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第3章『侵入』part2

いつもより字数多いですノシ

ぼっちだ。

俺はなんか虚しくなって、屋根の上を黒雲で探りながら涙目になっていた。

下で皆がガチャガチャやってるのに何も起きないからどうやら愛人も使用人も家にいないんじゃないだろうか?


「となると屋敷を『曇震伝波≪ドンシン・クロッシング≫』で崩壊させて、無事な魔道具だけかっぱらったほうが良かったか?いや、弁償額が半端ないか。それにあれは『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』使わなきゃいけねえしなあ・・・あの興奮状態で魔術使ったら余計なモンまで壊しそうだ。」


空巣という迷惑を無関係の人に課すんだから、それ以上の迷惑をかけていいわけがない。

壊すとかは出来るだけ最小限にしよう。

それにあのミルが造った魔道具壊しちまったら、しがない上級冒険者に弁償出来るとは到底思えない

そんなこと考えてるとドガンと大きな粉砕音が下から聞こえた。

・・・確か、コウが入るとか言ってた付近の場所だ。


「でっけえ音、、、爆弾でも使ったのか?」


あんなに激しく暴れられたら通行人とかにに通報されるぞ。

ミルは随分な人嫌いの為か近所に人気はないけれど、少しは考えろよな

・・・いや、コウの経験上ここは大暴れして良いってことか?

しっちゃかめっちゃかに壊していいと?

決行前にあれだけ『俺にだけ』慎重に静かに呼吸すら慎重にとか言ってたくせにどんな変わりようだ?


「じゃあ、屋根壊して穴開けて二階に降りようかな」


屋根に降り立って見たものの特に侵入しやすそうな場所は見られない。

バルコニーとかは一番侵入しやすい場所だから警戒されそうだし

だったら、、、ここに人一人通れる穴開けちまおう。

『葉擦れ』を引き抜き左手の篭手に導かれるまま振り降ろす


「『曇の魔術』は破壊に大きな音たてちまうからな、、、『龍の剣術―細切』」


斬って斬って斬り刻んで

自分の体では出来ない動きを篭手が勝手に動かす。

『葉擦れ』を納めるやいなや、屋根の一部が小さな石にまで細切れにされパラパラと二階の床に落ちる。

そうして創られた穴から中に飛び下りる。

顔を上げ視界に飛び込んできたのは壁も石、床も石畳の大部屋だった。


「・・・なんだここ?」


殺風景すぎる部屋だった。

てか、そこに置いてある物々達が問題だった。

魔道具が置いてあった。

ただそのほとんどが『壊れて』いた。


「んだこりゃ・・・」


床に置いてある魔道具を取ってみる。

見たこともない形の魔道具だったが、これが使いもんにならないことだけは分かる。

ただ、、、失敗作が集められたというよりは完成品が壊れされたようにも見える・・・

・・・?

壊れた魔道具たちの中に見知ったものを見つけた。


「これは、庭の魔道具犬じゃねえか」


近くに寄って見てみると、何か大きな力で乱暴に引き裂かれたのか酷い傷跡があった。


「・・・どうなってんだ?『曇感知≪サーチ≫』」


黒雲を広げて部屋中を探る。

黒雲で辺りを探ってみれば案の定、あっちこっちに『自律人形≪ゴーレム≫』がいた。

但しそれは皆壊れていた。

それも皆同じような壊れ方を・・・ん?

魔道具たちの中に壊れてない魔道具が?


どうやら人型の『自律人形≪ゴーレム≫』だ。

腰には剣を構えるだけではなく、右手には大斧、左腕には巨大な銃口が取り付けられている。

また、ミルの趣味だろうか?

頭にあたる部品は人間の頭蓋骨をかたどっており、鎧のあちこちに髑髏の文様が描かれている。

しかも腰にはこの『自律人形≪ゴーレム≫』と同じ形の腕や足が何本も吊り下げられている。

完全武装の蛮族みたいな奴だな・・・センスわりぃな。

型番番号らしきものが金属板として埋め込まれてる

・・・『戦争用キラーゴーレム実験体七代目ミルチューン』?


『曇感知≪サーチ≫』は音まで拾える疑似暴走魔力を核に創られた黒雲

その雲がその『自律人形≪ゴーレム≫』が出す音を拾った。

どこかくぐもった機械音だから聞き取り意味を理解するのに時間が掛かった。


「マリョ・・クヲ・・・カンチ。ジッケンヲ・・サ・・・イカ・・イシ・・マス。」

「実験?」


『自律人形≪ゴーレム≫』達の残骸が吹っ飛ぶ。

そして黒雲を貫きながら奔る熱閃


「っ!?『曇の壁≪ウォール≫』!!」


黒雲を一気に集め凝縮し目の前に壁として張り出す。

そこに突き刺さる熱閃

ガリガリ音がして、、、違和感。

そして雲の壁を、、、貫きやがった。

おいおい苦手な防御術式とはいえ、疑似暴走魔力を込めた壁だぞ!?


