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戦士の宴  作者: 高橋 連
二章 後編 「シャンピニオン山の戦い 其之弐」
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ユィン

【ユィン】


 ユィンは完全覚醒したおかげで、その闘気や魔力、更には身体能力までもが桁違いに飛躍していた。そして、常に頭の中に霞が掛かった様にあった破壊衝動も完全に消えていた。

 今は一つの生物として生きている喜びを全身で感じていた。

「ユィンよ、来よ!」

(これも老師のおかげだ。弟子ユィン、全力で参ります!!)

 ユィンは師となったイディオタに、新たな自分の力を見せようと、イディオタの言葉と同時に全力で挑んだ。

 全身に闘気を漲らせ、腕の骨の刃を更に強化増大させた。そして、脚部の骨を強化変形し、全ての力を込めて駆けた。それはまるで大地を蹴り飛ぶ様であった。 

(老師の動きが見える!)

 ユィンは今まで捉えきれていなかったイディオタの動きが見える事に驚いた。

(ここだ!!)

 ユィンは後背に廻ろうとしていたイディオタの動きを察知し、体を回転させて腕の刃を浴びせた。

 ユィンの腕の刃と、イディオタの剣とがぶつかり合う音が響き渡った。

「速いのう。儂は年寄りじゃから、少しずるをさせてもらおうかのう……」

 イディオタはそう言うと、短い呪文を詠唱しながら、ユィンへと向かってきた。

(呪文か!?)

 ユィンは感覚を研ぎすまし、イディオタの動きを完全に捉えていた。今度は腕の刃を浴びせると見せて、足先の骨に闘気を込めてイディオタへと飛ばした。その瞬間、イディオタの姿が視界から完全に消え去った。

(そんな馬鹿な!?)

 ユィンはイディオタの闘気と魔力を探ってその位置を掴もうとしたが、それよりも速く、ユィンの死角からイディオタの一撃が襲ってきた。

 それをユィンは辛うじて腕の刃で受け止め、そのまま腕の刃の形を変形させてイディオタの剣を掴み絡めて動きを止めると、体を捻ってイディオタの側頭部に蹴りを叩き込んだ。

 しかし、またもイディオタの姿はユィンの視界より掻き消えた。

(剣を掴んでいたのに!? 一体どうやって……)

 イディオタの術を見切れずに動揺するユィンに、イディオタが更に襲い掛かった。

 ユィンは、今度はイディオタの攻撃を避け、その術の正体を見極める事に全力を傾けた。ユィンはイディオタの剣を避けると、反撃せずにそのまま距離を取り、全身を目と化してイディオタの動きを探った。

 すると、イディオタの姿は一瞬で消えたかとおもうと、今度はユィンの右横に現れ、更に姿を消して今度は後背に現れた。そして、小さな雷球の魔術を放つと、またも一瞬で姿を消してまったく違う地点に現れ、今度はユィンの死角から剣を繰り出して襲い掛かってきた。

「ぐうっ!」

 イディオタの剣を何とか受け止めたが、後背より放たれた雷球をまともに喰らい、凄まじい衝撃がユィンを襲った。

(なるほど……、そういう事か……)

「ユィンよ。雷球を喰らって立っているとは頑丈じゃのう。しかし、何発まで耐えられるかのう。いくぞい!!」

 イディオタは気合いの声と共に、更に幾つかの呪文を詠唱しながらまたもその姿を掻き消すと、ユィンの死角より姿を現し、飛ぶ様に襲い掛かってきた。

 ユィンはイディオタの一撃をかわして空高く飛び上がると、魔力関知の感覚を高めて大地を見渡した。

微量ながら魔力を検知した十数箇所に、魔力と闘気を注ぎ込んで変形させた両手両足の指の骨を飛ばした。


宜しくお願いします!

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