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異世界でもう一人の俺が暴れすぎてキチガ○と呼ばれている件について  作者: 浅き夢見む氏
第二部:激昂する乙女は剣と舞い、狂う咎龍人は最愛を想う<曇の奇術師編>
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第4章サクラと嫌われ者ドン・クラークpart1

牢獄にいる事、それはある意味労働

魔法がもし現代にあったとしたら


この普通は有り得ない話題は意外とどの研究分野でも研究されていたりする。

特に法分野では魔法の存在あるないのどちらにも関わらず一つの結論が出ている。


『んなもんでたらお手上げ』


犯罪ってのは人が法に定められた行為に違反した場合のみを取り締まるものだ。

魔法を使う事なんてそもそも想定してない、違反したかどうかの基準もない。

そもそも基本的に動機、証拠がなければ逮捕することも出来ないし、魔法なんざ使える人を牢獄に収監なんて出来るわけがない。

もう、法治国家にとっては厄介ものとしか言いようがない。


まあ実際ここは異世界なんだからある程度は何とかなる。

たとえば、魔法を使ったかどうかは魔力の残り香と残った魔力の魔力紋から誰の魔法かの特定が出来る。

そして牢獄は、、、特殊な土地を用いれば人の収容が可能になる。


「お、、、重い、、、」


そんなわけで俺は魔法が使えない特殊な土地、煉獄山の監獄で労働に励んでいた。

この土地は外に出た魔力をただの空気中の魔力と同じものにしてしまう特殊な土地らしく、俺の『曇の魔術』は全て使用不可能になっていた。

『黒曇衣≪コート≫』も当然使えないので、身体能力も素のまま。

ぶっちゃけ、役立たずといってもいいぐらいだ。


『黒曇衣≪コート≫』が普段着になりつつあったので、服もないからと囚人服を着て労働に励んでいると目が段々すさんできてしまう。

ほんと、おれ、なにしてるんでしょう?


そんな俺の前を筋骨隆々の男が俺の四倍の量の荷物を運んでいる。

二年も牢獄で暮らしてるっつうのにどうして、こんなに衰えが見えないんだ・・・

俺が両手でも必死な荷物を片手で二つは担いでる。

化けもんだな。


「なんだあ?この程度でへばりやがって・・・あんときの目はどうしたあ?」


振り返りざま俺の様子を見て、ドン・クラークは呆れた声を出す。

俺は荷物をぐいっと担ぎ直してから抗議する。


「魔力を使わない肉体労働は苦手なんだよ・・・『黒曇衣≪コート≫』出せないし」

「お前・・・本当に大丈夫か?俺の護衛になるのかお前?」

「・・・多分、大丈夫じゃないかと」

「しょうがない。ばてられても困るし、休憩すっか。おい、お前ら。これ頼むわ。」

「「「「「「ういっす!」」」」」」


ドン・クラークが声をかけた瞬間、どこからか強面の方々が大量に集まり俺とドン・クラークの荷物をパパッと持って行ってしまった。

・・・刑務作業って人に勝手に任せていいものなのだろうか?

