第4章『遊盤』part4
【二日目終了時ミーティング】
まだ五日はあるせいか皆の雰囲気は柔らかい。
これが日が経つにつれてどうなるかは正直興味深い。
「とまあ、その後も一度酒場に行ってみたがイベントは起きなかったでげす」
「こっちも裏ギルドを探してみたがあまりいい情報はなかった」
「戦闘の勝率調べてみたけど50%以上だとそれ程苦労せずに勝てるみたいだったよアーメン」
二日目までである程度の情報が集まってるみたいだね。
こっちでまとめておくよ。
・盗賊しかも指名手配されるような人間が集団で絡んでいる。
・誘拐される子供たちは皆貧民層、更には戸籍のない子供たち。
・裏ギルドが依頼を出しているようだがどこにあるのか不明。
・裏ギルドの人間を酒場で見つけたみたいだが現在どこにいるか不明。
「ちなみに酒場で顔を見た『明らかに裏の世界の住人』は探せば見つけられるでげすか、神様?」
顔を確認してる勇者、魔法使い、メイド様、盗賊の四人なら調査の場所によっては見つけられるかもね。
そういうイベントが設置されてる・・・かも?
「どちらにしても私は戦闘以外役に立てないよ。ゆうしゃっ!」
「知ってるでゲス」
「酷いよ、如峰月君!ゆうしゃっ!」
勇者のボロ出しがなんかチェックしずらいことにツッコみたいけど・・・まあいいか
これからの方針は決まってる?
「それは、、、裏ギルドの場所探しにあの時見た人間の捜索?マジ」
「実行犯捕まえた方が手っ取り早いし、スラム街行くのも手だでゲス」
「見つからなさそうな人間探すよりも確率高そうだ・・・ね、朝顔ちゃん?あーめん」
「え、、、そうですね。ふんふふん」
方針は決まったみたいだね。
じゃあ、一つサービスしよう。
七日間では絶対になるのは無理だけど盗賊の上級職として凶賊と言うのを設定してある。
盗賊の成長方向を戦闘に特化させた職だね。
闘技場にランカーとしてその職の人物がいる・・・もしかしたら裏ギルドと関係あるかも?
「じゃ、そっちも確認・・・ランカー?」
「とても強いって意味ですよね?ふんふふん」
「伊月さんと小陽ちゃん、、、あと朝日奈さんと白凪さんの四人で挑戦するしかないかな?あーめん」
「予定通りの経験値稼ぎと戦闘特化の二人?マジ」
「機動力がないのはいたいでゲスけど、それしかないでゲスね。スラム街の調査は、、、神官と盗賊は調査スキル的に分かれた方がいいからメイドと踊り子でそれぞれ好きな方に別れようでゲス」
「攻撃手段が少ないし段々血の気が多くなってるあーめん。朝顔ちゃんさえよければ攻撃手段が少ない僕は死んじゃうかもしれないし戦闘職寄りのメイド様と組んだ方がよさそう」
「・・・俺は良いでゲスけど、朝顔さんは?」
踊り子は盗賊と組むか神官を死なせるかもしれないかをはかりにかけ、そして決断する。
「神官さんと組みます。ふんふふん。」
「そんなに嫌でゲスか!?」
「死ねと!?」
盗賊と神官が悲痛な声を上げた。
ちなみに『性格』に反しないためか、心からなのかは分からないが朝顔ちゃんはとても良い笑顔だった。
【メイド様椿 盗賊桜】
スラム街で貧民層に盗賊技能で変装した兄様と私はスラム街を歩きます。
臭いが強くゴミが多く、、、辺りの人は浮浪児や物乞いが多い気がします。
馬が入りこめなさそうな雰囲気です。
「張り込んでいればいずれは出てくると思うけど・・・今日一日は缶詰めになるかな」
「そうですね」
半日は何も起こりませんでした。
