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126 ザルフェ戦 3


……はっ!? 思わず意識が飛んでしまいましたが、今なにかおかしな事を言われたような。


「ミリオったら愛されてるわね」


エリザベータがニヤニヤしながらこちらを見ています。

肝心の紅蓮は…… 呑気にこっちに向かって手を振ってますね。


状況としては、紅蓮の一撃でよろけたザルフェが追撃が出来なくなり、それによってナイトハルトさんは体勢を立て直す事が出来たのですが……

場は、奇妙な沈黙に包まれていました。

やがて、誰かの呟きが以外に大きく響きました。


「キマシ?」


そして絶叫。


「うおおおおおおおおおおおお!! リアル? リアルキマシですか?」


「やったぜ!」

等々喧々囂々けんけんごうごうの叫びが部屋を満たします。

しかし、その声はナイトテールさんの冷静な声によって静められます。


”ナイトテール:……体制を立て直せ”


「「「「あ、はい」」」」


その後は粛々と行動し、攻撃を再開し始めました。

紅蓮は…… あ、ナイトテールさんにお叱りを受けてますね。

まったく…… わたしも後で説教です。


「まったくアイツってばなにやってんだか。 でも、ミリオちゃんが来てから変わったよね?」


リナリーが紅蓮の方を見ながら、しいなさんにそう語り掛けていました。


「んー、だねぇ。 前はちょっと余裕がないって感じだったのにね」


紅蓮がどうしたんでしょうか?

ちょっと話し掛けづらい雰囲気ですね。


それからしばらくは安定した状態になりましたが、偶にチラチラとこちらに視線が集まるんですよね。

紅蓮の方にも来ている事から、さっきの事なんでしょうけど。

全く、紅蓮はなにを考えているんでしょうかね。

そんな事を考えているとエリザベータから注意が飛んできました。


「ミリオ、分かるけど集中して。 そろそろまた何かやってきそうよ」


あ、いけませんね。 エリザベータの言う通り集中しましょう。

ナイトテールさんもそう感じたのか、チャットで指示を矢継ぎ早に飛ばします。


”ナイトテール:HPが減ってるものは回復、ヒーラーはMPに注意しろ。 サブタンクPTはメインと交代! メインはリチャを受け万全の体勢を整えて待機”


その指示に従い素早く行動する皆にならって、わたし達も少し立ち位置の調整をします。


……うん。 さっきから視線が凄く気になるんですよね。

誰の? と言うとザルフェの。 と答える訳ですが。


「あの、なんかザルフェから見られている気がするんですが」


「そうね…… ナイトテールに連絡するわ」


エリザベータはそう言ってチャットを始めました。

その間に、しいなさんがそっとわたしを後ろに庇うように移動します。


……そして、事態は突然動き始めました。


「GUOOOOOAAAAAAA!!!!!!」


三度咆哮を上げるザルフェが両腕を出鱈目に振り回すと、身体のあちこちから鎖が現れ、それが周りに襲い掛かりました。


その殆どは待機していた盾さん達によって防がれましたが、一部の人はその攻撃を受け何人かは死んでしまいました。


”ナイトテール:死んだ者は復帰を急げ! ヒーラーはヘイトに気を付けて回復!”


その一瞬の間、そこにするりとザルフェの攻撃がわたしを襲いました。

それはザルフェが攻撃を防がれ、動きが止まった瞬間でした。

ザルフェの床から伸びる影、それがわたしに掛かっている場所からどす黒い鎖が現れ、わたしに巻き付きました。


「えっ!?」


困惑するわたしに巻き付いた鎖に電流のような物が走り、わたしに衝撃が走ります。


「きゃああ!?」


それは痛いというよりは、全身を強く圧迫される程度の衝撃でしたが、わたしのHPはその攻撃で半分以上減ってしまっていました。


「ミリオ!」


遠くから紅蓮の叫びが聞こえたような気がしますが、今はそれどころじゃありません。

しいなさんが、わたしに巻き付いた鎖をどうに外そうとしていますがびくともしません。


側にいたアタッカーさん達も協力して鎖に攻撃をしますが、全く歯が立たない様子。


「ちょっと退いてくれっ!」


駆け込んできた紅蓮が、剣を鎖に振り下ろしますが、やはりどうにもなりません。


”ナイトテール:!? スタン持ちはザルフェに攻撃! 行動を止めろっ!”


ザルフェの方に視線をやると、全身が赤く光り出しました。 そしてわたしに絡みついている鎖も。


「【シールドスタン】!」「【ショックウェーブ】!」「【マヒ毒】」これは詩絵さんですね。


次々と攻撃がくわえられますが、ザルフェの光は止まりません。

そして、その光がひときわ強くなった時、ザルフェから電流のような物が鎖を伝って私に襲い掛かってきます。


「クワッ!!」


スパルナの声でハッします。 そうだ!


「スパルナ! 【アムリタ】!」


わたしの指示でスパルナが光り輝き、その姿を変えます。

太ったペンギンの様だったその姿は、細く美しい黄金の鳥へ。

そして、スパルナからわたしに黄金の輝きが移ります。

これが…… スパルナのスキル【アムリタ】。

わたしを1分間の間だけ無敵にするスキル。

それによってザルフェの攻撃は無効になり、さらに【アムリタ】のもう一つの効果、あらゆる状態異常を無効化する。によってわたしに絡みついていた鎖が外れました。


「きゅーん!!」「にゃうにゃう!」「チーチッチッチ!」「クワー!」


トウカ達が慌ててわたしの周りに集まってきました。

心配かけましたね。


”ナイトテール:よしっ! 今だ畳掛けろ!”


鎖が外れた事によってでしょうか? ザルフェが体勢を崩していました。

どうやら反撃のようですね!


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