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異世界でもう一人の俺が暴れすぎてキチガ○と呼ばれている件について  作者: 浅き夢見む氏
第三部:周り全て変わるとして、変わらないものがあるとしたら<曇の奇術師編>
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第3章HURUHATA☆QUESTpart4

朝5時

目が覚めてまず太陽の光を浴びながら鏡の前に立つ

ニキビや隈が出来てないか確認するためだ。

その後は出来るだけ肌に優しい石鹸で顔を洗顔し、リンパ節を軽くマッサージし顔を引き締める。

寝る時だけつけるメガネも外してコンタクトをサッと入れてしまう。


その後は水分補給の為に野菜と果物と水をミキサーにかけたスムージーを飲む。

本によると朝採る水分が体の老廃物を外に出してくれるだけじゃなく、野菜本来の栄養素が肌にいいらしい。

本当はミルクや生クリームを入れないと苦みが強いんだけど、、、太っちゃうし、効果を上げるためには仕方ない。



制服に着替えてからお母さんが起きてくる時間まで保湿パックを顔に貼って足のむくみを取るために足湯につかる

朝練の為に学校へ行く前に時間があるからと、音楽を聞きながら学校の予習をしておく。


「おはよう、優子。よく続くわね、あんたも」

「おはよ~お母さん、お腹空いた。」

「高校生なんだから自分で作れるようになってほしいね、まったく」


朝練のある私の為にとお母さんはいつも早くに起きてお弁当を作ってくれる。

自分も仕事があるのに、、、文句を言いながらも毎日休むことなくお弁当を作ってくれるお母さんには本当に感謝してる。


「ほらほら、、、足湯してないでご飯食べちゃって!」

「はあい」

「「いただきます」」


二人だけの食卓にも、この日課にも随分と慣れてしまった。

時間が厳しいのでさっさと朝食を済ませる。

本当は時間もないしカロリー計算的に朝食は軽く済ませたいんだけど、、、お母さんは許してくれない。

お蔭で早く食べる技術だけは上手くなった。


「ご馳走様!」

「あんた、、、髪梳かす時間の方が朝食とる時間より長いのってどうなの?」

「うるさいなあ、時間ないから話しかけないで!」

「はいはい、、、お弁当はカバンの中にいれてあるから」

「ありがと!」


髪をヘアアイロンで整えて、薄く唇にリップクリームを塗る。

最後に軽く鏡で全体をチェックする。

うん

これなら楓の側にいても恥ずかしくない。


「・・・よし。いってきます!」

「いってらっしゃい」





昔の私はここまで外見に気を使うような人間じゃなかった。

寧ろ小太りでどんくさい子だった。

今は離婚してるけど当時いた父親は本当に酷い人で毎日怯えて暮らしていた。

そんなわけで外見なんて気を使う余裕なんて無かった。


小学校ではブタだのデブメガネとかいろいろ言われた。

物を隠されたこともあった、殴られたこともあった。

でもそんなことが気にならないぐらいその時の私は心も体も疲れ切っていた。


中学校に入る前に両親は離婚し、ストレスの大元がなくなった。

そのせいか太ってた体は中学入学頃にはすっかり痩せてしまった。

とはいえ両親の離婚ぐらいで性根なんて変わらない。

すっかり地味で根暗になっていた私は中学の一年間を一人で過ごした。


私が外見を気にするようになったきっかけはそんなに大したことじゃない。

でもきっかけのきっかけは大したことだった。


中学二年になって学校に通う道すがら近所の治安の悪い学校の生徒が絡んできた。

めんどくさいので無視したら癪に障ったらしい彼らは私に暴力を振るおうとしてきた。

そこで私を助けてくれたのは王子様でもなんでもなく無駄にキラキラした女の子


朝日奈楓だった


彼女はあっという間に周囲の男性全員を味方につけその不良たちをボッコボコにしてしまった。

私はその時は礼を済ませて足早に立ち去ったのだが、朝日奈楓はそれからというものずっと私に付きまとってきた。

やれバスケしようだのやれ一緒に帰ろうだの・・・正直人の視線が痛い。

正直その頃の私にはいい迷惑だった。


地味で可愛くもない私と人気者で可愛くて性格もいい朝日奈楓

不釣合いな二人が一緒にいたら周りが苛立つに決まっている

別に苛めとか苛立ちの視線とかは慣れっこだがうっとおしいものはうっとおしいのだ。

朝日奈楓が悪意を持って私と一緒にいれば自分が際立つからみたいな考えを持っているなら私も皆もここまでは苛立たなかった。

でも彼女は、、、ただ本心から私と仲良くなろうとしていた。


・・・だから私は彼女が嫌いだった







如峰月桜の一日は朝顔さんの鶏より早い強制起床により始まる。


AM4:30 起床?