もう駄目かと思っていたら子供の悲鳴が聞こえてきました。
「・・・やった!」
「不謹慎ですよ、兄様」
「寧ろゲスっぽくていいだろ?人の不幸を願うとか」
二人で声が聞こえた場所に向かうと丁度盗賊たちが一軒家ともいえないような小屋から出てきました。
彼らが担ぐ袋からはジタバタ動いてる影
更には濃い血の香り
どうやら慌てているようで私たちにはまだ気が付いてないようです。
「あいつらが気づいてないなら盗賊のスキルで尾行することが出来る。」
「・・・マスターならしないですね。」
「そうだなあ。あいつなら何も考えずにブチのめして追っ払って、、、どうして情報を引き出さなかったって後から相棒にドヤされるんだろうな」
兄様の手には既に短剣が握られており、私の手にも二丁拳銃が。
先手を取っても確率40%、勝てるかどうかわかりません。
「ま、たまにはアイツを見習おう」
「そうですね」
賢い選択を取らずに兄様は決断してしまいました。
兄様が先行して盗賊の一人に攻撃している間、私が銃弾を放ちます。
「な、何だお前らは!?」
「ギルドだよ」
銃弾の内一発は躱され、もう一発は被弾。
一人が気絶で後二人。
その二人はそれぞれ長剣を抜刀して私たちに向かってきます。
兄様よりもレベルが高い盗賊らしく、兄様は苦戦中です。
私の方も遠距離武器の為か接近されると命中率が下がります。
援護に向かえません。
「メイドのスキルは!?」
「あ」
兄様が鍔迫り合いになりながら私に向かって叫んできました。
そういえば私のスキルは今まで使ったことがありませんでした。
iPadで確認すればどうやら銃撃スキルらしいです。
ピンチなので早速使ってみます。
「乱れ撃ちを使います」
「ぐえっ」
「ぐえっ」
「え?まじで?・・・ぐえっでげす」
どうやら・・・連射スキルらしいですが味方も巻き込むらしいです。
三人共倒れふし、、、盗賊の袋からようやく這い出てきた子供が私を見て言いました。
「ひ、ひぃ・・・人殺しぃ!」
「・・・ちょっと話し合いましょう」
ちなみに弾は後でお話を聞くためにショック弾にしてあったので皆無事でした。
スキルは一回使ってみないと危険ですね・・・
【踊り子朝顔 神官あらふみ】
「指名手配の盗賊たちが裏ギルドに集められてるならその顔覚えて探してみようか」
「・・・はい」
あえてギルドに残り指名手配されてる盗賊たちの似顔絵をもらった私たちは街の要所を歩いてみた。
どうやら街の中でもう碌なイベントは起きないみたい。
どちらかというと踊り子に絡んで来る不良と戦闘する羽目になり経験値の足しにすることになっただけだ。
神官の職で集められる情報はないかと教会に戻ってみてもイベントは起きなかった。
「どうやらしばらく待たなきゃいけないみたいだね」
「そうですね」
移動回数が限界に達したので先に円卓に戻ったのだが、皆さんはまだ戻ってないようだった。
『アイツ』も・・・
「気になる?」
「・・・少し」
私が首を縦に振ると新聞さんはそうだよねと笑いかけてくれた。
「いくら嫌いとはいえ兄妹だもんね。大事だよね」
「そこまで大事に思ってないですよ?余計なことやらかしてないか心配なだけです。」
「そうかなあ?前に如峰月君に実姉モノのいけない本ばら撒かれて5か月ほど姉貴に避けられ続けてるけど、生理的に嫌いとかそういう嫌われ方はされてないよ?」
「本当にすいません!」
あの、馬鹿!
高校生にもなって人様の家に迷惑かけてるんじゃないわよ!
