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異世界でもう一人の俺が暴れすぎてキチガ○と呼ばれている件について  作者: 浅き夢見む氏
第二部:激昂する乙女は剣と舞い、狂う咎龍人は最愛を想う<曇の奇術師編>
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PROLOGUEーTWOヒロインのいない一か月

推敲してたら、日付越えてた(笑)

サクラ=レイディウスである俺は、本人格である()()(づき)(さくら)から生まれた存在である。

この世界の時間で約三か月前に如峰月桜はこの世界にやって来たが、桜の精神はこの世界に耐えることが出来なかった。

そのため『主人公になりたい主人公気質』である桜の内面が、俺という形で誕生させられたのだ。


ところが、桜の内面である主人公になりたいという思いは、彼の想い人であり『主人公』である『超越美少女』の朝日奈楓に釣り合えるのは『主人公だけ』だからという前提から成り立っていた。

つまり朝日奈楓がいないこの世界で、俺は『なんとなく主人公になりたいという願いを持った』薄っぺらい奴になってしまっていた。

そんなことを二か月一緒に旅して、、、そして今はいない俺の師匠のアリア=レイディウスに手紙で言われてしまった。


彼女、アリア=レイディウスは過去に自分の故郷を家族ごと『雷の勇者』に焼き殺された。

だから彼女は、雷の勇者とその勇者を生み出したシステム自体を破壊するために旅をしている。

俺をそれにつき合わせれば、薄っぺらい俺は主人公らしい命の危機に喜んで飛び込み喜んで死ぬだろうと。

だから、あなたはおいていくと。


俺はアリアから授かった『曇の魔術』を使えば一万の魔物を退ける事すら出来るというのに、精神的な中身が伴ってないなんて笑っちゃうよな?

でも、、、彼女は手紙にこうも書いていた。


『本当のあなたに逢いたい』


女の子にこんなこと言われたら、、、主人公としてやることは決まってる。

本当の自分を見つけてそして本当のサクラ=レイディウスとして会いに行く。

これは俺、サクラ=レイディウスが本当の自分を探し始めた所から始まる物語だ。



こんなPROLOGUEってすんげえ主人公っぽい。

そんなことを思いながら、俺はギルドのとある一室で椅子に座って待たされていた。

扉が開き、俺が居候させてもらってる家の主人が入って来た。

おっさんであり、このギルドの支部長であり、俺を呼びつけた人間でもある彼は、待たせたなといって豪快に自分の机に座った。


そう、ここは支部長室。

このギルドで一番偉い人のいる部屋だ。

そんな部屋に俺がいなければならない理由は


「んじゃ、面接はじめっか。」


だそうだ。



冒険者という仕事は、基本的にはギルドから依頼を受ける自由職であるがある程度ギルドに従う義務がある。

例えば、緊急依頼の強制参加や治安維持に対する協力義務など。

ギルドの冒険者は、自由業でありながら警察業でもあるのだ。

つまりそれ相応の責任とか小難しいものが備わってないと駄目だそうだ。


だから新入りの冒険者は、一か月入ったギルドの管理下に置かれて人格などに問題が無いかの確認を行っていくらしい。

その最終確認にあたるのが支部長との面接だそうだ。

たいてい支部長なんて忙しいもんなんだから本来は免除になるような形式的なもんだって聞いてたがやるんだね。

そういうのって、、、ガチで必要だからじゃないよね?


「ま、飛び級下級冒険者は人格とか確認しとくっちゅうわけだ。形式的なもんだしすぐに終わるから」

「じゃあ、形式的なら帰っていいっすよね?やったことにすりゃいいんだし?」

「この村から一生出さないぞ?」

「・・・・・・・・・」


ガチで必要らしい。


マジな顔でこっちを見る支部長のコンボスさんに愛想笑いしながら座る。

歴戦の戦士らしい彼の視線はこの世の終わりを現していた。

ちなみにこの村から出る、、、つまりこの村以外のギルドで仕事をするにはこの支部長から合格をもらわなきゃいけない。

全く、、、面倒すぎるだろ。


「で?面接なんでしょ?何すんです?」

「ああ、、、じゃあまず、この一か月何してたか自分で覚えてること言ってみ。」


アリアがいなくなってから今までのか、、、そうだな。


「飛竜様が俺に付きまとうようになって一か月、、、朝起きれば飯を作れだの、昼になればお腹が空いたから飯を作れだの、夜になれば腹が減ったから飯を作れだの、深夜になれば腹が減るかもしれないから飯を作れだの、そのまた早朝と深夜の間になれば、、、」

「俺が悪かった、、、ギルド員としての職務について教えてほしかったんだ・・・」


あれ?慰められてる?なんで?


