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アルベール
【アルベール】
(〈イプシロン〉、今までありがとう)
(アルベール、僕の力が足りずに……、ごめんよ……)
(それは違う、力が足りなかったのは俺の魂さ。それに、君やイディオタと出逢えて、俺は本当に楽しかったよ!)
(アルベール……)
アルベールは己の中の友にも別れを告げた。そして、数瞬、目を閉じると、悩み苦しむもう一人の友の為に声を掛けた。
「さぁ、はじめようか」
アルベールの言葉に、イディオタは黙って頷いた。
そして、しばらくすると体に強烈な衝撃が走った。だが、それは痛みではなく、今まで感じた事のない、何か大きな力に包まれて、引っ張られるような感覚だった。
いつしか、宙に漂ういくつかの煌めきを感じながら、ゆっくりと意識が途切れていった。