あんまりにも幼稚な兄貴の悪戯が恥ずかしくて顔を覆っていると、新聞さんが肩に手をポンと置いてきた。
「ま、僕は気にしてないから・・・」
「新聞さん、人間が出来過ぎです。もし同じことされてたら私だったら蹴り殺しますよ?」
「可愛い顔してるのにそれを真顔で言える朝顔ちゃんってやっぱり同じ血が流れてるね・・・」
「やめてください。これは育った環境のせいです」
「・・・へえ」
しょうがないじゃないですか
尊敬する人が同じで
護身術を教えてくれた人が同じで
済んでいる家が同じで
ずっと一緒にいたんだから・・・似るのは当たり前だ。
それなのに、、、兄貴は私に嘘ばかり。
ずっと・・・ずっと。
そんな奴をどうして好きになれるだろうか。
どうして兄だなんて思えるだろうか。
「まあ、、、如峰月君は確かに滅茶苦茶だけど・・・それでも良い奴だよ?」
「そうですか?何考えてるか分かんないし、今まで尊敬できるところを一度も見たことありません」
「本当に一度も?」
「フェッシングで全国いったときは凄いなと思いましたけど、、、結局女絡みで止めてしまうし」
「はは、、、如峰月君ってそういう所あるよね。自分の中で満足しちゃうとスパッと切っちゃうとこ」
「そうですよ人をあれだけ巻き込んどいて、、、伊月さんとかずっとあいつのこと・・・なのに可哀想でしょ(ぼそっ)」
「道理で伊月さんと仲良いと思ったら・・・そういうことなの?」
「っ!?・・・もうそろそろ小陽さん戻って来ますよ?」
「ひあっ!?・・・はあはあはあ」
「新聞さん?」
「はあはあはあ・・・もう朝顔ちゃん、趣味が悪いよ~」
新聞さんと小陽さんが仲が良いのは分かってたけど・・・どんな関係なんだろうか?
からかってきたのに対して『彼女さん見てますよ』と言うぐらいの仕返しのつもりだったのに・・・
新聞さんの膝は非常にガクガク震えていた。
兄の周りの人間はやっぱり変だ・・・そしてお節介な人たちばかりだ。
【騎士葵 暗殺者小陽 勇者楓 魔法使い優子】
「葵ちゃん、どう!?レベル上がった!?ゆうしゃっ!」
「え?」
「楓、今は聞いても分からないから」
「というか朝日奈さんレベルアップ経験者なんだし知ってるはずじゃ?」
「そうなんだ!ごめんね!」
私と小陽ちゃんはレベル上げを少しもしてなかったので一回目の戦いはパワーレベリングをして貰った。
戦闘特化の白凪さんと朝日奈さんのお蔭で本来なら勝てない相手と闘わせてもらった。
レベルアップなどの連絡は日終わりのミーティングにされるがおそらく大幅にレベルアップしていることだろう。
「じゃ、戦闘にも慣れただろうし本番行きますか」
「うん、そうだね!」
「はい」
「・・・・・」
「「伊月さん?」」
「葵ちゃん、、、体調悪い?」
「っあ!?ごめん、ぼうっとしていた!」
私が好きだったのは確かに如峰月桜だった。
あの夏の日のあの瞬間まで。
『彼』があの男の中に残っていたあの日まで。
「凶賊のシャンドル、、、四人がかりで勝率35%・・・レベルアップして次の日に出直した方がいいんじゃない?」
「駄目駄目、調査が遅れたら皆に迷惑かけちゃうよ!ゆうしゃっ!」
「死んだら回復役の新聞君に迷惑がかかると思いますけど・・・」
「さ、始めよう!ゆうしゃっ!」
ずっと頭をちらついていた銀の剣
細くて頼りない見た目だけど、、、私と彼にとっては大事なはずの剣
・・・なのにあの日から見えなくなった剣の幻影
見えないはずなのに、、、それの代わりに彼の姿が映る。
かっこよくなくだらしなくて
女性にやられて気絶させらるし
卑屈で根暗で驚くほどゲスなことを笑顔でする
そんな彼の姿が、、、気が付くと何故か脳裏に映る。
「『勇者の雷』!」
「『火炎弾』!」
「『毒斬り』!」
「・・・・・・・」
「「「・・・?」」」
「あ、ああ。『溜め斬り』」
それぞれ凶賊と戦闘してる最中もつい考え事にふけってしまう。
いや、今この状況だからこそ考えざるを得ない。
如峰月桜と口づけを交わした白凪優子。
如峰月桜が惚れている少女の朝日奈楓。
夏休みの合宿中、小陽ちゃんとはそれなりに話す機会があったから一緒に行動しても問題ない。
けども彼女達とこうして向かい合って話し合うのは・・・少し辛い。
苦しいし、お腹がぐるぐるするし。
でも、、、この気持ちは恋じゃない。
彼に恋してるはずがないんだから、、、私が好きなのはあくまであの時まで彼の中にいた『私の主人公』
なのに・・・なんでなんだ?