「ちっ、『弾き飛ばせ』!」


腰から鞘ごと引き抜き構える。

そこに飛び込んで来る熱閃と魔道具による斥力・・・これは詠唱級並じゃないか!?

それなりの魔力を込めてるのに弾けない!


「くっそお・・・・これ以上魔力を込めたら・・・ぎぎぃ・・・『常識外』がパンクする・・・」


今まで考えたこともなかった『常識外』の限界。

ミルの『自律人形≪ゴーレム≫』はそれを俺に初めて感じさせた。

このままじゃ『常識外』がもたない!

身体を低くし受け流し気味に逸らすことで何とか熱閃を避けた。


「モクヒョウノセイゾンヲカクニン。ヒキツヅキホウゲキニハイル。」

「連射!?」


黒雲を掻き分けて出てきたキラーゴーレムは銃口を再び俺に向けて来る。

詠唱級以上の攻撃をそう何度も受け流せねえぞ!?

熱が籠ってオーバーヒートしかけな『常識外』から葉擦れを引き抜き構える。


「『龍の剣術―飛閃』!」

「ダイニシャ、ハッシャ」


斬龍の刀技をなぞって放たれる空気を割って飛んでいく斬閃

一方溜められた高圧魔力の砲撃

飛ぶ斬閃は熱閃をかき分け進むが段々勢いは弱まっていく。


「ちいっ、やっぱり細剣じゃ斬龍の剣技は再現しきれない!」


突きを基本とする細剣では、繊細な斬撃を基本とする斬龍の刀術は使いこなせない。

刀があればいいのだが、並の刀では斬龍の刀術に耐えられず折れてしまう。

『葉擦れ』だけがようやく不完全ながらも斬龍の刀術に耐えきれるのだった。


「せめて100パー出せりゃ、斬り消せるのに!」


キラーゴーレムの熱放射が遂に飛刃を打消し、迫ってくる。


「オオラさん!壊れたらごめん!『全力で弾け』!『龍の剣術―受け流し』!」


危険な賭けだが『常識外』を前に『葉擦れ』を後ろに構え全力の魔力を充填していく。

雲の壁は張るだけ無駄だし、『曇の支配権奪取≪ハッキング≫』じゃ間に合わない!

コイツでしのぐしかない!

構えた剣と鞘の交差点にとてつもない重圧がかかる。


「ぐっ・・・・・」


サニアの詠唱級魔術ですら考えられない衝撃に涙目になる。

『内在型身体強化』を掛けてるのに押し流されそうな衝撃、それを受け止めるのにはオーバーヒートしている『常識外』ではあまりにも酷だった。

バキリと俺の命を何度も救ってくれた『常識外』にヒビが奔りきり・・・あっけなく砕け散る

なのに、熱閃は止まらない。

流石に一本物の『葉擦れ』までは壊れないが・・・魔力を奔らせてなければどうなってたか。


「あと少しもってくれよ・・・『曇靭紐≪クラウド・ワイヤー≫』!」


地面を走らせた黒雲が縒って繕われ強靭な糸たちに

それがキラーゴーレムの銃口に幾重にも巻き付き銃口を逸らす。

それによりかかる力が少しずれたから、『葉擦れ』を盾に一気に熱閃の中を突き進む。

飛び散る圧縮魔力によって若干切り傷を負いながら黒雲を練っていた右腕を銃口に向ける。


「こっちも一点物の魔道具壊されたんだ、そっちのも壊れてもらおうか!『曇の一撃≪ショット≫』×メガ盛り!!!」


雲の槍が右手から飛び出していき、熱閃の外側を伝い熱閃の放出口へ

銃口を外側から攻撃していく。

圧縮魔力の方向性を定めるための銃口が破壊されれば結果はすぐに分かる。

方向性を失くした熱閃は俺の方には向かわない、キラーゴーレムを巻き込んだただの暴発になった。


「はあ、、、はあ、、、どうだ?」

「ピガ、、、、ピガガガガ、、、『px-バズーカ』ノハソンヲカクニン、、、キンセツモード二イコウシマス」

「・・・マジ?」


腕を拘束していたシノンでさえ簡単に斬り解けなかった黒雲の糸をあっさり大斧で断ち切ると、キラーゴーレムは腰にぶら下がってたスペアの腕を暴発によって殆ど壊れていた自分の腕につける。

そして剣を抜くや否や俺へと突っ込んできた。


「なんなんだよ、ちくしょう!」


頭部の髑髏が殆ど欠けてたり、体全体が煤だらけだったりとダメージは少しはあるみたいだけど全然動きが衰えてないようだ!

ミルは一体、こんな化け物みたいな不死身『自律人形≪ゴーレム≫』を作ってどうするつもりだ!?

まともに打ち合うのが怖いため空に飛び上る。


「って、マジかよ!?」


そしたら腰にぶら下がるスペアの腕や足を放り上げてきた。

剣で叩き落とそうとしたら、『葉擦れ』を避けて俺の体にぶち当たってくる。

スペアの腕や足は、、、自律して攻撃してくるのか!?

