第3章空飛ぶ新天地と緑の保健室part1
雷の勇者の虐殺は瞬く間に広まった。
寧ろ今までがおかしかったんだ。
帝国が上手いこと情報操作していたお蔭で、雷の勇者は皇帝の命令も無視し指揮官の作戦も聞かず勝手に戦場に飛び込んだりする問題児ではあれど、、、大陸中に名を馳せる高名な勇者とされていたんだ。
情報を操作していた帝国が内乱で雷の勇者どころではなくなり
雷の勇者が守るべき国を放り出し、、、他国で虐殺を行ったことで
ようやく世界は雷の勇者の危険性に気付いた。
そして雷の勇者の居場所も特定された。
ミリュシオン魔術学院、、、場所さえ分かれば黒雲で探るだけだ。
そして・・・・・・・と今まで抜こうとも思わなかった剣の柄にいつの間にか手が触れていた。
「待って」
「アリア?」
剣の柄に振れた俺の手は更にきゅっと包まれた。
あの時あの場所で曇の種を構えた俺を止めたのは意外にもアリアだった。
「待って、、、そこを戦場にするのは危険です」
「・・・・何故だ?」
「あの学院には学生も教授もたくさんいます・・・雷の勇者を刺激すれば・・・・逃げ場のない空で皆がこのようになります」
「・・・・・・・・」
視線の先は言葉にできない程の劫に満ちた街の残骸。
雷の勇者を憎んでいて、、、同じくらい雷の勇者の危険性を知っている彼女の言葉を噛みしめる。
今すぐにでも殴り込みに行くと思う気持ちが昂る。
けども罪なき大勢の人々を巻き込むことは果たして背負いきれる覚悟かと聞かれれば・・・・
「わりぃ」
「・・・・・・・大丈夫です。考えがあります」
一番冷静になれないはずの彼女が一番冷静だというのはいっそ滑稽でもあった。
それからアリアは海民連合から公営ギルドを通して一通の手紙をミリュシオン魔術学院へと送った。
返事が来たのはそれから一週間後。
彼女は返って来た手紙を一読するとすぐにミリュシオン魔術学院へ発つと宣言した。
考えがあるとアリアが宣言した以上、全て彼女に任せることにしていた。
行くと言われれば異存はないとティアラも俺も旅荷物を担いだ。
アリアに指定されるままに『動く曇道≪オート・ステップ≫』を走らせること半日。
空に向かうかと思っていたのに、辿り着いたのは周囲より少し小高い丘の上だった。
辺りを見渡し空も見上げるが、何もなかった。
「「・・・・・」」
「別に道に迷ってませんからね?」
俺もティアラも軽口を叩く気になれなかった。
こんな所で何をするのかと疑問に思っただけだ。
「空に都市が浮き、好きに移動できるという状態は実はかなりの脅威であり、各国にいたずらに疑念を与えることになります。」
「・・・・・・・なるほど」
だから普段は幻惑魔法でカモフラージュしているわけか。
アリアが合図替わりとばかりに白い雲を空へと流していく。
雲を越えるくらいにまで白雲が伸び切った頃、、、いきなり体を膜のようなモノが突き抜けた。
「『曇感知≪サーチ≫』にも反応しなかったぞ・・・・」
「すごイ・・・・・」
魔力を感じ取った瞬間、真ん前には魔術学院があった。
ティアラも俺も
都市一つが空に存在していた。
地盤をそのまま引っこ抜いたかのような大岩の上の上で浮かぶかのような見た目。
風の魔術でも使っているのか、近くにあるだけで眼も開けられないような突風が肌に当たる。
「アリア、、、ここに知り合いがいるのか」
「知り合いが、、、というよりはここに義父がいるんです。」
「「え???」」
ここは第二の故郷で雷の勇者がいると分かってさえなければ、楽しい帰省になるんですけど・・・
そういってアリアはその都市を見つめた。
俺達を拾う為に近づいてくれたのだろう。
俺達が上陸するや否や、再び膜のようなものが張り巡らされた。
そして空へとどんどん上がっていく。
へえ、、、、空気抵抗を感じない。
カモフラージュと同時に風圧への防御膜でもあるのか・・・
「どうしたノ兄弟子」
「いや、、、この膜良くできてんなって。同じ魔術師として尊敬するぜ」
「膜?」
ティアラが首を傾げてる・・・珍しいなティアラぐらいの魔術師が気づかないとか。
「この学園全体を膜みたいなのが覆ってる。今かなりの速さで上昇してるのに全然苦しくないのもこれが俺達を護ってくれてるからだな」
「上がってる?・・・どうしテ分かるの?外はまったく見えないのに」
「見えない?ハッキリ見えるだろ?」
「ゼンゼン、、、外に魔術モ通らないし」
どうやらティアラの眼には虹色の壁が見えているらしく、外の様子はさっぱり見えないらしい。
・・・・・・暴走魔力のせいかな、ティアラには見えなくて俺にだけ幻惑の効果が届かないのは。
呪いも効きにくいみたいだし、、、でもいくらなんでも感覚にまで影響するとは思えねえし・・・んん?
