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異世界でもう一人の俺が暴れすぎてキチガ○と呼ばれている件について  作者: 浅き夢見む氏
第一部:異世界にキチガイが舞い降りて、物語が幕を開く<曇の奇術師編>
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第4章NPCはロリに興味がおあり?part3

後半、ちょっと鬱な描写が入ります。我慢してね。

魔力探知でかすかに感じ取れる部分を黒雲で薄く囲みこんだ。

そこから現れたのは、、、盗賊の格好をした人間だった。

脚が無い。


「「ぎゃああああああああああああっ!?」」


爺さんと俺は腰を抜かしてしまった。

クリムゾンは姿を見た瞬間今まで何だったのっていうぐらい猫のように産毛を逆立て激しく吠えはじめる。

てか、マジ幽霊。超、幽霊。

曇の魔術を使わなきゃ、、、『曇の網≪ネット≫』が魔力感知できない仕様なら絶対に発見できなかった。

亡霊はあ、、、あ、、、とか言ってるように口をパクパクさせながら、腰から抜いた剣を振り上げる。


「後は、任せたあ!」

「村長、てめえ!」


村長は幼龍を抱え込みつつ、隠し扉を使って脱出しやがった。

くそ・・・戦闘は確かに庇う手間省けたぶんやりやすくなったけど、見捨てられたという感じで腹が立つ。

落ち着け・・・落ち着け・・・

歩み自体は遅いが、幽霊は確実に一歩一歩近づいて来てる。

剣を引き抜き左手で構えつつ、右手に黒雲を巻きつける。

じゃあ、取り敢えず・・・


「『曇の一撃≪ショット≫』!」


右腕に圧縮された黒雲が幽霊に向けて一直線に伸びていく。

幽霊なんで10メートルはブッ飛ばすつもりで撃ったんだが、幽霊の体をすり抜けただけだった。

・・・そもそも、魔力感知できなけりゃ空気と同じだったからな。

どうすりゃいいんかね。


仕方が無いので、『黒曇衣≪コート≫』を纏いつつ幽霊に向け、レイピアの切っ先を向ける。

じりじりとこちらからも踏み込みつつ、剣をダメもとで突き入れてみる。

剣を突っ込んだはいいものの、当たり前のように手ごたえが無い。


「・・・って、おわあ!」


ゾクッと嫌な感覚があり、剣を抜き構え直す。

そこに幽霊の意外に重い一撃が入った。

少し、ジンとくる腕を庇いながらも、少しずつ後退していく。


「って~~~、相手からは攻撃し放題ってことかよ・・・『曇の網≪ネット≫』、捕えろ。」


今度は、黒雲で捕獲しようとしてみるが、、、駄目か。

魔力以外何も感知できない。

並行作業で、こういう時のテンプレである核を探しては見たけどホントにかすかな魔力しか見つかんない。

・・・なんだよ、コイツ。

ゴースト系は基本的に光属性が弱点とは聞いてるけど、物理無効とかゲームバランス、ガン無視過ぎる。


「おい、大丈夫か!・・・コイツは、ゴーストシーフ!?何でこんなとこに!?」


そんな中、隠し扉から突然男が飛び出すや否や俺の隣で杖を構えた。


「あんた誰だよ!?てか、ゴーストシーフってなんだよ!?」


「俺はトーリの兄のトツカだ!そして、そいつはゴーストの上位種だ!体全てを魔力にしてしまうことで潜伏・暗殺に特化した個体だよ!ここら一帯では生息してることがあり得ない!」


よくみると、トーリと同じ赤髪の青年は目元とか似ている。

その青年は、杖を油断なく相手に向けながら俺に説明を続ける。


「俺の本質能力は『鑑定』!見れば、相手の種族や力量を簡単に見分けることが出来る!ここは逃げなきゃ駄目だ!俺たちじゃ敵わない!」

「何でだよ!杖持ってんならあんた魔術師だろ!?何か無いのかよ!?」


振り降ろされた剣を二手に分けながら、よけつつもトツカは怒鳴り散らす。


「俺の本属性は土で補助属性は火!第一、龍人は魔力保有量がただでさえ低いんだ!しかも、ゴーストシーフは、戦闘能力はご覧のとおり低いが、魔力体で出来てるから物理無効だから、光属性魔法か自然界の魔力を揺り動かすほどの大魔法をぶつけるしかない!」

