PROLOGUEーFOUR 『兄妹』
お久しぶりです!第四部STARTです!
この日のことは絶対に忘れない
「保護者として生活費は出してあげる。質問がないならさっさとアンタのうちに行くわよ。私は忙しいの」
「・・・はあ」
スーツを着た物凄い美人がまだ小学生だった俺の前に現れるや否やそんなことを言いだした。
消毒液の匂いが蒸せかえるようなその場所で彼女は俺達兄妹の面倒を見ると一方的に宣言した。
俺は只々唖然とし、まだ幼い朝顔は俺の後ろで怯えて隠れていた。
「てか、あなたは誰ですか?」
「如峰月桔梗。あなたの父親の妹よ・・・ガキのくせにえらくしっかりしてるわね」
「・・・如峰月家」
如峰月家はかなり大きな家らしいってことと俺の父親を勘当したってことだけ教えられていた。
所謂駆け落ちだったらしい。
道理でこの桔梗って人を俺は知らないわけだ。
今まで『如峰月家には気をつけろ』と教えられてすらいたのだから
「・・・何で今さら如峰月家の人が」
ドラマとかでよくある跡取りに来るあのパターンだろうか
なんか嫌だな
信用できない・・・・ろくな生活おくれなさそうだ・・・
いっそ楓の家に逃げ込むか、あいつの家金持ってるし・・・
けども桔梗さんはそんな俺の警戒をあっさりと鼻で笑った。
「別に如峰月の家は出ていった人間の子供の面倒見る程お人好しの家じゃないわよ」
「さくら・・・」
朝顔が高圧的な桔梗さんの言葉遣いに怯えている。
・・・俺がしっかりしなきゃ
相手は大人でも、、、俺がしっかりしなきゃいけねえんだから
生唾を飲み込み言葉を必死で考えて紡ぐ
「じゃあ、なんでですか・・・なんで今まで会ったことない俺達を?」
「・・・・・・・あいつには借りがあるのよ」
桔梗さんは俺の質問に忌々しげに答えた。
子供だからだろうか、、、その頃の俺は妙に嘘かどうかを見抜くのが上手かった。
そして桔梗さんが『まったく』嘘をついて無いことを悟った。
「・・・お父さんと仲良くなかったんですか」
「ええ、だいっきらい♪」
すがすがしい笑顔だった・・・曇りなき笑顔だった。
死んでせいせいしたと言いきってる顔だった。
この人は信用できねえ・・・やっぱり楓んとこ逃げ込もう
朝顔を抱えて走り出す・・・
「何してんの、アンタは」
「いや、逃げようかと」
「ほんとに忌々しいまでに兄貴そっくり・・・何でまず逃げ出すのよ。考えなしにどこ行くつもりなのよ・・・」
「取り敢えず楓の家にでも逃げ込もうかなと」
「余計なトラブル引き起こしてんじゃないわよもう・・・アンタらには帰る家あるでしょうが。行くわよ」
首根っこ掴まれて引きづられた
桔梗さんはいかに自分の兄貴(その子供たちの前で)が忌々しく、それを雑に扱うことの正当性をそれはそれは雄弁に語りながら俺達兄妹を引きづっていった。
朝顔が俺に抱きかかえられながら桔梗さんをぽうっとした顔で見ている
・・・朝顔さん!?
