第一羽 特別な朝
作者はメンタルが弱いです!
生暖かい目で見てください(笑)!
おはよう
優しい子
夢が眩しいなら
明日はいらないね
光の闇の代わり
お前の夢をおくれ
願いという名の夢を叶えるまで
わたしは貴方のそばにいよう
ずっと そっと
尊い夢を見た気がする。
もう少し余韻に浸りたがったが、目覚まし時計が邪魔だ。手を伸ばして止める。
今日は特別な日になる気がした。
すみれ色のカーテンを引くと、虹が見える。
「やっぱり今日は特別だ」
外は狐の嫁入りだった。
二階の窓から、友人二人が傘を片手に振っているのが見える。
「先、行っててー!」
朝寝坊常習犯、ちあきの朝は
「疾風のように~去っていく♪」と、昔の特撮ヒーローのように慌しい。
顔を洗い、髪を編み。歯磨きをして、お決まりの苺ジャムのついたパンをくわえて外を走る。
人ごみの中、器用に走りぬく。
間もなく東芸女子高の門をくぐり抜けた。
なんとか間に合って自分の席に着くと、食べかけの食パンを飲み込む。なかなか美味しい。
(購買のパン、早めに買おう)
いつも争奪戦なので、気が抜けない。
「ちあき。おはよう」
「ちあ。後ろに先生」
「え!」
勢いよく振り返るも、誰もいない。
「へへー。ひっかかったあ」
雅が満足気に笑う。
隣にはひんやりとした瞳の瑠璃が立っていた。
ちあきは無意識に胸を押さえ、撫で下ろす。
さきほど雨の中、待っていてくれたのがこの二人だ。
「あんた、頭がよくて、運動神経だっていいのに何でやる気起こさないかなあ」
「でも、変な成績とってないよ」
「それはともかく。おめでと」
今日はちあきの誕生日だ。
雅がちあきの後ろにまわる。
「じっとしてて」
おさげのリボンを解き、丁寧に梳かして空色のリボンで結ぶ。
「ありがとう」
一方、瑠璃はというと、本をくれた。最近気になって、よく見つめていた本だ。
礼を言い、口元をほころばせて大事にしまう。
季節は夏。
いろんな事が進み、何かが過ぎていく頃。
ちあきの一四歳も、そんな風に過ぎていくと思っていた。