「なるほどな・・・アンタがいて、助かった。」


俺は再び手に雲を巻きつける。

トツカはそんな俺の言葉に呆れ返った声を出す。


「はあ!?恐怖で頭がおかしくなったか!?いつまでも外の人間に頼り切ってるわけにはいかない!あんた!ここは俺に任せて、逃げちまえ!」


黒雲でかたどられたゴーストシーフとトツカが、杖と剣をつばぜりあう。

しかし、武器の相性に加え龍人というハンデ。

徐々に、ゴーストシーフに押し込まれていく。


「くっ・・・もう、もたない・・・!? あ、あんた何やってんだ!早く逃げろ!」

「うっさい!主人公が集中してるときは黙って時間を稼いどけ!・・・よしっ!信じるぜ!『曇の増成≪パンプアップ≫』!!」


曇の属性の雲は、生み出された核に魔力がまとわりつくことで形成される。

その性質を応用した『曇の魔術-雨』は、核にまとわりつかせる魔力の量を減らして、その分空気中の水分をまとわりつかせるようにする。

では、『曇の増成≪パンプアップ≫』とはなんなのか?

簡単だ。核にいつもより『周りの』魔力を多く纏わせるだけだ。

そして、ゴーストシーフは体全てを潜伏特化にするために空気中にあるものと同じ魔力にしており、黒雲は既にゴーストシーフを包んでいる。


「魔力が教えてくんなきゃ、これは出来ねえわ。トツカ、サンキュー。アンタがいなきゃ絶対無理だった。」

「あ、あんた・・・何もんだ?」


雲から逃げようともがき始めたゴーストシーフに、更に俺が用意した雲が絡みつき、ゴーストシーフが段々、小さく、萎んでいく。

トツカが腰を地面に下ろして呆然とする中、雲は完全にゴーストシーフを覆い尽くしてモゾモゾと流動していく。


「・・・よしよし、トツカ。大丈夫か?せいこうしてよかったぜ。」


黒雲で辺りを探っても、ゴーストシーフがもうここには『存在』しないことを確認された。

存在因子を雲の形成に使われてしまったんだから当たり前か・・・

しゅ、主人公とはいえ、せ、成功してよかったぜ。

負けフラグ立つかなーとか、ちょっとビビってたからな。


「、、、終わったのか?」


トツカがポツリとつぶやいた。


「、、、いや、まだ終わってない。」


『曇の網≪ネット≫』を村中に張り巡らしていった・・・どうやら、もっと広げなきゃいけないかもしれない。

俺は魔力の続く限り、網をどんどん広げていった。





ヒューッ、どっか―――――――ん!


「ばあああああああああああっ!!」

「ぎゃああああああああああああっ!!・・・って、サクラ?どうしたんです?幼女を連れて、山奥に消えてったと聞いてますが?」


アリアが目で語っている

この変態ロリコン野郎がっ・・・という目で俺を睨みつけている。


「お師匠さん・・・真面目な話なんだが。」


一度ある大問題が発生したことが分かったので、たまたま広げていた『曇の網≪ネット≫』でお師匠さんがなぜか町の中ではなく、火山の近くを歩いていたから意見を聞こうと彼女に会いに行った。

そしたら、彼女が妙にぼうっとして歩いていたから『曇の階段≪ラダー≫』で彼女の真上まで昇って上から自然落下してやった。

いやあ、女の子が驚いている顔を見るのは楽しい。


「・・・で?ワザワザ、初クエスト受けなかったんですから、それなりにあなたがホイホイついてった年端もない幼女には価値があったんですよね?・・・この変態。」

「ええい!あんた、話聞く気ねえな!?」


アリアは、武器である相変わらず変な形がした杖をこちらに構えて警戒している。

説明を続けてもいいが、こんな状態じゃ仕方がない。

説明自体も厄介だしな。


「お師匠さん、俺と一緒にこの火山の頂上に行かないか?大事な話があるんだ。」

「いやです」

「・・・」

「・・・」


俺が久しぶりに真面目な顔でキリッとした顔で言ったにもかかわらず、即効で否定された。


「俺、真面目な話って言ったよね!真面目っていったよ!?」

「幼女に飽きたから次は背徳感を味わおうと、かいがいしく2か月もの間あなたに魔術を教えてあげていた師匠を人気のない場所で襲おうだなんて、、、この変態!バカ弟子サクラ!変態っ!」

