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異世界でもう一人の俺が暴れすぎてキチガ○と呼ばれている件について  作者: 浅き夢見む氏
第二部:激昂する乙女は剣と舞い、狂う咎龍人は最愛を想う<曇の奇術師編>
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第1章如峰月桜と夏休みpart1

第一章は現実編からです!

男にとって世界が全てなら、世界に全てを捧げるべき。

そんな言葉があるんならこうも言えるだろう。

男にとって恋した人が全てなら、恋した人に全てを捧げるべき。


自分の恋心に気付いた俺は彼女の為に『友達として』努力することを決めた。

自分と彼女が釣り合わないことを俺が誰よりも知ってるから。

だから俺は彼女の笑顔の為に動くことを決意した。


その為に俺は新聞部という闇組織に所属し、彼女の笑顔を久しぶりに見ることが出来た。

彼女の笑顔を見た時は、本当に嬉しかった。

自分の行動は問題だらけだったと思うけどそんなことどうでもいいと思えるくらい良い笑顔だった。

だから俺は後悔しないですんだんだ。

彼女の笑顔を見れるならなんだってできるなんて思ってしまった。


正直に言おう。

今、めっちゃ後悔している。


「で?何で今ここにいるのか自分の口から説明したらどうですか?」


俺はもうすぐ終業式も近く夏休みを迎えようとしている中、新聞部の仲間たちと俺は生徒指導室で椅子に縛り付けられていた。


「もう一度言いますよ?何でここにいるのか自分の口から説明しなさい。如峰月君。」


本来、末席にいるはずの新入りの俺は隣にいる主犯を顎で指しこう返した。


「先生、コイツが犯人です。」


俺は早速新聞部の不祥事に巻き込まれていた。


「ちょ、大事な仲間を売るなんて酷くない!?まじないわー、まじないわー!皆でやったことの責任を一人に押し付けるなんてまじないわー!」


早速、俺の隣の首謀者がわけのわからんことをほざき始めたので、俺たち新聞部は全力で抗議する。


「全部、新部長のせいでしょうが!」

「俺たち知らされたの昨日ですよ!」

「如峰月!お前が副部長なんだから止めろや!」

「俺まだ入って一ヶ月なんですけど!?」


俺たちの汚い罵りあいを眺めていたスーツを着た幼女はふうとため息をつくと『せいとめいぼ』を振り降ろした。

ボトン

・・・縄が振り下ろされた『せいとめいぼ』の気圧で切り裂かれた。

あれ?ここ現実だよね?

サクラだったっけ?今俺?


