第6章曇脈展開«クラウド・アクセス»part3
―マスター!―
「サクラ!」
「分かってる!」
俺は魔喰龍を倒した瞬間にインモラルの方を向いた。
予想通り・・・インモラルは俺に向けて魔術を放とうとしていた。
「『曇の支配権奪取≪ハッキング≫』!」
「くっ・・・」
倒した瞬間油断して、、、ドン・クラークを失った。
だから俺は最後の最後まで気は抜かない。
ツバキのお蔭でとんでもない速さで雲を動かせるようになっているのでインモラルの魔術を簡単に妨害できた。
「インモラル、、、次はてめえだ」
「ふふふ、、、どうでしょう?」
インモラルは俺が攻撃的な気迫をガンガンぶつけているのに、逃げ出そうとしない
・・・時間をかけると怖いな
黒雲を無数の槍へと変えていく
たくさん
マシマシ
激モリ
「『曇の一撃≪ショット≫』×メガ盛り」
「『身がわれ』」
「逃がすか!」
まるで巣を攻撃された蜂のように無数の槍が追う中を身代り魔道具を併用しながらインモラルは逃げていく
・・・コイツ時間稼ぎか?
―マスター、ここは攻撃よりも拘束した方が良さそうです―
「ならコイツだ!『曇靭紐≪クラウド・ワイヤー≫』×メガ盛り!」
「な!?」
槍が無軌道で予測不可な蛇のように動き回るワイヤーに変化する。
一直線にくる槍を防ごうとしたのか、槍へと身代り魔道具を使おうとしたインモラルはあっさりと締め上げられた。
詠唱できないように口を縛り、身動きできないことで有名な亀甲縛りを施す。
自分で言うのもなんだがとても好ましい形になった♡
インモラルは素晴らしいプロポーションを強調させられた格好のまま寝転がらせられ、涙目で俺を睨んでいる。
「くっ、、、こんな屈辱を人間なんかに・・・・」
「ぶはあああああ・・・・・さあ約束通り眼鏡とその服剥ぎ取グハッ!?」
「お前は何をしてるんだ!」
シノンに思いっきりぶっ叩かれました。
「痛いなあ・・・・ぶはああああっ」
「ななな何で敵方を襲おうとしてるんだ、おまえはっ!」
「ぶはああああ、、、英雄色を好むっていうだろ?あれだよあれ」
「意味が分からん!」
かまととぶりやがって・・・シノンは顔を真っ赤にして首をブンブン振る。
胸鎧を外したせいか意外と巨乳な胸もふるんふるん微動が続く。
普段はキリッとしたイメージがあるがこういう時のシノンまじカワユス。
はあ、、、はあ、、、はあ、、、、
「シノン、、、今の俺に近づくってことは分かってるんだよな?」
「はあ!?何を言って・・・・」
困惑した彼女が少し後ずさる。
そんなことはどうでもいい。
今ある答えはヤルか口説くかだ。
シノンの唇から目が離せない。
紅く実った果実から目を離せない。
とても柔らかく・・・あれに触れればどれだけ気持ちいだろう。
シノンが壁に背中をつけ、、、遂に逃げられなくなった。
ヤルで決定
「さ、、、、サクラ?」
「ああ、、、、シノン、、、お前は本当に可愛いな・・・」
「ちょ、、、、、むむう!?」
シノンの胸をわしづかみにしながら唇をむさぼる。
シノンがジタバタ暴れるので壁に押し付け股下に足を挟み込む。
手首をしっかりホールドし先に口を凌辱することにする。
白い滑らかな歯をなぞり、無理矢理舌を入れて唾液を交換する。
シノンが首をねじって逃げようとするので首筋へと顔をうずめて舐めて舐めて舐めまくる
「さ、、、サク、、、、やめ、、、、あっ」
「こんな濃厚な果実の香り嗅いで、、、やめられっかよ」
「きゃあっ!」
異世界ファンタジー・・・どうやらシノンはノーブラらしい。
巨峰をしつこく慰めていると中から種が飛び出した。
俺のバナナもビンビンだ。
「ぶはあああああっ、、、、もう一度だ」
「いやっ、、、、、むむううっ!?」
身体強化で強化された肺機能が強引にシノンの唾液と舌を引きずり出す。
唇でねぶっこくシノンの舌を咀嚼して甘い甘い唾液を飲み込む。
