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戦士の宴  作者: 高橋 連
二章 後編 「シャンピニオン山の戦い 其之弐」
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イディオタ

【イディオタ】


 ふらつく足取りで、イディオタが描いた黒い球の術の魔法陣を見に行くユィンを見ながら、イディオタと〈アルファ〉は笑った。

(あいつもお前と同じく、魔術馬鹿だな)

(魔術を極めんとする者には、あれ位の探求心が必要なんじゃ! それに、あの術を見せられてその術式を見たいと思わぬ魔導師はおらんじゃろうて)

 イディオタは自慢げにそう言うと、地面に腰を下ろして休んだ。

(今回は疲れたわい)

(今回ってお前、まだ目的は果たしてないぞ。王国軍もそろそろあがってくる頃だし、急いで回復を済ませて〈片目〉と将軍を始末しないとまずいぞ)

 〈アルファ〉の言葉に、当初の目的を忘れていたイディオタは思い出した様に立ち上がった。その時、イディオタの感覚に殺気の気配が感じられた。

(王国軍の兵士か!? 思ったより速いのう)

(〈魔導筒〉で武装し、軽装の為に機動力が増しているのだろう。後ろから大量に来るぞ!)

 イディオタが王国軍兵士達の殺気を感じとった方を見ると、ユィンが夢中になって魔法陣を見ている所であった。

(おい、まずいぞ! あの小僧、王国軍の気配に気づいてない様だぞ!)

「ユィン! 逃げろ!」

 イディオタは大声で叫んだが、既にその射程に捉えたのか、王国軍兵士の放った魔力の塊がユィンの右腕を貫いていた。痛みと疲労によって、ユィンは動けぬ様だった。

(小僧は動けぬ様だな。イディオタ、どうする!?)

 〈アルファ〉の言葉が終わらぬうちに、イディオタは叫びながら駆けだしていた。

「ユィン!」

 王国軍兵士達の構えた〈魔導筒〉から、魔力の塊がユィンへ向かって一斉に放たれたその時、イディオタはユィンの前に立つと、その身を持ってユィンへと殺到する魔力の塊を受けた。

 〈魔導筒〉より放たれた大量の魔力の塊は、イディオタの肉を貫き骨を絶ち、無数の穴を体に穿って、そこから大量の血を噴き出させた。

 イディオタはゆっくりと振り返ると、ユィンに向かって口を開いた。

「ユィンよ、少し待っておれ。敵を片づけてくるわい……」

 イディオタはその体から大量の血を噴き出させながら微笑むと、イディオタの血飛沫でその身を真っ赤に染めたユィンに背を向け、王国軍兵士の中へと駆けていった。


12月22日まで、毎日21時更新を致します。

23~26日まではお休みして、27日より三章がスタートします!!

宜しくお願い致します^-^

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