朝顔さんの将来に非常に不安を感じながらドナドナされていく。
病院から出るや否や俺達兄妹はひょいとタクシーに放り込まれた。
「鷺ノ宮まで」
俺達兄妹をぐいっと奥に押し込んで桔梗さんは隣に座った。
そしてドカッと座り窓を全開にし煙草をふかし始める。
タクシーの運ちゃんが子供の側で・・・とか車の中で・・・とか言いたげな顔していたが桔梗さんが一睨みすると運転に集中した。
「なによ」
「・・・いや、なんでもないです」
タクシーから飛び降りる程バカでもないので抵抗せずに座っていた。
ぼうっとすることもないからと桔梗さんの口から洩れる紫煙を目で追っていた。
そしたら桔梗さんがギロッと睨んできた。
桔梗さんは俺が責めているとでも思ったのか窓から煙草を放り投げ、、、ようとしてためらった後に前部席の灰皿ケースを勝手に開いてそこに押し付けた。
それから俺達の方をじろっと見てきた。
「はあ、、、知ってる?」
「何をです?」
「お酒と同様煙草も少しなら体にいいのよ?」
「・・・そうなんですか?」
「リラックスすれば心臓の負担が減る、負担が減れば長生きできる・・・合理的でしょ?」
「さくら・・・桔梗さんは何言ってるの?」
「・・・・・・・・・理解しなくていい」
喫煙者もアルコール中毒者も言ってることは同じ
朝顔は桔梗さん言葉を一言も聞き逃さないようにしようとしてるがこんな人間になってはいけない
なってはいけない
「何よその目は・・・可愛くないわね」
「一応男なんで可愛くはないかと・・・」
「たく、生意気なガキ!兄貴にそっくりなところがなおさらイラつく。この先このガキ共の面倒を見ると思うと少し憂鬱だわ」
「別にそこまで嫌なら面倒見ようとしなくていいですよ?」
「「あん?」」
「・・・・・・・・・朝顔まで?」
桔梗さんは分かるけど朝顔まで俺を睨みつけて来るのは解せぬ。
桔梗さんは俺の頬を片手でガシッと掴むとぐいぐい揉んできた。
「ガキがナマいうんじゃないわよ・・・どうする気?」
「他の親戚が・・・」
「如峰月家は私以外引き取らないわよ。あなたの母方の縁者も基本的に引き取るの嫌がってるわ」
・・・知ってる
母方の親戚一同が誰が引き取るかでめっちゃ揉めてるのを聞いてた。
あいつら子供が寝てるからって大声出し過ぎなんだよ、たく・・・
兄妹離れ離れにするどころか勝手にうちの家を売っぱらおうとしている前提で話してるあいつらの元には正直行きたくないな
悔しいが桔梗さんの言う通りだ。
桔梗さんは楽しそうに答えあぐねてる俺の頬をうりうりする。
朝顔はそんな俺を嫉妬の籠った目で睨みつけて来る・・・あなたは今日初めて会った人とお兄ちゃんのどっちの味方ですか?
「ちなみに孤児院は経済的に余裕のないとこばっかだから、ランドセルから洋服まで共有よ?甘やかされた生活送って来たアンタには無理。政治家として実情知ってる私が断言してあげるわ」
「じゃ、じゃあ・・・」
楓の家に逃げ込むという最終手段を・・・
「家出として取り扱うわよ?」
「親権濫用だっ!?」
「良く知ってるわね、そんな言葉」
偉いわよと言いながら彼女はうりうりしてくる。
その横で朝顔が脇腹を抓ってきて地味に痛い・・・替わってやろうか?