「二人とも、行きますよ!」
「ああ」
「・・・・・」
アリアが門の前で女性と話していた。
誰?と聞く前にアリアから紹介される。
「この人はシレア・レイオス。この魔術学院の教授で私の義姉です。」
「「教授!??」」
「初めまして」
歳は、、、二十五か六?
若くて綺麗な人だった。
そしてそろそろアリアがどういう育ち方をしてきたのか知りたいでござる。
義姉がこれだけの魔術を張り巡らせることのできる場所の教授・・・?
ならアリアの義父というのは・・・間違いなく・・・
「学院長がいまかいまかとうるさいので行きましょうか」
「お義父さんが?相変わらずですね」
「アリア、学院内では学院長と呼びなさい」
「ごめんなさい、学院は久しぶりだからつい」
やべえティアラと俺、、、精神的に置いてきぼり喰らわされてる。
てか、雷の勇者がここにいるってのはある意味幸運だったな。
この学院の長がアリアと知り合いだったなんて。
協力を得られれば随分と楽になるな。
「義姉さんは最近どうですか?」
「研究に専念したいのに、教授や学院長の面倒事の処理ばかりね。アリアは?」
「私の魔術の終着点がようやく出来ました。後で見てもらえますか?」
「へえ、、、遂に。おめでとう。」
アリアは久しぶりに会えたのが嬉しいのかシレアさんと会話を楽しんでる。
よっぽどシレアさんを信頼・尊敬しているのだろう。
ティアラが妬かないだろうかと思わずちらっと確認するが案外平気そうだった。
「ナニ?」
「いや、、、俺ん時みたく突っ掛かんないんだなと」
「兄弟子とアノ人は別だよ。アノ人は私の居場所を奪わナい」
「居場所?」
「どうデもいいでしょ、、、行コう」
気になる言葉を残しつつ、ティアラは足を速めた。
定位置のアリアの少し後ろへ・・・まるでここが定位置と俺に見せるかのように。
「ちなみに二人はどうするんですか?」
「通常の手続きで大丈夫です。」
「へえ、、、ティアラちゃんは小さいのに凄いんですね」
「サクラも私と同じ上級冒険者なんですよ」
「へえ、、、流石最年少で助教授資格をとっただけはありますねアリア。」
「義姉さんに褒められるのはいつになっても慣れないです・・・」
アリアがてれてれと照れる。
俺もティアラも思わず背筋を伸ばしてしまう。
・・・・アリアの弟子としてここにいる以上、アリアに恥をかかせられない。
「おお、アリア!」
「お義父さん!」
壮齢の男性が嬉しそうな顔でブンブンと手を振っていた。
長めの顎髭に刈り込んだ頭と気難しい印象を与える容貌だが、アリアに向ける満面の笑みは優しい人の物だった。
シレアさんが少し不機嫌な様子で笑顔の学院長に文句を言う。
「学院長、、、アリアの対応は私がすると言っておいたはずですが?」
「義理とはいえ娘の帰省に顔を出さない父がいるか!」
「自分の担当の授業を放っぽり出して娘に会いに行く学院長がいますか!?」
「気にするな、自習と言ってある・・・アリアが学院にいる間は」
「また、私に仕事を押し付けるつもりでしょう!」
「あ、相変わらずですね二人とも・・・・」
学院長とシレアさんの口喧嘩をアリアが宥める。