「そういわれても、、、いちいちこなしたクエストなんて覚えてないですよ。失敗はなしってことぐらいは覚えてますけど」

「まあ、確かに殺人的な数をこなしてやがんな・・・しかも、失敗ゼロってすげえよ。」


産廃国日本の生まれだからね。労働欲に本能的に従うみたいだ。

支部長のコンボスさんは呆れ気味にため息をつきながら、パラりパらりと俺のことが書かれているらしい書類をめくる。


「俺もサクラのについては初めて見るが、クエスト履歴とギルドが委託した監察官の考察がとんでもねえぞ。なになに、、、基本的には討伐クエストを多めに受けていたが、精力的にクエストをこなし過ぎて仕事がガチでゼロになった下級冒険者たちからギルドに苦情が来たために討伐よりも採集や町中のクエストをするようになる。」

「そ、、、そんなこともありましたね。」


眉間にしわを寄せ始めた支部長が俺をジト目で見つめてくる。

あのころは踏ん切りはついてたが、やっぱりアリアにおいてかれたのに腹を立てて憤りを魔物狩りで晴らしてたっけ。

それでもまだ足りなくて、飛龍様と二人で俺は転生者だとか泣き叫んでるゴブリンがボスの、ゴブリン以外の種族まで暮らす、普通では有り得ないでっかい魔物の里を滅ぼしたことでようやく落ち着いたっけ。

ま、転生主人公は二人もいらないってこったなとか決め台詞を吐いたのを覚えている。


「ところが、薬草採集クエストではボーナスが出るかと思って乱獲してここら一帯の薬草を全滅させかけたり、最近妙に発達してる知恵を持った魔物が治めてるんじゃないかと噂の魔物の集落の調査依頼を出したはずなのに集落ごと全滅させてくる。もうどうなってんのか分かんない。・・・サクラ、そんなことやってばっかいるからお前は村中の人間からキチガイと呼ばれてるんだぞ?」

「だって、調査依頼とか出たら謎の魔物が出てきて里ごと滅ぼすことになったり、多めに採集したらボーナスもらえるのは転生小説の鉄板ネタだぞ!?主人公的テンプレだろ!?」

「お前の常識が周りとかけ離れてるからキチガイなんて呼ばれてんだよ、全く・・・ん?パーティー推奨依頼や人材育成依頼は一件も手を付けてないのはなんでだ?」

「キチガイの俺と組んだり、教えを乞う人間がいるとでも?」

「ほんと、ごめん・・・」


飛龍様が俺に纏わりつくようになってから、なおさら皆が俺に近づかなくなった・・・

き、気にしてないけどォ、飛龍様も真面目に手伝ってくれなくても俺強いし!

俺が震える唇を噛みしめる様子を支部長は可愛そうな目で見つめてくる。

・・・ふぅ


「まあ、こんな小さい村は一度変な噂が着くと中々な・・・でかい街についたら、変な噂がたつ前にパーティーを組めばいい。」

「はい、、、やっと人間とパーティーを組めます・・・」

「うん、、、もう触れないようにするね。」


人の人望は集めにくいけど、それに比べてお金だけは集まってくる。

不思議だね?全然満たされないんだ。


「ま、ギルドが本来重視するのは、人との協調性ではなくクエストを確実にこなす実力と勝手に放棄しない堅実な性格だ。それを満たしてるんだから何の問題はない。」

「はあ、、、」


冒険者(自由業)で問題あるないとかいわれても全然嬉しくない。

てか、人間としては一切問題ないよ!と言ってくれないのは何故だ!

そんなことを言いたかったが、支部長はうんうんとうなづいているので口を出すのはやめといた。


「じゃ、規定通りの面接はしめぇだ。お疲れさん。これからは他の街でクエストを受けてもいい。」

「はぁ・・・」


なんとなく納得いかない感じになるが、旅には早く出たかったので受け入れることにする。

今までお世話になりましたとか言っておこうと思ったら、支部長は先に口を開いた。


「それはそうと、、、おめえさん。アリア=レイディウスを追いかけるつもりかい?サマンサから旅支度を始めてるって聞いたが。」

「いや、、、取り敢えず、自分探しの旅にでも出ようかと。アリアに会うのはその後ですね。」


一か月もたったら、流石に『嵐曇魔術≪スーパーセル≫』の『曇の網≪ネット≫』で探しても見つからんだろうしな。

支部長はそうかそうかというと、言いづらそうにしかめっ面をして、頭をポリポリ書きながら口を開いた


「そういや、サクラの依頼達成数は驚くことに中級冒険者資格取得試験を受けるのに必要な依頼達成数を超えているらしい。つまり後ニ、三個条件をクリアすりゃあサクラも試験を受けれるっつうわけだ。」