空中でバランスを崩した俺に向け更にキラーゴーレムはスペアの腕・足を投げて仕留めようと・・・


「ふざけんな!『動く曇道≪オート・ステップ≫』!」


真上に創り出した雲の道に腕を突っ込み、そのまま道に引っ張ってもらう。

流石にそこまで追っては来れないのか俺が雲のレールを伝って再び地面に降り立つまでついてくる腕脚はいなかった。

スペアの腕脚を失っても、メイン武装の大斧と剣は無事。

しかもスペアがあるということは腕や足を攻撃してもダメってことだろう。


「しかもあの動き・・・まるで上級冒険者と闘ってるみたいだ」


それも聖十剣並の戦闘力・・・

大斧や剣を構える様子は一分の隙も見えない。

桜の剣術も斬龍の剣術も完全に使いこなせてない俺ではちょっと荷が重い・・・せめて『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』使えりゃなあ

人手が欲しい・・・

桜には協力いらないって言っちまったし、それを覆すのは主人公的にどうかと思うし。


「しゃあねえ、、、魔力の残量気にしてらんねえな・・・」


ツバキがいない現状で使える最大魔術『壊れるまで叩きつけられる曇神の破城槌≪エンドレス・ハマー≫』

・・・やっぱり名前長すぎ

こいつを中心部に叩きこむしかねえだろう

けど、、、こいつは術の準備が結構かかる。

どうにかして動き封じてからだな


「『内在型身体強化』!」


身体の内側の魔力循環を強化していき、懐に飛び込みまずは足にぶち込もうと迫る。

けども相手の剣に阻まれ、その隙に大斧が脳天に迫る。

体をキラーゴーレムを軸に360度反転させ、大斧を避けながら背後に回りこみ今度は斬龍の剣技をなぞりながら斬りこむ。

・・・ごー・れむっ!?


刃が背中に沈み込もうとした瞬間、勝手に肉が掻き分けていき『葉擦れ』がなぞったのは創られた空間。

くっそ、この変な避け方ホントにうざい!

キラーゴーレムの背中から股下まですり抜けさせられた『葉擦れ』は大斧によって地面に縫いとめられる。


「もう、お前嫌いだッ!」


ミスをした

『葉擦れ』を引き抜こうと粘ってしまった。

俺の武器はあくまで『曇の魔術』なんだから放っておいてもいいのに、つい取り返そうとしてしまったほんの一瞬。

剣を持つ腕が人間では有り得ない方向にねじ曲がり俺を切り裂こうと迫っていた。

しまったあ!?

そして剣は俺の眼前いっぱいに広がり・・・


―――――――――――――サクラ=レイディウス 意識不明の重体により『リタイア


「してたまるかぁ!!!」


右腕で何とか探り当てたのは魔法玉ポーチ

黒玉をむんずと掴み出し体の負担を無視して右足にぶつける

そして一時的に『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』に準じる筋力を得た脚を剣の腹にぶち当てる。

想定外の力だったのかキラーゴーレムの腕ごと剣が弾き飛んだ。


「いつまでも抑えてんじゃねえ!『龍の剣術―迫』!」


そして『葉擦れ』の刀身から発せられる迫が大斧を弾き飛ばす。

剣の動きの自由を取り戻した瞬間、引き抜き、構え、もう片方の腕を斬ろうと腕を切り離す斬線を描く。

しかしまたもや斬られる前に掻き別れていき、斬線は虚空の中に


「それは見飽きた!」

「・・・・・・イジョウナネツゲンヲカクニン!イジョウナスイブンヲカクニン!」


剣が通り抜ける前に赤玉と青玉を仕込んでやったわ!