アリア可愛がられてるなあ・・・この世界で家族と呼べるのは桜とツバキだけだからアリアがちょっとうらやましかったりもする。
と、学院長が置いてけぼりの俺達に気付いた。
「この二人は?」
「ああ、サクラとティアラ。二人とも私の弟子です」
「そうか、二人ともよろしく」
「・・・・・・」
「あ、ども」
ティアラとわざわざ身をかがめ握手を交わし、俺の方にも手を差し出された。
気さくな人だなと思いつつ、差し出された手を握る。
すぐに手を離すかと思いきや、学院長は俺の手を離さずじっと俺を見ていた。
「ちなみに君はアリアを狙っているのかな?」
「・・・・・はい?」
「お義父さん!??」
アリアが頬を真っ赤にして怒鳴る。
・・・・・・正直に恋人と答えてもいいが、下手に言うと怒られそうだ。
「師匠と弟子の関係です。」
「・・・・・君は精神魔術に耐性でもあるのかな?」
「はい?・・・アリアと同じ本属性は曇ですけど」
「いや、変なことを聞いてすまない」
あっさりと手は離された。
すまないねえと笑ってはいたが、目は笑っていなかった。
・・・・・・・・うっわ、親バカだ。
かつて昔の記憶だが朝日奈楓の父親も同じ感じだったなあ。
それ以上にもっとめんどくさい義弟もいたけど。
「ちっ、幻覚に耐性があるとは・・・(ぼそっ)」
「今何か言いました?」
「いや、何も・・・さあ行こうじゃないか。」
アリアに甘いものを用意したのだと、さあさあとアリアをぐいぐい押し出し誤魔化されたが・・・・目をつけられたな。
目が殺してやると語っていた・・・・怖えよ、あのおっさん!
シレアさんが困った表情で俺に慌ててフォローしてくる。
「すいません、学院長は親バカで・・・あの人もアリアが絡まなければ尊敬できる人なんですけど」
「気持ちは分からなくもないんで・・・」
「とりあえず、あの人にはいつ殺されるか分からぬと警戒しておいてください」
「冗談ですよね?」
「被害者が山ほど出てなければ、冗談に出来ますけどね、ふふふ・・・」
表情と声が語っていた・・・ガチだと。
笑えないレベルの親バカとな?
流石アリアの義父、頭がおかしい!
と、学院長に聞こえない小声でシレアさんは囁いてきた。
「それに、、、ただの弟子と師匠の関係じゃないでしょう?」
「・・・・・・」
「アリアの顔を見ればわかります」
「まあ、、、、一応」
シレアさんはなら・・・・と考え込み俺に恐ろしいことを聞きはじめる。
「サクラさんは精神異常魔術には耐性があるみたいですが、毒は?呪いは?」
「・・・・・・・・・・呪いを浄化する鞘があるので。毒は多分効くと思います。」
ドン引きしている俺の前でシレアさんが怖いこと考えてる・・・・真剣に。
「後、暗殺も警戒しないといけませんね・・・・何しろアリアの近くに日頃からいる時点であの人の怒りを買っているはず・・・・」
「・・・・・・・・・・」
アリアと口づけ交わしたことばれたらどうなるんでしょうね、ボク・・・・
「場合によっては学院長自らが直接手を下す可能性も・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
いっそのこと何かされる前に・・・と思ってしまえる自分は間違っていますか?
