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戦士の宴  作者: 高橋 連
一章 後編 「シャンピニオン山の戦い 其之壱」
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刀鍛冶

【刀鍛冶】


 〈片目〉の分身の爆発を〈鈴音〉で斬り裂いて威力を抑え、殺気の刃を盾として致命傷を逃れた〈刀鍛冶〉は、呆然と立ち尽くす〈片目〉に向かって駆けた。

(一気にいくぞ!)

(リーン……)

 〈刀鍛冶〉の殺気が今までになく漲り、怒りが力となって己の主人が恐るべき獣と化した事を知った〈鈴音〉は喜びの声を響かせた。

 〈賢者の石〉として強者に仕え、それを補助する事こそが、彼らの、彼女ら――〈賢者の石〉は古代に造られた兵器であり、それに当然性別などは存在しないが、長年の情報蓄積の過程でそれぞれ独自の自我を持ち、それらは融合している人間に大きく影響されている為、〈賢者の石〉にも人間と同じく性別的な特徴が表れていた――の喜びであったからである。

 猛然と迫る〈刀鍛冶〉に、驚きから立ち直った〈片目〉が呪文を唱えてその猛追を阻もうとしてきた。

 大地から幾つもの尖った岩の巨魁が出現し、凄まじい速度で〈刀鍛冶〉に向かって放たれた。

〈刀鍛冶〉がそれを避けた瞬間、その巨魁は爆発し、無数の小さな岩の棘と化して〈刀鍛冶〉を襲った。

(リリーン……)

(〈鈴音〉、大丈夫だ)

 〈刀鍛冶〉はそう言うと、殺到する岩の棘を〈鈴音〉で叩き落とした。死角から迫る岩の棘も、殺気の刃を盾として防ぎ、全方向からの岩の棘の攻撃を全て防ぎきった。

 〈片目〉は岩の棘が全て防がれたのを見て、またも何か詠唱を始めていた。

(無益な事を……)

 〈刀鍛冶〉はそう言うと、殺気の刃を集め、またも花弁の様に重ねた。

(飛ぶぞ!)

(リーン……)

 〈刀鍛冶〉は殺気の刃を花弁の様に重ねて空に放つと、その上に飛び乗り、そのまま己の乗った刃の花と共に〈片目〉へと飛翔して襲い掛かった。

 〈刀鍛冶〉は空中で刃の花から跳び、そのまま刃の花を〈片目〉めがけて叩きつけた。

頭上から襲いくる巨大な刃の花を、〈片目〉は両腕に持つ四本の剣を重ねて受け止めた。

 刃がぶつかり合う衝撃と音が響き、刃の花も〈片目〉の剣も共に砕け散った。それと同時に、〈刀鍛冶〉は〈片目〉の背後に着地し、右手の〈鈴音〉で〈片目〉の背中から心の臓を一気に貫いた。


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