また初めから 《2》
「はぁ〜。」
登校しながら夢のことを思い出す。
『なんであんな夢見たんやろ。正夢になったりして…』
ははとせせら笑いを貼り付けながらポケットからイヤホンを取り出し、お気に入りのプレイリストから音楽を再生する。
『つか、クラス違うし余程の偶然でも無い限り会うことも無いやろ。本人に話しかける前に、最近の真琴のこと何も知らんし…先ずは情報収集、かな。』
『真琴のことも大事やけど、友達ほしいなぁ。けど、もうグループ固まってるやろうし、そこに割って入るのもな〜。しゃーない。暫くは単独行動しながら、隔たりなく人付き合いしよう。』
教室につき、カバンから教材を取り出し机の中に移す。
イヤホンを外し文庫本を開く。
「岩崎さん、おはよ!」
文庫本を読み始めて直ぐに声を掛けられ顔を上げる。
三人の女子生徒が立っていた。
話しかけられることは想定外だったので少し戸惑いつつ美琴も挨拶を返す。
「おはよう!」
「うわ〜、やっぱ可愛いわ〜。」
「目くりくりじゃんっ!いいな〜!」
「ありがと!うt…私、岩崎美琴。よろしく!」
『あっぶな!うちっち言いそうになりよった!第一印象大事!方言やなくて標準語!』
若干焦るもそんな美琴をよそに三人は会話を続ける。
「あたし豊永真紀!」
「モナはねぇ余崎百菜だよっ!可愛いものが大好きなんだぁ♪」
「千田凪咲。よろしく。」
「みんなよろしく!私のことは美琴でいいよ!」
「んじゃ、そう呼ぶね!ってか、さっき一人称言い換えなかった?」
真紀の何気ない疑問にギクッと肩を上げる。
「あ、あー。普段はうちなんだけど、それだとなんか田舎臭いじゃん?九州から来たから尚更だし…1人だけ方言使ってると馴染めない気がして…。」
苦笑しながらそう答える美琴に、三人はキョトンと呆けた表情を浮かべながら顔を見合わせる。
コテンと首を傾げながら百菜が『別によくない?』と言う。
百菜の一言に真紀がニッと笑いながら『それな〜!』と賛同し、凪咲はコクリと頷く。
「美琴なりの気遣いだと思うけど、別に喋り方変えなくてもいいとモナは思うよ?」
「んね!喋り方変えても変えなくても美琴の良さ伝わるし!」
「変に取り繕う必要ない。」
口々に言う三人に美琴は心が和んだ。
「てか、美琴って昼食べる人決まってたりする?」
思い出したように真紀が言う。
「いやいや!昨日転校したばっかりやけ。」
否定を表すジェスチャーをしながら美琴が答えると、三人の表情が明るくなる。
「じゃぁ、あたしらと食べない!?」
「えっいいん!?」
美琴が目を輝かせて喜ぶと『逆になんでダメ?』と三人も笑う。
【キーンコーンカーンコーン】
チャイムが鳴り、生徒が次々に席に座る。
三人も『また後で!』と手を振りながら自席に戻っていく。
美琴は窓越しに空を見上げた。
『さっきまではどうなるかと思ったけど、これから楽しくなりそう。』
心に重なるようによく晴れた青空だ。




