表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦士の宴  作者: 高橋 連
五章 前編 「双魂の魔人」
178/211

アーナンド

アーナンドの一族の棟梁が受け継ぐ力の秘密がついに明らかに!!


アーナンドの物語は今しばし続きます。

宜しくお願いします^^



【アーナンド】


 アーナンドの意識は黒い魔物、バソキヤの中から、アーユルとの戦いとその顛末を見た。そして、アーナンドの意識は、バソキヤの意識と共に溢れる光の様な物の中に飛び込んだ。

 その瞬間、アーナンドの意識は突然己の肉体へと戻っていた。

(ここは……!? 俺は光の中に……)

 アーナンドの意識が肉体に戻ると、傍らでシンハの叫び声が聞えた。

「アーナンド、左目に集中した魔力と闘気を安定させるのだ!」

 アーナンドは己の意識が自分の肉体へと戻った事を悟ると、今の自分の成すべき事を瞬時にして理解した。

(ご先祖様、バソキヤ殿との約定、このアーナンドが受け継がせていただきます)

 アーナンドは己の左目にバソキヤの意識が定着し、己の魔力と闘気の供給を受けられる様に、全身の魔力と闘気を練り合わせて循環させながら、左目にそれを集中させた。

(俺が二人の、バソキヤ殿と我が一族の始祖様の記憶を追体験したのは、この為だったのだな。追体験の中で感じたあの光の様に力場を形成すれば良い筈だ)

 アーナンドはバソキヤの意識の中で体感した、アーユルが造りだし左目の魔力と闘気の力場を頭に思い描きながら、左眼に集中させた魔力と闘気を安定させるべく力場の形成を始めた。

アーナンドの左目に、全身を駆け巡って循環凝縮された魔力と闘気が混ざり合った力場が形成され、それは徐々に魔力と闘気の密度を増しながら安定していった。その力場が形成され完全に安定すると、アーナンドは何かの存在が己の左目に、己の心の中に現れたのを感じた。

(バソキヤ殿、アーナンドと申します。これより一族の棟梁としてバソキヤ殿とアーユル様との約定、不束者ながらこのアーナンドが受け継がせていただきます。何卒宜しくお願い申し上げます)

 アーナンドは自分の内に現れた存在が何かを、始祖とバソキヤの記憶の追体験により既に知りえていた。そのアーナンドの言葉に、バソキヤが答えた。

(新棟梁殿、約定の引継ぎ、しかと了解した。これより我はお主の一族が為、全霊をもって応えようぞ!)

(ははっ!)

(アーナンドよ、そう畏まる事は無い。堅苦しい引継ぎの挨拶はこれ位で良いであろう。これよりお主と我は一心同体。我はお主をアーナンドと呼ぶゆえ、お主も我をバソキヤと呼ぶが良かろう)

(承知致しました。バソキヤ殿)

(まあ、ゆっくりで良いわ……)

 バソキヤは諦めた様な態度で、言葉を続けた。

(我とお主の魂は深く結び付いておる。その結び付きを更に深く繋げ融合した時、お主の肉体に我が魂の力が具現化する。それがお主が幼い時に見たヴィクラムの戦う姿だ)

(あれが……)

(そうだ。では、最後の仕上げといくぞ)

(最後の仕上げ?)

(我とお主の魂を融合させる。これよりお主は人外の力をその身に宿すのだ。良いか……?)

(私の心は常に戦いの場に置いております。いつでもどうぞ!)

 アーナンドの言葉に、バソキヤは大笑した。

(はははははははははは! よし、いくぞ!)

 バソキヤの思念がアーナンドの全身に広がると、それに呼応して全身の魔力と闘気の流れが増し、全身から溢れ噴出す程に激しさを増しながら、徐々にその性質を変化させていった。

 アーナンドの全身を魔力が練り込まれた黒く凶々しい闘気が覆い、それが大きく広がると共にアーナンドの肉体にも変化が現れた。

アーナンドは己の魂とバソキヤの魂が融合し、混ざり、離れ、また繋がるのを感じた。それは全身を打ち砕いて組み直される様な感覚だった。

 その感覚が終わり、アーナンドの全身を駆け巡る魔力と闘気の激流が爆発した時、黒き闘気の中から異なる世界の魂が融合し造りだした力の塊とも言うべき異形の戦士が姿を現した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