「へえ、、、達成数が10を超えたあたりから豪快主人公的に数えないことにしたんですが、50は超えてました?」

「175」

「・・・俺、今日一日は何の依頼も受けずにゆっくりしますわ。」

「普通の下級冒険者が同じ数をこなすのに半年から一年かかるってことを忘れんなよ。」

「おいうちかけてくるんじゃねぇ!泣くぞ!」


さすが日本人は頑張る素質があるんだなあ(棒)・・・

そんな感じで遠い目をして遠くを見つめていたが、支部長はそんな俺の様子も構わないで話を続ける。


「あ~、それでな。あんまり言いたいことじゃないんだが、サクラが中級冒険者になったとしてな、中級冒険者からの仕事って、結構汚い仕事もクエストに出てくるんよ。盗賊の討伐とか暗殺依頼とか人を殺す系のクエストが。土地によっては邪教徒の街を滅ぼしてくれとか頭の狂った依頼も張り出される。・・・もし、そんな依頼があったとしてサクラには人を殺す覚悟があるか?」


基本冒険者になってからも、意識的に盗賊からの護衛以来で襲撃されても、捕縛して街に任せるようにしている。

この世界をサクラ=レイディウスの向き合うべき現実と理解してから、いつまでも甘いことを言ってられないのは分かってる。

でも、現実と分かってからなおさら心に鍵がかかったかのように、殺人を忌避してるんだよな、俺。


バイパスが深くつながる桜にも、殺人の経験が影響してしまうかもしれないし。

第一、本人格である桜がこの世界では俺の選択を優先してくれるように、俺は日本での桜の邪魔をしてはいけないんだ。

だから、、、


「その場次第ですね。でも、殺すのを喜ぶ人間には一生なれないと思います。」

「なるほどねえ、、、なるほどねえ、、、」


俺の選択を聞いた支部長はなるほどと二回呟いた後、大きくため息をついた。


「あんまり、ギルドに努める人間としていうべきじゃねえが、二か月一緒に暮らしたよしみだ。現実を教えてやる。」

「現実?」

「冒険者のクラスは覚えてるか?」

「えと、、、初級、下級、中級、上級、特級、特一級ですよね?」

「中級冒険者が一番数が多いんだ。つまり、一番競争が激しい。・・・しかも中級クエスト指定の魔物は皆、獣の森の主、『鬼の熊さん』レベルの化け物ばかりだ。たまに、お前さんみたいに汚い仕事を忌避して討伐クエストばかり受ける奴もいるが、討伐クエストを受けて帰ってくるのはわずか5割。」

「それは・・・」

「ぶっちゃけ、人を殺すほうが生き残れる。楽なクエストなんてすぐに掻っ攫われるし、命がけでクエストこなしてかなきゃ明日の食事すら厳しくなる。そういう級なんだよ、中級ってのは。」

「で、、、でも、、、おれは、、、」

「選り好みなんてしてられると思うなよ?皆、上級冒険者になろうと毎日必死でクエストこなしているんだ。汚い仕事とか、そんなの関係なく必死にな。」

「・・・・・・・」

「覚悟が無ければ、お前はいつまでたっても甘ちゃんだ。」


親切心で言ってくれてくれてるのだろう

厳しい口調であるが、思いやりにあふれてるのは良く分かった。

でも

余計なお世話だ。


「俺は、主人公だ。仕方ないからと言って人を殺すようなことは容認しない。」

「っつ、、、お前はまだそんなことを・・・」

「それに!」

「っ!?」


俺は立ち上がり、支部長の机に詰めよる。

そしてその勢いのまま、話を進める。


「俺は自分がしなきゃいけないことは自分で決める!他人に決められたレールの上なんて、、、人が敷いた間違ったレールの上なんてぜってえ進まねえ!」

「だから、中級冒険者はそんな甘っちょろい考えが通じるところじゃ、、、」

「たとえどんなに中級冒険者がきっびしいとこだったとしても!俺はぜってえ妥協しねえし、逃げねえ!主人公として前に進まなきゃ、、、変わらなきゃ、、、アリアに合わせる顔がねえ!」