お返しとばかりに口から漏れ出る黒雲を彼女の口の中へ
「ああ・・・・・」
「さくらぁ、、、、やめ、、、むひゅう・・・」
唾液と黒雲が混じったびしょ濡れのキス
緊張とかいろいろ混じり過ぎて固まってしまったシノンはただそれを目をつむって受け入れるしかない。
・・・・元気が無いなあ、、、そうだ。
抵抗しなのをいいことに俺は『曇震伝波≪ドンシン・クロッシング≫』をシノンの股下で発動させバイブ代わりにして更に凌辱を進める。
流石にシノンもそれは
「っ!?・・・むあっ!?むあっ!?」
「じゅぷっちゅるるっぴちゃpちゃ・・・・何だシノン?」
「あしっ、、、あしっ!」
「足?もっと強く?仕方ねえなあ・・・」
「ちがっ・・・・・ああっ!」
シノンがびくんと痙攣し背を逸らす。
そして荒い息をつきながらずるずると俺にもたれかかって来た。
・・・・ぐへへへへへ
「さあ、シノン・・・・そろそろ一発決めようか?」
「やらせねえよ!?」
「ぶごほっ!?」
気付いたらインモラルの隣にボッコボコにされた俺が寝転がっているという絵が出来ていた。
なんか皆に囲まれてしまっていた。
特に桜なんて『常識外』を構え俺を軽蔑した目で見て来てる
・・・・あれ?何かしたっけ?
魔喰い龍倒したところまでは覚えてるんだけどそっから先が記憶が無い。
唇の心地いい痺れとか下半身がなんか濡れているのとか何で?
「桜・・・
「流石に元が俺とはいえ・・・・クズだな!慕ってくれてる女の子の処女を無理矢理奪おうとするなんて!見損なったぞ!」
「・・・・・え?」
思わずポカンとしてると背中に誰か乗った感触がある。
恐る恐る振り返ると顔を真っ赤にして涙目のシノンさんが拳を振りかぶっていた
「婚前なのに!まだ結婚してにのにっ!・・・・・責任取れッ!」
「いだっ!いだっ!?何!?何なの!?」
ぼかぼか後頭部やら背中やらを殴られながら辺りを見渡すと周りの人たちすべてが俺をまるで強姦魔を見るかのような目で見てきていた。
「女の子に強引にあんなことするなんて、、、責任取りなさいよね!」
「「「「「「「「「「そうよ、そうよ!」」」」」」」」」
「トチキさんとこの娘たち!?」
「ヤる寸前までだったみたいだが・・・・やるじゃねえか同士よ!」
「てめえもなにいってんだ!?」
そんなトチキさんを見るような目で俺を見ないでくれ!
相棒二人が既に俺の敵になっているので俺のパーティーに助けを求める
「おいスカイ!サニア!俺何したの!?」
「「うっさい、黙れ、この変態」」
「一糸乱れぬ!?」
「マスター」
「何!?」
ツバキが俺の目の前にしゃがみ込んでいた。
「報告します。マスターはまさに正気を失ってさっきまでシノンさんの処女を奪おうとしてました」
「・・・・え?」
意味が分からない
確かに体が謎の満足感と物足りなさで埋め尽くされてるけど・・・え?
「ええ、、、縛られた私の目の前であんな激しい口づけを・・・・くっ」
敵であるはずのインモラルが頬を染めて悶えながらわざわざ説明してくれる・・・ええ?
周りの視線の意味と振り降ろされる拳の意味を知って頭が真っ白になる俺に淡々とツバキは説明する。
「おそらく『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』は脳にまで雲を浸みこませるから思考がかなり黒雲よりに解放されるようですね。より暴力的により強欲的に・・・思考から戦闘特化させる術式とでも言いましょうか?身体能力を高める際に全身の機能を見境なく強化してるからかどうやら本来のマスターの性欲まで強化してるみたいですね」
「襲う前に止めろよ!?」
「戦闘中は戦闘に気が削がれるから冷静でしたけど・・・流石マスターでした。戦闘が終わりマスター本来の性欲が顔を出した途端、雲が全て下半身と脳に集中してました。とてもじゃないですが私程度では止められないほどでした・・・」
え?