シンと静まる中、俺たちの前に座ってる生徒指導担当の穂のちゃん先生はもう一度溜息をついた。


「全員正座。」

「「「「「「「「「「「イエス、サー!」」」」」」」」」


あまりの恐怖に早速土下座する新聞部一同67人。

表の活動しかやってなかったけど、意外と数いるんだね。

そんなことを考えてると、俺の担任である穂のちゃん先生が俺の隣の部長さんの前に立った。


「古畑さん、、、文化部は夏休み前のこの時期に代替わりします。どの部も特に問題なく代替わりを終えて問題を起こすフインキなんて全く無かったんです・・・」

「か、、、堪忍して下さい先生。そんなじわじわ責めんで下さい・・・」


もじもじしながら何か言ってる我らが部長さんをみんなが何で猫被ってんだという目で見つめる。

そんな彼女ににっこりと笑いかける穂のちゃん先生はバンと一枚の冊子を取り出した。


「じゃあ、ハッキリ言ってしまいますね。この夏合宿のしおりは何ですか?」

「・・・・・」


古畑さんは黙ってしまった。

俺たちも血の気が引いていく。

なんてったって、今一番見つかって欲しくないシロモノだったからだ。

ぶっちゃけ、精々裏の仕事の何かが穂のちゃん先生のことだったかなぐらいに考えていた。


「さ、、、説明を。古畑部長。」

「せ、責任は私にない!私は、はめられたんだっ!」

「うるさいっ!」


古畑部長は『せいとめいぼ』に沈められた。

びくんびくんと震えている彼女を置き去りにして小さな体は俺の前に立つ。


「新副部長?話を聞かせてもらえますか?」


そう、俺が代替わりに伴って副部長になってしまったのだった。

副部長は一年生から選ぶのが新聞部の伝統らしく俺にさせられたのだ。

ついでに言うと一年生は俺以外にもたくさんいるが、古畑さんの右腕的な立場にいたため俺が抜擢させられた。


「さあ、、、俺は文化祭活動の広報関係で忙しかったんであんまり詳しいことはわかんないっす。」

「夏合宿のしおり、、、『編集:如峰月桜』ですか・・・そうですね、編集する程度しか詳しく知らないですよね。」

「・・・本当にすいまっせんしたあ!!!」


俺は土下座することにした。

しかし先生は俺の謝罪を無視して冊子をペラペラめくる。

なにこのプレイ!心折れる!


「困りましたねえ・・・なになに、まず合宿初日は軽井沢まで謎の予算を使用したリムジンによる移動?その後は、来年の新聞部の予算を獲得するために情報収集(主に政治家さんの)?忙しいですよねえ?」

「ハハハハ・・・」

「しかもその後の一週間は住み込みで働くって書いてありますね?新聞君、生徒会会則第25条は?」

「バイト禁止ですね!」


実は新聞部だった俺のクラスの学級長で悪友の新聞(あらふみ)(ゆう)君がやけくそで叫ぶ。

あ、、、いつでもやけくそか。

ちゃっかり後ろには、彼のヤンデレストーカーである山梨小陽ちゃんが立っている。


「・・・で、一番の問題点はここですね。」


ぐいぐいと押し付けられる冊子のとある一ページを読んでみる。

・・・ゲ。

会計の支出欄に『酒のやまや 鷺ノ宮支店 5万円也』と書いてある。

だからここの欄は、用途不明金にしとけって言ったのに・・・

何も答えない俺を見て、悟ったのか穂のちゃん先生の顔から笑みが消えた。


「さあ!ここにはなんて書いてありましたかぁ!ほらほら言ってみやがれこの野郎!ふにゃあああああああああっ!」

「ガッ、ガッ、グボワッ・・・」


『せいとめいぼ』と『夏合宿のしおり』で連続ビンタされてしまう。

傍から見れば駄々をこねている小学生である。

周りがドン引きする中、穂のちゃん先生はいつも通りヒートアップする。


「折角、君が部活に入ったからまともな青春を過ごしてると思ったのに!こんなにふしだらな夏休みを過ごす予定だったなんて!!新聞部のとある男子に上目づかいで頼んだら、すぐに報告してくれましたよおおおおおおっ!」

「はあ、、、はあ、、、穂のちゃん、、、落ち着いてホスィ・・・グハッ!」


とどめに一発喰らわされたせいでガンガンする頭を何とか立て直しながら穂のちゃんに言い訳を始める。


「じ、、、実はこの合宿は取材を兼ねてまして・・・」

「へえ、、、なんですか?」

「実は最近夏休みにバイトしてたり飲し、、、ゴホンゴホン!、、、まあ、校則違反行為をする人間が多かったので、あまりそういうのは良くないっていう記事を作ることを前提に計画してたんです。」

「なるほど、、、実際は大変だって分かればバカなことをする生徒も減りますからね。」


出まかせにしては良くできた方だ。

本当はバイトで稼いだ金は夏休みの終わりの打ち上げとポケットマネーに使おうぜ的な感じで建てた計画であり、そんな高尚な理由なんて全く無い。

怒りが収まり始めている穂のちゃん先生へ多くの新聞部が集まってくる。


「そうです!これは取材を兼ねたれっきとした部活動なんです!」

「しかも、文化祭に向けた広告作成もこの合宿中に行う予定なんです!」

「穂のちゃん、ロリ顔ロリロリ可愛いぞ!」

「穂のちゃん、そういう事やから堪忍してやあ!」


いつの間にか復活していた古畑さんまで穂のちゃん先生を褒める役に入っている。

てか、秘密漏洩したバカが今姿を現しやがったぞ。捕えろ。

ほんわかし始めた穂のちゃん先生はそうですか?仕方ないですねえ・・・とかぼやき始めた。

あ、ちょろいなコイツ。

皆がそんなことを思い始めたそんな頃幼女はいきなりポツリとつぶやいた。


「そういえば、これって取材なんだったら仮プロットぐらいは出来てますよね?一応見せてもらえますか?」


あ、終わった。

そしてまた縛り付けられる状態に戻ってしまった。

穂のちゃん先生はハア・・・とため息をつく。


「困りました・・・流石に部活全体で校則違反を起こしてしまうと停学と停部にするしかないですね。あはは、、、しかもその部の副部長が自分の生徒、、、また教頭にネチネチ言われるわー。」