息継ぎもせずに言い切ってしまったので恥ずかしくなって急いで席に戻る。

あっけにとられた支部長と恥ずかしがる俺の間で妙な沈黙が訪れる。

そんな気まずい空気をぶっ壊したのは、支部長の笑い声だった。


「くくく、、、あーっはっはっはっは!青いなあ!すんげえ、青い!俺もいつの間にか頭が錆びついてたみたいだ。そうか、間違ったレールか、他人が決めたレールか・・・若いねえ!」


笑い転げる支部長は腹を抑えながら、引出しから一枚の封書を取り出す。


「ひ――ひっひ!・・・はあ、、、はあ、、、これは、中級冒険者資格取得試験を受ける条件を満たしたことを証明する封書だ。ココノハ村では中級冒険者を見定めることは出来ないから、それが出来る規模のギルドがある街でこれを見せろ。」

「た、、、試してたんすか。人がワリィ。」


ようやく落ち着いたのか、ひぃひぃ言いながら支部長は講義する。


「バカ野郎、おめえさんが心配だから聞いてみただけだ。おめえさんの実力なら問題は一切ねえしな。覚悟があるかないかを知りたかっただけで、どんな答えを出そうとこの推薦状は渡すつもりだったさ。」

「それでも納得いかねえ、、、」

「それにしてもよう、、、アリアに合わせる顔がねえ、、、か。若いねえ。若いねえ。」

「っち、これだから年上は苦手なんだ・・・・」


妙に暖かい目で見てきたので、気恥ずかしくなり顔をそむけてしまう。

手紙を懐に入れてしまえば、もう用もないし足早に部屋の出口へと向かう。


「あ、そうそう・・・」

「なんすか!!」


呼び止められたので、声を荒げて振り返る。


「一か月前に岩山の大盆地が湖になった件について何かシラネ?『曇の奇術師』って職業なんだし何か知ってるだろ?」





「SIRIMASENYO?」

「おい、、、そういや、盆地に大量の雲が発生したって目撃情報があったがお前はそれについて何を知っている!?」

「おれ、言葉ワカラナイ!」

「さっきまで、俺と流暢に会話してただろうが!やっぱり推薦状返しやがれ!お前をこの村から出してはいけない気がしてきた!」

「イママデ、オセワニナリマシタ!」

「あっ、てめえ!」


サクラは逃げ出した。

ごめん、、、マジごめん。

そんなことを思いながら、全速力で走った。


窓からえいこらさっさと逃げるのを支部長コンボスはぼうっと眺めていた。


「ええんかの?事情をきかんで?」

「これは、飛龍様。頼まれていたものはこれでしたね。」


流石実力者というべきかいつの間にかその場にいた飛龍にカードと緑の水晶で彩られたペンダントを手渡す。

飛龍はそのペンダントを訝しげに見ていたが覚悟を決めたのか、それを首に掛けた。

そして、カードを手に取り満足げな笑みを見せる。


「魔力を流し続けてる間は発動するようになっていますが、これが発動してる間は攻撃も守備も幼龍程度にまで下がってしまいますよ?」

「構わん、これも余興じゃ。この村ではともかくデカい街では流石にこのような類のものがないと不便じゃからの。」


満足そうにふんすと鼻息を出す、人間じみた龍の様子に呆れつつ支部長は机に座ると仕事を始めた。

別れは済んだのだ。もう切り替えて今の仕事に取り組まないといけない。


「人間の世についてはよう分からんが難儀じゃのうお主は。お別れぐらい言いに行ってやったらよかろうに。」


飛龍はそんな支部長の様子に苦笑気味に話しかける。

支部長コンボスは手を休めることなく答える。


「冒険者は流れる雲のようなものですから、旅立つ雲をいつまでも目で追ってくわけにはいかないんですよ。このギルドにはまだ空にすら浮かべない未熟な雲があふれているんですから。」