腕と中央部の境目から火が飛び出し、水が溢れる。

そしてバグが起きたのか腕が勝手にパージしていく。


「ウデノゼンソンヲカクニン!スベテノ、、、、エネルギーヲチュウシン二、、、、」

「最後は胸からバズーカか、テンプレだなあ!でも、振り向けたらの話だがな!」


『曇の沼≪プール≫』


キラーゴーレムは両腕を失いただでさえバランスを崩していた所を、足まで粘る黒雲で拘束され倒れ伏す。


「アシバ二イジョウヲカンチ!カンチ!、、、、『px-バズーカsizeL』ハ、ハッシャフカ!フカ!」


雲の沼でジタバタもがくキラーゴーレムを見下ろしながら念には念をと、とどめの術式を練る。

妨害するものがいないのだから後は簡単だった。


「はあ、、、はあ、、、、『壊れるまで叩きつけられる曇神の破城槌≪エンドレス・ハマー≫』」







「ピガ、、、、ピガガガガ、、、、システム、、、シャット、、、、、」


ボフンと壁に埋め込まれた髑髏の残骸から煙が噴き出した。

それを見送る俺はといえば半ば魔道具達の成れの果ての中に寝転びながら息を荒げていた。


「はあ、、、、はあ、、、、少し休まないと」


名前長い例のアレは今の俺の魔力の大体四分の一くらいを一気にもってっちまう、いわゆる最終手段である。

ゆっくりと四分の一消費するのと比べると一気に四分の一持ってかれるのでは精神的な疲れが段違いだ。

ちなみにシノンが『獄炎魔術』を使ってぜいぜい息を荒げていたのも一気に魔力を消費したせいだ・・・今の俺みたいに一気に魔力を消費するのは健康に悪い。


「くそ、、、レベルアップしたとはいえ流石に魔力が、、、」


最後の例のアレ+それまでに使った魔力で、、、計算するのもうんざりするほどの魔力を使ってしまった。

それにあんまりにもミル作の『戦争用キラーゴーレム実験体七代目ミルチューン』は頑丈だから結構念入りにとどめを刺さねばならず追加術式も使わなきゃいけなかった。

そのせいで物凄く大きな音をたてちまったし・・・もしかしたら外にも聞こえたかもしれない。

コウが立てた音のうん十倍も大きな音を・・・出してしまった。

反省している


「ま、気にしてられねえか・・・」


桜につないでもらってる唯一の繋がりである魔力バイパスから一気に魔力をもらったことで全回復した俺はよっと立ち上がった。

出口らしき扉は一つしかないみたいなのでさっさと出ちまおう。


「たく、、、どんな奴があんな化け物ゴーレムを作ったのやら」


その時、扉から光が漏れ出した・・・まさか中に誰か入ってくる!?

急いで周囲の黒雲を消して『自律人形≪ゴーレム≫』達の亡骸の山に飛び込んだ。

それとほぼ同時に扉が開き中に人が入ってくる。


「相打ちか?実験中止の合図が来たから来てみれば・・・何があったんだ?実験場がボロボロなのは『px-バズーカsizeL』が暴発したか?」


・・・あれがミルか?

『自律人形≪ゴーレム≫』達の山の中に身を潜めながらこっそり入って来た人物を伺う。


使用人や愛人には見えない・・・てか、何でここにいる?

白衣のエルフだった。

工具油かなんかの液体が所々に飛び散ってるからもしかしたら魔道具の作成中だったのかも。


見た目は俺と同じくらいだが、エルフは成人の年を超えると、龍同様体の老化が一気に遅くなるし年齢は分からない。

ただ眼元は寝不足なのか大きな隈が出来ており、首には髑髏のマークがプリントされた耳当てが掛けられていた。

男のくせに腰まで長い長髪は誰かに結んでもらっているのか所々に三つ編みが作られていた。

エルフは基本的に美形が多いのにいろいろ積み重なって残念になっている、、、三つ編みをした人の苦労が偲ばれる。


「キラーが相打ち・・・しかも最終兵器は暴発して自分ごと壁に埋め込んだ・・・ってとこか?これじゃあ、、、、駄目か。はあ、、、、」


ごめん、俺がやりました。

かなり期待していたのだろうか・・・実験が失敗したことを本気でミルは嘆いているようだ。

溜め息のつき方がかなり絶望的なため息のつき方をしている・・・間違いなく俺がいなかったら成功なはずだったろう。

ミルは頭部が粉々で戦闘データもとれやしないとため息をつくと実験場を出ていった。


「・・・ふう」


山の中からモゾモゾと出る。

どうやらここは兵器の実験室だったらしい。

魔道具の耳当てを首にかけてたし実験が不慮の事態で中止するまでは作業に集中したいから外部の物音は聞こえないようにしてたのか?

ミルの職人魂のお蔭で助かった・・・

薄くほぼ透明な雲を扉から漏らし、ミルがどこに行くかを追っていく。

どうやらミルは完全な生産職らしく俺の雲に全く気付いてないらしい。


「もしかしたら、、、魔道具の作成場か魔道具の保管庫に行くかも」


扉を『曇の支配権奪取≪ハッキング≫』でこじ開け、足音を殺してミルの後をついていく。

『常識外』がぶっ壊れたんだ・・・このまま帰ったら大赤字だ。

なんとしてでも元を取り返そうと彼の後を抜き足、差し足、スネークなう。

屋敷の中はミルの足音だけが響く。


俺が入る前は結構コウとかが起こしたっぽい物音が酷かったけど、今は少しも音がしない・・・どういうことだ?

あいつらいったいどうしてるんだろう?

ミルは実験場から数隣の部屋の前に立つと、しきりに辺りを見回しながら中に入った。

・・・隣の部屋から物音だけでも聞けねえかな?


出来るだけ物音を消しながらミルが入った隣の部屋に入る。

どうやらここは衣裳部屋のようだ。

女物の服しかないから愛人の為の部屋か?

お洒落なのか、趣味が悪いのか、もしくは適当に買ったのか、、、服は個性的なものやハデハデしいものやボーイッシュなものや可愛い系と種類が全然定まってなかった。


「・・・?」


服のサイズが少し小さいな。

今はもう懐かしいサニアや朝顔さんの服よりワンサイズ小さいくらいのサイズじゃね?

