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異世界でもう一人の俺が暴れすぎてキチガ○と呼ばれている件について  作者: 浅き夢見む氏
第六部:この種の名は咲いて花になるまで分からない<雷の勇者編>
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第2章海の民の生き方part2

魔喰い龍との戦いの被害に影龍、圧龍の離反。

戦力である成龍も飛龍、斬龍、水龍のみという状態。

龍人に関しては多くの狂竜化した龍人が誘拐された。

龍巫様は最悪ともいえるこれらの点から龍人の郷が本部に支部三つであった状況を大きく変更することにし、戦力を全て海民連合に集結させることにしたらしい。


元々海民連合は水龍の庇護によって設立された経緯があり、湖支部も海民連合に近い場所に作っていたので都合が良かったそうだ。

海民連合としても龍が増えることは国防上の観点から大歓迎だったらしく、秘密裏に新たな龍人の郷が作られているとか。


スカイから事情の説明受けてみてようやく分かったことだった。

せっかくなのでトーリに会いに行こうと俺達は今は龍人の郷への道を人目に避けながら進んでいる。


「てか、そういうことなら連絡くれよ。引っ越しの護衛とかいくらでも手伝ったのに。」

「連絡は龍応石で送ったんじゃが、トツカが反応せんでの」

「ああ、、、、トツカも『狂竜化』したからな」

「なんと!?」

「しかも義龍の力借りれるようになってる。」

「なにぃ!??」


スカイが青天の霹靂という顔で仰天する。

そういえば先代の義龍はスカイの兄だったっけ?

トツカが義龍の力を借りれるようになった経緯を説明すると、彼女はいろいろと頭の中で考えたようだがそうかとだけ言った。


「ついに兄様が消えるのか・・・・」

「寂しいか?」

「いや、寧ろ誇らしいのじゃ・・・やっと転生を考え始めてくれたのじゃと思うと」

「そっか」


もしかしたらスカイを見守っていたくて長い間転生を選ばなかったのかも。

だとしたらすげえ良い兄だな、尊敬する。

流石、義に厚いと評判の龍様だ。


「それにしても前の時よりはマシだけど、やっぱり入り組んだ場所にあるのな?」

「魔国に知られてまた攻め込まれても困るしのう」

「魔国、、、、最近よく名前を聞きますね」


アリアの言う通りだ。

最近ことあるごとに名前を聞くようになった。

海民連合の中でも魔国が裏から糸を引いてるんじゃないかと噂がある事件も。


有名な冒険者や特殊技術者の失踪。

変異型魔物の増殖。

紅海で起きたような特殊な災害。


「風の噂で聞いたのじゃが、そろそろ教国が動くとの噂もあるらしいのじゃ」

「へえ、、、スカイも噂なんて気にするようになったのか?」

「時代が変わりつつあるからのう」


そろそろ着くからと言いながら彼女は、腰につけた仮面に目をやった。

今まで人の姿で世間に姿を晒すのは龍の禁忌に抵触していた。

仮面をかぶっているとはいえ世間に姿を出さなくてはならないとは、、、彼女の言う通り情勢が大きく変化しつつあるということか。





相変わらず郷は地下に形成されるようだ。

水龍が住むとして人の立ち入りを制限される森林の深くその奥から更に地中深くへ。

どうやったかのかは知らないが、新しい龍人の郷は前の龍人の郷と変わりない見た目だった。

だが、変化した場所もあるらしい。


「総員変化!」

「「「「「「「「「「『狂竜化・一段』!」」」」」」」」」

「素振り百回!一ッ!」

「「「「「「「「「「一ッ!」」」」」」」」」


何十人もの龍人が一斉に『狂竜化』して、訓練を行っている。

あまりの真剣さに女子勢が思わず息をのむほどだ。


「力を手に入れ真実を知ったせいか、龍人達から訓練を希望するようになってのう。『狂竜化』に至らない龍人達も今までより積極的に外との関わりを希望するようになったのじゃ」