皆の体がビクッと震える。

俺は体の震えが止まらない・・・

ヤバい、、、来年朝顔さんこの学校に来るかもしれないのにお兄ちゃん停学とかになったら粛清されちゃう。

それだけはまじでヤバい・・・

皆がこれはふざけてらんないわーみたいな視線を最後の希望に向ける。

彼女は皆から向けられる視線の意味を悟るといつの間にか解けていた縄をぱっぱと払うと仕方ないなあと穂のちゃん先生に近づいて行った。


「穂のちゃん先生、これはあんまり使いたくなかったけど仕方ないか・・・ほら、今から停学や停部にされたらばらす情報を耳打ちしてあげるから耳を貸しなさい?」

「な、、、ふん!そ、そんなこけおどしで私が屈するわけないじゃないですか!」


胸を張って、恥ずべきところはないという表情をしている穂のちゃん先生に古畑さんが裏の顔をして耳打ちしていく。

穂のちゃん先生は聞いてるうちに足をガタガタふるわせていく。

古畑さんがどうする?と言いながら肩を叩いた瞬間、崩れ落ちるロリ・・・


基本純情少女である彼女の本質はガチで裏の情報を握るヤバい人である。

この学校の誰もが逆らえない、新聞部のエースであり新しい部長なのだ。

やべえ、、、マジパないっすわ!この部長!