考えている最中も戦闘は進む。
小陽ちゃんが攻撃を受けそうになったから重装備の私が庇ったり
朝日奈さんや白凪さんと一緒に攻撃して
剣をいつも握ってる私と比べれば、覚悟も何もない彼女達
それなのに私より綺麗で・・・輝いていて
それが気になって気になって・・・私も彼女達みたいに綺麗だったら・・・
「またあの時みたいな彼を見れるのだろうか・・・」
剣を持つ彼でもなく
だらしない彼でもなく
私に今なら襲ってしまえるなと囁いてくれたあの時の彼は・・・口づけしてくれるのだろうか?
「あの時って?ゆうしゃっ!」
「・・・はっ!?」
駄目だ駄目だ駄目だ!
幾らゲームとはいえ戦いに集中出来てないとか言語道断だ!
何でもないと首を振り、集中する・・・朝日奈楓は可愛い。
女の私ですら、、、そう思う
もし私が彼女みたいに・・・・
【三日目終了時ミーティング】
「子分が出来たでげす」
「「「「「「・・・・・・・は?」」」」」」
「よろしくお願いします!」
ないわー
まさか子供攫ってくるとか
幾ら性格が『根暗で地味でゲス』だとしてもそれはないわー
「ねえ、、、いい加減死んでくれない?ふんふふん。」
「朝顔さん!そんなマジな感じで捉えないででゲス!」
ふくははは!
ごめん、ごめん冗談だよ!
どうやら特殊イベントに遭遇したみたいだね!
重要NPCになるから子役を雇ったんだよ!
どうだった?
「皆の普段俺に対して抱いてるイメージが大体分かったでゲス」
「・・・前科があるでしょ。ふんふふん。」
「皆さん?」
あ、ごめんね。
美晴ちゃんは台本通りにしゃべってくれればいいから。
「はい!」
「・・・TRPGとは思えないぐらい人使ってますね。あーめん」
美晴ちゃんは親が盗賊たちに××されたからギルドで保護することになった設定なんでよろしくね!
「古畑さん軽っ!?でげす」
「よろしくお願いします!」
「そして美晴ちゃん満面の笑みっ!?でげす」
ほらほら盗賊、、、皆ついていけてないし報告、報告。
「理不尽でゲス・・・」
「じゃあ、私が兄様の代わりに」
「・・・また兄様って(ぼそっ)」
じゃあ椿ちゃんが自分の人望の低さに落ち込んでる盗賊の代わりに説明を始める。
「何とかとしたのはいいんですが、盗賊たちはいつの間にか自決してました。その為に裏ギルドについての情報は得られなかったけど、お父さんに似てると兄様に懐いてきたこの子が気になることを」
「気になる?」
「ええ、、、盗賊たちが裏切り者・・・と言っていたそうです」
「うん、、、凄く怖い声でね!そういって・・・そしてお父さんとお母さんはうえっ・・うえええん!」
「「「「「「「「・・・(子役すげえ)」」」」」」」
おーい、続きは?
