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98 ハジマリと告解


学校が終わり、用事を済ませてINしようとしたのですが、VRギアにメッセージが入ってました。

そういえばCOMに同調させてなかったですね。

メッセージには、ラグナスフィア定期メンテナンス延長のお知らせとお詫びという物でした。

なんと、このタイミングで、ですか……


本日10:00より13:00に行っております定期メンテナンスにつきまして、不具合が確認されたため、メンテナンス時間を延長させていただきます。

なお定期メンテナンスの情報につきましては後程続報をお伝えさせていただきます。


      ~~~~~~~~~~~~~~~


先ほどお知らせした、メンテナンス時間の延長につきまして、続報をお伝えいたします。

定期メンテナンス終了予定時刻18:00


〇不具合内容〇


一部のレイドボスにおいて、特定のアイテムがドロップしない場合がある不具合。

一部のレイドボスの挙動が運営の予期しない動作をする不具合。


なお、本不具合につきまして、ユーザーの皆様に対して何らかのお詫びを配付させていただきます。


お待ちいただいている皆様には誠に申し訳ございませんが、メンテナンス終了告知があるまではゲームサーバーへの接続を行わずにお待ちくださいますよう、お願いいたします。


皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますことをお詫び申し上げます。


わたしは眼鏡型COMの視界の端に写った時間を確認します。

19:24

うん、更に延長してますね。


と、そこで乙女から連絡が入りました。


”乙女:今通話よろしいかしら?”


みさお:はい、いいですよ”


そう返事を返すと、すぐに通話のコールが入りました。


『もしもし、メンテの通知見ました?』


『はい、延長ですか』


早速メンテ延長の話を切り出されました。


『間の悪い事ですわね』


『あはは』


本当にそうですが、どうしようもないですね。

乙女によると、メンテの延長はあまりなかったらしいのですが、あっても1時間程度だとか。


『今日中に終わればいいのですけど』


『終わらない可能性もあるんですか?』


乙女が不吉な事を言い出しました。


『まあ、他のゲームの話ですけどね』


このゲームのようにヒューマリオンが開発に関わっている物は、比較的トラブルは起きにくいらしいのですが、それ以外、ヒューマンエラーの部分はどうしても無くならないのだとか。


と、そんな話をしていると通知がきました。


『あら? メンテ終わったようですわね』


『ああ、良かったです』


と言う事で、後はゲームでと言って通話を切りました。

ではINしましょう。


現在のゲームのバージョン番号(Ver.3.1002)に変更はないですね。

確認を済ませ、ラグナを選択してゲームへ。


INすると、紅蓮だけがいました。

他の人はまだなんですかね。


「こんミリオ」


「こんです」


さて、トウカ達のモフ挨拶を終えてから、まずは55になって読めるようになったはずの本を取りだします。


「お? 早速読むのか?」


「はい、そうしようかと」


紅蓮に断って、わたしの部屋のテーブルに本を置き、椅子に腰掛けます。

表紙をめくり、中を確認します。


「良かった、読める様ですね」


「読めなかったらまたメンテだな」


紅蓮がそう言って笑いますが、笑いごとじゃあないですよ?

それは兎も角、読み進めていきましょうか。


”初めにこれは私の罪の告白である。 私の名前はアルマダ。 ただのアルマダ、何者でも無くなったアルマダである。”


ここまでしか読んでませんが、思わず顔を上げてしまいました。

そんなわたしを紅蓮は不思議そうな顔で見てきます。

そんな彼女に曖昧に返事をして再び本に視線を向けます。


これは…… ハジマリの巫女アルマダ?

それにこのセリフ。 いえ、先ずは読み進めましょう。


”私は、私達は幼馴染であり、乳兄弟だった。 彼は小国の王の子として、私は神の声が聞こえる神子みことして。

母自身が伯爵家の娘であったし、家柄にも問題ないとして、二人は自然に婚約者となった。

彼はその事に何時も不機嫌そうにしていたが、あれは照れ隠しであることを私は知っていた。

やがて彼が王太子に選定されると、すぐさま結婚をと彼に乞われ、とても嬉しかったしとても幸せだった。


しかし、幸せは長くは続かない物。 北の帝国が我が国を侵略せんと挙兵したのは、彼が王太子になってすぐだった。

我が国は小国。 とても強大な帝国に抗えるとは思えなかった。


しかし、手はあった。 我が国には守護獣である神獣がいたのだ。

神獣は言う。 我に供物くもつを与えよと。

彼は悩んだ。 その供物とは、私であったから。

国と私、どちらをも選べぬと苦悩の果てに、彼は過ちを犯したのだ。


そんなある時、彼の側に一人の男がいた。

そう、いたのだ。 その男が誰で、何時彼の側近くに控えるようになったのか誰も、そう私ですらも知らなかった。

その男は言う。 王太子様、ザルフェ様、神獣に供物を与えなくとも帝国を押し返す手がございますと。 ”



「……ミリオ、赤毛こん」


そこまで読んでいたらナインがINしてきました。


「こんロリっ子」


「こんです」


挨拶を済ませ、改めて本を見ます。

彼というのはザルフェの事? それにハジマリの巫女の婚約者……


歴史書や言い伝えには全く書かれていない内容でした。


よし。


わたしは二人に断って、改めてこの本を読み込む事にするのでした。






定期メンテはネトゲとは切っても切れない関係ですね。

あと緊急メンテ。

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