えながら。
「ぽいな。 ちょっと面倒だなぁ」
「……この周り、トロールいない」
うん? ナインが辺りを見渡しながらそう言います。
よく見てみれば、見つけたウサギ穴の周りにはトロールが配置されていませんね。
いえ、違いますね。
「ウサギがトロールを避けて穴を掘っている?」
どちらかというとこっちですかね。
「なら、穴の位置は予測できる……か?」
ふむ、ではまずは場所を突き止めましょうか!