朝顔さんがカーテンをこじ開き、ついでにと電灯を点け光量をMAXにする。

天然の光と人工光のW光線が直接目に入り暫く


「グワア゛ア゛ア゛アッ、目が灼けるように痛゛いいぃぃ!!!」


・・・ともがいて起床。

視力が良くなり過ぎてるせいで、急な明暗の変化に対応出来なくなってきた。

目が本気で針でも刺されたかのように痛い。


「ちっ、何ふざけてんのよ」

「ア゛ザガオ゛ォ、貴様ァ゛!」

「あ゛ん?」

「はい、起きます!」


・・・コワカッタ


朝顔さんが用意してくれた朝食を二人で掻き込む。

朝顔さんは相変わらず俺にだけ怖いのでスーザ先生や伊月には朝食の時間を強要しない。


「夕飯どうするん?」

「はあ、、、いつも言ってるでしょ!」

「へいへい・・・カツオのタタキにするか、水菜と良く合うし」

「・・・もう行くから」


朝顔さんとの会話は相変わらずこれだけ・・・どこの家もこんなもんなの?

朝顔さんの許可が出ようが出まいが今日の夕飯はスーパーで買ったカツオのタタキでファイナルアンサーだが、朝顔さんの許可が貰えてホッとする料理当番な兄

・・・こんな兄貴他にいるんかね?