「サクラ妙に疲れていませんか?」
「別に・・・・・」
「「?」」
取り敢えずあの糞オヤジとは二度と会いたくないだけだ。
まだ恋人関係バレてないはずなのに、ニ・三度は偶然を装って闇に葬り去らされそうな目にあった。
今日は私の家に泊まりなさいという学院長のお言葉を『丁重に』辞退させていただき、空いている学生寮の一室を借りさせてもらっている。
大人の事情など何も知らないアリアとティアラは学院長の屋敷に泊まるみたいだが、就寝前に今後の方針を決めると俺の部屋に来ていた。
「で、、、黙ってこんな場所までついては来たけどこれからどうすんの?」
「私は教師として、ティアラとサクラは学生として先月と今月の入学者を全て内密に探って下さい」
「・・・・・雲なしで?」
「そうですね、刺激してこんなところで暴れ回られる方が危険ですから。でも、、、今までよりマシでしょう?」
確かにアテもなく帝国を探らされてた時よりも範囲が限られている分まだマシだが・・・
雷の勇者かどうかを内偵だけで探すとか・・・・
黒髪黒目でかなり条件を絞っているのに何十枚もリストがある。
『能力ある学びたき者、年齢国籍種族財力の一切を問わぬ』のモットーのせいか?
「何でこんなに多い・・・・」
「先月は四月、、、正規入学の月だったので特に多いんですよ」
「なるほど、、、そういや俺とティアラは正規入学じゃないよな?」
「ええ、二人とも魔術科クラスです。」
実力重視で魔術学院の花形の学科で、常日頃から優秀な学生を求めているらしい。
そんな風にハングリーな学科であるから、唯一中途入学を認めている学科らしい。
「魔術ねえ、、、、今更って感じもするけど」
「兄弟子は基本が出来てナインだから、やり直したら?」
「なにぃ?なら、明日の試験勝負しようじゃないか?」
「良いけど、負けて恥をかくのは兄弟子ダヨ?」
「ほう、、、いいだろう」
「二人とも普通に学生レベルを超えてるんですから程々にしてくださいね?」
「「はあい」」
さて、、、異世界で学園生活か。
雷の勇者とか親バカだとか厄介なことは山積みだが、テンプレだな・・・・・少し楽しみだ。
―初年度共通教育、基礎魔術クラス―
「物理系攻撃魔術の基礎理論を臨時で担当することになりましたアリア=レイディウス助教授です。魔術に関しては何でも相談に乗るつもりなのでよろしくお願いしますね。」
「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」
学院長の義理の娘であのシレア教授の義妹。
そして最年少で助教授資格を取った魔術の天才。
学生達はどんな人間が来るのかと楽しみにはしていたが、まさかここまで美人だったとは・・・
ざわざわと揺れる学生たちに向け初日だけ付添で来た、シレアがこほんと咳をつく。
「学院長、何故生徒側に座っているんですか?『光の点撃』」
「「「「「「「「「「「!?????」」」」」」」」」」」」
「何故、、、、ばれた」
シレアがいきなり生徒席の空席だった席へと光魔術をぶち当てたと思ったら、学院長が風の盾を構え無効化してしまった。
かなり怒っているのかシレアは声を低くして、でも生徒の手前なので怒りは顔に見せず・・・
「学院長はこの後、精神系魔術の応用理論が授業としてあったはずですが?」
「心配するな、レポート提出で今日は授業をしたことにさせておいた」
「誰がそのレポートを確認すると思ってるんですかっ!?」
「俺だ!」
「結局この前アリアが帰って来た時は全部私に押し付けたでしょう!」
「まあ待て、今日は久しぶりのアリアの授業、、、今日だけは見逃してくれ!」
「貴方ほどの魔術師が物理系攻撃魔術の基礎理論なんて聞いて何も得るものなんてないでしょう!」
「俺の心が満たさ
「『光の点撃』!」
「どわあっ!?シレア、義理とはいえ父親に攻撃魔術を使ってくるとは何事だ!」
「物理系攻撃魔術を学びに来たんでしょう!痛みで満たされに!!」
生徒たちの目の前でシレアが遂に攻撃を開始する。
学院長は必死になって盾で無効化している。
流石といえば流石なのだが生徒には一切当たっていないし、光魔術なので静かだったりする。