「ふうん、、、、」


トツカがこの景色を見たらどう思うだろうか、、、喜ぶか寂しがるか・・・いや。

今こそエロ本を普及する時期だと張り切りそうだ。

それは置いておいて、まあ俺の視点だけど。


「良くなったな」

「そうかえ・・・」


二人して少しずつ変わりつつある国を微笑ましく眺めた。


「美しい銀髪のお嬢さん、ぜひとも私の子供を産んでくれませぬか?」

「え、、、なんですかこの人は?」

「ブッコロ」

「おお、桃色の髪のお嬢さん。あなたも是非ご一緒にいかがか?」

「「・・・・・・・・・」」


・・・・門番のトチキさんの方を絶対に見ることなく。

この人の無節操さ、少しは変わっておいて欲しかった。





「おお、久しぶりでござるな。」

「うっす、斬龍」


スカイの案内で連れて行かれたのは龍宮だった。

前みたいにピラミッドではなかったが、新しい龍宮も龍の大きさを考えてか質素な造りではあったがそれなりに大きかった。

斬龍は相変わらず剣を極めることばかり考えているらしく、外に出ない為に龍の姿だった。

剣の素振りをしていた彼は、刀を腰に納めると俺の左腕に目をやった。


「役に立っているようでござるな」

「あ、やっぱ分かるか?」


俺の腕を補完するだけでなく、斬龍の技をなぞることを可能にする『斬篭手』

その能力を伝えたことはなかったが、一目見ただけで分かったようだ。

流石は剣一筋の龍だ。


「それにその剣、、、いわくつきでござろう?ぜひ一本手合せを」

「いやあ、、、出来れば抜きたくないんだけど・・・」

「これそち達、今はおとなしくしておれ・・・連絡は入れておいたが、龍巫様は今よろしいかえ?」

「ああ、時間を作っているようでござる」


斬龍の案内で龍巫様の部屋へと案内される。

流石に旅慣れしているアリアやティアラでも龍人の郷独特の調度品を興味深そうに眺めている。

意外と長い廊下を進みながらそれぞれの現状を聞き合った。


「最近は忙しいのか?」

「今までは限っていた外交を行うのでそれなりにでござる」

「そっか、しばらく海民連合を拠点に活動するし困ったことがあればいつでも言ってくれ」

「助かるのじゃ」


世間話を話しているうちに部屋へと辿り着いた。

龍巫様は以前と変わらない様子だったが、書類に目を通す姿は新鮮だった。

少し疲れているようにも見えるが、長い時間書類作業をした精神的な疲れだろう。


「龍巫様、お久しぶりです」

「ああ、サクラ。久しぶりです、息災でしたか?」

「ええ、龍人の郷での修行のお蔭で。」

「・・・・・・ふうん?」


龍巫様は悪戯気に笑う。


「あの時みたいにどうせ修行なんか関係なく新しい能力でも引きづり出したんじゃないんですか?」

「ははは・・・・実は暴走魔力の濃度がまた上がっちゃって・・・」

「ふふっ、やっぱり!」


道理で邪悪な雰囲気が増してると思ったと龍巫様は朗らかに笑った・・・てか邪悪って

スカイをチラッと見るとこくこく頷いていた。

斬龍を見るとこくこく頷いていた。

アリアとティアラを見る、、、勘の鈍いアリアはぽけえっとしていたがティアラは意地悪い笑みを浮かべこくこく頷いていた。

・・・・・さて、旅にでも出るか


「これこれ拗ねるでない・・・」

「ううっ・・・」


スカイに慰めさめられるの久しぶり・・・これが年上女子の包容力ってやつか、最高ですね!

皆の仕方ねえなあって視線が痛い。

でも分かってるか!?

俺をここまでさせたのはあんたたちだぞ!?