「何が流石なの?よく分からないよ?(震え声)」
「マスターは間違いなく『英雄』だという事です。まさか『英雄色を好む』を既に体現なされているとは・・・」
「どんなにポジティブに解釈しても俺を性欲魔人って言ってしまってるからな!?」
どうやらツバキを核に雲を生み出すこの『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』にもそれなりに欠点があるようだ。
戦闘中には特に問題なかったのは思考が戦闘好きの暴れん坊になってるせいか戦闘中は常に満足できているからだろう。
しかし戦闘後は戦闘で満足させてきたその荒ぶりを人間の三大欲で消化しようとしてしまうらしい。
今回の場合は最初は本能的に問題を起こしても問題のないインモラルで済まそうとしてたがわざわざ近くにとんでもない美少女が現れたせいで我慢できなかったんだろう
・・・我慢できなかったで済まされる問題ではないが
「シノン、、、ごめん」
「・・・・・・後からそんな顔したってドキッとなんかしてないんだからな!」
「いだっ!いだっ!イだっ!?ツバキ!シノンどかして!」
「イエス、マスター」
「こらっ!私はまだ殴り足りない!」
「・・・・(ガクガクブルブル)・・・・」
ツバキがシノンを連れていくと桜がようやく俺の方へと近寄って来た。
桜は大体の事情は把握したけどそれでも許せないと『常識外』を俺に返しながら怒鳴りつけてきた。
「おい!公衆の面前で女の子をイかせるって何考えてんだ、このテクニシャンキチガイ!」
「造語つくるんじゃねえ!てかお前だって観覧車宙ぶらりんで俺より先にファーストキス済ませやがって!羨ましいんじゃこの野郎!」
「なっ!?あ、あの時はあれしか方法が・・・」
「嘘ついてんじゃねえ!実はしたくてムラムラしてたんじゃねえのか!?俺とお前は基本『自分であり自分でない者≪アナザー・ミー≫』なんだからな!下手なこというと自分で自分の首絞めることになるぞ!」
「くっ・・・・皆聞いてくれ!コイツの行為をゆるして・・・」
シノンの氷小刀が突き刺さり桜はかき消された。
「ああ、どうしよう・・・せっかくハーレムパーティーで清純なムラムラドキドキを楽しんでたのに、、、メンバーに手を出したらもう終わりだ・・・」
絶対これからは声をかける度に妙に警戒される。
飲み会とかも女勢だけで開催で俺だけはぶられる・・・
ちょっと二人でご飯いかない?とか誘ってもこっちはそんな気ないのにまず下心有りと勘繰られて断られる・・・
もうおしまいだ・・・あいつらと今までみたいな友達付き合いはもうできない・・・
顔を手で覆って蹲ってるとトツカがぽんぽんと肩を叩いてきた。
「なあサクラ・・・」
「そうか、、、、まだ俺には信じてくれる仲間がいたんだな!」
トツカ・・・こんな俺を慰めに来てくれたのか。
そうか女友達全員にハブられても男友達が俺にはいるじゃないか!
まだボッチ確定じゃない!
「え?・・・ああそだな?」
「どうした?言いたいことがあるなら言ってくれ!」
「う、うん・・・もう一回『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』使ってくれないか?」
「うらぎられたぁ~~~~~~!」
コイツ俺を友達なんて思ってなかったんだ!
俺が苦しんでるのを見て影でこっそり笑ってやがるんだ!
モウ、ニンゲンナンテシンジナイ!
「そうじゃない!サクラの大暴れに気を取られてたお蔭で一時期止まってた『狂竜化』がまた再発してるんだ!」
「へ?『曇感知≪サーチ≫』・・・本当だ。まずはこっちを何とかしねえとな」
一時期俺の凶行で気を取られたとはいえ、感じた恐怖は消えはしない。
寧ろ時間が経つほど、周りが落ち着いてゆっくり考える時間があるときほど、そのストレスは増していく。
必死で押さえてる龍人もいるけど既に『一段』に達していて暴れはじめてるのもいる。
・・・すっかり忘れてしまってた。
「しょうがない・・・ツバキ!」
「はい!」
ツバキがシノンに何か囁きながら慰めていたが俺の声を聴くとすぐによって来た。
桜はもう実体を作る気力も無いようでそれに向かって叫んどく。
「魔喰龍戦でほぼ魔力を使い切っちまってる・・・桜、もらうぞ!」
桜の魔力を体で疑似暴走魔力に変換・・・いける!