「ホントに、、、、ホントにそっくり」
「「?」」
桔梗さんはうりうりを止めるとそう呟いて窓から外を見た。
感情を押し隠そうとして失敗した真顔だった。
そろそろ雪が降り始めるそんな時期
外を見ても面白いものなんて何もないだろうに彼女は外を見続けた。
窓の景色が変わっていって、朝顔がこっくりこっくりと眠そうにし始めた頃桔梗さんは急に口を開いた
「私は兄貴が大っ嫌いだけど、借りは返すわ。あなた達兄妹の成人までの面倒を見てあげる」
「嫌いなのに借りは返すんですか?」
「そうよ、、、あいつは私に借りを作ったあの時に私にこういったのよ、、、兄妹なんだから助け合うのは当然だろうって、、、後継ぎを争う立場でしかないはずの『兄妹』なのに」
「お父さんらしいですね」
桔梗さんが忌々しげに舌打ちするが、俺はいかにもお父さんらしいと思ってしまった。
穏やかで優しい人だった。
「私は違う、、、自分の目的を成し遂げるだけで手いっぱいよ・・・あいつの言ってることは理解できない」
「桔梗さん・・・」
「アンタたちが必要になる生活費と最低限の手助けは出してあげる。でも私には私の人生があるからあなたたちの親代わりにはなれないわ」
面倒見ると言いながら保護者としてそれはあんまりじゃないだろうか
なんて人だ
いろいろ思ったけどそんな中でなんとなく思ってしまったことがある。
そのせいだろうか
彼女の服の裾をいつの間にか掴んでしまった
「桔梗さんなら俺達兄妹は今までどうり離れ離れにならずにあの家で生活できるんですか?」
「言ったでしょ?私の人生を曲げない程度の手助けはしてやるって」
「桔梗さん、、、ありがとうございます」
「・・・ふん」
そう
俺は桔梗さんをカッコいいと思ってしまったんだ
「寒ッ・・・手首に浸みる・・・」
「もうすぐ冬ですしね」
「・・・そな」
喫茶店で時間を潰し外に出たら外は既に寒気に包まれていた。
シップを巻いてある左手首の傷が寒気に当てられてずきりと痛んだ。
雪が降ればもっと寒くなるのだろうか・・・そしてそのたびに痛みが走るのだろうか・・・
雪が降れば電車やバスのダイヤルが遅れていつもより早く出なきゃいけねえし得なんて一つもない。
雪で喜ぶのは子供のころだけってのは本当だな
「M・M、私たちはこれからどこに行くんです?」
俺の隣を歩く少女の息も白い・・・本気で冷え込んできたな。
鷺ノ宮市の隣にある黄海市
新幹線が通るせいかアウトレットモールとかいろいろある地方中枢都市だ。
大体遊びに行こうって話になったらここにみんな来るぐらい何でもある。
そんな黄海市の市役所に俺こと如峰月桜はメイド服を着た女の子と一緒に向かっていた。
「市役所・・・そこの副市長さんに相談しに行こうと思ってな」
「相談、、、ですか?何でですか?」
メイド服を着た少女、、、椿は小首を傾げた。
一瞬マジかと思ったが彼女の常識は基本異世界寄りだからしょうがないか
「こっちでは戸籍とかいろいろ必要なんだよ」
「・・・あ」
椿はそういえばという顔をする
異世界では戸籍なんざいらないし、身分証明が欲しいなら冒険者ギルドでギルドカードを作ればいい
だが現実ではそうはいかない
学校、病院、賃貸、銀行、郵便、、、とありとあらゆる公共サービスは戸籍がないと利用出来ない
それどころかバイトも就職も出来ない
簡単に異世界から来ました、ちゃんちゃんとはいかないのだ。
「すいません、M・M。御迷惑をかけてばかりで・・・」
椿が何故気付かなかったのかと落ちこみだしたので俺は彼女のその言葉に首を振った
「いや、、、俺がしっかりしとけば何の問題もなかったんだよ」
そう・・・溜め込んできたものが全部爆発したかのようなあの日も俺がしっかりしてれば回避するすべがあったかもしれないんだから
朝顔は基本的には可愛い系の顔立ちである。
そして桔梗さんはそんな彼女を大人っぽくした美人系の顔立ち
ついでに言うと椿はそんな二人の中間っぽい顔立ちをしている。
だからかは知らないが朝顔は椿がとっさに言った『私は隠し子です』を本当のことと受け取ったようだ
「・・・・・」
顔立ちが可愛いからこそ表情の抜けたその顔は寒気を走らせる。
彼女は無言のまま俺に近づくとコトンと首を傾げた。
「説明・・・出来ないの?それともしたくないの?」
「それは・・・だなあ」
「初めまして、朝顔さん。あなたの姉にあた、、、っ!?」
椿が持ち前の反射神経で屈んだその場所に朝顔の脚があった。
答えに窮する俺をフォローしようとしただけなのに朝顔は顔面を蹴り抜こうとしていた。