「もう、、、めんどくせえ、、、」

「そ、それは、ついに化けの皮をはがすってことですかっ!?私はあなたを変態とはいえ優しい弟子だと信じてたのにっ!?師匠の信頼を裏切るなんて、、、いや!来ないで、いやああぁぁぁぁっ!!」

「・・・・・・・・・・『曇の網≪ネット≫』」


しょ、触手プレイとか、、、あなたはどれだけ欲求不満なんですかっ!とかほざくバカを網で包み込んで抱え上げ、俺は『再び』火山の頂上へと走り出した。

暫くの間は、ガチで抵抗していた彼女だったが何か諦めたのかぐすんぐすんとすすり泣く音がし始めたのでマジで走った。

彼女に話しかけても、無視されるという現状の中俺はここrがここrが、、、折れる音を聞きながら走った。

ごめん、父さん、母さん、朝顔。

俺、今女の子を泣かせてます。


「お、来たか!・・・トーリの言う通り、お前って何かと問題起こすよな。」

「ぐす・・・ぐす・・・お父さん、お母さん、、、別れる前に貞操奪われそうだよ、、、」


トツカはある方向をじっと見ていたが、俺を見て青い顔をしながらもこっちに手を振って来た。


「ふう、、、やっと着いたぜ。で?あと何日余裕ありそうだ?」

「離してよ、、、もう暴れないから、、、ぐす、、、ぐす、、、」

「ココノハまで7日、龍人の里グリューエン火山支部までは10日かな?誤差は出るだろうけど。ところで、その子は何で泣いてんの?」

「・・・ほっといてくれ」


具体的に説明してみると、ガチで魔術を使われて抵抗されてしまったのでそれを半ば魔術の量でごり押ししながら登って来たからすんげえ疲れた。

てか、今日一日、魔力のごり押しで山のぼりしまくりだろ・・・

達成感全然ないんだが、、、しかも火山だし登ってるの。

取り敢えず、色んな意味で諦め気味な彼女を一回、解放してみる。


ビュン


頬から血が垂れた。


「コロシテ・・・ヤル・・・オカサレルマエニ・・・コロス・・・」


どこにそんな力があるのか、杖でいきなり俺の頭をぶん殴ろうとしてきた。

目が完全に据わっていて超怖い。

なんか、ジョジョの○○な冒険ふうな顔つきになっているので、ガチで怖い。

トツカはひくひくと唇を震わせた。


「と、都会の女はコエええええ・・・」

「し、師匠・・・お、落ち着いて・・・、純朴少年のトツカが間違った常識覚えちゃうから。」


てか、むしろ田舎の女の方が世間が狭い分、怖いからな?

トツカの悲鳴の効果があったか、無かったのかはどうでもいいが、取り敢えず二、三回俺を本気で攻撃して、やっと彼女は落ち着いた。

トーリもこうなるんかな?どうなんかな?と呟く、今までのかっこよさが嘘のように純粋培養なこの青年を取り敢えず遠ざけつつ、俺はお師匠さんと対峙した。


「で?何の用で、こんな標高の高い山の頂上までわざわざ連れてきたんです?」


お師匠さんは取り敢えず、目をほぐしながら疲れた口調で言った。

トツカがある方向にずっと目を凝らしているのを見て、何となくふざけてる場合ではないことを理解したようだ。


「お師匠さん、取り敢えず『網』でこれと同じ魔力が何体あるか調べてみてくれ。この山を覆えるぐらいでいいから。」


取り敢えず、俺はとある亡霊の残骸でもある剣を取り出した。


「いや、ムリですけど?魔力的に。」

「じゃ、じゃあ、あの辺を重点的に見てくれればいいから!」

「・・・分かりました。『曇の魔術-網』」


改めて見ると、アリアの雲は本当に静かで落ち着いた白だな。

俺の雲がぎゅるんぎゅるん流動しながらゴッと勢いよく移動していくのに対してアリアの雲はどこまでも静かなのに気づいたときには目の前に来ているような整然とした動きをする。