ミル、、、まさか年下を愛人として囲ってんのか・・・あんな顔してやるなあ。


「ミル、おめえ・・・なんか、ちょっぴりカッコイイじゃあねーかよ…」


大体小学校高学年から中学校くらいの女の子が好みなのか・・・

俺は主人公なので幼女趣味なんて酷い言い方で彼を評価しない、、、自分もそう呼ばれる恐れが出るかもしれないから(笑)

精々『同胞』や『はらから』または『性豪』又は『兄貴』又は『先輩になるかもしれない』とかぐらいか

まあ、なろう主人公は殆どがペドフィリアだし・・・主人公として自分だけ良くて相手が駄目だとか言えねえなあ。

あの龍人一のヤンチャ侍も言っていた『ロリでも合意の上なら問題なし。合法ロリならさらに問題なし!』とか・・・うん。


「取り敢えず今後は『ミルの兄貴』と呼ばせてもらおう」


使用人が一人しかいないのは俺みたいに『理解のある』『常識人』が少ないからだろう。

男性だと何か心配だし、女性だと多分虫を見るような目で見られる。

もしかしたらその使用人の目が辛くて滅多に王宮から帰って来ないのか?

・・・あにきぃ!


「バカなこと考えてないで、盗聴、盗聴・・・っと」


黒雲は流石に部屋の中には入れられないだろうから壁を黒雲で少し削り一部だけ薄くする。

そこに耳を押し当てれば・・・やりい!

隣の部屋の物音が良く聞こえる。

どうやら窓を開けているようだ・・・風が部屋に入る音がする。

ミルの兄貴は何か確認してるのかなんか言ってるな。

もっと耳を澄ませねえと・・・


「屋敷の罠が作動してる・・・耳当てしてたせいか気付かなかった。食堂と、、、魔道具倉庫地下か」


魔道具一階かよ!?

てか、罠が作動って・・・

あいつら俺みたいに罠に引っかかったのか?

シノンは特に疲れてたみたいだし、トツカは戦闘能力が一般人程度だ。

大丈夫かな?


「他の罠は作動してないみたいだし、牢屋に人が入った履歴はなし・・・誤作動か撤退したか・・・最近メンテさぼってたし誤作動か?」


・・・連絡を取ろうにもそういう系の魔道具はない。

こういう時は桜に連絡を取ってもらったりするんだがな・・・今日は無理だ。

まあ牢屋に入ってないってことは、何とか切り抜けたんだろう。

気絶さえしてなければ自分の判断で撤退するだろうし


「・・・エマは上手くやってるといいが」


机に板でも投げ捨てたのかコンと何かが落ちる音がする。

そしてミルの兄貴はぼすっとソファに座り込んだ。

・・・?

外から騒がしい音がする。

衣裳部屋の窓から外を覗くと例の魔道具犬が大量発生していた。

・・・俺達以外にも侵入者が?


『内在型身体強化』で強化した視力で庭を探ってみると魔道具犬に全身ガブガブされながらも平気な顔でズンズン進む男がいた。

・・・魔族か!?

筋骨隆々の大男の腕は六本。

恐らく『牛鬼』の魂を取り込んだ魔族だろう。

頭部からはごまかしようのない程立派な大角が生えていた。


『牛鬼』の魔族はずるずるとまるでいないかのように、かみかみしている魔道具犬達を引きずりながらあっさりと屋敷の前に立つ。

外から見えないようにかがみながら伺っていると彼はぶるんと体を震わせた。

・・・ぞくっ

魔族特有の膨大な魔力を惜しみもなく使い、体から魔道具犬達を弾き飛ばすと彼はひょいっと跳んだ。

一瞬こっちに跳んで来るのかとビクッとしたがどうやらミルがいる部屋に入ったらしい。

急いで盗聴スペースに戻る。


「前に言っただろう、ここに入る前には必ず渡したはずの『匂い札』を持ち歩けと」

「そうであったか?まあ、大した力が無いから脅威に感じなかったのであろう」

「一応中級の魔物と同じくらいの強さを持つんだがな・・・」

「中級か・・・吾輩の持つ魂は『牛鬼』。『牛鬼』はオーガを主食とする上級の魔物・・・話にならんよ」

「魔族が王国の王都に来るなんてこと一々想定してたら、国家予算級の防衛費が必要だ」

「はっはっは!それもそうであるな!」


・・・どうやら魔族とミルは人には知られたくない関係らしい。

道理で王宮にいるはずのミルが屋敷にいるはずだ。

魔族の男は大笑いすると、ミルの兄貴同様ソファに座ったようだ。


「さて、、、そろそろ腹は決まったか?」

「・・・」


まさか、、、『サキュバス』の魂を持つ魔族インモラルのように魔国への勧誘か?

インモラルだけかと思ったらどれだけ多くの戦力を割いてるんだ!?

かつての龍人の郷での戦いを思い出す。


あん時魔国の送り込んできた魔喰龍に翻弄され

大事な人から託されたソーラ

影龍や圧龍

そして『葉擦れ』の作成主オオラ

をいつの間にか奪われた


・・・あいつら今度は王国を狙ってんのか?

