突然の訪問
街が一瞬、静寂に包まれる。
「...!!」
トラックはそのまま行ってしまったが、もうそんなのどうでもよかった。
周りに居た数人の人々は、ヒソヒソと話しながら、数分後にはほとんどいなくなった。
太郎君は一体、何者なのか。
その疑問に、早くも僕は恐怖を覚えた。
しばらくすると、太郎君がビルから降りてきた。
女の子は無事のようだ。
「太郎君!!大丈夫!?ケガ無い!?」
「うるさい。」
相変わらず太郎君はそっけないが、とにかく、無事でよかった。
「...それにしても、すごい身体能力だね、太郎君は。」
「...別に。こんなの何の役にも立たない。」
「そ、そんなことないでしょ!だって、今、人を助けたし!」
「うるさいな、ほっとけ」
太郎君はそう言い捨てると、どこかへ消えてしまった__
「はーぁ...」
ただ今帰宅。もちろん独り。
太郎君は帰ってきそうに無い。
やれやれ、あーゆーのは、あんまり問いただしちゃいけない領域なのかな。
でも、あの身体能力は、だれだって気になるじゃん?
これから、ゆっくりでも、秘密を話してくれたらなと思う。
ピンポーン
あ、帰って来たかな?案外、早く帰ってきたな...
ピンポーン
ピンポーン
「はいはーい、今開けますよー。もー、太郎君、心配したんだかr...」
「おー邪魔しまぁぁぁぁすぅぅぅ!!!」
「どえらっちゃあぁぁぁぁ!?」
誰、誰!?
「...ん?ここはあの少年の家で間違いないのだよね?クラック。」
「...うん。間違いない。」
「ったくよお。これじゃ突撃した意味0じゃねぇか...はやとちりが過ぎんだよ、亜李子は。」
どういう事か、皆目検討つかない。
目の前には、茶髪に、めっちゃ明るそうな少女、前髪で目が見えない、ノートパソコンを片手に持った、怪しい少年、いかにもヤンキーですという少年の計3人がいた。
「...で、あんた誰すか?」
ヤンキーらしき少年が言う。
「いやいやいや!?ここは僕の家ですけど!?てかあんたたち誰っ!?」
「え、そうなんですかっ!?」
心底驚いたように少女が言った。
そして制服の裾をはたき、咳払いをすると、
「私は、保季 亜李子です。高校三年生やってます!で、こっちのパソコン少年は、 クラック。同い年です。んで、このヤンキーっぽいのが白雪 遥です!私達の一個年下です!」
「誰がヤンキーだ」
「えー、だってヤンキーじゃん?そのくせ名前は女の子って...いたたたたたた!?ふぉ、ふぉっふぇをつふぇふは(ほっぺをつねるな)!!」
「とにかく。あなたはここの家の人なんすね?」
白雪君が言う。
「そ、そうだよ!僕は向野 厚樹。ここの住人!(汗)」
「まじすか、すみません。勝手に押し入ってしまって。」
白雪君が頭を下げる。
見た目とはうらはらに、結構まともなのかもしれない。
「あの!私達、太郎君に会いに来ました!」
「え、太郎に!?」
どういうことだ?何故太郎を知っているんだ?
「先ほど私をマンションの屋上に置き去りにした子ですよ!」
「...あー!!さっき死にそうになった子ね、君!!」
さっきの白い服の少女は、亜李子ちゃんのことだったのか。
「てか大丈夫!?生きてる!?あの後大丈夫だった!?」
「大丈夫です!それに、あれは故意であそこに突っ立ってたんです。」
「え?どういうこと?」
故意...ということは自殺?え、そういうこと...?
「こういうことです。」
そう言うと亜李子ちゃんは僕の部屋のソファーを片手でひょいと持ち上げた。
「!?」
「私は、こういう特殊能力的なのを持ってるんです。さっきのトラックにちょっと用事があって。(真面目顔)」
「...え、ちょっとごめん。理解が追いつかない...。」
どういうこと?こんな小さな女の子が...?特殊能力って...?
「私達3人は、それぞれが特殊なんです。太郎君も、もしかしたら私達の部類に入るのかなと思い、来させていただきました!」
「...」
この子達は一体...?
てか、太郎君、はやっく帰ってきてっ!!