「筋肉よ、、、お主も厄介な人間じゃのう」


ふと気づいたとき、飛龍はもういなかった。

でもそれでいい。

旅立つ人間がいる一方で、残された人間がいなければ旅は成立しないのだから。

旅立つ雛を作る一方で、帰る場所を残すため今日も支部長コンボスはギルドで働く。



まあ、旅立つ前に村の門で一悶着があったのを後で聞かされるのだが。

サクラは、元々用意していた旅用の背負い袋を背に掛けながら、目の前の少女を睨んでいた。

そして、仁王立ちする偉そうな少女を指さし口を開く。


「・・・だれですか、あんたは?」

「つれないのう、サクラよ。余が分からんのかえ。ほれ、ギルドカードまでもう作ったんじゃぞい?」


目の前の少女を見送りに来たサマンサさんとジッと見つめる。

緑色の髪に青い瞳。

女盗賊のような恰好をしながらも兵装はグローブだけで、イタズラ気な顔で口からは犬歯をのぞかせている。

首に掛けられた大きな緑の水晶は随分と高価そうだ。

同年代の女の子ではあるが、、、残念ながら他の冒険者からはぶられてた俺に冒険者の友達なんてイナカッタシナー。


「サマンサさん?誰か分かります?」

「えと、、、心当たりはあるかも。」

「マジすか・・・で?ダレすか?」

「えと、、、飛龍様。」

「・・・えええええええええええ!?」

「ようやく分かったか、相変わらず鈍いのうお主は。眼鏡はすぐにわかったぞい?」


緑の髪の美少女、、、もとい、飛龍様は偉そうに首を振ると意外と大きい胸元からキセルを取り出し火をつける。

そんな人間じみた行為を見ると、ああ彼女だと思ってしまった。

ムカつくしゃべり方もよく考えれば飛龍様そのものだ。


「てか、龍って人化する生き物なの!?そんなポイポイ変わっちゃうの!?てか、女の子だったの!?なんか、ソプラノボイスに変わっちゃってるし!?」

「人の世についてはよう分からんが、うるさいのうお主は・・・だからキチガイと言われるんじゃぞ?」

「キチガイ云々はお前にも原因あんだからな!」


暇だと言って連れ出されたゴブリンの集落でいきなり一対ゴブリン100をやらされたのはつい二日前のことだ。

魔物を見ると殲滅させたくなるんですか?キチガイですねとか、受付嬢が冷たい目で見てきたのを俺は忘れていない。

てかお前、いつまで俺についてくるつもりだ。さっさと龍人の里に帰りやがれ・・・

俺を見て、呆れた目で見てくる少女に腹黒いものを抱いていると、サマンサさんが笑いながら近づいて来た。


「まあ、いいじゃない。飛龍様も人間になるのにはかなり勇気がいったはずだよ?それだけついていきたかったんだよ。」

「そうじゃ!わざわざ人間程度に化けてやったんじゃ!名誉に思って、感謝せい!」


ふんすと鼻息をだして胸を張る少女を見てため息をつく。

まあ、、、いいか。サマンサさんもこういってるし。


「じゃ、いくか、、、えと、、、飛龍様?」

「あ、この状態ではスカイ・ドラゴナーらしいから。そう呼ぶのじゃ。」


飛龍だからか?安直な・・・

期待を込めた目できらきらとこっちを美少女が見てくるので早々に諦める。

ま、パーティーに美少女(龍が人化)がいるのは、最近の小説では当たり前だしな・・・


「スカイ、、、いくぞ。サマンサさん、一か月の間お世話になりました。弁当まで作ってもらっちゃって本当になんていったらいいか。」

「親友のお弟子さんなんだからこれくらい当たり前だよぅ!またおいで!」

「うむ、また来ようぞ!サクラ!」

「そだな、、、今度はアリアも連れてこよう・・・じゃ、そろそろ行きます。支部長のおっさんにもよろしく。」


そういって、スカイと二人で村の外に踏み出そうとした


「待って!」


ぴたりと足を止め、振り返る。

サマンサさんが今にも泣きそうな顔でこっちを見ていた。


「アリアを救ってあげて!強すぎるから、復讐を諦められないあの子を救ってあげて!後、、、後、、、アリアを、、、、アリアを、、、」


事情を知らないスカイが訝しげに首を傾ける一方で俺は流れ始めた涙をぬぐう。


「涙を見せていいのは旦那さんの前だけですよ?まったく、、、」

「ぐすっ、、、ぐすっ、、、アリアを、、、よろしくね。」

「りょうかいっす。」


今度こそ旅立った。

サマンサはアリアを救うかもしれない自分と同い年の少年を、泣きながら、ずっと姿が視えなくなっても見つめていた。



目指す地は中級冒険者資格取得試験を受けることが出来るモルロンド伯爵直轄領。

ここで彼は龍の少女と共に、運命の姉妹と出会う。


一方、サクラがクエストをこなす中、ずっと朝日奈楓への想いをどうするかを悩んでいた如峰月桜はサクラが旅立つのと同じ時期に自分の生き方を決断した。

如峰月桜が朝日奈楓の友達になると決断してから、物語はどのように進むのか、、、まずはそこから語っていこう。



二部開始ィィィィ!

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