AM5:15


だらだらと伊月が起きて来る、ついでにスーザ先生も引きずられるように起床。


「ねむいよ~」

「ほら!休日はゲーム付き合う代わりに朝練付き合ってくれるんでしょう!」

「毎日とは言ってないよう・・・」


二人が庭に行くのを見届けてる頃には家の中でやるべきことは全部終わっていた。


AM6:15


「はあ、、、はあ、、、はあ、、、ありがとうございました。・・・シャワーお先です。」

「あいよ!う~~~ん、いい運動したなあ」


伊月がぼろぼろになってシャワー室に向かっていった。

スーザ先生は汗一つかかずに伸びをしながら食卓に着く。

彼女の前に水を置くとありがとうと言って一息で飲み干した。


「いやあ、才能あるわあの子」

「まあ、俺の銀閃を再現どころか改善しやがるぐらいですからね」


それでも先生に適わないのは単純に先生の強さがおかしいだけだ。


「たまには君も頑張ったら?」

「勘弁してくださいよ、ただでさえ疲れがたまってるんすから。これ以上運動したら死にます。」

「そう言えばだけど・・・あっちの方は改善された?」

「いんや、、、ストレスの量はともかく頻度は意図的に少なくしようとしてますけどね」


今門を潜る回数は二日に一回。

それもストレスがこれ以上加わったらダメそうな日は門を潜らないという徹底ぶりだ。

異世界に行く頻度を下げたお蔭で少しずつ感覚鋭敏化は和らいできてる。

・・・異世界に行くのはソーラのことがある以上やめられないから根本的な解決にはならないが


「そう・・・気をつけなよ?症状が悪化する時は一気だからね?」

「・・・そっすね」


サクラに任せるって言ったんだし、、、俺はこっちでやるべきことをしねえと

スーザ先生と伊月の分の朝食を用意し終えるとジャージ姿の伊月が食卓に来た。

二人が朝食を摂り始めるとそろそろと立ち上がった。


「じゃ、今日は早いし先に行くわ。伊月は、、、無理だし、、、スーザ先生も、、、無理か。食べた後の食器はそのまま置いといてくれ」

「「皿ぐらい洗える(よ)!!」」

「・・・本当にそのままでいいから」


俺は彼女達の家事スキルを一切信用してないのでスルーして玄関を出た。

まだ早朝だし外の空気は寒い。

息を吸って吐いて一息つく・・・

俺の脚はそのまま朝日奈家へと向かった。


「しっし!」

「朝日奈義弟君・・・朝日奈さんに会いたいんだけど?」

「僕の目が黒いうちは楓姉さんと一緒に登校できると思うなよ!」

「どちらかっつうと目ェ血走ってるんだがな?」


朝日奈さんと朝偶然会って一緒に登校する流れに・・・そしてその流れで頼もうかと考えていたら最初から失敗した。

朝日奈義弟がわざわざ朝からご苦労なことに玄関前に立っていて朝日奈家に近づこうとした俺に塩をぶちまけようとしてきやがった。

ピンポン押そうとした瞬間にである。


「朝日奈義弟・・・朝顔もそうだが弟妹ってのはめんどくせえな本当に!大声出すよ!朝日奈さんに言いつけるよ!」


いつもなら焦るところだというのに、、、朝日奈義弟は整った顔でふっと笑う。


「既に手は打ってあるんだよ、、、お願いしまーす!」

「「「「「「「「「「「「「おはよう!如峰月君!!!」」」」」」」」」」」」」

「朝日奈親衛隊!?」


ずらららららららららららと朝っぱらからご苦労なことに朝日奈親衛隊がむさむさと並んでいた。

何故か彼らの手には凶器が並んでおり、笑顔は取ってつけたかのように皆同じムキムキスマイルだった。


「ある匿名の方からお前が朝日奈楓を自分のハーレム生徒会に入れようと画策しているという情報が入ったんだよ!」

「あの候補者№3め!」


きっちり報復してきやがった・・・・御曹司でイケメンで温室育ちの逆ハー要員のくせにやることがちっけえんだよ!

同じく逆ハー要員の義弟君はハ~っハッハッハとムカつくぐらい高らかに笑う。


「絶対に楓姉さんとは会話させないぞ!さあ親衛隊の皆さん!お願いします!」

「「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」」」」」」」」」

「ちくしょう!おぼえてやがれ!」


結局朝のホームルームまで逃げる羽目になった


AM12:00


休み時間に移動教室すべての会話できそうな時には必ず誰かの妨害があった。


一限と二限の間には逆ハー要員の御曹司イケメンが

「ぷ~くすくす。ねえ今どんな気持ち?どんな気持ち?」

と聞いてきたから朝日奈親衛隊と一緒に〆ていたら時間になってしまったし


二限と三限の間の休み時間にはロリショタ王子が朝日奈楓にべったりで話しかけられる雰囲気じゃないし


三限と四限の間の休み時間は移動教室でマークが薄くなるかと思いきや朝日奈親衛隊が常に護衛についてるし、そんな中でも幼馴染系イケメンがフレンドリーに朝日奈さんと喋ってるもんだから声をかけるに掛けれなかった。

だが、、、昼休みは丸々一時間ある!

勝負するなら、今でしょ!


と思ったら秀才イケメンと約束があるとかでどっか行ってしまった。

もう、、、何なんだよほんとに!


PM12:10


「はあ・・・」


ここまで朝日奈派の本気マークがうっとおしいとは思わなかった。

教室は朝日奈親衛隊の目線がうっとおしいから戻ってない。

朝顔さんが毎月の不機嫌な日に当たってしまったため弁当は無く、購買でパンを買いに来た。


「「あ」」


前にもこんなことあったな・・・白凪優子とばったり出くわした。

クラスが違うからなかなか会うことが無いのでしゃべるのは文化祭以来だ。


「如峰月、、、あんたまた購買パン?」

「白凪こそ、、、購買パン?」

「あ、あの時はおやつが欲しかったから!普段は弁当だっつの!」


白凪の手には小さな小ぶりの弁当箱があった。

どうやら飲み物を買いに来ただけらしい。

それなら前みたいにパンの奪い合いなんて喧嘩にもならないだろうし・・・よかった。


「そっか」

「そうよ」


特にしゃべることもないのでそれぞれ買い物に向かう。

俺はコーヒー牛乳と惣菜パンを四、五個適当にチョイスする。

・・・いっつも思うけど何で学校の購買ってメニューがあまり変わんねえのかね?

