103 奪われた【ソルエッセンス】
”ダイダラス渓谷”は、王都から北にある”巨人に踏み固められた地”の手前にある狩り場です。
”巨人に踏み固められた地”は正式名称ではなく、まだ実装されてない場所なんだとか。
次回のアップデートで実装される辺境領がここになるようです。
なのでこの”ダイダラス渓谷”は、一番最新の場と言う事で、狩場のレベルも65~70ととても高いです。
とは言え、紅蓮達の言う事には隠者レベスがいる庵は敵に会わないルートがあるそうです。
元々隠者レベスという人は、転クエで会う職が多いらしいですね。
その為でしょうか、今も何人かの人が同じ道を辿っていきます。
谷の下側には渓谷だけあって川が流れています。 谷の上側にも道があり、ここが安全な道だそうです。
狩り場は川が流れている所で、川の両側にある岩などが足場になっているのだとか。
出てくる敵もウォーターエレメント系や魚型のモンスター、サハギンと呼ばれる上半身が魚で手足は人間といったモンスターが出ます。
しばらく道を進んでいると、下り坂になり谷の中ほどまで降りていきます。
そうして歩いていると開けた場所が見え、そこに一軒の庵がありました。
庵の前では、人が数人ほど列を作っており、紅蓮によるとこの庵はPT単位でしか入れないのだとか。
つまり順番待ちですね。
わたし達は、大人しく待ちの列に並ぶために最後尾に着きます。
わたし達が列に並んで待っていると、庵の戸が開き中から見知った人が出てきました。
「あれ、ミリオちゃんじゃん」
わたしを見て声を掛けて来たのはりりりさんでした。
「あ、りりりさん。 レイドぶりです」
「ミリオちゃんも転クエ?」
「はい」
りりりさんはウンウン頷きながら。
「ふむふむ。 巫女の転クエ見つけたんだね。 よかったら終わってからでいいから掲示板に情報を乗っけてくれないかな?」
りりりさんがそう言うと、紅蓮がりりりさんに。
「任せろ、そこら辺はうちが考えてる」
「おーさすがヴァニティ! 頼りになります」
そうですよね、転クエが始まってから紅蓮はメモになにか書いてましたからね。
「ただ、しばらく掛かりそうだぞ? まだ55クエだしな」
「へえぇ、55で隠者レベスの所に? 結構違うんですかね?」
そうやって話していると、わたしの番がやって来ました。
「あ、じゃあまたね! レイド参加したかったら声掛けてね?」
そう言ってりりりさんは帰還していきました。
りりりさんを見送り、庵の中に入ると、中には一人の初老のエルフの男性がいました。
彼が隠者レベスでしょうか?
「よく来た。 運命の子よ。ワシはそなたを待っていた」
紅蓮とリナリーがわたしの後ろで、セリフが違う、と小声で話していました。
後で聞いた所によると、「何しに来た? 早々に立ち去るがいい」と言うのが隠者レベスの第一声なのだとか。
そうこう言っている内にレベスの話は続きます。
「そなたの望みは分かっておる。 しかし、今ここに【ソルエッセンス】はない。 森になく、ワシが持っておると知ったザザンの僕が奪っていったのだ。 運命の子よ、女神の卵よ、どうかヤツから【ソルエッセンス】を取り戻してきてくれ」
そこまで言った後、わたし達は庵から何時の間にか出ていました。
「次はその僕? を倒すのか?」
ああ、そうでしたクエを見てみないと。
”【ソルエッセンス】を盗んだ、ザザンの僕を見つけて【ソルエッセンス】を取り戻せ”
えーと、僕の場所は……
「あ、ここの近くですね。 この坂を上がった所です」
「近っ!? 自分で取り戻してこいよ。 とは思うがゲームだしなぁ」
「そうそうこんなもんでしょ」
「……完全にお使いクエ」
そんな事を言い合いながら坂道を戻ります。
坂を昇り切った所には、地面に直径2mくらいの青いサークルがありました。
「これは個人サークルだな。 つまりミリオ一人しか入れない」
ふむ、トウカ達は…… ああ、入れますね。 わたしがサークルに手を伸ばすと情報が出てきます。
まあ、じゃないとテイマーは詰みますしね。
一度PTを解散して、舞バフを改めて掛けなおしてから皆を振り返ります。
「じゃあ行ってきます」
「気を付けろよ」
「がんば~!」
「……ミリオなら楽勝!」
皆の声援を受け、わたしはサークルに足を踏み入れます。
「いくよ皆」
「きゅん!」「にゃう!」「チッチ!」「クワッ!」
『がんばれ~!』
そうして、わたしはどこかへ飛ばされました。
そこは、薄暗い荒れ地でした。
そしてわたしの前に、影でできた動物。 森にいたビーストをさらに色濃くしたようなモノがこちらを睨みつけていました。
トウカ達が素早く陣形を調えます。
さあ、いきますよっ!




