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戦士の宴  作者: 高橋 連
二章 後編 「シャンピニオン山の戦い 其之弐」
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イディオタ

【イディオタ】


(イディオタ、魔力の剣がユィンを襲うぞ! あの間合いではもう覚醒したとしても間に合わん!!)

(ユィン……!!)

 ユィンの魂の叫びは、肉体の呪縛を破壊する事はできなかった。だが、わずかに届いたのか、イディオタの封印術を僅かにだが解呪し、ほんの少しその体を傾けて天空より襲いくる巨大な魔力の剣の直撃を避けた。

 巨大な魔力の剣はユィンの左肩よりその肉体を破壊すると、大地に激突して地を震わし、周囲に土埃を盛大に巻き上げた。

(僅かに覚醒して頭部への直撃は避けた様だが……)

 〈アルファ〉の言葉に返事をする事なく、イディオタは土埃で視界の見えぬ中、ユィンへと駆け出した。

「ユィン! 生きておるか!?」

(生きていた方が辛いぞ……。止めを刺さねばならん……)

(わかっておる! わかっておるわい……)

 土埃の中央で、動く影があった。

ユィンは左肩から強大な魔力の剣を喰らい、そこから真っ直ぐに体を砕かれ、心臓も破壊され、即死といっても良い程の損傷を受けていた。だが、死んではいなかった。

 強力な再生能力がその肉体を急速に修復し始めていた。さらには、大地に突き刺さった魔力の剣をも取り込み、その魔力を増していた。

(イディオタ……。最悪の結末だな。さっさと片づけるぞ)

(ああ……)

 イディオタは茫然自失としていた。

覚悟をしていたとはいえ、己の放った一撃によってユィンの理性と自我は砕けて消滅し、細胞に刻まれた兵器としての呪縛が覚醒してその肉体の機能を最大限に活用していた。

 肉体の半分以上を失うほどの損傷を瞬く間に回復し、さらにはイディオタの造りだした破壊の力の具現化とも言える巨大な魔力の剣を取り込み、いまやイディオタをすら凌駕するほどの魔力と闘気を発っしていた。

そして、兵器と化したユィンの体は、細胞に刻まれた呪縛である破壊衝動に支配され、地上の動くもの全てを破壊せんと動き出した。

「ユィン、許せとは言わぬ。儂もいずれ行く故、先に行って待っておれ……」

 イディオタはそう言うと、静かに眼を閉じながら〈イオタ〉の剣を体内に納め、全身に闘気を巡らせた。

(イディオタ、やるか)

(あぁ、久々じゃが、頼むぞ……)

 イディオタはユィンに向かってゆっくりと歩み始めた。

闇をも呑み込む様な凶々しいユィンの黒い闘気が、霞んで見える程の漆黒の闘気をその身に纏いながら……。


読んで下さって有難う御座います!!

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