インモラルももしかしたらどこかで暗躍してるかもしれない。

桜が聞いてなくてよかった・・・俺以上にあいつは魔国に対して敵意を持ってるからな

朝日奈楓とそっくりな彼女ソーラのこととなると、あいつはいろいろ熱くなりすぎる。


「あの娘の代わりは出来そうか?」

「・・・キラーは失敗だった」

「なら、、、あの娘は死ぬしかないか」

「・・・っ!?」

「どうするつもりか?」

「・・・新型を開発中だ」

「性能は?それ程上がりはせぬであろう?」

「・・・・・・・ああ」


・・・何の話かは分からないがあん時のキラーゴーレムが失敗したせいで厄介なことになってるらしい。

魔国に都合よくて、ミルに都合の悪い展開?

キラーゴーレムの完成次第とか言ってたし、愛人を魔国が人質に取ってるわけではなさそうだが。


「これはアンリ様が記した溜魔石を使わない新しいシステムである。」

「・・・そんなの無理だ」

「お主がそう言ったらアンリ様はこう言えとおっしゃられた『六代目ミル考案の高速増殖炉式を思い出せ』と」

「!?・・・それは師匠と俺しか知らないはず。アンリとは何者だ?」

「顔色が変わったであるな・・・我には分からぬ。アンリ様は何故か知っておるのだ。人の秘密や人の未来を。まるで本人たちから聞いて、本人たちの未来を見てきたかのように」

「・・・・・・・・・未来でも見えるのか?」

「もしかしたら・・・な。お主がこの書を読んであの娘を救う未来を見てきたのかもしれんな」

「・・・見せてくれ」

「お主が魔国に忠誠を誓うと示さぬ限り『商業7条』が掛けてあるから開けん。」

「見もしないのに信頼できるか!」

「ではこのままお主の大切な者を差し出すか?」

「・・・・・・・少し考えさせてくれ、王国を裏切るのは師匠に申し訳がたたない。」

「師匠に申し訳がたたない・・・でござるか。まあ、、、無駄な考察であろうが」

「・・・どういう意味だ?」

「今はまだ教えるつもりはないでござる。」

「おい!師匠について何か知ってるのか!」

「今は言えないでござるよ。」

「なぜ!?」

「盗聴されてるからでござる。」


!?


本能に従い全力で横に転がる僅か半瞬のこと

壁が破砕音を伴いながら砕け散る

筋骨隆々な大男がのしりのしりと衣裳部屋に穴から入ってくる。

素性がばれるのはまずい!!

手近にあった服を掴み顔と髪をターバン風に巻きつけ隠す。


「おい!そこはミミの衣裳部屋だ!暴れるなら外に出ろ!」

「だそうである・・・ここではそなたも暴れにくかろう、赤タイツ君?」

「・・・・・・・・・」


ミルの兄貴が抗議したため『牛鬼』はついて来いと窓に向けジェスチャーする。

・・・外に出ろってか?

仕方がねえと魔族の後をついて窓から下に飛び降りる。

すると知らない匂いがまた現れたと周囲を魔道具犬が囲みだす。


「おい、ビグラス!余り物音が大きすぎると王国の連中が不信に思う!暴れすぎるなよ!」

「分かったのである!」

「そこのミミのタイツを被った変態は半殺しにして牢に放り込んでくれれば後はこっちで処理する!」

「・・・変態?」


よく感触を味わってみれば・・・滑らかな感触と甘い香り

これ、、、タイツじゃないですか!

やっべえ、、、魔道具盗みに来たのにタイツ盗んじゃったよ!?

シノンにドヤされるっ!

取り敢えずミルの兄貴が俺をめっちゃ怖い目で見て来るしどうしよ・・・取り敢えず話してみるか?


「やだなあミルの兄貴ぃ、変態だなんて!俺達同じ穴のむじなでしょう!?」

「誰がお前みたいな変態と同じだ!」

「ああ、ミルの兄貴はもしかしてむっつりタイプでした?すいません!」

「兄貴って呼ぶんじゃねえ!!!」

「はーっはっはっは!赤タイツ君に図星を突かれたな、ミルよ!」

「ふざけるなあっ!」


どうやら話が分かるらしい魔族は大笑いしている。

けども話が分かると逃がしてくれるは別物らしい。

一歩でも動けば俺は攻撃されるであろうことを何となく俺は分かってた。


「赤タイツ君!どうやら王国の人間ではなさそうだがどこの者であるか?腰の剣や身の動きからそれなりの者と分かるが」

「・・・・・・魔国第一師団特殊研究室室長インモラルの知り合い」

「インモラルの知り合いであるか。」

「・・・・・・・(駄目元で言ってみたけど、意外といけた?)」

「なら、、、強いのであるよな!『常闇の剣』!」

「ちっ!逆効果か!?」


雲を使うのは素性がばれるからと最初から『内在型身体強化』にのみ魔力を集中した。

いや、、、そうしなければ一合で決着が着いていただろう。

龍と同等、、、いや、、、それ以上か!?