そんな疑問を持ってしまったが、取り敢えず厚意に甘えて休むことにしよう。


ドン・クラークが建物の陰に座り込むので俺もそのそばに座る。

ドン・クラークは本来持ち込めるはずがない嗜好品のタバコを一本取り出すと俺の方を向いた。


「おい、赤玉貸してくれよ。火種がねえんだ。」

「いや、一応アンタの護衛の為に職員から借りてるもんだからな?」

「いいじゃねえか。まだたくさんあるだろうしよ。」

「・・・まあ、赤玉ならいいか。使わないだろうし。」


俺は囚人服の腰にあるポーチからビー玉サイズの赤い玉を取り出すとドン・クラークに手渡した。

ドン・クラークは赤い玉をもらいざまに宙に放り投げると、口に煙草をくわえたままタバコの先をジッと擦りつけた。

すると、赤い玉が一瞬のうちに発火してタバコに火が付いた。

赤い玉はそのまま宙に浮いたまま、手のひらサイズの赤い炎となりそしてすうっと消えていった。


「刑務官は便利だよなあ。こんな道具持ってんだから。」

「結構高いらしいけどね。」


流石に刑務官まで魔法が使えないとなると囚人の管理が出来なくなり、煉獄山の治安が悪化してしまう。

こうなることを防ぐために開発されたのが俺のウエストポーチにも入っている『魔法玉』

自然界の魔力と摩擦というアクションによって外的効果を出すように作られた魔道具だ。

自然界以外の魔力さえ混ざらなければいいので、この『魔法玉』だけは発動可能なのだ。


玉の種類は四種類

摩擦により発火させる赤玉

水流を発生させる青玉

強烈な光と音を出す白玉

人間の筋肉を刺激して一時的に強化する黒玉


まあ、まとまりも指向性もない自然界の魔力を使うものなので、規模は発動級にも劣るシロモノだ。

それでも、この魔法が使えない環境下ではとても貴重なものだが。

俺がこれを持てるのも、護衛という立場があるからだ。


「てか、お前も黒玉使えばいいじゃねえか。じゃねえと大変だろ?」

「言っただろ?護衛用に預かったもんだからおいそれと使えねえって・・・いざという時に足りなかったらどうすんだ」

「かっ、真面目だねえ・・・」


ドン・クラークはタバコを燻らせながらカッハッは!と特徴的な笑い声を上げた。

豪快な奴だと思いながら、俺も水筒の水に口をつける。

・・・魔法使えば冷えた水を取り寄せられるのに。


「坊主、お前は不思議な奴だなあ・・・冒険者の常識も分かってねえくせに、仕事は真面目なのか。青玉使やあ、いつでも新鮮な水が飲めるだろうに。」

「魔法玉は使わないよ・・・冒険者の常識?なにそれ?」

「知らなかったのか?道理でなあ・・・いいぜ、先輩として教えてやるよ」

「先輩ぃ?あんた、冒険者だったのか?」


俺が思わず変な声を上げてしまうと、ドン・クラークは大笑いした。


「そりゃそうだ、あんま知られてないが俺はフリーギルドの代表をしてたからな!」

「フリーギルド?」

「公営ギルドに所属している中で、更に別個の私立ギルドに入ってたんだよ。」

「なんでそんなこと?」

「公営ギルドと対抗する勢力が欲しかったんでな。自分で造ることにしたんだ。俺に影響されてフリーギルドを作ったやつらは公国内には一杯いるぜ。で?常識に着いてだが・・・兵装についてだな。」

「兵装?」


俺の普段の兵装といえば、、、

魔装加工された貴族が使うような過剰装飾のレイピア

魔法鞘 『七番鞘・常識外』

旅人の服的なもの + 『黒曇衣≪コート≫』

って感じかなあ

今は全て職員に預けるか、使えないかだが。


「普通、冒険者の前衛ってやつは全身鎧に盾一つぐらいは持つもんだ。お前は装備は布だし、剣はほっそいレイピア・・・しかもパーティーはお前以外女。正直、舐められちまうぞ?」

「っても、『黒曇衣≪コート≫』は並の全身鎧よりも強いし軽いからなあ・・・身体強化もしてくれるし」

「そのせいで周りに舐められちまっては本末転倒じゃねえか。冒険者でも、囚人でも周りに舐められちゃやってられねえぞ?」

「んんん・・・・確かに」


周りに尊敬されるようになれば、冒険者としての活動はやりやすくなるだろう

仕事の融通とか、レイドヲ組む際の交渉とか。

まあ、考え解く必要はあるか・・・


「あと、お前が持ってたド派手な剣。あれ冒険者間では大丈夫かもしれんが、貴族間では失笑もんだぞ?」

「え?」


ドン・クラークはどうせ知らないだろうがといいながらも続ける。


「シークレットブーツとかシークレットコッドピースみたいなもんで、自分の魔力を大きく見せたいから持ってるシークレットソードってやつだぞ?どうせ流れ品を手に入れたんだろうが、誰も教えてくれなかったのか?」

「・・・アリアあああああぁぁぁぁぁぁァァァァッツ!!!」


あいつめ・・・

絶対に知ってて、俺にこの剣を持たせやがったなあ・・・

股○や身長などのコンプレックス的なもんを隠す道具かよ、あれ!?

確かに魔道具としては優秀だが・・・男性的に何か負けた気がするっ!!!


「まあ、、、これまで不自然さを感じることなく使えたってことは、最低限、実戦で使えるように大量の金はかけてあったんだろうさ。」

「くそう、、、アリアめえぇぇぇ・・・・ぜってえに会ったら尻ぺんぺんしてやる・・・」

「眼に恐ろしい程の力が戻ってきやがった。・・・何て奴だ。」


あの史上最悪の凶悪犯とまで言われたドン・クラークにドン引かれているんだが、どうすればいいかねえ?


