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電波な子はエクソシスト  作者: ちゃぼてん
5/8

第五羽 ロールシャッハ

 店内の客はちあき達だけだ。

「この店の裏を見せますね」と言って、カウンタターをまわった琥珀が、隅の壁を押す。

 線が浮き上がり、次に奥行きが現れる。

 隠し扉だ。

 少し迷ったが、雅がさっさとついて行くので、仕方なくちあきも追いかけた。後ろから瑠璃の溜息が届く。

 鉄製の螺旋階段を下りた部屋は、案外普通だった。木の壁に、床には黄色のカーペットが敷いてある。中央に円い机が置いてあって、ソファーがそれを囲み、隅っこにはハムスターのケージが置いてある。

「座ってください」

 言われるがまま、ソファーに座る。全てが沈み込むような柔らかさだ。

「ロールシャッハはご存知ですか」

 普段より静かな口調と、理知のともった眼差しは、クリニックの先生に似ていると思った。

「やったことあるけど」

 意味のない左右対称の絵を見、何を連想すかを答えると言う心理テストだったはずだ。

「では話は早いですね」と、本当にロールシャッハを机に広げた。

「待ちなさい。貴方は精神科医ではないでしょう。

 悪魔祓いには専門家の事前診察と、司教の許可が必要なはずよ」

「お詳しいですね。瑠璃先輩」

 琥珀は特に臆した様子を見せない。

「趣味なんです。琥珀の悪魔祓いは。

 そのうち本物になるけど、必要とされていないから信用も少ない。影響も少なくなると思う。

 ま。軽いのりでお願いします」

(遊びって事?)

 断り続けるのも大変そうなので、ちあきは素直にロールシャッハに目を向ける。


 ――――先輩からは悪魔のにおいがします。


 胸の奥が鈍い痛みを覚えている。

 右手に温かいものを感じて見ると、瑠璃の白い手が置かれていた。心配そうな顔をしている。

 自然と心がほどけて、ロールシャッハを見る。

「ロバ」

 たいして悩まずに答えた。

「こちらは?」

 新しく別のロールシャッハを見せる。

 左手首に視えない何かが巻きついた。鬼海先生の授業で見た幻覚が、似ても似つかないロールシャッハの絵と重なる。

 心のブレーカーが落ちそうになった時、金色の光が見えた。

 金に輝く金色の十字架のペンダントが揺れている。

「落ち着きませんか? 何か見たんですね。国語の授業に」

「どう……し、て」

 ペンダントを持つ琥珀の霊力は本物なのか?

 ちあき以外、知らないはずなのに。

 彼女の深い瞳に引きずられそうになる。

「授業中に何があったの、ちあ?」

 雅は興味津々といった様子で質問する。相談するべきか、少し悩む。

「実は……」

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