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電波な子はエクソシスト  作者: ちゃぼてん
2/8

第二羽 お前の罪を知っている

 休み時間に勉強を済ませ、問題なく小テストを終えた。

 国語の鬼海先生はかわったところがあって、今日も雑学を語っている。

 蝉の声が聞こえる。

「小さな馬かロバの姿をしていて……望みを叶えるまで……と、熱弁をふるっている。

 そんな時、手首に違和感があって見やる。

(!)

 赤い傷跡で『お前の罪を知っている』とある。

 傷は瞬きの間で消えた。

(まだ本調子じゃないのかな)

 ちあきは最近までクリニックに通っていた事がある。

 首を小さく振って、授業に耳を傾けた。


 放課後、利き手と反対の手で書いた手紙を、とある子の下駄箱に入れた。読める程度には綺麗だ。 

 無論、誰もいないのを確認して。

 雨はやんでいる。

 その後、外履きに履き替え、校庭のプレハブの部室に入る。

 扇風機にパイプ椅子。少し大きい机があって、文芸部室は狭い。

「いく先輩、こんにちは」

 共学と違い、ここの生徒は大胆だ。パイプ椅子に先輩は体育座りをして、下着が見えそうである。

 緊張気味に声をかけると、微かな笑顔を見せてくれて、ぽーとなる。

 柔らかそうな茶色い髪と、澄んだ黒目が素敵だった。

 いく先輩はのどの怪我で声が出せない。先月の出来事はちあきにとって、辛い事だった。

 辛すぎて、死にたかった。

 本人が一番辛いはずで、なのにいく先輩は泣かなかった。

 あの日、血まみれのちあきを引き止めてくれた人がいたはずだ。

 自分は何かを忘れている。

 冷たいものが心に血の匂いを寄せてきて、ちあきは必死にそれを振り払った。

 そう、今は忘れていていい。

 だって、約束したから――――。

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