再び活力が戻ったので、ドンクラークと労働場所に戻る。

ドン・クラークが戻ると失礼します、旦那!と今まで仕事をしてくれたチンピラ共が去っていく。

嫌われ者・・・って言われているはずなのに意外と懐かれてんなあ。


「嫌われ者・・・って言われているはずなのに意外と懐かれてんなあとか思ってねえか?」

「・・・あんたの性格が悪いって思ってたところだよ」


ドン・クラークは不思議と軽口を叩きやすい。

アリアとは違う安心感を与えてくれるし、いつものパーティーたちとは違った親しみがある。

ドン・クラークは俺の軽口に変な笑い声を上げると、再び荷物を指定の場所に運び始めた。

結構離れた場所まで運ばにゃならんので、必然的にこの煉獄山の監獄内を大体は回る羽目になる。


どうやら土に魔力を自然魔力と同じものにする効果があるらしく、山の内部をくりぬく形で監獄は作られている。

とはいえ、窓は多めに作られているのでそれ程息苦しくはない。

山の中心に行けばいくほど、魔力干渉が大きくなるので極悪人は当然中心部に閉じ込められる。

中心部では流石に日の光は届かないが、魔道具で水道から換気、更には電灯っぽいものまで整備されているので、寧ろ清潔なんだがね。


何故知ってるかって?

ドン・クラークが極悪人だからね・・・俺もそこに住む羽目になっている。

中心部から外に向かえばまず辿り着くのは管理エリア。

中心の極悪人を絶対に逃がさない的な気合を感じる。


そして、外縁部は軽犯罪者エリア。

窃盗などの軽い罪の人間が中心となっている。

ここまで来ると、意外なことに賑わいが出てくる。


俺達と同じように刑務作業に励む者、ちょっと運動している者、賭けごとや読書などしている者。

中心部の人間は殆どが牢の中での生活なのに対して、ここらの人間はある程度の自由時間が与えられている。

ある程度の自由と日光が与えられている為か、表情は非常に豊かだ。


ドン・クラークが現れたのを見つけた瞬間人々の顔は様々な色を浮かべる。

貴族がっ!と憤怒の表情で睨みつける人間。

最高の悪だと尊敬の視線を向ける人間。

素晴らしい政治を行っていたのに何故と悲しむ人間。

無関心な人間が一人もいない。

誰しもが好意的な視線を向けるかそうではないかの二択でしかない。


「俺は巷では史上最悪の凶悪人とも、最高の治世者とも言われてるしな。様々な評価を与えられてるんよ。」

「・・・どっちが本当のアンタなんだ?ドン・クラーク?」

「ガッハッハッは!お前が決めろ!サクラ=レイディウス!大事なのは周囲の評価ではなく、自分がしたいことをを出来たかどうかだ!」

「・・・ふーん。」


ドン・クラークがどちらの人間なのかは分からない。

ただ、今重要なのは・・・荷物が重い。


「おいおい、大丈夫かよ?魔力操作による身体強化しとけよ。体の内側までは中心部に行かなきゃ流石に影響でねえし。」

「はぁはぁはぁ・・・視界が確保できない体の内部での細かい魔力操作は・・・苦手なんだ。」

「『外装型身体強化』に特化してんのか、、、体の負担は少ないかもしれんが、コスト的には良くないぞ?上級者冒険者クラスには魔力の流れも読まれてしまうし、『内部活性型身体強化』もやっとけ。なにより、今の労働も楽になるだろうし。」

