イディオタ
【イディオタ】
剣と剣がぶつかり擦れ合う凄まじい金属音が響いた。
イディオタが、切り落とされたはずの右腕で、魔力を具現化させて造り出した剣を握りレンヤの剣を受けたのだ。その衝撃で、イディオタの造りだした魔力の剣は悲鳴の様な情けない音と共に砕け折れた。
(イディオタ、お前片腕で十分って大見得切っときながら……)
(だって、やばかったから……。両腕にしちゃった)
(なにがしちゃっただ! 本当に恥ずかしいやつだな、お前は!!)
イディオタの全身が魔力に包まれた。
〈アルファ〉と馬鹿な話をしながらも、魔法陣を描きながら唱えていた呪文が完成したのだった。
「若造よ、今度はこっちの番じゃ。推して参る!」
イディオタはそう言うと、空の両手に剣を持っている様な構えをとり、レンヤに向かって駆けた。
(こっぱずかしい真似をするな!)
(儂もなんか決めてみたかったんじゃよ)
(じゃあ、片腕で戦え)
(…………)
イディオタは〈アルファ〉の言葉に返事をせぬまま、己の周囲に先程よりも強く強力な魔力の剣を何本も具現化させると、両の手にもその剣を握り、レンヤに迫った。
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