アリアはやっぱり俺よりも器用なのか簡単に一匹目を見つけ出したようだ。


しかも、流石上級冒険者。

俺たちよりもモンスターについての知識が豊富だ。


「ああ、、、ゴーストシーフでしたか。珍しいですね。群れでもできたんでしょうか。本来、盗賊系のクラスについていた人間がゴーストになり、それが上位進化してゴーストシーフになるので、ダンジョンの深部でしか見つけられないはずなんですが。まあ、一匹二匹ぐらいなら、迷い込んだゴーストが魔力だまりで上位進化してる可能性もあり・・・・・・・・・・・・・・・・なんですか、これ?そこらじゅうにいるじゃないですか!?それも、群れなんて数じゃない。数百匹はいるじゃないですか・・・まるで、何かを待って隠れているかのように・・・」


お師匠さんが確認しきったところで、俺は剣を取り出し黒雲を一気に吐き出す。

・・・もうそろそろ、きつくなってきたな。

なれない高難易度の新魔術の使用に、鬼の熊さん、ゴブリンレッド、ゴーストシーフ、アリアに続く連戦。

そして、連続した魔術によるごり押しの山登り

でも、最低限これくらいは・・・

そんな俺の様子は俺の一番近くで2か月も暮らした彼女にはハッキリわかっちまったようだ。


「ちょっ・・・どんだけ、魔力を使うつもりですか!?死にますよ!?」


「なあに、ちょっとのムリで済む・・・山を包め、そして、見つけ出せ『曇の網≪ネット≫』。・・・ぐっ!」


「「サクラ!」」


足元がふらつき、眩暈までするので思わず膝までついてしまった。

・・・こりゃ、ガチかも。

トツカとアリアが心配げに近づいてくるがそれを手で制す。


「大丈夫・・・後は指示するだけだ。」

「いくら、俺たちのためとはいえ、こんなことだれも望んでない!トーリだって悲しむ!」

「ここで、諦めてどうする?逃げる時に絶対邪魔してくる・・・あいつらが動いてない今じゃねえと絶対無理だ。第一、これ以上時間を駆ければ、気付かれ・・・ぐっ。」


アリアが俺の静止を振り切り近づいてくる。

俺の肩をガンガンぶったきながら、耳元で叫ぶ。


「バカ弟子サクラ!いくら、魔力があるとはいえ欠乏状態で魔術なんて使ったらダメになっちゃうわよ!師匠としての命令です!死にたいんですか!破門にしますよ!・・・もう!『曇の魔術-崩』!さっさとこのふざけた量の雲をぶっ崩しなさい!」


白い雲が干渉しようと黒雲に雪崩かかる。まずい、、、崩される。

主人公でいられなくなる、、、凡人のままで終わる・・・?

そう思った瞬間、魔力がいつもより増幅した気がした。

・・・いけるな。


「・・・『曇の増成≪パンプアップ≫』」


全ての黒雲を伝いつつ、すべての核が周囲のゴーストシーフの下に集い始める。


「・・・ばか!なんなんですか、あなたは!」


彼女は『曇の魔術-網』で全てを悟っているのか、泣き叫びながら俺をバンバン叩く。

偽りの、、、命を一つ、一つ消していく。

幸運なことにこの行為には正当性があり、、、命を消すことへの覚悟も雲を使う場合は、画面でそれをしている気分になるのでそれ程強くない。

・・・どちらかというと、俺を心配して泣き叫ぶこの娘の叫びの方が効く。

514

478

423

356

215


加速度的に減る『数字』が増えていく。


196

122


たとえ、元が人間だとしても


103

78

51.5


おれが主人公であるために偽りの惨めな生から


21

9

3

2

1


解放されろ。


0


トツカが、アリアが、有り得ないという表情をして腰を抜かしてる。

そんな彼らに、、、正確にいうとアリアに向けて俺は笑いかけた。


「見ろよ、アリア。俺はぴんぴんしてるぜ。」


彼女は思いっきり俺をぶん殴った。


「これだから、英雄ってやつは嫌いなんです!」


彼女がそう言いながら、泣き叫ぶのを遠くで聞きつつ俺はトツカと話し合っていた。


「今しかない。さっさと逃げろ。どう考えても、あれはお前らとクリムゾンあと、、、飛龍?を狙った軍勢だ。しかも、お前らが逃げないように監視として、あれだけのゴーストシーフを置くんだ。いくらなんでも本気すぎる。逃げるなら、監視が一切ない今だ。」