「そうだな・・・全身鎧買う時に練習しとこっかな。」

「いつになるやら・・・」


ドン・クラークがやれやれだぜと首を振り、歩むスピードを速める。

・・・やっぱ、クソ意地ワリィ。

筋肉痛覚悟で俺もスピードを上げた。


食事自体は配給しやすいからと大体は管理エリアで食事を取らされる。

俺とドン・クラークも同じく管理エリアまで行くことになる。

そんな感じなので、昔は売名行為の為にドン・クラークに喧嘩を売る奴がいたらしい。

・・・もちろん、魔法も使えないこの筋肉だけの勝負。

ドン・クラーク強すぎ無理ゲ・・・である。

今では、慕う人間しか集まらない。


「旦那、献上しに来やしたぜ!」


妙に頭がキラキラした禿げた職員の中年男性が近づく。

彼はいつも通りドン・クラークの横にすり寄ると彼の手にタバコを手渡す。


「いつも済まねえな、ピカオ。」


ピカオと呼ばれた小太りの男性は周りの囚人の目を気にすること無く彼の隣に座る。

ドン・クラークは彼に気を許しているのか、普段は見せない柔らかい笑みを向けている。

聞いたところによると、伯爵時代の側近の一人だったとか。

今では立場は逆転していてもこうして世話を焼いてくれているとも。


「これはこれは冒険者殿。今日もご苦労様です。ここの飯は口に合いますかな?」

「あ、ども・・・旨いです、普通に。」


牢獄にしては、普通にパンと肉とスープがついてる。

ぶっちゃけ、旨いとしか言いようがない。

公国って意外と経済的に余裕あんだなと思い知らされた瞬間だった。

刑務作業はきついが。


「この牢獄の清潔さも食事の質の高さもドン・クラーク殿の発案のお蔭なんです。」

「・・・まじすか?」

「自分で造った飯を自分で食うようにできりゃあ、実質的なコストは意外と下がるからな。それにあんだけ働きゃ、反抗の意思もおきんからな。」

「おかげで、囚人たちもこれまで不満による暴動を起こしたことが無いんです。」


・・・出来過ぎてんな。

ドン・クラークって庶民の出にしては、大局的な視点に優れすぎてる。

まるで、何度も政治に関わったことがあるみたいだ。

ピカオさんは、頭を逆光でぴからせながらドン・クラークにすり寄る。


「残念ではありますが、残り数日は出来る限りの援助を行わせていただきます。」

「おいおい、縁起でもねえこというなよ・・・世話にはなる」


そういってドン・クラークがバンと強くピカオさんの背を叩くと、彼は感涙にむせび泣きながら去っていった。

うん、過剰すぎてちょっとうざい・・・

彼のどしっどしっと走っていく姿を眺めながら、勝手に赤玉を使って火をつけた。

彼を睨みつけながら、話を切り出す。


「ピカオさんって、忠誠誓いすぎな気がして心配な気が・・・」

「ま、それはあいつも自覚してるだろうよ・・・あいつもガキじゃねえんだ。自分で折り合いつけるだろうよ・・・ま、あいつの家族が心配ではあるが」

「どういうことっすか?」

「アイツ、家族を放り出してこの仕事についてんだよ・・・金だけは送ってるらしいが。」

「それは、、、ヤバいどころじゃ・・・」

「一番心配なのは、、、俺が死ぬ今、、、バカなことしなけりゃいいがなあってところだ。」


ドン・クラークの表情はまさしく心配している表情だった。

そっか、そういう人間なんだな。

なんとなくそんなことを理解できた。


ギャングでも仲間は大事にするっていう感情があるように

ドン・クラークもそういう感情はあるんだろう。

ドン・クラークは俺の生暖かい視線を見て、むず痒そうに顔をしかめた。


「そういや知らないと思うから教えてやるよ。中級冒険者ともなると最低クラスとはいえ自分の本属性にあった武器を装備する。それが常識なんだよ。外見上はカモフラージュするのも常識だがな。」

「う~ん、考えときます・・・」

「どうした?金がないのか?」


まあ、隠すつもりもないしいいかな?

相談できる人間もそうはいないし。


「いや、金云々というか、、、俺の本属性は曇なんで、曇属性の武器が無いんですよ。」

「くも・・・?なんだそりゃ?空に浮かんでる、、、あの雲ぉ?・・・固有属性か」


きょとんとした顔でドン・クラークは聞いてくる。

滅多に驚かなさそうな彼がこうも驚くとは・・・相当珍しい属性らしい。

ドン・クラークはそのまま渋い顔へと移る。

彼はその顔のまま、言葉を選ぶかのように慎重に話し始める。


「もしかしてお前、種を埋め込まれた感じか?」

「・・・知ってるんすか?」

「人に自然属性である『火、水、風、土、闇、光』そして、そこからの派生属性の『氷』など・・・そこから外れるものは『種』によってしか生まれないんだよ。」

「・・・つまり、かなり珍しいってことすか?」

「珍しいどころか、その属性を持つ人間が一人国に現れるだけで災害並の被害が起こるなんて言われてるぐらいだ・・・」

「災害・・・」


そういえば、俺のステータスに『災害指定生物』なんて表示が出てたような・・・

確かに、種を飲んだばかりでもあれだけの被害が起きたんだ。

・・・危険すぎるって考えは理解できる。


「噂によると、現在分かっている種による固有属性は帝国の『雷』、王国の『獄炎』、後は一時期大量発生した『病』か・・・あんときは大変だったな。『病の種』の本質能力を持つ者は討伐できたが保有能力者があまりにも多すぎて、管理しきれなかった。」