・・・と、ここで龍巫様が慌てた様子で近づいてきた。
「ちょっと、どうするつもりですか!?」
「『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』で強化した『曇靭紐≪クラウド・ワイヤー≫』で絞め落とす!」
「やっぱり!絶対にやめてください!」
龍巫様がやっぱりキチガイだったわと俺の手をガッと掴み首をブンブン振って止めて来る。
「だって『狂竜化』した龍人相手にテキトーな拘束魔術は効かないぜ?だったらいっそのこと絞めおと・・」
「いいわけないじゃろう!」
「おいおい・・・流石に相乗効果は生まれないから『嵐曇魔術≪ス―パ―・セル≫』より雲自体は小さいかもしれないが一発で龍人の郷の龍人たちを同時にイカせてやるぜ!」
「お主龍人全員絞め落とすつもりじゃねえじゃろうな!?」
失礼な・・・『曇感知≪サーチ≫』で狂竜化してるかどうかぐらい分かるわ
皆が俺を止めに入るからテンション下がったしぃ
てか俺の曇魔術じゃないとこの龍人の郷で無数に起こってる狂竜化は止められんぞ。
「じゃあ、どうすんだよ?・・・ん?」
『曇感知≪サーチ≫』が妙な気配を感知した。
魔術の発動だと思うけど・・・この性質の魔術は・・・まさかな
確認だけはしてくるか
「わりい、ちょっと行ってくる。『動く曇道≪オート・ステップ≫』」
「「「「「ちょ!?」」」」
感じるままに道を作りだし、感じた場所へ向かう。
道が示した先にいたのは子供が使うには長い杖を持った小さな子供だった。
フードをかぶってるから顔は分からないが多分体格から女の子だろう。
龍人ではなさそうだが誰だ?
「・・・君はいったい」
「『曇の魔術―召喚』」
「!?」
曇の魔術・・・・・まさかとは思ったが本当に?
しかもアリアと同じ雲の使い方!?
よく見たら彼女の持ってる杖はアリアの持ってる杖と全く同じ形状だ。
杖から出る雲は白でも黒でもなく茶色
雲は段々形を変えていく・・・茶色の羊へ。
「『ひつじ曇 ≪altocumulus≫』」
「「「「「「「「「くらうめぇ~~~~~~」」」」」」」
羊は彼女の周りで次々と増えていく。
ふわふわふわふわふわふわ
なんだ・・・雲に疑似人格でも仕込んでるのか?
まるで本物の生き物かのように自由に活動している。
「なあ君もアリアから『種』を貰ったのか?」
「・・・『眠らせろ』」
「っ!?・・・ありがとう」
雲羊が俺に向かって飛んできたと思ったらいつの間にか俺の後ろにいた『狂竜化』した龍人を咥えこんだ。
・・・もごもご口を動かすたびにその龍人は動きを鈍らせていき数嚼した後には眠り込んで『狂竜化』が解けた龍人だけが残った。
「・・・ありがとな」
「げふ・・・・くらうめぇ~~」
俺を助けてくれた雲羊を撫でるとそいつは俺の手をぺロペロと舐めてきた。
・・・ここまで本物の生き物のように動かすのは『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』並の魔術技量が必要だ。
彼女は最低でもアリア以上の曇の魔術師だ。
「・・・・・・・・」
無言のまま彼女は羊たちを動かしていく。
狂竜化した龍人たちが起こしてる喧騒が段々小さくなっていきすぐに消えた。
・・・・・・・・どれだけ多くの羊を出したんだ?