部長コールが巻き上がる。


「く、、、たとえ、その情報がばらされたとしても私は諦めませんよ!教師として、やはり校則違反は見逃せません!」


穂のちゃん先生は地面に這いつくばりながらも諦めない。

そんな彼女を見て皆が再び不安そうに古畑さんを見つめる。

流石に古畑さんも予想外だったのか、唇を震わせる。

そんな中、新聞君が穂のちゃん先生に近寄り始めた。

何でだろう?凄い嫌な予感がする。


「先生、もし協力していただけるなら二つあなたにはメリットがあります。」

「・・・はい?」


皆がざわざわし始める。

そんな中、新聞君は指を一本付きだす。


「まず、先生を打ち上げにご招待いたします!旨い肉と5万円並のドリンクがあなたを待っております!」

「な、、、5万円分のドリンク・・・ごくり」


あんだけ固かった意思はどうなったのか。

彼女は溢れるばかりの涎をぬぐいながら、悩み始める。


「そして、二つ目。夏休みって言っても先生って仕事が沢山ありますよね!」

「え、、ええ、まあ。正直猫の手も借りたいぐらいです。」


思い出した、、、いつかの報復で新聞君の部屋に、、、実姉物のエロ本をばらまいたことを・・・

新聞君はざまあみやがれという目で一度だけこちらを見てから口にする。


「うちの副部長を夏休み中貸し出します!」

「分かりました!全面協力いたします!」

「やっぱりそうだと思ったよ!畜生!」


周りがやったねムードになり始めやがったので周りに抗議しようと口を開きかけたその時、古畑さんが俺の耳元で二、三語話した。

俺は膝から崩れ落ちた。

古畑さんまじ怖い・・・・・・・・

こうして俺の夏休みは労働と奉仕作業によってつぶされることが決定された。






「はあ・・・・・」

わざわざ北陸から出てきて、軽井沢の避暑地まで来たというのに何でこんなに気分が重いのか。

今日から夏合宿三日目でいよいよ労働作業に入るというわけで、俺はキャンプ場に来ていた。

今日から新しく新聞部の活動場所兼宿泊場所になる宿泊場の清掃をしていた。

ちなみに裏のメンバーは今日も愉快に取材中である。

昨日は、合宿所にテレビによく出てくる大物政治家さんが古畑さんを訪ねてきて騒然としたものだが、今日は何が釣れるやらだ。


「桜君、君は労働時間(夏休み)が残ってるんだからもっと元気だしなよ♪」

「新聞君、、、夏休みを()付けにして労働時間を強調するのは止めてくれないかな!」


ちなみにこの合宿が終わってから俺は毎日奉仕作業の為に学校へ行くことが決定している。

まあ、、、奉仕云々が無くても学校には行かなきゃいけないんだが。

夏休みが終わればすぐに文化祭に入るからな。

どちらにしても、いろいろ忙しいんよ。


「てか、新聞君。助かったけど、なんで俺に強制労働課すんだよ。あのロリコン野郎にやらせた方がいいんじゃないか?」


俺は、新聞部全体から粛清を受けて現在は丸刈りにされ、さらに二人目のEXAカットを施された上、その上に『ロリ命』とか書かれたヤバいキャラクターTシャツを羽織らされている近藤君を指さす。

新聞君は一生懸命働いてはいるものの、ビジュアル的にかなり狂ったその青年をチラッと見ると首を振って作業に戻る。


「それはそうだけど、、、先生がロリコンは私に近づけるなと。」

「哀れすぎるだろ、近藤君!?誰の為にやったと思ってるんだよ!?」


俺が世の中の不条理を嘆きつつ、窓を念入りに拭いていると誰かが後ろに立っていた。


「あ、、、小陽ちゃん。」

「うふふふふふふふふふ・・・・・・こんにちは、桜君。新聞君はどこかな?」

「ああ、、、さっきまでここで布団用のシーツはたいてたはずだけど・・・いなくなってんな。」

「そう、、、じゃあね。」


部屋を一瞥していないことを確認すると少女は部屋から出ていった。

次の瞬間、ガタッと畳が動き始めたので慌てて飛び退くとそこから新聞君が出てきた。

危機回避能力高まりすぎだろ・・・てか、いつの間にこんな隠し部屋を作ってんだよ。

いろいろ突っ込みたかったが、ツッコむとガチな目で辺りを見回すこの青年にぶん殴られそうだったので止めておくことにした。


「フゥ・・・・フゥ・・・・・ふう。いなくなったか。」

「なんか、最近監視が厳しくなりすぎてない?いままでだったら、こういう作業中に監査に訪れることは無かっただろ。」

「お前のせいだよっ!」

「・・・へ?」


新聞君の口から唾を飛ばしながらの解説によるとこういう話らしい。

なぜか、俺が新聞君の部屋にエロ本をバラ撒いた日に小陽ちゃんが新聞君の部屋に監査しに来たらしい。

それ自体は問題なかった。

だって、実姉モノは大抵巨乳だから家族には冷たいもので見られたとしても、黄金比派の彼女にとっては寧ろオッケーだからだ。


小陽ちゃんはとある日から新聞君が巨乳シンパかどうかを確認するために常に付きまとっておりそうでないと分かるや否や、銀色に光る刃物を取り出してしまう困ったちゃんなのだ。

・・・よかった、、、新聞君の命が変なことで削られなくてよかった。

まあ、命的な意味では助かったと新聞君がほっとしている時に事件は起こったそうだ。


「新聞君、これはどいうことですかっ!と魅せられた近○相○のエロ本の表紙が小陽ちゃんそっくりだったんだよお!」

「ああ、、、姉って書かれてる本を適当に買って、姉のページに折り目つけたらすぐポイしてたしなー。まあ、周りからみたら表紙買いしてるようにも見えるわな。」

「見えるわなじゃねえよおお!修羅場をあじわったぞっ!?小陽ちゃんが顔真っ赤にしてけだもの!って言いながらあちこちのエロ本をこっちに投げるし!」

「まあ、、、あちこちに置いたし。」

「そしたらうちの姉がうるさいって言って部屋に入ってくるし!」

「・・・おおう。」

「家族会議with小陽ちゃんってどう思う!?ねえ、どう思うって聞いてんだよお!?」

「ごめんなさいでしたあ!」


俺が畳の上で正座している間も新聞君の独白はすすむ。


「姉ちゃんあれから俺と口をきいてくれないし、母さんは、息子にこんな趣味があるなんて・・・でも小陽ちゃんに似ているエロ本を持ってるならまだ救いようがあるはず・・・お願いします!こんな変態ですがどうか性的誘惑をしてあげてくださいとか小陽ちゃんに頼みだすし!・・・しかも、親父が分かってるよ・・・年頃だもんな的な目でみてくるんだぞおおおおおおおっ!」