納豆ちくわパンが季節限定として出てるが確か六月にも季節限定として出てた気がする。

てか、どこに季節を感じればいいのか・・・古畑さんに頼んどくか

・・・とそんなことを考えていたらレジを待つ順番でまた白凪と鉢合わせした。

なんか前にもあったぞ?これ・・・


「なんなの?俺のこと好きなの?」

「なんでそうなるのよ!」

「だってジュース一本選んでるだけなのに何で俺と同じだけ時間かかってんだよ?」

「いつも飲んでる紅茶が見当たらなかったから探してたの!」

「へいへい・・・」


口喧嘩するのは相変わらずである。

折角仲良くなれそうなのに口喧嘩これ以上したらまた元に戻っちまう・・・

会計をさっさと済ませて白凪に手を振った。


「じゃあな~」

「じゃ!(怒り口調で)・・・・・・ちょっと待って(かなり蒼白な声)」

「・・・まさか」

「・・・財布忘れた」


どこまで前と同じ流れに持ってくつもりだよコイツは・・・・



折角なのでと二人で屋上に出た。

今日は朝日奈親衛隊のせいで学校全体がピリピリしてるからか教室の外で日向ぼっことかいう気分になる人があまりいないようだ。

いつもは人でいっぱいの屋上は人が全くおらず、特等席を取れたかのような得した気分だ。


「・・・なんで一緒に食べなきゃいけないの」

「いいじゃん、教室戻りにくいんだし付き合ってくれよ」

「まあ、、、飲み物奢ってくれたんだし文句言えないけどさ」


日光が当たる心地いい場所にドカッとすわると、白凪が仕方ないと俺の横にちょこんと座った。


「「いただきます」」


もう秋だからか・・・ここから見える景色は赤と黄色に染まっていた。

女の子と一緒にだらだらと食事を摂ってると、、、なんか喋んなきゃいけない気がする。

・・・てか俺が誘ったんだから俺がしゃべるべきだよな。

白凪をチラッと見ると彼女はじいっと俺を見ていた目をサッと逸らした。


「あ~、弁当うまそうだな。男の俺には量は少ないけど」

「・・・パン一つ」


話題に困ってしまった時は食事の話でもするべきだ・・・うん。

彼女の膝に乗っている赤色の手の平サイズの小さなお弁当を指さした。

白凪は弁当を顔を逸らしながら差し出してきた。

・・・ああ、メロンパンを差し出せばおかず一品くれるってか


「ほい」

「ん・・・」

「・・・白凪が作ったの?」

「ん~ん、お母さん」

「へえ、、、母の味か・・・」


卵焼きをひょいと口に運ぶ、、、甘いタイプの卵焼きか

・・・スーパーの卵焼きって、皆出し巻きでしょっぱいからこういうのって本当に家庭の味だな。

朝顔さんが作る弁当は基本冷凍食品ばっかなので本当に久しぶりに食ったなあこういう味・・・


「美味いな・・・」

「そ、そう」

「うん、美味い」

「・・・もうひとつどう?」

「パンと交換で?」

「・・・あげるよ」


白凪から恵んでもらったおかずを噛みしめながら白凪を見ると彼女はもう食べ終わりかけていた。


「おいおい、、、もう食い終っちまったの?やっぱ量少なくない?」

「男と違って一日の摂取カロリーが違うの」

「摂取カロリーって・・・そんな気にするもんなのか?」

「太りたくないからね」


太りたくないって・・・胸はともかく彼女の体は十分細い。

どんだけ気にしてんだよ。


「そんなに気になるん?」

「一キロ太ると顔の形が随分変わるのよ?」

「へえ、、、少しぐらい太っても白凪は可愛いと思うけどな?」

「はあ、、、他人事だと思って」


白凪は俺の軽口にため息をつくと、メロンパンをちびちび齧り始めた。


「楓の友達ってだけでいろいろ大変なんだから・・・」

「ああ、なるほど・・・」


周りからやっかみの視線とか受けないようにする一番手っ取り早い方法は朝日奈楓に釣り合う人間になることだ。

かつて俺が彼女に最も近い存在になるために闘っていたように、彼女もまた現在進行形で闘っているんだろう。

何となく白凪のたまに俺に出るがるるるって態度はそっから来てるんかもな。


「朝日奈楓の側にいるためか・・・いつからあんなに近づきにくくなったのかねえ」

「『友達』になったんじゃないの?なんでそんな疲れて顔してんのよ」

「・・・物理的に近づけねえの」

「物理的って・・・なにそれ、ふふふっ!」

「はっはっは、、、だよなあ!」


面白いことなんて何もないそれなのに俺も白凪も可笑しくて笑ってしまった。

友達と話すだけで周りが邪魔してくるなんて普通ねえよな・・・

でもそれが実際に起こってしまう。

漫画みたいな、、、小説みたいな、、、こんな馬鹿げた状況を高校生二人が真面目な顔して悩んでる

そのことがただただ可笑しかった。


「今日は特に楓の周りが騒がしいけど如峰月が原因だったんだ、、、何したの?」

「ああ、、、生徒会誘うつもりでね」

「ゲ・・・本気?」

「しょうがねえだろ!後二人必要なんだからさあ!」


白凪が本気かコイツ・・・みたいな目で見て来る。

過労死と引き換えに諸刃の剣を抜くしかなかったんだよ!