椿もこの現実では随分と弱体化してるようだがそれでも元は龍とタイマン出来たぐらいの格闘センスはある。
その彼女が冷や汗を流していた。
「朝顔ちゃんって、、、こんなに動けたのか?」
伊月が思わずといった感じで拍手する。
俺がジト目で睨むと気まずそうにその手を下ろした。
皆の視線が朝顔と椿に集中する中、朝顔は椿を『まるでいないかのように』俺をじいっと無表情で見つめる。
「椿、、、離れてろ。皆もちょっと離れててくれ」
「はい、、、M・M」
椿が自分ではどうしようもないことを悟ったのか、あっさりと退がってくれた。
皆も空気が緊迫してきたのを感じ取ったのか少しだけ後ずさりする。
朝顔がそんな中で『最終通告』をする。
「ねえ、、、『妹』にも説明出来ないことなの?」
「・・・・・・・・」
朝顔が低い音で紡いだ言葉が耳の中で反芻する。
『たった二人の兄妹』ですら隠すべきことなのかどうか
サクラのこと
感覚鋭敏化のこと
眠れば意識が異世界へ飛んでしまうようになってしまっていること
心が弱いNPCの俺を助ける為に椿がここにいること
伝えようと思えば簡単だ
根気よく伝えれば嘘みたいなこんな話もいつかは信じてくれるだろう
何だかんだで朝顔は俺を嫌ってはいても信頼はしてくれてるし
兄妹だし
・・・答えは決まった
俺は懐に手を入れながら朝顔の眼をしっかりと見て
言った
「お前に話すことはない」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・そう」
朝顔の全身から怒気が溢れだす。
表情が変わらずとも彼女が重心を落として蹴りを繰り出そうとしている様子とかから簡単に想像できた。
「体に聞く」
「っ!」
懐から取り出したボールペンの先に朝顔の蹴りが叩きこまれる。
利き腕の左腕が思わずジンと痺れるほどだ。
「ちょっと!?二人とも何してるの!」
優子がなんか言ってるがそれどころじゃない
朝顔は既に体勢を立て直し次の蹴りを放とうとしていた。
駄目になったボールペンを放り捨て次のボールペンを取り出す。
体を後ろに逸らし限界まで威力を弱めているにも関わらず、彼女の蹴りは腕で受けでもすれば骨折してしまうだろう。
「なんて蹴りだ・・・」
「どこかの武術ですかね?」
「スーザさんが作ったオリジナルのキック・アーツってやつだね。如峰月や伊月ちんが習ってるのが護りの剣なのに対して、あの子のは壊す蹴りだけど」
新聞君と小陽ちゃんがそれぞれ感想を口にしてるがそんなことより助けてくれ!
そして古畑さんは何故うちの内部事情を知っている!?
感覚鋭敏化は椿のお蔭でだいぶ収まってくれたが寧ろ今はそれが逆効果だ。
ゆっくり見えるあの状態ならもっと効率的に受け流せるだろうに・・・
「桜、、、まだ足が、、、」
「・・・・ちっ」
優子が心配そうに俺の脚を見てる
そうなにより優子との観覧車の一件で脱臼した足首がまだ完治してない。
心配かける気はなかったのに・・・しくったな
「・・・・しまった!?」
思わずそんな周りの様子に気を取られた瞬間、ボールペンで受けそこなった力が手首にかかった。
ずきりと走った痛みに思わずボールペンを握る力が無くなる。
不幸中の幸いというべきか弾き飛ばされたボールペンは朝顔の顔に向かって飛んでいったため追撃はなかった。
「朝顔、、、、お前怪我人に対してなに本気の蹴り叩きこもうとしてんだ・・・」
「はあ、、、はあ、、、、」
ほんのわずかの時間しか流れてないはずなのに体がすごく熱い。
息も随分荒くなってしまってる
朝顔も少々息が荒れてしまっているのか肩を僅かに上下させる。
でも悲しいかな
普段から運動してる奴と筋トレしかしてないNPCとでは限界点が違う
俺はもう満身創痍だってのに、朝顔は取り繕ってた無表情が崩れ怒りの表情を浮かべてるぐらいだ。
こりゃあ骨覚悟した方がよさそうだ
左腕は感覚がマヒしてるので、右手にボールペンを持ち直す。
朝顔も腰を落とし、重心を前へと
「M・M」
「如峰月・・・」
流石に止めるべきかと思ったのか伊月と椿がそれぞれ一歩踏み出そうとした
その瞬間彼女達の横を小さな影が横ぎった
その影は俺達のぶつかる中間点に割り込むや否や大声を張り上げた。
「こらー!兄妹で喧嘩しちゃ駄目でしょーっ!」
「あ、朝日奈さん・・・」
「・・・・・・ちっ」
俺達兄妹は思わずつんのめる。
俺はガチで転んだが朝顔はまたこいつかとため息をついた。
朝日奈楓は主人公としていつも正しいことをする
今回の場合は兄妹の喧嘩を止めるとかな?