「・・・新聞君、、、そんなことがあったのに、、、俺と友達でいてくれて、、、有難う。報復を、、、奉仕作業程度に抑えてくれて、、、有難う」


なんか、いつの間にか友情の確認が行えてしまった。

涙が止まらないまま、、、おたがい抱き合う。


「で、、、?さいごはどうなったの?」


涙をぬぐいながら離れ、彼に尋ねる。

彼は満面の笑顔で言った。


「うん!最後は両親が小陽ちゃんの前で土下座してお願いします!このバカ息子を正しい道に戻してください!って言っちゃったせいで小陽ちゃんがさらにハッスルしちゃってさ☆」

「・・・・・・・へえ(ふすまからこちらをじいっと見つめる小陽ちゃんを見つけた)」

「なんか、あの子大義名分ができたからって今まで以上に管理が厳しいんだよっ!最近では夜のおかずまで彼女が許可したもの以外は使えなくてねえ!ホントは僕は小陽ちゃんみたいな妹系女子じゃないと抜けないってのに・・・ん?どうしたの桜君?後ろをチラチラ伺って・・・・ぎゃああああああああっ!?」


いろいろ、赤裸々な告白をし始めようとした新聞君は銀色に光る物体の峰で何度も殴打されることになった。

小陽ちゃんの顔が恥ずかしさでいっぱいになってるのにはちょっと萌えました。

でも、その恥ずかしがってる顔にちょっと赤い物体がかかり始めたのを見て萎えました。

南無。


部屋の掃除は二人に任せて、俺は雇い主に挨拶に行くことにした。

軽井沢には人を流せるきれいな川がたくさんあるしな

本来なら古畑さんが行くべきなのだが、彼女は新聞部の裏予算の為に今もどこかで取材しているだろうしこれくらいは俺がやっておくべきだろう。

一人で行くのもなんだし、表メンバーの女の子と二人で行くことにした。


「ういるる?大丈夫か?」

「・・・(こくっ)」


俺の服の裾を掴みながらフラフラとついて来ている少女は俺と同じ一年生の紅ういるだ。

愛称はういるるである。癖になりそうだ。

元々病弱で、日の光に当たっただけでこうしてフラフラになってしまうニート気質である。

結構ダメ人間っぽいが、記事を書かせるとかなり高い文章能力があるため古畑さんが採用した。

ちなみにもう一人の副部長である。


日にあたってない為か、色白で痩せ細った体を心配していると彼女が手に持っていたスマホを見せつけてきた。

-黙らんか。我は日の光を浴びると生前の邪気が揺らぐためこのような醜態を晒しておるのだ。さっさと我を連れて行け。暗黒邪神の生贄にしてくれようか?-

見なかったことにしよう。

こんな病弱な子が実は中二病で、、、しかも、、、無口かと思ったらスマホの中ではこんなにしゃべれるなんて・・・

道理で彼女の文体はどこか堅苦しいと思ったよ・・・


中二病患者なんて置いていきたかったが、副部長が流石に揃ってないのはまずいのでそのまま進むことにする。

メンドクサイことになりそうだったので、先にスマホは没収しておいた。

ピョンピョンと目の前で取り返そうと跳ねている小柄な生き物を無視しつつ軽井沢には珍しい体育館の前にやって来た。

ピョンピョンがわずらわしかったのでぶん殴って落ち着けた後、中に入る。


この、引きこもりういるるは内弁慶なので人の姿を見た瞬間俺の後ろにひょいと隠れてしまった。

まあ、、、俺もその気持ちが分からなくもない。

何故なら体育館では沢山の女性がサーベルを持って練習していたんだから。


聖ロンディウム学院。

軽井沢に近い場所にあるお嬢様学院の名前だ。

そこの中でもとくに有名なのが女子フェッシング部だ。

なんか、部活に集中するために毎年サポートする人間を募集しているらしく、古畑さんがそれに目を付けたらしい。


フェッシングかー。

なんて思いもしたが、自分から辞めたもんなんで、練習を見てても意外と未練は無かった。

その後は軽く顧問の先生に挨拶して帰ることになった。

スマホで挨拶しようとするバカは引っ込み思案でしゃべれないことにして押し込めた。


帰り道、スマホを取り返そうと相変わらずぴょんぴょん跳ねているおバカを押さえつけながら歩いていると、ランニング中の部員にばったり会った。