ちなみに泣きだしちゃった美晴ちゃんはギルドの職員に連れられてギルドの別室に
「連続誘拐犯の組織員だった可能性があるみたいです・・・そしてお父様が普段下働きとして働いている貿易会社の名前も教えていただきました。」
「外国への人身売買?」
「おそらく」
皆の表情がそれぞれ暗くなってる。
ま、こういう時こそ・・・
「で、凶賊の方はどうなってるでゲス?」
「あ、今も同じ場所か分かんないけど裏ギルドの場所教えてもらえたよ。ゆうしゃっ!」
「じゃ、ここからは四人組でいくでゲス。現状最強メンバーだろうから四人はそのまま裏ギルドをぶっ壊しに行ってほしいでゲス」
「わかったけど、、、そっちはどうするの?マジ」
「四人で貿易会社を探るでゲス。あ、騎士とメイドは交換した方がいいと思うでゲス。逃げ出したら黒だし、完全な戦闘特化メンバーでゲス。」
「・・・私はそれをいいって言ってないけど?ふんふふん。」
「聞かなくてもいいって顔に書いてあるよ・・・そんぐらいは分かる」
「・・・ちっ」
ごほん
「でげす」
よし、ある程度まとまったみたいだね。
じゃあ、四日目スタートだ。
【暗殺者小陽 勇者楓 魔法使い優子 メイド様椿】
暗い建物の一室
倒れ伏している多くの人間の呻き声が聞こえる。
立っている人間は僅か四人
「凶賊と比べるとあっけなかったね。ゆうしゃっ!」
「その代り数が多くて作業ゲーだったけどね。魔法まだ使えるかな・・・結構使っちゃった。」
「日光が当たらない場所だったせいか前の戦闘よりダメージ通りやすかったです」
「っていうか楓さんの戦闘力がすごいことになってませんでした?私だけだと思ってましたもん、連射出来るのは。ただでさえ強力な雷を連射とか意味分かんないです。」
「そうかなあ?ゆうしゃっ!」
凶賊との戦いによる経験値の差のせいか同じ戦闘よりの職のはずなのに楓さんとの差を感じます。
・・・・足元に転がる裏ギルドのボスに暗殺者の物理的交渉スキルを使います。
「やっぱり人身売買・・・・」
子供に対する需要が高まっているらしく、貿易会社から一手にその手の事業を引き受けたそうで
商品の斡旋から引き渡しまで一気に引き受けてると・・・
親玉から新たに引きだせたキースポットは二つ
現在新聞君たちが向かってるはずのオークション会場となっている貿易会社
攫った子供たちを監禁してるスラム街の倉庫
「・・・どうします?援軍に行きますか?」
オークション会場となっているなら護衛として裏ギルドの人間達がいるはず
戦闘職を殆どこっちに割いてしまってる彼らで大丈夫でしょうか?
優子さんは多分間に合わないと反対します。
「今から移動じゃ間に合わない・・・おそらく騎士を見た瞬間襲い掛かられてるはずだから」
「でも、、、戦闘職を殆どこっちに割いてるのに・・・」
「小陽ちゃん、大丈夫だよ!ゆうしゃっ!」
「そうですね、、、何とかなると思います」
なんの自信があるのか、、、楓さんと椿さんは子供たちの保護に行こうと提案してきます。
「何の根拠が?」
「今日はなんかいつもと違うから!ゆうしゃっ!」
「・・・感覚的すぎるでしょう」
多数決で三対一
・・・仕方ないので援軍はしませんが。
新聞君、、、大丈夫でしょうか?
【盗賊桜 騎士葵 踊り子朝顔 神官あらふみ】
レベルアップしたおかげか変装スキルの制限が少し解除された
盗賊から身ぐるみ剥いだことで目立つ三人の服装を盗賊に見せるようにさせることが出来た。
「じゃ、よろしくね。美晴ちゃん!」
「はい!よろしくお願いします!」
さっきまで泣いていたせいだろうか・・・その声は少しくぐもっている。
でも、、、今うちの最強メンバーがかたき討ちに行ってくれてるはずだ。
安心してほしい
「「「・・・・・・・・・」」」
「じゃ、行こうか」
「はい!」
「「「・・・・・・・・・」」」
「どうした、皆?元気ねえぞ?」
「如峰月・・・何でそうなる」
「え?なんか変か?」
身ぐるみをはぎながら皆が使えない盗賊専用の装備は俺がもらったせいか少し見た目は変わってる。
でも、寧ろ盗賊らしく見えるだろうがな?