だって集まんねえと英語の怪しい成績について職員会議開かれるし!

○研ゼミを丸々試験問題として出したことは絶対にバレてはいけないことなのだ。


・・・てか○研ゼミを今回は学業目的で使ってるとはいえ盗作するとどこでも大変なんだからね!

特に○説を読もうの盗作による日経平均BAN率すごいんだからな!

盗作だって分かったらでも二次創作でもなんでもかんでも簡単にBANなんだからな!

日間1位でも富士○書籍化でも何でもかんでもスイッチ一つなんだからね!

とにかく何でもかんでもパロには『ピー!』を入れよう!

とにかく皆さんも気をつけましょう!


なにいってんだか・・・


「つーわけで、いろいろ大変なわけなのよ。」

「取り敢えず運営さんいろいろ忙しいのにごめんなさい。」

「何言ってんだ?」

「いや、、、何となく・・・」


白凪が遠い所に頭を下げるのを何やってんだかと眺めているとそうだと一ついいことを思いついた。


「なあ、朝日奈楓が生徒会に入るように説得してくれたりとかは・・・」

「いや」

「・・・だよなあ」


白凪優子は朝日奈楓が離れていくのを嫌がる。

朝日奈楓が生徒会に入ってしまえば白凪優子から朝日奈楓がいなくなってしまうことになる。

それを、、、彼女は認めないだろう。

ダメ元で聞いたとはいえしょうがないかあ・・・おr


「じゃ、私は行くから」

「あ、ああ」


白凪優子は立ち上がるとスカートについた汚れをぱっぱと払った。

そして飲み物を俺の眼の前でふるふると振った。


「これご馳走様。」

「いんや、いいよ。男ってのは奢るもんだ。」

「・・・そう」


白凪は立ち上がろうとする俺を待つことなく出口へと歩き出した。

・・・俺も教室戻るか


「如峰月」

「・・・ん?」


白凪が入り口付近でくるっと振り返って俺を見た。

その顔は少しだけ朱かった、、、感情を隠そうとして失敗してるのか少し不機嫌そうにも見える。


「楓はいつも閉門時間ぎりぎりまで練習してるから」

「なら待ってる間一緒にいてくれたりしない?」

「いや」

「・・・だよなあ」


白凪はべーっと舌を突き出してくるとタッタッタと屋上を去った。

・・・本当に可愛いなあ、外見も内面も。


PM8:15


すっかり暗くなった。

異世界で行くとしてもこんな時間まで残ることはない。

人気がほとんどない体育館にはまだ灯りが燈っていた。


「体育会系だなあどこまでも」

「・・・如峰月君?」


彼女は正しいと思えることならどこまでもまっすぐに努力出来る人だ。

もう皆が帰ってしまうような時間なのにひたすら彼女はボールをついていた。

俺が体育館に入ると、朝日奈さんはボールを床に置いて首を傾げた。


「なにしに来たの?」

「まあ、、、勧誘にね?」

「勧誘・・・部活は間に合ってるよ?」


朝日奈さんは自主練終えるつもりだったのかモップがけをし始めた。

こんな機会もうないと慌てて手伝いながら事情を彼女に全部説明した。

朝日奈さんは時折ふーんと頷きながらもくもくと作業を続けた。

俺が全部話し終えると彼女は俺の方を呆れた視線で見た。


「つまり副会長したくないから生徒会に入って欲しいって?」

「・・・すいません!」


だよなあ、、、自分勝手すぎよな

部活をここまで頑張ってる人を俺は何で自分の事情に巻きこもうとしたんだろう。

朝日奈さんは黙りこくってしまった俺を見てため息をつくとちょっと待っててと言ってどっかへ行ってしまった。

しばらく待っていると体育館の電灯が消され、制服姿の朝日奈さんが駆け寄って来た。


「折角だし一緒に帰ろうか」

「・・・あ、ああ」


駅まで歩く道すがら特にしゃべることもせずゆっくりと帰る。

なんだろうな、、、こういう時間が物凄く落ち着く。


内申?推薦に有利?先生や周りからの評価がよくなる?