有り得ない程の膂力で叩きつけられる『六本の大剣』

一振り一振りが尋常じゃない速さで、、、しかも一刀、一刀が俺の体を少しずつ崩してく技がある。


「ほれほれほおれ!」

「くっそ・・・馬鹿力だけじゃなく闇魔術の使い手かよ!?」


・・・・・剣が重い。

よく見れば細剣のあちこちにどろっとしたものが纏わりついてる

闇を結晶化した剣は一合受ける度に俺の腕を重くしていくようだ。

闇属性の魔術は色々めんどくさい。

曇の魔術を使えないと対策を何もとれない・・・


「おいおい!『内在型身体強化』しか使えんのであるか、赤タイツ君!放っておくと、ドンドン剣が重くなるぞ!」

「使えるなら、、、最初から使っとるわ!」


周囲は魔道具犬達に囲まれ、動きも大きく制限されてる。

そんな状況では力で負けているこの打ち合いはすぐに負けへ繋がるだろう。

剣も既に持ち上げるのが難しい重さになってる。


「考え事は牢の中でするべきであるよ!」


剣術は詰将棋みたいなものだ。

馬鹿正直に突っ込むだけじゃ相手は斬れない。

一手一手振っていって相手を斬られざるを得ない状況に追い込むものだ。


どれくらい速く振るか、何回振るか

突くか、斬るか、反撃するか、フェイントをかけるか

どこにおいやるか

どれだけ強く叩けば、相手の次の剣が遅れるか

剣が二本、剣士が二人

たったそれだけの条件でも何万通りの未来がある。


「剣術において剣技とは自分が勝つ未来を増やすために作る一手でござるよ。」


剣に生き、今もどこかで龍人の郷を護りながら剣を振り続けているであろう俺の剣の師匠の斬龍が言った。


剛剣

闇の魔術

相手は魔術なし


条件が導き出す未来は殆どが俺の敗北を示す未来だった。

俺はやはり剣技は向いてないらしい・・・

五本の剣が俺の剣を完全に封じ込め一本の剣が俺の喉元に突きつけられていた。



「この詰将棋は俺の負けだな」

「ほう?」

「だから、、、、こうする!」

「なっ!?」


今日はお世話になりっぱなしだ。

魔法玉を手当たり次第にぶつけまわる。

赤に青に白に黒に

硝煙が辺り一面を支配し、庭中が白い光と爆音が鳴り響く

魔道具犬達はあまりの気候の変化についていけてないのか周囲をぐるぐる回って架空の敵に吠えまくった。

そして俺は逃げ出した。







「ふっふっふ・・・・はーっはっはっはっはっは!」


サクラに逃げられたというのにビグラスが大声で笑う。

その声が庭一面に響く。

光に目をやられていたミルはようやく視力が戻ったと目を凝りほぐした。


「逃げられたのか?」

「ああ、あっさりとであるよ!少なくとも上級冒険者・・・いや、特級冒険者か?あの技量は!久しく会わない面白い相手であった!」

「たく、、、、あの変態は逃がしてもらっちゃ困る・・・俺が直々に拷問に掛けてやりたかったのに」


ミルはふっと暗い目をするとギリギリと窓枠を掴んで怒りの声を上げた。

ビグラスはまあまあそう焦るなと声をかける。


「なんだと!?ミミの大事な赤タイツを取られたんだぞ!」

「少し静かにするであるよ・・・『闇夜の中で』『我は謳う』」


六本の『常闇の剣』が一振りの三メートルは超えるであろう大剣に変わる。

そしてビグラスは六本の腕でそれを器用に持った。

大上段に構えたそれにはまるで闇の精霊達が集まっているのかただでさえ毒々しい剣に更にどす黒いオーラが集まる。


「『心の叫びを』『魔族の叫びを』」


ビグラスの魔力が高まってきているのか、彼の筋肉は大きく膨張する。

そして詠唱は最後の一節へ

ここまで来てようやくミルは彼のしようとしてることが分かった。


「おい!あまり派手なことはするな!」

「言わんでくれ、ミルよ!こう見えて漢と漢の喧嘩を勝手に打ち切られて頭に血が上っているのであるよ。代償を払ってもらおうぞ」

「・・・」


生産職であるとはいえそれは感じ取れる

ビグラスがとても強いということを

もし戦士なら彼と同じかそれに近い段階の強さをもつ戦士なら・・・その彼の強さをリアルに感じ取れ身震いしただろう。


「『ここで振るうは』『魔族の怨念』『魔族の信念』」


ビグラスはふふっと笑い、、、二ヤアっと犬歯を剥き出しにして笑った。


「逃げるのは上手いが、、、気配の消し方は初級冒険者並みであるな・・・『大魔刃』」


闇の刃が振り降ろされる

音はしない

静かに、しかし、速く

巨大な一閃が通ったと気付いた後には庭に大きな地割れが出来ていた。


そこにあった庭の草も石像も噴水も魔道具犬も

庭が一刀両断されていた。

二つに分かれてしまっていた。


そして、、、庭の上空をサクラが身に着けていた赤タイツが舞っていた。