俺が恨みがましい視線を送っているのに、龍巫様はガン無視して俺の連れに話題を移す。


「それはそうと、どうして海民連合に?黒の勇者として王国にいるかと思っていたのですが?それにお連れの二人は?」

「わ、私はアリア=レイディウス、、、サクラの魔術の師匠です。今は理由あって共に行動してます。この娘は弟子のティアラです。」

「・・・・・・・・(ぺこっ)」


アリアは流石に龍の前では緊張するのか、いつもより大人しい。

ティアラはここが定位置と主張するかのようにアリアの後ろに、そして顔だけ出してペコリとお辞儀をした。

・・・・・前々から思ってたがティアラって俺とアリア以外にはかなり人見知りだよな。


「そうですか、、、サクラの師匠・・・・・」

「あ、初めて会った時から手遅れだったので!」

「なんだ良かった!サクラみたいなのが三人もいるかと思っちゃった!」

「「「そんなことあったら怖すぎwwwwww」」」

「おいお前ら、黙って聞いてりゃ・・・お?」

「騒がしいですな・・・・」

「水龍、どうかしましたか?」


元々水龍は龍として世間に姿を現していたのか、特に人型を取っておらず大きさも通常の龍サイズだった。

よって窓に首だけツッコむようにして水龍は顔を見せた。

龍巫様が用件を訪ねるが、水龍は何故か俺の方をじいっと見ていた。


「・・・何か?」

「いや、、、魔喰龍を倒した者が来ていると聞いていたのでな?黒い血管に覆われた強面と聞いていたから拍子抜けしてしまったというか・・・」

「・・・・・・・・龍巫様?」

「いやあ、、、、ハハハ・・・・・」


間違ってないけど、間違ってる!

犯人が申し訳ないという顔をしてるから一応許すけど・・・

水龍は龍巫様が悪戯をするようになるとは・・・と言いながら、そうそうと切り出した。


「例のマフィアの幹部が龍巫様にご拝謁をと」

「そうですか、、、申し訳ありませんサクラ、アリア、ティアラ。しばらく席を外します。飛龍斬龍、三人の相手をお願い」

「了解なのじゃ」


龍巫様はすこし足早に部屋から出ていった。

余程重要な相手なのかな、、、龍巫様がわざわざ出迎えに行くなんて。


「すまぬのう、海民連合に住む以上は無視できぬ相手での」

「マフィア、、、か」

「海民連合全体どころか他国にまで根深く影響を増してきておるらしいでの」

「ふうん」


娯楽の街に闇有り。

非合法な者達の巣食うこともいたしかたがないと言える。

・・・・そういえば海民連合に来てすぐの頃、俺もマフィアと一回トラブったことあったっけ?

