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戦士の宴  作者: 高橋 連
三章 後編 「シャンピニオン山の戦い 其之参」
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銀の槍

【銀の槍】


 ユィンの執拗な攻撃を受け続ける〈銀の槍〉に、〈ゼータ〉が口を開いた。

(どうやら、奴の狙いはお主の槍のようだな。お前も気づいているんだろう?)

(ああ、気づいてるよ。敵ながら良い作戦だ)

(ならば何故、槍で攻撃を受け続ける?)

 〈ゼータ〉の言葉に、〈銀の槍〉は死角から襲い掛かるユィンの猛攻を受け続けながらも落ち着いた口調で答えた。

(奴の動きが捕らえられねぇ。今下手に反撃したら、奴の一撃を食らっちまうからな)

(ならばどうする?)

(なぁに、この槍にも飽きたところだ。欲しいって言うなら呉れてやるまでよ!)

(そうか、それも良かろう。いささかもったいない気はするが……)

(もったいないどころか、ありがてぇ位だぜ! こんなもん無い方が戦い易いのを、じじぃが使えって言いやがるから使ってただけだからな)

(それはお主を思って、修行としてだな……)

 〈銀の槍〉は〈ゼータ〉の喋るのを遮って答えた。

(分かってるよ。じじぃの呉れた槍をぶっ壊した償いは、あいつに十分にさせるさ!)

 ユィンの攻撃は執拗だった。無駄な動きを一切省き、機械のように正確に〈銀の槍〉を攻撃した。そして、ユィンの両腕に装着された――いや、生えたと言ったほうが正確かも知れなかった――得物は、闇をも呑み込む様な黒い闘気が洩れ出すほど漲っており、それから繰り出される一撃はどれも凄まじい破壊力をもっていた。

 その攻撃を何度も同じ箇所に浴び続けた〈銀の槍〉の槍は、少しずつ小さな悲鳴を上げていた。その小さな悲鳴は、小さな亀裂となって表に溢れだし、やがて大きな悲鳴を上げた。

 硝子細工が粉々に砕け散る様な音と共に〈銀の槍〉の手の中の槍は粉々に砕け散って、鈍い銀色の風となって消え散った。

 銀色の風が舞う中を、黒い風が唸りを上げて迫った。槍が砕け散って得物を無くした〈銀の槍〉をめがけて、ユィンの強烈な一撃が襲い掛かって来た。


読んで下さって有難うございます^^

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