俺がもう一度彼女に声をかけようとしたら遠くで爆音が起きた。
「っ!?」
どうやら影龍と圧龍が帰ってきたようだ・・・上の地盤をくりぬいて。
なんか穏やかじゃなさそうだ。
早く戻んねえと・・・
「なあ、一緒に・・・・・どこ行ったんだ?」
物音に気を取られた瞬間に謎の曇の魔術師はいなくなっていた。
羊たちもいつの間にか消えてしまっていた
追おうと思えば出来なくはないが・・・今はそれどころじゃないか
再び『動く曇道≪オート・ステップ≫』で龍達が降り立った地点へ戻る。
「何故なのです!」
「龍人の郷はもう終わり・・・ならば新しくできた守りたいものを守るのは当然のこと」
「圧龍!何を考えておるのじゃ!」
「ムラサキ的に言うことはない」
・・・圧龍と暗龍がインモラルの縄を切り裂いて解放していた。
「なあ、、、何が起こってんの?」
「裏切りでござるよ・・・龍の恥さらしがっ!」
手負いの龍たちでは健康な裏切り者たちは止められない。
スカイも斬龍も歯ぎしりするのみだった。
「さあ、頼んでいたことはしてくれました?」
「ああ、『二段』や『三段』に至る『狂竜化』したもの達は転送魔術を込めた魔道具で送っておいた」
「!?・・・守るべき龍人を魔国に売り渡したのですか!?」
「流石に龍巫様が本気を出されてはおしまいだからな・・・人質だ」
「それに龍になれなかったとはいえ才能ある個体ですからね。いい戦力になります。」
「・・・・・・お前ら」
インモラル達へ強烈な殺気を龍巫様はぶつけている。
口調もいつもからは信じられないほど荒々しい。
しかし彼女は一呼吸置くと全てを一度置いておいた。
「圧龍、影龍・・・あなた方に戻る地はありません」
「「・・・・・」」
「そういうことなら俺の出番か・・・一匹倒すとドラゴンスレイヤーなら、二匹三匹倒すとドラゴンキラーか?『曇脈・・・
「やめろ!もう一度お前がああなったら私はおお、おかしくなってしまう!」
「ちょ!?シノンさん、あたってますよ!?」
シノンは俺がツバキに触れないようにがっしりと腕を抱え上げた。
そんなに俺に『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』を使って欲しくないのかシノンはがっしりと俺の腕を抱え込んで来る。
むにゅむにゅしてきもちがいいです。
仕方がないので聞いときたいことだけは聞いてしまおう。
「・・・・なあインモラル?」
「なんですか?」
「ソーラはどうしてる?」
「ああ、交渉材料になるので魔国で丁重に扱ってます」
「そうか・・・ちなみに何の交渉材料だ?」
「優先度SSSの方との交渉に、そしてもう一つは・・・ああ、預かってたものがありました」
「・・・手紙?」
桜からほっとした空気を感じながら投げてよこされた手紙を開く。
書かれてることはそんなに多くなかった
―曇の奇術師へ
余ったドン・クラークの龍応石から鋳造した共鳴鋼でもう一本剣を打った。
料金と言ってはなんだが龍巫様に謝っておいてくれ
―オオラ
「・・・・やっぱりひ孫の顔が見たかったのか?」
「ええ、ソーラさんに会わせるといったら簡単に寝返りを約束してくださいました。」
インモラルは龍人の郷で何だかんだで必要な物すべてを手にしてしまっていた。
強靭な『狂竜化』した龍人達
最強の一角を担う龍二匹
そして龍人の郷一の鍛冶師オオラ
勝ったつもりでいつの間にか大事なものほとんどを奪われてしまっていた。
「・・・圧龍」
「ムラサキ的に言う事は無い」
スカイと仲が良かったのか圧龍とスカイが睨みあう。
・・・・何でこうなるかな
「シノン・・・なんでこうなるんだ?」
「それぞれ譲れないものがあるんだろう」
「・・・・そんなもんか?」
「そんなもんだ」
「そういえばなんだが・・・そろそろ離してくんね?なんかしまんないし」
「・・・・やだ」
まさに山場だというのに可愛い女の子侍らせて突っ立ってる俺は非常に居心地が悪かった。
シノンは黙ったまま俺の腕にさらに強く抱き着いてくる。
・・・むにむに感自体は悪くねえけど主人公らしくないので離してほしい。
「イレギュラーさん?」
「・・・・あ?」
龍に乗り飛び立つ寸前インモラルは俺に指さしてきた。
「たとえどんな運命からの刺客が来ようとアンナ様は負けませんから」
「運命の刺客?」