伊月は手で顔を覆いながら俺の右手を指さしてくる
「違う、、、何故美晴ちゃんを袋詰めにして担いでいるんだっ!」
「よろしくお願いします!」
袋が挨拶しながらもごもごと動いた
「あ~ん?追加の商品?」
「はい、追加の子供です」
「聞いてねえぞ?」
「内密に運べとだけ言われたんですが・・・」
「・・・ヤバいのか?」
「さあ?ただ持って行けとだけ言われたんで。なにゆえ新人ですから」
「分かった、、、入ってるのも普通の子供みたいだが商品は商品。『商品部屋』は入って右側の通路。そのまままっすぐの奥の部屋へ行け」
「どもっす」
表向きは諸外国へ特産品を輸出する貿易企業
しかしその門を守る人間は盗賊の直感で裏の人間と分かった。
・・・キナ臭い。
伊月が変装してなかったらおそらく逃げているぐらいキナ臭いし後ろ暗そうだ。
まあ、どうやら俺の方がレベルが高いお蔭か変装と交渉は上手くいった。
「さて、、、探索を始めようか」
「よろしくお願いします!」
「・・・その前に美晴ちゃんを袋から出せ」
「お、そうな」
袋の口を解くと、もごもごと動いた後にひょこっと美晴ちゃんが出てきた。
「ふはあ!まさか一日で二度も袋に入るとは思いませんでした!」
「ごめんね?他の方法思いつかなくてさ」
「いえ、仕事なので!」
「「「「・・・(子役すげえ)・・・」」」」
取り敢えずこれ以上巻き込むのは危険だろう。
美晴ちゃんを取り敢えず安全そうな部屋に入れ、強引に外からこじ開けられないように盗賊の罠を設置した。
これで俺達が迎えに来るまでは安全だろう。
「取り敢えず子供たちの確保、、、そして大元のオークション管理者を逮捕・・・か」
「そうだね」
「後、戦闘は俺と朝顔さんが前衛。経験値で防御力・攻撃力が上がった伊月が中衛。新聞君が決め技ってとこか」
「私はそれでいいと思う」
「・・・伊月さんに同じ」
新聞君は笑顔
伊月はどうしてお前はそうなんだとぐちぐち言いながらも首肯
一番文句言いそうな朝顔も伊月が賛成したせいかそれでいいと首を縦に振った。
「んじゃ、やってきましょか」
子供たちの開放、及び子供たちの監視共の始末はあっさり片付いた。
どうやら子供たちの大半は既に売約済み倉庫に移されていたせいか警戒が緩かった。
道理で俺よりレベルが低いはずだ・・・
さあ次は頭つぶしだと貿易会社社長室に入る。
そこにいたのは・・・
「酒場にいたやつだ・・・」
酒場にいた明らかに裏の世界の住人
そいつが一人で立っていた。
「お前らか・・・まさかここを嗅ぎ当てるとはな」
「気をつけて、、、勝率10%だ」
「それって無理ってことじゃね?」
男は片手に拳銃、もう片手に片手剣を構える。
・・・どうやらボスらしい
しかも逃がしてくれそうにはない。
「まあ、始末すればいいだけだ」
「逃走スキルをしようする!」
「盗賊に盗賊スキルが効くか!」
「!?」
脚に銃弾が撃ち込まれたようでスキルの発動を妨害される。
当然俺だけを置いていけるはずもなく他の皆も逃げられない。
「神の奇
「今は回復よりも攻撃を!」
「あ、うん!神の奇跡!」
神の威光が突き刺さる、、、しかし男は倒れない。
動きが鈍ってる俺に向かい、迫る刃。
「庇うを使用する!」
「すまん!」
伊月が隠し持ってた小盾で防ぐことで何とか生き延びた。
けど、、、どうやらスキルが含まれてたようで伊月は痺れて動けなくなる。
「死ね「「ハアッ!」」・・・ちいっ」
とどめを刺そうと振り降ろされかけた斬撃を繰り出す前にと俺の斬りつけと朝顔の蹴り。
男は喰らうまいとしてか、バックステップで距離を取り直した。
いったん引いた隙に陣形を立て直す。
「多分あいつのあの剣、、、変な効果がついてる」
「神の奇跡発動・・・後一回だ」
新聞君の治療を俺の時に使わせなくて良かった・・・お蔭で伊月は再び立ち上がれた。