「さて、今シレア教授が放っている光魔術は『光の点撃』という光魔術の中でも基礎的な物理系攻撃魔術です。皆誰もが異なる属性を持つどころか、理想のあり方や人生の経験で替わります。・・・が、今シレア教授が放っているように『一撃を槍や矢のように飛ばす』という形でなら模倣する形ではありますが同じ形の魔術を使えるはずです。」
「先生、、、、、」
「はい?」
「この状況で授業をするんですか?」
「せっかく完璧な魔術を目の前で見れる以上、教材にしましょう。それに生徒に掠りでもしたら私が許しません。」
「「!?」」
「「「「「「「「「「おおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」」
あの不毛な争いを顔色一つ変えずに終えた・・・・・・・・アリアに尊敬の視線が集まった。
ちなみに普段からキチガイが暴れるからこれくらいでは動じなくなってしまっているだけというのは彼女だけの秘密だったりする。
―魔術科特待生クラス『魔術戦闘』―
「そ、そこまで!」
「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」
魔術戦闘の担当講師が思わず静止の声を上げる
エリートと呼ばれる魔術科クラスのなかで更に一握りの魔術師の生徒たち。
当然、既に実力は中級以上。
中には上級に至りかけの者まで。
模擬戦の会場で、そのエリート達が畏怖の表情で僅か十の少女を見つめる。
そんな彼らをつまらなそうに睥睨するのは桃色の髪の少女、ティアラ。
本属性の曇すら使わず、僅か数手で対戦相手を昏倒させていた。
「ココにはイナイね」
火、水、風、土・・・・・・彼女の中ではお遊びに等しい魔術で驚く彼らの中に流石に雷の勇者は存在しないだろう。
一番可能性のある場所だったが、、、よく考えてみればそもそも雷の勇者に学びの必要性などあるはずがない。
実際舌足らずな口をバカにされたので少し遊んだらこの有様だ。
「だとすれば、、、、何故コンナ場所に?」
ティアラにしてみれば、疑問でしかなかった。
―食堂―
魔術学院の食堂は基本的に利用は無料である。
勿論自室で食事をとったり、上質な食事がとりたいなど特別なメニューを頼む際には追加の料金が必要であるが『能力ある学びたき者、年齢国籍種族財力の一切を問わぬ』のモットーを元に基本的には無料。
「こら、サボんじゃねえ!」
となると経営はどうなってるんだという話も出てくるが、この学院は学費すら取っていない。
殆どの収入を研究成果の公表を見返りとした各国からの援助に頼っている。
その技術は魔道具大国である王国ですら見過ごせないものもあるとか。
「お前に言ってんだよ!」
更にはこの学院にはもう既に老体に近づいてはいるが、ほぼ二十四時間これだけの大きさの学院に常に幻惑魔術をかけながら、しかも空に浮かし続けられるという人間とは思えないほどの魔術師がいる。
三代目学院長ライカ・ミリュシオン
私設ギルドモルトリオンドのギルドマスター、天使メルキセデクと同じく特級冒険者の位をもっていたこともあるらしい。
「話を聞け!」
「うっせ、今やってる!」
「口より手を動かさんかい!」
「じゃあどうすりゃいいんだよッ!」
怒鳴られて怒鳴り返す、騒々しいまでの喧騒。
それはそうだ、、、後十分もすれば飢えた学生たちがダッシュで駆けこんで来るのだから。
我々清掃班の仕事はこの食堂をピッカピカに仕上げることにある。
食いもん食うとこだしな!
「ああ、もう!」
「時間がねえ!」
「何でこんなに広いんだよ!」
清掃班達が涙目になるほど仕事キツイけど!
「おい、新入り!」
「ああん!?」
「・・・良いペースだ」
「・・・・・・・・ありがとうございます!」
アリアは教師として
ティアラは優秀な学生として
立派なスタートを切れたと聞いた。
俺だって負けてはいられないのだ。
「『内在型身体強化』!」
「す、すげえ!あいつ一人で何人分の磨き仕事を!」
「これなら間に合うぞ!」
筋肉がキリキリと痛むくらい、床を磨き上げる。
そして次の場所へと。
いける、、、俺はまだ先に!
「うおおおおおおっ!」
「「「「「「「おおおお・・・・・」」」」」」」
清掃班のスーパールーキーとして!
「はあ・・・・・・」
「「「「「「「高速で手を動かしながら溜め息ついてる!???」」」」」」
なんでこんなところで清掃員してるんでしょう・・・・




