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夏の音。-ナツノネー  作者: 平凪 空
2/13

過去に揺れるナツノネ 《2》

「じゃあ、行ってきます!」


写真(しゃしん)()()えて、やっと解放(かいほう)されたといわんばかりに真琴の手をつかみズンズンと歩いて行く美琴。

真琴は、特に抵抗(ていこう)せず、大人しくトテトテと美琴の(あと)をついていく。


「ちょい待ち」


(かま)いなしといった様子(ようす)で歩き続ける美琴を父親が止める。

頭をガシッと掴み、美琴の動きを(せい)する。

当然(とうぜん)美琴は、突然頭を掴まれたことに(おこ)るが、はいはいと軽くあしらわれただけで終わってしまった。


「さっきも言ったが、初めて二人だけで行くんだ。何があっても絶対に喧嘩だけはするんじゃないぞ。」


いつになく真剣(しんけん)物言(ものい)いの父親に初めはふくれっ面をしていた美琴も見つめ返す。

すぐ(となり)にいる真琴の方を見ると、どうしたの?と言いたげに顔をしかめ、首を(かし)困惑(こんわく)している。

見上げて親を見ると、母親も、真琴の両親も、(くる)しげな表情をしている。

ここで、真琴と同じ様に、どうしたのかと困惑出来たらどんなに良いだろうか。

しかし、父親の言葉の意味(いみ)理解出来(りかいでき)た。

・・・いや、理解出来てしまった美琴は、うん、分かったと(しず)かに(うなず)(ほか)になかった。


「いこう。真琴。」


(つな)いだ手を左右(さゆう)に二回()らし再び歩き出した二人に母親が声を掛ける。

ただ一言。良い思い出にしなさい、と。


 夏祭りの会場(かいじょう)についた二人は、いつもは、圧倒的(あっとうてき)迫力(はくりょく)を感じ興奮(こうふん)する太鼓(たいこ)()も、心躍(こころおど)屋台(やたい)も、全てが少し色褪(いろあ)せて見えた。

真琴は隣にいる美琴を見た。

いつもなら、誰よりも先に()け出し、太鼓を見て(はしゃ)いだり、沢山並(たくさんなら)ぶ屋台を見て親の手を引きながら、あれもこれもと楽しそうに物を強請(ねだ)る美琴だが、今はそれが全くない。

美琴の笑顔が好きな真琴は、何をしたらまた笑顔になってくれるのかと考えてみる。

そして唯一(ゆいいつ)の場所を思いついた。

この日だけにしか見れない二人が大好きな場所だ。


「美琴!風鈴屋台(ふうりんやたい)に行こう!!」


今度は、真琴が美琴の手を引いて駆け出す。

美琴は、(おどろ)いた顔こそ浮かべたが、抵抗することなく、真琴についていく。


「「わぁ~!!」」


風鈴屋台についた二人は、毎年必ず見る景色に飽きることなく、今年も声を揃えて、その感動を(あらわ)にする。

この夏祭りには、(ほこ)るものが三つある。

一つ目が、体を(きた)えた(たくま)しい男たちが、大勢(おおぜい)(かつ)神輿(みこし)と、同時に(ひび)き渡る太鼓の音だ。

大きな神輿と太鼓、そして逞しい男たちの力強い雄叫(おたけ)びは、その場にいる観客(かんきゃく)を一気に熱くさせ、歓声(かんせい)は辺り一面に(とどろ)く。

二つ目が、天候に(めぐ)まれここ十年一度も雨も降らず、中止になったことがない一万五千発の花火だ。

毎年必ず大きく真っ赤な花火が、この夏祭りのフィナーレを(かざ)り数え切れない無数(むすう)の花火は、色鮮(いろあざ)やかに鮮明(せんめい)に見た人全員の記憶(きおく)に強く(むす)びつく。

三つ目が、今二人がいる風鈴屋台だ。

規模(きぼ)は小さいが、数百個と並ぶ風鈴は全て職人の手により作られた。

そのため、二つとして同じ物はない。

風が(さわ)ぎ揺れるときは、その()がいくつも重なり夜にはライトアップされ、各々(おのおの)が光り輝く光景はとても美しい。

その美しさは、神秘的(しんぴてき)かつ幻想的(げんそうてき)で見る人を(とりこ)にする。

今では、観光・デートスポットとして有名になり、老若男女・カップル・家族問わず沢山の観光客(かんこうきゃく)が訪れる。

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