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戦士の宴  作者: 高橋 連
三章 後編 「シャンピニオン山の戦い 其之参」
123/211

ユィン

【ユィン】


(あれを一体どうやって……)

 まるで太陽の欠片の如く燃え盛る、人外の力で創り出されたかの様な灼熱の塊を、〈銀の槍〉は己が闘気の槍一本で消し去ったのだった。それを目の当たりにしたユィンは茫然自失となっていた。

(闘気の槍で叩き切ったのだろう。奴の闘気が、お前の火炎の魔力より強かっただけだ。呆けている暇はないぞ! 次の術を急げ!)

 そんなユィンを〈オメガ〉の声が現実に引き戻した。だが、現実に引き戻されたユィンは、またも呆けた様に呟いた。

(今ので打ち止めだ……。魔力が尽きた……)

(お前はやはり大馬鹿だ! だから魔力は大丈夫かといったのだ!)

 度重なる〈オメガ〉の怒号に、今度はユィンも怒号で返した。

(まさか消されるなんて思わないだろうが!)

(どうする気だ?)

(さっきも言っただろ。もう魔力がないんだ。となれば、魔力を補充するしかない。〈オメガ〉も手伝ってくれ!)

 そう言うと、ユィンは地面に座し、短い詠唱を唱え始めた。

(この馬鹿が! 補充するって、敵の目の前で座り込んで大地から魔力を補充する気か? 殺されるぞ!)

(いいから手伝え!)

 〈オメガ〉はしぶしぶ黙ってユィンの魔力補給を手伝った。しかし、〈オメガ〉が言う通り、〈銀の槍〉は輝きを増した闘気の槍を手に突進してきた。

 分身の二人のユィンが迎え撃つが、闘気の活性化によってその生命力をも燃え上がらせた〈銀の槍〉が相手では、幾ばくの時間稼ぎにもならずに槍で貫かれて消え去った。

(おい、くるぞ!)

(慌てるな、〈オメガ〉は魔力補充に専念してくれ。俺に策がある)

 そう言ったユィンの周りに、幾つもの光輝く魔法陣が浮かび上がった。しかも、それらは見た事もない文字で描かれた魔法陣であった。

 それらの魔法陣は次第に数を増し、ユィンの周りをおびただしい数の光輝く魔法陣が取り囲み、ユィンをあたかも光の柱の様に照らし出した。

(おい、お前の策ってこれか!?)

(ああ)

 ユィンの頭の中で、〈オメガ〉は呻きとも吐息ともつかぬ小さく擦れた声で呟いた。

(だめだこりゃ……)


読んで下さって有難うございます^^

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