ミカジメだか何だか言ってたから組織丸ごと壊滅させてしまったが、まだマフィアなんて残ってたのな。

流石、龍人の郷が警戒するだけはある。


「そういえば、、、サクラのお蔭で勢いを吹き返したマフィアがいたとか聞きましたけど・・・」

「え、そんなのいたっけ?」

「私、何度も敬礼されましたもん。姉御とか言われたし・・・」

「私モ、店の人に無料でお菓子納められたコトあるよ」

「ええ・・・・そんなことあったの?」

「なんか黒さんに直接会うのは恐れ多いとか」

「流石じゃのう、サクラ。キチガイはいつも斜め方向に行く(ニヤニヤ)」

「・・・・・・・・・・」


知らんうちにマフィアに尊敬されてた・・・・しかも全然気づかなかった。


「もしかして最近俺の評判がいい感じなのって・・・」

「マフィアの人たちがいい噂を流してるおかげでしょうね」

「・・・・・・・・・・」


上級冒険者とかなんも関係なかった・・・・だよなあ。

俺の良い評判だなんて普通ねえよなあ、人為的なモノでも無い限り。

少し落ち込む俺に浴びせられるのは・・・爆笑。


「ぶひゃはははははっ!流石サクラでござる!」

「笑い事じゃねえぞ斬龍!」

「そもそも大人しくしてないあなたが悪い。ムカつくからと壊滅させたあなたのせいでしょう?」

「・・・・・・前までだったら少しは容赦したかもだけど」


自分の志の前に塞がる壁は覚悟を以て全てぶち壊すと決めたのだ、マフィアだろうが何だろうが立ち塞がるものは全て潰すと。

・・・・・・・この結果は全くもって予想していなかったけど。


「はあ、、、覚悟を持つって決めたし、結果もまあまあ・・・もうグチグチいうのは止めとく」

「よっ、流石マフィアに慕われるだけはあるでござる!」

「ふくくくっ!相変わらずじゃのう、お主は!」

「フヒヒっ!兄弟子いい顔ダヨっ!」

「・・・可哀想なサクラ」


コイツラ・・・・・・許すまじ。

後、、、アリア、そんな可哀想な者を見る目は本気で落ち込むから止めてくれ。

・・・・っと、意外にも早く話し合いが終わったのか龍巫様がドアから半分顔を出して、申し訳なさそうな顔をしていた。

き、聞かれてたか・・・・・


「あのう、、、サクラ?」

「・・・・どうしたんすか?」

「黒さんにこの機会に是非ともお目通り願いたいと・・・・幹部の方々が」

「「「「・・・・・・・・(笑いを必死でこらえてる)」」」」

「・・・・・笑えよ」


龍宮中に腹が立つほどの大きな笑い声が響き渡った。




これ以上笑ったら死んでしまうと誰もついてきたがらなかったので、水龍に龍巫様に俺の三人で客間に。

部屋に入った瞬間、ざわっと男たちがざわめき一斉に俺に敬礼してきた。

すっげ、、、まるで軍隊みたいだ。


「どうもサクラさん!ワイズファミリーで筆頭幹部を務めさせて頂いてます、リアンです!」

「・・・・・あ、ども」


小柄な魚人。

右腕にでかでかと『悪意こそ全て』とか彫られていなければ善良な市民に見えただろうに。

リアンさんが直角と言えるくらい立派なお辞儀をする後ろでは、幹部一同が同じようにお辞儀をしていた。

ここまでされることしたっけ?・・・・・・・・身に覚えがなさ過ぎる。


・・・・・・ん?

てかワイズファミリー!?

海民連合を裏から支配してるとまで言われる超大規模ファミリーじゃねえか!?

そんなファミリーの幹部たちに敬礼される覚えはねえッ!


「あのう、、、敵対するマフィアを滅ぼしただけなんで、、、そこまでしていただかなくて・・・」

「いえ、黒さんが組織を一人でお相手していただいたお蔭で人質にされていたボスの命が救えたのです!」

「・・・・・・え?」

「もう少しでファミリー存続の危機でした・・・相手は麻薬に人身売買にまで手を出し、貧しい者からも平気でミカジメを要求する浅ましさに挙句の果てには血の掟すら守らぬ無法者の集まり。身代金を払ってもボスが帰って来たかどうか・・・」

「ま、まあ、、、、俺も狙ったわけじゃないし・・・・それはそれで」

「でもそれだけじゃないんです!」

「「「「「「「「ないんです!」」」」」」」

「・・・・・・・まだあるんすか」


もう勘弁してくれ・・・・龍巫様がこんなのが龍人の郷の救世主かと遠い目をしているし。


「実は幹部一同、、、サクラさんに援軍をとあの現場にいっていたのです!」

「あ・の・げ・ん・ば?」

「たった一人でドンジョルノファミリー構成員千人を叩きのめしていたあの瞬間をですよ!」

「・・・・・・・・・・・・・あ」


そんなことしてた覚えがある。

リアンさんはさもカッコいいモノを見たという顔で俺の様子を語る。


「俺には二歳の子供(ガキ)がいるんだ助けてくれと泣きつく構成員を再起不能まで叩きのめし、戦意を失い逃げ出そうとするものでも容赦なく漆黒の意思を体現したかのような黒雲で包み逃がさない!まさにマフィアの鏡でありました!」

「「・・・・・・・・マフィアの鏡?」」

「ちがっ!?」

「家財道具は服もまとめて全て没収し、屋敷や隠れ家は全てたて壊す!泣いて止めてくれと縋るボスやアンダーボスによく見ておけと嘲笑うその姿!もう、、、もう、、、再起不能に叩きのめすその姿はマフィアそのもの!」

「「「「「「「「「格好良かったす!」」」」」」」」

「「・・・・・・・・・非道すぎて引く(ガチトーン)」」

「流石に嘲笑ってはいない!」

「「・・・・・・・・・否定はしないんだ」」

「志を妨げようと立ち塞がる敵は全て、覚悟と漆黒の意思を以て塵になるまで叩き潰す・・・・マフィアの我々ですら忘れていたそんな大事なことを思い出させて下さり、、、、、本当にありがとうございます!」

「「・・・・・・・覚悟と漆黒の意思を以てマフィアですら普通はしないことを平気でやってたと」」

「・・・・・・・うがああああああああああああっ!」


主人公の覚悟をマフィアの心得と一緒にすんじゃねえ!?

龍巫様と水龍のクズを見るような視線をどうすればいいか誰か教えてくれ!

確かに二度とケンカ売られないようにかなり厳しめにした覚えはあるけど、俺も殆ど記憶の彼方だったのに!