そんなもの朝日奈楓には必要ない。

生徒会が忙しいからと部活を休んでも周りがとがめない?

そんなこと朝日奈楓は許さない。

学校を自分の好きなように動かせる?

それがしたいなら朝日奈楓が会長になればいい。


「・・・一緒に帰れただけでも十分か」

「え?」

「なんでもない」


電車に乗って一駅二駅。

朝日奈楓がぽつりぽつりと今日のことをたまに口にして俺が相槌を打つ。

・・・こんな小さなことがただただ楽しい。

気付いたら異世界行った時と同じくらい時間がたってたかと錯覚するぐらい時間が経ってた気がしたけど、、、時計を見るとそんなに時間は経ってなかったし朝日奈さんの家はもうすぐ側だ。


「じゃあ、明日」

「・・・ああ」

「そういえばだけどさ」

「・・・ああ」

「生徒会手伝いみたいな役割でいいならいいよ?」

「・・・あ?」


朝日奈さんは髪を弄りながら照れている。


「なんか頼られたの久しぶりだし、、、今度の生徒会楽しそうだし」

「・・・名前貸してくれるってこと?」

「友達の頼みだしね」

「そっか、、、最初からそれだけで良かったか・・・」

「そうだよ」


朝日奈楓がどうせまた難しく考えてたんでしょと笑いをこらえながらそう言う。

頭を掻いてその通りだなと答えるしかない。

じゃあよろしく、任された・・・と家の前で別れた。


「おお、、、なんか生徒会纏まってきてね!?」


生徒会長 古畑真琴

生徒副会長 新聞佑 山梨小陽

生徒会会計 伊月葵

生徒会書記 『』

生徒会庶務 如峰月桜 朝日奈楓


・・・こんなもんか?

後埋まらない一つの枠も寄って来た蛾を引っ掴めばいいだろうし、、、こんなもんか?

でも、、、なんか違う気がする。

妙な違和感を覚えつつ、家の中に入ろうとして・・・振り返った。

白凪が立っていた・・・そっか、、、何となくこうなると思ってたんだよ。


白凪優子は必ず俺の前に立ちはだかるだろうって


だって・・・こいつあの時のぶち切れる直前の伊月と同じ目をしてるんだもん。


何をしに来たのかも何で彼女が俺の前に立つのかも分かっているのに俺はわざと何しに来たんだ?と聞くことにする。


「・・・こんな遅い時間にどうしたんだ?」

「認めない・・・」

「認めさせてやるよ。白凪は俺の友達でも、朝日奈さんの友達でもあるんだから」

「楓が誰と仲良くしようが、如峰月が誰と仲良くしようが私に関係なければそれでいい・・・でも二人が仲良くなりすぎるのは、、、やっぱり我慢できない。」


生徒会入りすることで、、、朝日奈楓が遠くに行ってしまうっていうのが気に喰わないんだろう。

だから、、、朝日奈楓の友人として心から協力できないと宣言しに来た。


「別に邪魔するつもりもないし、何も変わらないよ?でも、、、心から賛同することはない。」

「・・・なるほどねえ」


朝日奈さんにも俺にも効くやり方を選んできた・・・流石白凪だ。


「言いたいのはそれだけ」

「うん、じゃあな」

「・・・」


白凪は笑顔で手を振る俺を怪訝そうに見て立ち去った。

『心から』賛同しない・・・ね。

あの時朝日奈楓と話せる時間を作ってくれたのはあくまで借りを返しただけってか。

これからは友達として・・・朝日奈楓や俺の生徒会活動は手伝わないってか。

頼まれても自分の勉学や部活が忙しければ断るぐらいに優先順位を低く見るってことか


「・・・まいったな」


俺や朝日奈楓はそんな単純なことを難しく考える。

そして、、、生徒会入りを後悔するだろう。

たった一人の簡単な行動・・・それだけに致命的だ。


「すんなりいかない方がしっくりきてる・・・」


二度と伊月みたいな失敗はしねえさ・・・

白凪の心が疲弊して爆発する前に、、、決着をつけてやる。


朝日奈楓の生徒会入りを

認めさせてやる

心から納得させてやる


騒がしい家の中から明るい伊月葵の声が聞こえて来る。

・・・白凪を絶対にあの時の伊月みたいにしちゃあいけない。

そして急いで手を打たなきゃならない。


白凪の心のタイムリミットはもう限界間近なんだから。

次回から第4章『聖女と騎士と勇者』

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