トツカは悩んだ顔をしながら、ずっと見ていた方向と俺を何度も見返した。


「トツカ、、、後は主人公である俺に任せろ。トーリ・・・幼女を泣かせるような事をすると思うか?主人公なんだぜ、俺?」


俺は大きく胸を張って、大丈夫だと叫ぶ。

一瞬、呆れた表情をするがトツカは笑顔で俺と握手した。


「・・・ほんとに、短い間だけだったがサクラには借りが沢山出来た。いつか、必ずこの借りは返す。本当にありがとう。一族ともども本当に礼を言う。」

「ああ、俺はこれからが本番だからな。礼は出来れば二人とも無事だった時にしようか。」

「・・・本当に、有難う。」

「おう、トーリによろしくー」


トツカが見えなくなるまで見送った後、俺はゆっくりと彼女に近づいた。

彼女は俺が近づくや否や、縮めこませていた体をがっと起こしてこちらを睨んだ。

その目は冷たく、、、怒りに満ちていた。


「おししょ、、、「破門と言ったはずです」、、、あ~、アリア、、、アンタはここについてから、いや、俺と会ってからずっと妙に緊張してるようだが、あれを見て何も気づかなかったのか?」

「何を言ってるんです?」


俺のせいとはいえ、、、興奮させ過ぎたか。

俺は、すっと指をある方向に向ける。


「雲をずっとあっちの方にでも向けて見な。おし、、、アリアは不器用だから魔術で視たほうがはやいだろう。」


ギロッと睨まれたため肝を冷やしながら俺はもう一度、指をさす。


「ここはこのあたりで最も高度が高いから、周囲を見渡すには絶好の場所だ。しかもこの方向を見てみろよ。綺麗だと思わないか?龍人の里からこの火山の頂上そして、ココノハ村、街道、森、岩山、盆地、岩山、森、、、そして国境からなだれ込んでくる魔物の大群。」

「・・・つっ!?」


最強の種族、龍族を本気で生け捕りにでもするつもりだったのか、魔物の大群はそれだけの数を揃えたようだ。

しかも、人質を作るために潜伏特化のゴーストシーフを配置する知能がある指揮官までいる。

黒雲で把握した魔物の数は約一万。

冗談がきつい。

そして、一番の問題は。


「ココノハ村が進路に入ってる・・・」


アリアが絶望的な口調で呟いた。


「アリア、俺は戦う。アンタはどうする?」

「・・・・・・・・・」


魔力は無いが、顔を伏せ震えるこの娘を奮い立たせることぐらいは、、、俺が手助けしなきゃいけないんだ!


「アリア、ココノハ村を守らなきゃいけない・・・俺たちで。」


彼女の肩を、優しく叩いた。


「嫌です・・・」

「は?」

「あんなの緊急依頼に匹敵する代物です。今、逃げれば助かることが出来ますが。村に知らせた場合、間違いなく、緊急依頼クエストになり私たちは無駄死にすることになります。」


ま、まずい。

お、怒らせすぎたかな?