「あなたのようなイレギュラーがいくら現れようとも・・・負けない」
「・・・話聞いてねえ」
龍たちが飛び立つ・・・それを止める者はいなかった。
今回の戦いで亡くなった龍達は無事に転生した。
しかし元々転生してなかった『義龍』と『聖龍』は今回も転生しなかった。
スカイはそれを聞いてもそうか・・・と寂しそうに答え煙をふかすだけだった。
「ふう・・・」
「そんなに美味いのか?」
「吸ってみるかえ?」
「いいのか・・・・・・あっま!?」
「くくく、、、そうじゃろう?」
久しぶりに人の姿になったスカイから借りたパイプを一口吸ってみたが凄く甘ったるくて気持ち悪くなってしまった。
まるで外国のチョコレートみたいな甘ければいいって感じ・・・まっずい
うええとすぐにスカイへ返した。
龍人の郷は新しい土地へ移すことになった。
圧龍や暗龍すら知らない新たな土地を探す必要があるし、転生した龍の殆どが幼龍だったから外に出る必要もあった。
そして
「やっぱり残るのか?」
「ああ、、、戦闘系の二龍がいないのじゃ・・・我が龍人を守らなきゃならん」
「そうか・・・」
それに・・・とスカイは笑った
「お主と旅が出来て・・・にいさまの気持ちがやっと分かれたのじゃ、、、だからもう我儘はいらないのじゃ」
「へえ・・・どんな兄貴だったんだ?」
「いつも大人ぶってて・・・何かに興味を持ったらすぐに外に飛び出してしまうような知りたがりで・・・そして妹の我を死ぬ寸前まで想ってくれていたのじゃ」
「優しい兄貴だったんだな」
「気づいておるじゃろうが・・・あの時黒衣の剣士カラスと共に飛び出してったにいさまの気持ちが分かりたくて、黒衣の剣士であるお主に強引について来てしまった。軽蔑するかえ?」
「ばーか、、、スカイがいなければ俺はずっとココノハ村でアリアのことを引きづってたよ・・・お前が外へいつも連れ出してくれて、、、禁を破って人になってまで俺がパーティー組む手伝いをしてくれたんだ・・・うらむわげ・・・・べえだろ」
涙で視界がにじむ
くそ・・・別れにはなれてるはずなのに・・・
たった数か月のうちにそれだけの感情がスカイに対してあったんだろう
スカイがそんな俺の頭を優しく撫でる
「自信を持つのじゃ・・・お主は我以上に強くなったのじゃから・・・」
「わがっでる・・・・くそっ!」
涙を強引に拭い、涙腺に黒雲を詰める。
いつまでもめそめそ泣いてたらいけねえんだ・・・これからはスカイの分までシノンとサニアを守らなければいけないんだから
「時間が無かったから役には立たんかもしれんが・・・」
「なんだよ、、、今生の別れみたいに」
飛龍の透き通るようなエメラルドの鱗で彩られたペンダントを首にかけてきた。
なんかこれをもらうと二度と会えない気がしたから突き返そうとしたらスカイは首を振った。
「別れの為ではない・・・約束を忘れないためじゃ」
「・・・?」
「にいさまが病で死ぬ間際に我へとカラスの子孫を通して送って来たこのパイプにはこう刻まれておった・・・『龍人達を護れよ、、、そしてずっと笑っておくれ可愛い可愛い妹龍よ』と」
ペンダントをじっくり眺めるとそこにはきれいな文字が彫られていた
「『自分を信じろ』・・・それが俺とスカイとの約束か?」
「お主は強いんじゃ・・・この先いくつも間違えるかもしれん・・・心を折られるかもしれん・・・でもお主をあの時否定した我ですら心酔させてしまうほどの力をお主が持っておる・・・だからお主が一番自分を信じて欲しいのじゃ・・・自分を貫いて・・・そして・・・笑っていてほしいのじゃ」
「・・・・・本当にありがとう、スカイ」
「お礼を言うのは我じゃよ・・・んっ」
「!?」
スカイが俺の額にいきなりキスをしてきた。
思わずポカーンとしているとスカイがにやにやしながら強烈なでこピンを放ってきた。
「いだっ!」
「あとシノンとはまずこれぐらいの優しいキスから始めるのじゃぞ?」
「・・・・るっせえ」
「『風よ』」
強風が巻き起こり思わず目を塞ぐ
もっとスカイを見ていたいのに・・・
それが出来ない
目を開く
スカイはもういなかった
でも額の熱は消えなかったから
また会えると確信が持てた
この三部までで『曇の奇術師編』とさせていただきます。
それに伴い今回の部はエピローグ二つ、閑話も二つとします。
最後までお付き合いいただければ幸いです。