「鑑定スキル持ちがいないから分からんが、、、あの剣は受けちゃ駄目だ」
「・・・となると遠距離攻撃か?」
新聞君の神の奇跡をぶち当てれば何とか・・・だが一発喰らわせて倒れるとは思えない。
しょうがない、、、
「朝顔、、、踊ってくれないか?」
「いいけど・・・何の踊り?」
「少しでもアイツの耐久力を下げてくれ」
朝顔は分かったと言いつつも眉をひそめる。
嫌いな奴にお願いされても突っ撥ねってくると思ったが・・・反応が予想外だったのでつい笑ってしまう。
「ふははは!」
「な、なによ・・・」
「いやごめんごめん。ついな」
「・・・まあ、いいけど」
朝顔が踊り始める。
その踊りを中断させようとする銃弾を伊月が防ぎ、ならば刃と迫ってくる足元に罠を。
「男なら真面目に戦わんか!」
「性格は『根暗で地味でゲス』なんだよ!ペナルティになりそうな行動はごめんだ!」
焦る男が急にしゃがみ込む。
新聞君が近くの椅子やら何やらをブンブン手当たり次第に投げていた。
ダメージにはならない当たらないんだから・・・それでもうっとおしさは感じるんだろう。
「これぐらいなら、、、僕にだって!」
「こしゃくな・・・」
それだけやっても銃弾は確実に盾を削る
逸れた弾が神官に被弾する
刃が届くギリギリの場所で罠をしかける盗賊はさらにダメージを喰らう
「これで終わりだっ!盗賊の恥さらしがっ!」
「くそっ!?・・・・・・・・・?」
「な、、、なにぃ?」
男の体がみるみる痩せ細っていく。
神の威光すら跳ね除ける鋼の身体は茶色に朽ち、だるだるに・・・
足腰も弱くなっているようで・・・動きも明らかに鈍く
「老化の踊り・・・完成」
時間をかけたかいがあったようだ・・・耐久力どころか回避力まで落ちている。
これならそれぞれ威力重視の大技を叩きこめる
既にHPが赤に近づきかけていた盗賊はにやりと笑い、手にもつ短剣を大きく振りかぶる
「『全力投擲』」
「『神の奇跡』」
「『飛び膝蹴り』」
「『大溜め突き』」
それぞれ最大の技を叩きこみ・・・何とか気絶に追いやった。
【四日目終了時ミーティング】
「死ぬとこだった・・・」
「神の奇跡初めて使い切ったよ」
「朝顔ちゃんのお蔭だ」
「そ、そうですか?」
俺達四人がボスを連れて出ていけば皆投降した。
ギルドの応援にボスとか誘拐された子供たちを引き渡し俺達は円卓へと戻る。
既に誘拐事件の大元のボスは倒したしあいつらが売約済みの子供たちを取り返せばゲーム終了。
苦労したかいがあったもんだぜ・・・やっとこさ終わりだ。
戦利品の盗賊専用っぽい片手剣を使う機会がないことが残念だが。
「・・・どうした?」
円卓につくと先に帰ってきていた四人が暗い顔をしていた。
勝利の余韻に浸っていた俺達の熱がサッと冷める。
朝日奈さんがごめんねと言いだす・・・おいおいちょっと待ってくれ。
くらくら頭がする中、彼女はこう言ってきた。
「売約済みの子供たちの倉庫に向かったんだけど、、、既に引き渡し済みだった」
「・・・・・・・引き渡し先は?」
「兄様、、、落ち着いて聞いてください」
「・・・ああ」
「運よく引渡し前に保護できた子供の証言によると・・・全員首に逆十字のネックレスをしていたそうです」
「逆十字?」
宗教か?
そういえば新聞君も神官だが・・・
「光教の教会にあったシンボルはもっと複雑だった」
新聞君は自分の服につけてあったワッペンを見せてくる。
・・・・確かに逆十字には見えそうにない
「サービスで教えてあげるよ」
神の声が降り注ぐ。
その声はどこか含み笑いをしていた・・・まるで『これで終わりかと思ってたんだろう、、、あたってしまったかナァッー!?』みたいな雰囲気
「逆十字をシンボルにするのはこの世界では邪教徒だけだ」
TRPGはまだ終わりそうにない
次回から第5章!




