127 ザルフェ戦 終了
わたしが【アムリタ】によって危機を脱した後、体勢を崩したザルフェに向かって攻撃を指示するナイトテールさん。
わたしを纏っていた光が粒子となって消えて行く中、紅蓮がわたしにサムズアップしながら微笑み。
「じゃあアイツをしめてくるっ!」
そう言って駆け出していきました。
トウカ達もそれに続いて走り出します。
かなりヤル気ですね。 わたしもサポートしないと。
リナリー達もこの場所から攻撃を繰り出します。
あ、レーヴェさんが見えました。 ミルラさんも笑顔でギターを振り下ろしてますね。
一瞬ハインドさんが見えた気がしましたが。 あ、あれがハインドさんの戦い方なんですか?
ハインドさんとテイムモンスター達は、姿を隠すスキルなどで相手を奇襲する戦法が得意なんだそうです。
しいなさんから色々解説を受けながら戦闘を見守ります。
残念ながら、わたしが前に出ると邪魔になりそうなんですよね。
というか、最初に注意されましたが。
もう討伐から何時間経ったのか、時間を確認してみると2時間を過ぎていました。
途中、20分までなら落ちても復帰出来る事が分かったので、皆交代で休憩を挟みながら攻撃を続けます。
「多分、そろそろだとは思うんだけどね」
晩御飯の支度もあるのでどうしたものかと思っていると、エリザベータがそう予想します。
その言葉が終わらない内にザルフェが膝をつきました。
「お? 倒したかな?」
しいなさんが、ちょっと目をとろんっとさせながら言います。
しかし、ザルフェは動きを止めたのに一向に討伐のアナウンスが聞こえません。
リナリーやひぎつねさんも、武器を構えたまま油断なくザルフェを見ています。
気になってクエ進行を見てみると、内容が変化していました。
「すいません。 ちょっと行ってきます」
そうエリザベータに言い置いて、ザルフェの元に歩を進めます。
何時の間にかわたしの隣に紅蓮とナインがいて、一緒にザルフェの元へ歩いてくれるようです。
そんな過保護な友人を連れ、ザルフェの元にたどり着いた時、わたしの前にウィンドゥが表示されました。
”ザルフェの魂を浄化しよう YES NO”
わたしはもちろんYESをアイクリックし、クエを進行させます。
すると、勝手に身体が動き、神社で行われる奉納舞にも似た動きでザルフェの魂を浄化する儀式を進めます。
『ああ…… 私は、なにを…… アルマダ、済まない…… あい、し…… て』
そう呟くように言葉を発したザルフェは、淡い光と共に空に登っていきました。
そして。
”59特殊転職クエスト 女神の卵 がクリアされました”
そして、さらにアナウンスが入ります。
”ワールドアナウンス:こちらはラグナスフィア公式GMはアスモデルデルです。 平素より本ゲームをお遊びいただきありがとうございます。 この度、本ゲームにて初の職業である女神の巫女が誕生しました。 これによってデスゲームは開始されません! (ここで皆がどっと笑い声を上げました) 女神の巫女誕生により、神獣の卵を孵化させる施設《育成所》が解放されます。 皆様ぜひ利用して新たなコンテンツをお楽しみください。 それでは良いゲームライフを! GMアスモデルデルでした”
これはワールドアナウンスですね。
わたしはステータスの職業を確認して見ると、《女神の巫女》に変わっていました。
これでわたしも三次職ですか。
「おめでとうミリオ!」 「……おめおめ」
紅蓮とナインがすぐさまわたしにお祝いの言葉を投げかけてくれました。
そうしてると、周りの背景がぼやけだしました。
”ナイトテール:よしっ! フィールドから出るようだ。 フィールドから出たら神殿前に集合!”
そうして視界が回復した時、そこは塔の最上階でした。
各自すぐさま帰還スクを使用する者、PTの皆とワイワイ騒ぐ人もいますが、それもすぐに帰還しだします。
「転職おめでとうミリオさん。 成功してホッとしているわ。 では神殿で」
そう私に告げてナイトテールさんは帰還しました。
さあわたし達の帰還しましょう。
帰還スクを取りだし使用した時、ふと誰かに呼ばれた気がして振り向くと、アルマダさんがいたような気がしましたが気のせいだったようです。
そして塔から消える瞬間。
『ありがとう……』
そんな声が聞こえた気がしました。




