10 赤毛のハンサムガール!
レベルアップがんばるぞ!
と、気合いを入れたはかりですが……
『ハアッ、人多いね~』
そう、人が多すぎて敵がいないんですね。
このゲームの敵は何もない所からフッと現れるんですが、現れた端から人が寄ってきて時には取り合いが起こります。
わたし達はトラブルを避け、人がいない方いない方へと移動している最中なのですがなかなか空いている場所がありません。
お陰で草原に出てから30分近く経ちますが、さっきやっと1匹倒しただけです。
『う~ん、あまり推奨しないけど森の近くまで行ってみる?』
シャナは腕を組んでウンウン唸ったあとそう提案して来ました。
「そうですねぇ。 森の中に入らなければ大丈夫そうですか?」
というわたしの問いに、組んでいた腕を解いて頷きました。
『一応大丈夫だけど、あまり近づき過ぎないようにね?』
わたしはシャナの提案に乗ることにして、サッカーボールを追いかける子供達のような集団を横目に森の方へと歩き出しました。
あれは見てるだけなら微笑ましいんですけどね。
森に近づくと、0とは言いませんが明らかに人が減ってきているのを感じながら敵を探します。
『ラットはっけ~ん!』
シャナの指さす方を見れば1匹のネズミが現れる所でした。
周りには誰もいないようですね。
早速とばかりにワンドを掲げ、マナバレットを使用します。
光弾はフワリっといった感じで飛んでいき見事ネズミに当たりました。
攻撃に怒ったネズミはわたしの方に向くと駆け寄ってきます。
わたしは慌てず二回目のマナバレットを使用しネズミを倒しました。
マナバレットの使用MPは4 つまりネズミ1匹倒すのに8MPいると言う事で、現在のわたしのMPは13、ですがこのゲームはMPは時間と共に自然回復するので休み休みやれば問題ないと思います。 その回復時間は6秒に1点くらいでしょうか? 体感ですけど。
ちなみにこれは立ち止まっていたり、座った状態での事で激しく動いている状態だと回復は止まるようです。
休憩をはさみつつネズミを倒していると、突然ファンファーレが聞こえました。
「んん?」
『お! レベルアップおめでと~ イエ~イ! パフパフッ!』
「ありがとうございます」
5匹倒した時点でレベルアップしましたね。 チュートリアル含めると6匹なのかな?
ちなみにレベルアップ後のステータスはこうです。
キャラクターネーム:ミリオ
種族:ヒューマン
クラス:【獣使い(テイマー】 レベル2
STR 3
CON 5
DEX 6
AGI 6
INT 7
PER 8
SYM 10
HP 14
MP 25
能力値は5点ほど上がってるかな。 HPはSTRとCONと…… DEXかAGIの値で決まるのかな?(AGIです)
MPはINTとPERとSYMの合計ですね。
微々とした上昇ですが、まあこれで3匹連続で倒す事が出来るようになったのは大きいですよね?
レベルも上がって改めてやる気を出し、辺りを見渡し敵を探そうとしたわたしの目に森から駆けてくる人を見つけました。
その男性は、真っすぐにこちらに向かってきます。 わたしに何か用なんでしょうか?
なんとなくぼんやりと近づいてくる男性を見ていると、その男性の後ろを追いかけてくるものが見えました。 正確に言うとモノ達…… でしょうか。
それは犬、いえオオカミでしょうか、10匹以上のオオカミの群れが男性を追ってきているようでした。
あ……
とっさの事に呆然としてしまい、その数の多さに足が竦んでしまったわたしはただ駆け寄ってくる男性を見ている事しか出来ませんでした。
近くまできた男性はわたしが身動きできない事を感じたのか、ニヤリと人の悪い笑みを浮べると空中をまさぐるような仕草をした後、その右手には紙? のような物を取りだしました。
その紙は男性の手の中で淡く輝くとフっと消えていき、その後男性の身体も淡く輝き輪郭がぼやけて消えて……
「ショックウェーブッ!」
突然わたしの後ろから叫び声がしたかと思うと、わたしの横を何かが走り抜けていきました。
それは衝撃波のような物で、その衝撃波は男性に当たったかと思うと突然その身体を硬直させ輪郭も元に戻りました。
「ギャッ!?」
身体が動かないのか、男性は硬直したままの状態で追ってきたオオカミの群れに飲み込まれていきます。
『ミリオ! 離れて!』
「キミっ! こっちにくるんだっ!」
シャナと、ちょっとハスキーな声がわたしを呼ぶ。
その声に従いわたしは竦んだ足をなんとか動かし声の方へ。
そこに居たのは大きな剣を右手で持ち、赤い髪をポニーテールで纏めたキリッとした眼つきのハンサムな少女だった。
モフモフまであと少しっ!