何でこんなことになってんの!?

自分で聴いてても引くわ!

泣いて止めてくれと縋る人間の前で屋敷壊すとか、ハイテンションでもやっていいことと悪いことありますよね・・・!・・・そうだ!!

『曇脈展開Typeα(アルファ)』に『曇脈展開Typeγ(ガンマ)』といったキチガイモードでもなくそんなマフィアもしないようなキチガイなことするはずがない!!!


「あのう、、、、話盛ってませんか?」

「そんなまさか!ここにいる幹部全員があの現場を目撃しておりましたから!」

「「「「「「「「恰好良かったす!」」」」」」」

「・・・・・・・・・・・」


逃げ場がないっ!


「で、つきましては、、、うちのボスが是非とも我がファミリーの名誉幹部になっていただきたいと・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「「ヨカッタネ」」


うん、、、、ここまで来たらもうヤケクソで受けてやる!


「「「「ギャハハハハハハハハハ!!!」」」」


こっそり盗み聞きしていたのであろう、声が響く。

アイツラハ・・・・・ゼッタイニユルサン






色々と予定違いが続くものだが、考えてもみればこれ以上ないチャンスでもあった。


「雷の勇者・・・・ですか?」

「ああ、、、折角だし名高きワイズファミリーに知恵を借りようと思って」

「ふむ、、、」


色々と予定違いが続くものだが、考えてみればこれ以上ないチャンスでもあった。

海民連合どころか他国にまでパイプが広がるワイズファミリーの幹部たちに、何百年以上も生きている龍達。

雷の勇者についてはガルブレイクさんから聞いてはいるが、改めて情報を整理したいと思っていたところだ。

アリアたちも揃えて、せっかくなので話をすることにした。


「俺がガルブレイクさんから聞かされたのは、見た目は黒髪黒目の俺と同い年か一つ下くらいの少年だけど身体に秘める魔力は龍すら遥かに上回り、いくら攻撃されても死なないってことだった。後、、、妙に自分の強さを磨きたがってるって聞いた。」

「そして・・・・髪と目の色は何故か出来ないようですが、容姿は自由に変えられます。」

「アリア・・・」


アリアは身体を掻き抱くようにし、苦々しい顔をしていた。

トラウマを必死で打ち消しながら彼女は思い出そうとしていた。


「『悪趣味なやり方』をしてたのをはっきりと覚えています・・・・」

「・・・・・辛いなら少し休んどけよ。後で情報を纏めとくし」

「大丈夫です、、、こんなチャンス滅多にないですから」


ティアラに目くばせする。

珍しく意見があった。

俺の目配せにこくっと頷いたティアラはこっそりアリアの隣に座り、背中を優しくさすった。


「・・・!・・・ありがとう」

「辛かったら言ってネ?」

「うん」


青白い顔をし、身体を震わせるアリアを見て皆の表情が変わる。

この場で雷の勇者の危険度を改めて確認した。

こほんと一息置いてから俺はもう一度話を進める。


「てなわけで基本的に容姿ではなく、帝国民一人一人の魔力保有量を探る方法で俺達は雷の勇者を探してた。」

「・・・・・・時間がかかったでござろう」

「うん、まだ十分の一位しか終わってない」

「他に方法はないのかえ?」

「・・・・・・・あまりいい方法じゃないけど、雷の勇者はかなり酷い虐殺癖がある。最新の雷の勇者の虐殺地を調査すれば雷の勇者の場所もある程度は絞れる」

「「「「「「「「・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」


帝国、、、場合によっては隣国まで。

どちらの方法をとったとしても時間が膨大に必要なことは分かり切っていた。

リアンがなら、、、と手を挙げる。


「雷の勇者の危険性はよく分かりました、、、黒の兄貴の敵でもある以上無視はできやせん。わがファミリーが雷の勇者の虐殺地を探します・・・ただ」

「ただ?」

「現在とあるファミリーとの抗争に人手を割かれてまして・・・・お力を借りれれば捜索に人手を割けるだけでなく、海民連合の覇権を完全に握ることが出来、捜索も情報収集もしやすくなります・・・名誉幹部の黒の兄貴に頼むのはお門違いとは思いますが、、、、、」