玄関でばったり会ったことやかなり汗をかいていることを鑑みると、熱心な部員なんだろう。

一応挨拶でもしておこう。


「どうも、今日から一週間お世話になります。新聞部副部長の如峰月です。こっちも同じく副部長の紅です。女子フェッシング部の方ですよね?」

「・・・・・・・・(人見知りが発動したのか再び俺の背に隠れた)」


俺たちが声をかけると、ぜいぜい息を上げていた彼女は顔を上げた。

彼女は長い黒髪の左側だけ編み込みを入れた髪をうっとうしげにかき上げながらこっちを見てきた。

・・・へえ、結構強そうだ。

退かねえって意思がよく伝わってくる意志の強そうな顔だった。

そんな感じの美人系美少女は、こっちをキリッした雰囲気でこっちを見つめるとああと得心した顔をした。


「ああ、部長から聞いてるよ。私は一年の()(づき)(あおい)。こうみえても、レギュラーを担ってる。」

「はあ、、、やっぱりですか。」


彼女は俺のそんな感じの相槌に、んん?と反応した。


「へえ、、、どうしてだい?」

「ああ、、、昔フェッシングやってたんで、強いかどうかは何となく分かるんですよ。」


彼女は俺のそんな様子にへえ!と嬉しそうな様子になった。


「おお!昔やってたのかい!もしかしたら、知ってる人間かも知れん!もしよかったら名前を教えてくれんか!」

「ええ、、、俺の名前は如峰月桜です。」


そんな会話をしていたらいきなり、ういるるがスマホを取り返そうとピョンピョンし始めた。

ば、場所ぐらい選びやがれ!

いきなり飛び上り始めたバカを抑え込もうとしたら、ういるるは逆に俺の髪をつかんで引っ張り始めやがる


「って、お前、こら!中二病のお前には悪い印象しか抱かれないからお前はしゃべらせんぞ!バカ!」

「・・・っ!・・・・っ!・・・・っ!」

「ほ、、、、ほおづき、、、、さくら、、、、?」


ういるるがバカし始めたせいで、大事なことに気付けなかった。

俺の名前を聞いた途端、異常な反応をし始めたことに気付けなかった。

彼女は眉を顰めながら震える声で聞いてくる。


「わ、、、悪いが、、、眉をひそめてくれるか?」

「え?、、、今忙しいんですけど、、、このっ、、、この!」

「・・・っ!・・・・っ!・・・・っ!」

「いいから!」


あまりの気迫に、俺も、ういるるもピタッと動きを止める。

真剣な顔で俺たちを睨みつける彼女は先程までのキリッとしたカリスマ的な雰囲気は一切なく、只々怒りだけが感情として現れていた。


「分かりました、、、こうっすか?」

「そうだ、、、後、眼鏡をかけろ。」

「いや、、、持ってきてないんすが。」


サクラの時に二人もの女性にダサいと言われてから眼鏡はつけないようにしたのだ。

眉をひそめるのもやめたし、髪形も直した。

そんなダサい感じに再びなるのは嫌だったが逆らえる雰囲気では無かったのでしょうがない。


「ういるる」

「・・・んっ!」


小柄なういるるが俺の首にのっかかり、手の輪っかを眼鏡みたいに俺につける。

彼女はそんな俺の姿を見るとガタガタ震えはじめた。

・・・なにこの現象。


「や、、、やはり、、、髪形は違うが、お前は如峰月桜。」

「いや、、、名乗りましたよね?俺?てか、俺のことを眼鏡と髪形と眉間のしわで判別してたのかアンタは。」

「・・・?」


俺とういるるが?な感じで引き始めていると、彼女は俺に怒りの表情を向けて指さしてきた。

彼女はそのままつんのめりながらもこちらにググッと攻めよって来た。

そのまま一喝。


「如峰月桜ぁ!私と決闘しろぉ!」


え?なに?この状況?

俺の首の上で眼鏡を作っているういるるが遂に俺からスマホを奪い返す中、俺は茫然と目の前の美人系美少女伊月葵を呆然と見つめた。

彼女はそんな俺の様子なんて省みず、ただ俺に怒りの表情を向けるのだった。

ああ、、、またトラブルの臭いがしてきたなあ・・・


次話もすぐに投稿しますね!

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