総管寺長
【総寺管長】
「コンジュエが破れたと!? して魔物は?」
総寺管長へ闘いの報告を持って来た僧に、総寺管長は声を荒げて問いただした。
「はっ! 魔物は結界を破り、北へと逃走いたしました!」
総寺管長は、思い出した様にその僧に尋ねた。
「コンジュエは闘いの中で、両耳の耳對を外したか?」
「はい、僧兵管長様は耳對の封印を解かれ、光り輝く闘気を身に纏って黒い魔物と闘っていらっしゃいました。その様はまるで、光と闇の闘いのようでした……」
報告に来た僧の言葉を聞いて、総寺管長は全てを悟った。
(コンジュエよ、すまぬ……。お主に全てを背負わせてしまったか……)
「ハンロン将軍、お聞きの通りだ。魔物は取り逃がしたが、コンジュエは全力をもって闘い破れ、命を落としました……」
コンジュエの闘いの報告を聞いていたハンロン将軍も、コンジュエが崇山寺随一の使い手である事は知っており、そのコンジュエでも倒せぬ魔物を捕らえるなどは到底無理な事と承知していた。
「わかりました。崇山寺が魔物とは無関係な事は、コンジュエ殿の闘いとその死によって証明されました。私が直々にお上とワンティエン将軍に取りなしましょう」
ハンロン将軍はそう約束すると、ワンティエン将軍の待つ陣へと急ぎ戻っていった。
「総寺管長様、あの魔物が舞い戻ってこの崇山寺を襲う事はありますまいか?」
怯え聞く副総寺管長に、総寺管長は諭すように答えた。
「あの魔物とて心があるのじゃ。よもや人を無碍に襲う事はあるまい……」
これより数年後、北方の騎馬民族は優れた指導力と強力な統率力を持った王に統一され、強大な一大王国を形成した。
そして、腐敗した王朝は、民衆蜂起や反乱が相次ぎ、朽ち果てた巨木が倒れる様に崩壊し、その北方の騎馬民族に飲み込まれていった。
これにて、2章前篇「黒き魔獣」の物語は終わりです。
次からは2章後編「シャンピニオン山の戦い 其之弐」が始まります!
本日はもう一話アップします。
是非読んでやって下さい!