「いや、、、嫌いじゃないよそう言うのは」

「かたじけない、黒の兄貴」


ただ手助けするのではなくお互い助け合う。

それが一番いいと思う。

てか直感だが、俺が申し訳なさを感じないようにわざと提案したようにも感じた。

リアンと俺は意外と『合う』みたいだ。


「で、、、今上げた情報で追加とかないか?」

「ワイズファミリーからはありません」

「・・・・・・龍たちからは?」


龍巫様を含む四人は顔を見合わせ、、、、代表して龍巫様が話し出す。


「元々外交は絶ちがちで、、、噂が混じり正確でないかもしれませんがいいですか?」

「ああ、、、、少しでも情報が欲しいんだ」


かつて・・・・そう龍巫様は切り出した。


「雷の勇者は四百年ほど前に、、、丁度教国と魔国による覇権争いの中で名を挙げるようになりました。当時帝国はまだ人間至上主義ではなく、、、天使達、教国についていました。」

「なつかしいでござるな」

「そういえば斬龍はやんちゃな時期でしたっけ?」

「帝国の軍に紛れ込んで戦ってたらしいのじゃ」

「若気の至りでござるよ・・・・」


ちなみに人の姿で参戦してたんじゃないだろうな?

あんだけスカイが責められてたのにまさか禁忌犯してるとかねえよな?

ねえ・・・・ねえ?


「じゃあ、雷の勇者と一緒に戦ったことがあんのか?」

「あるのでござるが・・・・・ううむ」

「どうしたんだ?」


斬龍は悩むようにしていた。

アリアがその腕にすがりつくように掴みかかる。


「おねがいします!あいつに繋がるのならどんな情報でも欲しいんです!」

「いやあ、、、、拙者も当時の記憶違いかもしれぬし」

「お願いします!」

「・・・・・・当時の雷の勇者は虐殺なんてしてませんでした」

「・・・・・・・・なんですって!?」


斬龍の代わりに龍巫様が答えた。

アリアがつまらない嘘を吐くなと言わんばかりに怒声を上げる。

斬龍は困ったように頬を掻いた。


「容姿を自由に変えれる以上どうともいえぬでござるが、、、拙者が知っている雷の勇者は敵であろうとも命を取るような者ではなかったでござる」

「嘘です!なら、、、、なんで私の家族は、、、故郷は滅ぼされなきゃいけなかったんですか!」

「・・・・・・・・・落ち着け、アリア」

「うるさいっ!」


肩に置いた手が払いのけられる。

それだけアリアは頭に血が上っていた。

そりゃそうだ、、、今まで悪と信じていた者を庇うような発言をされたら、、、誰だって怒る。


「斬龍、、、どういうことだよ」

「分からぬでござる、、、、拙者自身も分からぬでござる。会ったといえども数度のことでござるし、、、記憶ももう曖昧でござるし。何故ただの人間が龍と同じ年月を生きているのか、、、そして何故虐殺を好むようになったのか・・・・そもそも拙者の勘違いかもしれぬでござる。」

「・・・・・・・・っ!」

「シショー!」


アリアが部屋から走って出ていってしまった。

部屋の中にこれ以上ないってぐらいの重い沈黙が籠る。

実際に知っている情報と当時の者の証言の食い違い。

これは、、、、、ただの勘違いと置いておいていいのだろうか?


「・・・・・・・どう考えてるんだ?」

「私達の知ってる雷の勇者と今の雷の勇者・・・もう別人なのではないか・・・そうとすら考えています。」

「そうか、、、、、それが妥当か」


情報が欠けてすぎている今の段階ではこれくらいしか結論は出ないだろう。


「それにここだけの話、、、帝国が公表してる歴史もおかしいのです」

「・・・・・・歴史?」

「雷の勇者だけでなく、更に勇者は二人いたはずです。」

「でも歴史書にはそれが『抹消』されているのでござる・・・・」

「・・・・・・・・意味が分からねえ」

「同感じゃ」


帝国はいろいろと問題のある国だったが、歴史書を改ざんするような国だとは聞かなかったはずだ。

つまりそれをさせるほど、、、雷の勇者には問題があると。


・・・雷の勇者、、、、倒すどころかそもそも見つけることが出来るのだろうか?

そんな一抹の不安が心にこびりついた。


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