彼女の協力なしじゃ、町の皆が逃げる時間を確保できない・・・

対多数の専門属性『曇』のスペシャリストである彼女が協力してくれなければ。

頑固になってるだけだろうと思って、つい調子にのってしまった。


「あんた、、、村を見捨てる気か?サマンサさんがいるんだぞ?主人公的にそういうの見過ごせねえ。英雄的主人公になるには、村とか守るのはテンプレなんだぜ?」

「英雄なんて、、、大嫌いです、、、」

「へ?」

「英雄なんて大嫌いだって言ったんです!!あなたみたいな英雄みたいな自己犠牲精神も、英雄なんて呼ばれたいなんて呼ばれてる人間も、英雄自体も!あなたがそのふざけた考えを直すまで、私は絶対に協力なんてしません!私は英雄なんて、大っ嫌いですから!」

「わ、わかった。お、俺が悪かった・・・ぶはっ!」


杖で頬を思いっきりぶっ叩かれた。

黒曇衣を張る力もなかったので、気絶しそうな痛みと共にブッ飛ばされる。


「英雄なんかに協力してたまるもんですかっ!」


薄れてゆく意識の中、涙をボロボロ流す彼女の顔をずっと俺は見ていた。

こ、攻略・・・し、失敗した・・・



――――――――――――――――――――

アリア=レイディウスは元々はどこにでもいるただの農民の一人娘でした。

たまたま、その農民の奥さんが美人だったお蔭で美少女ではあったが、ただの農民の一人娘でした。

彼女は田舎の小さい村で幸せに暮らしていました。

優しい両親。大好きな親友。自分に似て可愛い妹。きれいな近くのお花畑。

幸せでした。


そんなとき、帝国の雷の勇者パーティーがたまたまその村に滞在することになりました。

勇者様の歓迎会をしている最中、雷の勇者様は余興がしたいと言い出しました。

雷の勇者は言いました。


「私の糧になりなさい。私の技を磨くためです。ああ、耐えきれたら活かしてあげましょう。」


雷の勇者は一人ひとりに自分の技を一つずつ試していきました。

逃げようとする人間は勇者パーティーに殺されるか、捕えられてしまいました。

一人、一人手を下す雷の神技。

また一人、また一つ。

彼女の大事なものは壊されていきました。

遂に、彼女に残されたものは妹と親友だけ。

雷の勇者様は言いました。


「あなたはきれいですね。そうだ、あなたともう一人、どちらか好きな方を生き残らせてあげましょう。」


まだ幼い彼女にそんなこと決められるはずがありません。


「時間切れです」


たったそれだけの言葉で、彼女の大切な妹は彼女の手のひらで温かみを失われていきました。


「決められなかった罰ゲームです。さようなら」


雷の勇者は遂に、彼女と親友を閃光で焼こうとしました。

高笑いする勇者様。しかし、その笑いは止まりました。

無傷の二人がそこにはいたのです。

しかも、その二人は徐々に消えていくではありませんか。


「興ざめです」


姿をどこかに消した二人に対してのあてつけに村と近くの美しい花畑を雷で焼き散らし、雷の勇者は村、、、廃墟を去りました。

彼女はたまたまあった命の危機と絶望によって目覚めた本質能力で雷の勇者から身を守り身を隠す力を得ることが出来ました。

しかし、たまたま起きた雷の勇者のきまぐれによって彼女は大きく絶望しました。


しかし、彼女の絶望はまだ終わってなかったのです。

彼女は親友と共に復讐をしようと、帝都でスラムに身を隠しながら時を待ちました。

そしてついに、魔王を封印した雷の勇者が帰還しました。

で、絶望しました。

誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが誰もが

彼らを英雄として囃し立て、正義だとほめたたえるのです。

おかしい、、、コイツラは、私たちの村を憂さ晴らしに滅ぼしたんですよ?

滅ぼされた私たちが悪いことに何故されているのか?

邪教徒が巣食っていた村を神の雷で清めた?

あんなに血まみれになったのにあれを清めたとこの群衆共は言うの?

私たちの村を、綺麗だった花畑を、優しかった両親を

私の腕の中で冷たくなっていった妹を

英雄ってだけで・・・殺してもいいの?めちゃくちゃにしてもいいの?

思わず石を投げてしまった。

そしたら、何千もの石が悪意となって私たちに降り注いだ。

頭にガツンとあたって、くらっと来た。

スラムの中ですら、気付いた時には居場所がなくなっていた。



そして、彼女は英雄を憎むようになった。

自分の大切なものを壊すだけでなく、侮辱した、自分勝手な人間である英雄という存在を。

次回、第4章終了。

第5章、超ハイペースで物語が終息しますから頑張ってついて来て下さい(笑)

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