「何してるの二人とも!兄妹はお互いを大切にしなきゃ駄目じゃない!」
超越美少女とまで学校中に謳われる美貌をきつくして彼女はプンすかと怒る。
彼女は特に・・・と俺に突っかかってくる。
「第一如峰月君はお兄ちゃんなんだから妹の朝顔ちゃんを大事にしなきゃ駄目じゃない!」
「え、、、寧ろ俺を大事にしてほしいんですが・・・むしろ襲われてるし・・・」
「言い訳しない!正座!」
「あの、、、足怪我してるんですけど・・・」
「正座するの!」
「ええ・・・・」
朝日奈楓
主人公である彼女は俺にとって憧れであり大好きな女の子だ
だから彼女には逆らえないっ
・・・俺は即行で正座した
朝顔がそんな俺を虫を見るような目で見て来る
じゃあお前逆の立場で正座せずにいられんのか、ああん!?
「よし!」
「楓、、、何が良しなのよ・・・」
「相変わらずエグイことを・・・」
朝日奈さんの笑顔に優子と伊月が頬をひくつかせる。
朝日奈さんは彼女達のツッコミは無視して俺の眼の前にしゃがみ込む
彼女は妙に真剣な顔で俺の眼を見て・・・
「で?優のことなんで名前呼びなの?」
「「「「「「「「どんだけひきづってんだよ(るの)(ですか)!?」」」」」」」
朝日奈さん、ずっと引きづってたの!?
ぶっちゃけ皆スルーしてたぐらいだよ!?
てか話の流れ的に今は兄妹喧嘩の方がメインじゃないの!?
「ねえ、、、『友達の私』にも説明出来ないことなの?」
「やべえ、同じ流れだ!?」
流石に朝顔さんのキック・アーツみたいなもんでボコられる恐れはないだろうが同じ流れは怖い
朝日奈さんはニコニコしてるがその笑顔はいかなる沈黙も許さないとしている
てか主人公が本気を出すと本気で被害が出る
・・・被害が出る
答えはすぐに出た
「下ネタをふんだんに含むが問題ないか?」
「え、ちょ、優、どういうこと!?」
「しっ、死ねえ!」
「ぼべんなはい!」
朝日奈さんが優子
優子の渾身の跳び蹴りが頬に叩きこまれた。
ごろごろ転がると新聞君がもう何やってるんだかと近づいてきた。
「もう如峰月君、、、君は相変わらず不器用だね。」
「し、、、新聞君」
古畑生徒会唯一の良心が俺を抱き起してくれた。
さすが眼鏡系イケメンだと感謝の気持ちを捧げていると彼はもうみんなと怒った顔でこう言った。
「白凪さんとキスしたことを言いたくないからこんなふざけた言い方してるんだよ!皆察してあげようよ!」
「あらふみいぃぃぃぃぃ!」
「ほおづきくうぅぅぅん!」
「ほおづきぃいいいいい!」
「いやああああああああ!」
「ふひゃははは!カオスすぎる!」
「・・・・絶対に仕返しのためですね、新聞君」
「うん!あの時のテレビのせいで散々だったからね!」
俺は顔を真っ赤にした白凪にぶっ叩かれ
新聞君はイキイキとし小陽ちゃんはため息ついて
朝日奈さんと伊月は俺の胸ぐらを掴みかからん勢いで近づいてくるし
古畑さんは大笑い
「あのう、、、朝顔さんが・・・」
「「「「「「「?」」」」」」」