「どうなったんすか?」

「冒険者時代に援軍に行った時の話だからな・・・噂によると拒否反応がでて、暴走。全員自滅したとか。お前も気をつけろよ?」

「あんの腹黒敬語娘ェ・・・何て危険なもんを。」

「もしかして、種を飲んだ時も適性がなければ死ぬかもしれないことは「アリアァァァッツ!」・・・しらないみたいだな。」


お尻ペンペン決定です!


「まあ、落ち着けよ・・・取り敢えず曇属性については種による固有属性であることさえ黙っとけば問題はない。けど、問題は本属性に適性のある装備はないだろうなあ」

「ぺん、ぺんっ!ぺんぺーんっ!超ぺんぺーん!泣いてもペンぺーんッ!公衆の面前でぺんぺーん・・・ぺーんッツ!!!」

「・・・イメトレは終わったようだし、アドバイスを一つだけしといてやる。」


俺がアリアの『征服』イメトレを終えてから、ドン・クラークは話を続けてくれた。


「共鳴鋼で龍人の郷で剣を打ってもらえ。」

「共鳴鋼?」

「使う人の魔力紋に完全に合わせた鋼だ。これを使った武器はとんでもないほど高性能で、使用者が特殊属性だとしても完全に適応する。ただな・・・製法が特殊なんだよ共鳴鋼は。」

「龍人の郷に行くのも遠いってのに・・・どうすりゃいいんすかね」

「さあ、共鳴鋼の原料である物質は教えてやってもいいんだが・・・見定めてえな」


ドン・クラークは意地わるげに微笑む。

・・・教えてもらってる立場ではあるが、ムカつく。

取り敢えず、赤玉を一つ彼に手渡しておく。

彼はそれをニヤニヤしながら、サンキュと受け取ると口を開いた。


「ある原料は共鳴鋼の中心的なもんでな。使用者の魔力を染み込ませるために最低でも一か月以上は持ち歩かなきゃいけねえんだ。そして、その原料は普通は手に入らない。龍人の郷に行かなきゃ・・・な」

「あんた・・・結局ぼかしまくりじゃねえか!」

「ガッハッハッは!冒険者だったら自分で調べるんだな!なあに、緑髪の嬢ちゃんならある程度は分かってるだろうよ!」

「・・・ん?スカイが龍人の郷関係って話したっけ?」


別に隠してるつもりはないが話した覚えはない。

ドン・クラークはその質問に寂しげにほほ笑んだ。


「ちょっと、昔な・・・」

「へえ・・・」


もうすぐ死ぬ人間に聞くべき話題じゃなかっただろうか?

つい普段の口調に騙されてしまうが、彼はもうすぐ死ぬんだ。

それなのに過去を思い出させるのは・・・ちょっと酷だ。


「そういや、おすすめの装備ってあります?」


話を変えることにした。

それぐらいのスルースキルぐらいは俺も持ってるさ・・・

今日は俺もこの人もそれなりに考えさせらえることがあまりにも多い。

ところが、ドン・クラークは俺の予想を超えてきた。


「おう、それなんだが・・・お前ちょっと外でお使いするついでに買って来いよ。」

「・・・・は?」

「いやな、町中を護衛でこれから練り歩くんだったら下見も大事だし、恰好が黒コートじゃ様にもなんねえだろ?」

「いや、護衛は・・・」

「俺は長い間ここにいるが、命の危険もなかった。問題ないさ・・・それにお前は役に立たん!兵装ぐらいは整えてこい!」

「・・・うっ」

「お使いも頼みてえし・・・な?いいだろ?」

「むううううううううううう、、、了解です。で?お使いの内容は?」

「あ、もう遅いしねるわ。お疲れ。」

「って、おい!?・・・ガチで部屋に戻り始めた・・・」


食事の後かたずけをして部屋に戻れば既に彼は寝ていた。

・・・本当に自由気ままな奴だ。

そのせいで誤解を受けてるところもあるんじゃないだろうか?

他の人の感想はともかく俺はそう思えた。


もっとも嫌われもっとも好かれたドン・クラーク


随分一緒に共同生活しているが未だに彼は掴めない。

次回、美少女たちとショッピング!

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