地割れの近くには誰の物かも分からないほど闇の力でドロドロに溶かされた片腕がポツンと落ちていた。








「大丈夫ですか?」

「・・・・何で君がここにいる?」


質問に質問で返してしまったが特に怒られはしなかった。

やっぱり怒る人は少しキレやすいんだろう。


『大魔刃』が既に避け切れないと気付いた瞬間、俺は誰かに突き飛ばされた。

そして庭にいつの間にか創られていたのか地下の隠し部屋に転がり込んでしまった。

俺を突き飛ばしてかくまってくれた少女、、、俺は彼女と一度会っている。


「ミミアン、、、なんでここにいる?」


俺を庇ってくれた時に喪ったのか右腕だけのウサ耳の少女は追撃がないと知るやほっとため息をついていた。

にっこりと素晴らしい笑顔で

そんな彼女の左腕はない、しかも出血多量。

ぶっしゃあっていってる。


「いやあ、よかったです。サクラさんが無事で。これで皆無事ですね!」

「いやいやいや、君の腕が!」


あれだけの絵を描く彼女の腕が切り落とされてしまった。

利き腕ではないかもしれないが絵は繊細な代物。

その後の作品に大いに影響を与えてしまうだろう・・・

俺はなんてことを彼女にさせてしまったんだ!

一回斬りおとされてんだし、俺が斬り落とされるべきだったのに!


「ごめん!謝って済むものじゃないけど、ごめん!」

「ちょっと、いきなり何なんですか!?」

「本当にごめんなさい!」

「確かに私の赤タイツ被って庭に出てきたときはビックリしましたけど、怒ってませんから!趣味悪くて一度も履いてないですし!」

「いやいや、左腕から飛び出してるその赤いのについて謝ってるんだよ!?」

「ああ、、、これなら別にいいですよ。ちょっと重かったし」

「いやいやいや、親にもらった大切な体だろ!?」


治療魔術をかけてもここまですっぱりと斬られると跡が残ってしまう。

そもそも治癒術師は珍しいし詠唱級の治癒魔術を使える人間がそういるかどうか。

俺みたいに治癒魔術が利かない人間だった場合、魔法陣級の治癒魔術がいるが・・・それを使えるのは王国ではサニアしかいない。

もう泣くしかない。


「ああ、、、、俺が一生責任取るから、、、、お前の左腕になるよミミアン!」

「ちょ、何早まってるんですか!大丈夫です!ノーサンキューです!」

「ミミああん!お前はなんて良い人なんだッ!見知らぬ人を庇って左腕を失って、、、しかも嫁入り前なのに!しかもこんなキチガイの俺を案じて痛くないと笑顔を見せてくれるなんて!」

「ちょっと!痛くないんですって、本当に!」

「ミミああん!もういいから!何も言わなくていい!結婚しよう!お前に惚れた!」

「もう、、、これでいいですか!」


話を聞かないで求婚してくる俺にブチ切れたのかミミアンは隠し部屋の戸棚から左腕を取り出すとカチッと取り付けた。

な、、、、なんてことだ。

涙が止まらない、、、愛も止まらない。


「ミミああん!そんなっ、、、義手を用意してたのかッ、、、失う予感がしてたのかッ・・・すまねえ・・・痛かっただろうッ・・・苦しかっただろうッ・・・」

「全然分かってくれないッ、あなたみたいな人が夫なんて嫌です!ノーサンキューです!」

「ミ゛ミ゛あ゛あ゛ん!じぇめてお゛前が流゛した゛血の分だけ、、、俺が血と汗を流して働いでぇ、、、毎月賠償金払うからぁ!」

「これは血じゃないです!赤レモンのジュースです!」

「ミ゛ミ゛あ゛あ゛・・・え?」


涙を拭って彼女の左腕からぶっしゃぶっしゃ溢れてたものをぺろりと舐めてみる。

・・・・酸っぱくて、甘い

・・・・・・美少女の血ってこんな味がするのか?

・・・・・・・・・いや、愛の力がミミアンの血を美味に感じさせるのか?

・・・・・・・・・・・・・・いやいやいや!流石にそれはない!


ばっと彼女を振り返ると、彼女の腕はきちんとそこにあった。

きちんと生えていた。

くるりくるり調子よく回してるその様子はとても義手には見えない


「君は・・・一体?」

「はあ、、、ようやく冷静になってくれました?心配せずとも大丈夫です。私の『身体』の『殆ど』は『魔道具』ですから」

「・・・『自律人形≪ゴーレム≫』なの?」


そう聞くと彼女はう~んと小首を傾げた。


「ミル様は違うって言ってました。私は元は人間だからと」

「じゃあ、、、、何なの?、、、獣人?人間?」

「いいえ、私は『魔道具人間≪サイボーグ≫』です。」


そういって彼女はにこっと笑った。

その笑顔は普通の人間の笑顔にしか見えなかった。

ここまで読んでくれた皆さん、、、お疲れ様です!

次回で第3章終了です!

正直そんなに待たせないと思います。

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