皆が思い思いに叫ぶ中、椿が恐る恐るといった感じで声をかけてきた
狂気と流血によって紅く歪む視界の中椿が指さす先には
「ぐすっ・・・」
「「「「「「「あ」」」」」」」
放置されて、拗ねて涙目の朝顔さんがいた。
「というわけで朝顔さんに家を追い出されたんです」
「・・・・・・悪いけどもう一度話してくれるかしら?」
黄海市役所副市長室
その主の如峰月桔梗は目のあたりを揉みほぐしながらもう一度説明しろと要求した
「まあそこの椿さんとやらがあのクソ兄貴の隠し子ってのは分かった・・・あいつならやりかねないし私や朝顔にそっくりだし」
「いや、お父さんどんだけだよ・・・叔母さんまだお父さんの事嫌ってんすか?」
「おばさん?」
「・・・・桔梗さんはまだお父さんの事嫌ってんすか?」
「嫌いだけど問題あんの?」
桔梗さんは相変わらず俺達兄妹のお父さん大っ嫌い☆らしい
あの時と比べ見た目だけは大人の色香を身につけたバリバリのキャリアウーマンになっているが、中身は全く変わってない。
ああ、俺達のいる前ではタバコ吸わなくなったっけ
「で、この子の戸籍と転入手続きも分かった・・・兄貴に貸しきってる分はあんたへの貸しだからね?」
「うっ・・・」
「私の為ですから私に課していただけば」
「だめ。これは兄貴と私の問題だから。桜はあくまで兄貴の代理。借りを返す先があの世じゃしゃあないから桜にしてるだけよ」
「はあ・・・」
椿は分かったような分からないといった顔をした
自分ルール決めれる人って頑固者ばかりだからなあ・・・
ま、そういう人もいるってことには慣れときな
何だかんだで如峰月椿として人と関わって来た経験がお前には少しもないんだから
いずれ大事なものとして積み重なるよ
「ま、貸しについてはいいんすけど・・・朝顔さんに家追い出されたんで俺達の住む場所何とかなりません?」
「そうそこ!何でよ!」
「やっぱ隠し子関係でぶちぎれてるんじゃないすかね?スーザ先生は基本朝顔の味方だし、伊月もぶち切れてて朝顔同様話聞いてくんねえし」
「・・・はあ。」
「しばらく桔梗さんの泊まってる所に泊めてもらえませんか?」
「最近仕事忙しくてここが家だけど?」
「またまた冗談をwww」
「冗談じゃないわよwwww」
「「「・・・・・はあ」」」
当てがなくなった・・・
桔梗さんはめんどくさそうにため息をつくと止まっていた書類作業を再開した。
顔を下げたまま彼女は口を開く。
「君との会話で10分私の一日が短縮されたから取り戻さないと・・・取り敢えずいま取り組んでるプロジェクトがもうすぐ終わるから、そしたら一度家に戻るし朝顔たちも説得するわ」
「・・・ちなみにどんくらいですか?」
「あなたが話しかけてくる分だけ遅れるとだけ言っておくわ」
「・・・・・・・・・・・・まじかー」
十一月、寒くなってきた今日このころ
俺こと如峰月桜と如峰月椿は住む場所を探さなきゃいけなくなった
・・・なんなんだよまじでもう!
次話はニ、三日後目安で




