第4章NPCはロリに興味がおあり?part1
第4章スタート!
異世界に来て、こっちの時間では大体二か月が経ってしまった。
そんなある日、俺は朝食をとりに行こうと森の中を走り回っていた。
爽やかな風が俺の肌をヒンヤリと冷やして気持ちいい。
「あるーひー、もりのーなーかー、くまさーんにー、出会ったー!はなさ―くーもーりーのーみーちーーーーぃぃっ!くまさんにーでーあーあああったああああああ!」
後ろから鬼の熊さんが追って来てさえいなければ、もっと楽しめただろうに。
森の中を俺はひたすら走り回っていた。
俺の手には、大きな大きな蜂の巣が抱えられている。
「鬼で熊さんのいうことにゃー!サクラっさん!おにげーなーっさい!」
「グボルワァ!グワッ、グワッグワッグワッ、グワ嗚呼アアアアっ!グボルワァ!グワッ、グワッグワッグワッ、グワ嗚呼アアアアっ!(すたこらさっささのさー♪ すたこらさっさっさのさー♪)」
魔法以外はダメ人間のアリアが俺に家事をすべて任せるようになってきたので、朝食の材料を調達する為に森の中を散策することにした。
大分俺もこの異世界に染まってきていたので、簡単に野兎二匹をとっ捕まえ、捌くことが出来たのでさっさと朝食づくりに入ろうとしていた。
そんな時、彼女は唐突に甘いもの食べたい、、、とか言い始めていきなり『曇の魔術-網』+『曇の魔術-寄』のコンボで、蜂蜜を取って来た。
魔法だけは無駄に器用な彼女は蜂と幼虫のみを除外して蜂蜜だけの蜂の巣を持ってきたのだが、まあ、そんな舐めた真似したら、、、ねえ。
何百匹もの羽ばたきがやってきて周りを一斉に囲まれた。
そしたら、私から甘味料を奪おうとは片腹痛いわっとか言いながら雲を出し始めた。
しかも、後はお前に任せたとか言って、俺に蜂の巣をブン投げてきた。
その後の記憶はない。
気付いたら同じく蜂蜜を狙っていたらしい『鬼の熊さん』なるものに追われてしまっていた。
何を言っているのかわからんだろう。
俺も分からない。
「お師匠さん!やっぱ無理だったわ!後ろの『鬼の熊さん』しつこい!」
「諦めるな!べっこう飴が私たちを待っているんです!」
「蜂蜜じゃなくて、グラニュー糖で作るんだよ!?それ!?」
俺も、彼女も、鬼の熊さんも、肉体強化を使って、本気で走っていた。
魔力の無駄遣いすぎる。
森は広いとはいえ、魔力全開で走りまくればいずれは限界が来る。
目の前に岩肌の崖が見えてきた。
やばい、行き止まりになる!
「ちっ、『曇の階段≪ラダー≫!!』」
岩に足を取られること確定だったので、雲の階段を造り出し、急こう配な崖を駆け昇っていく。
グオアアアとか声が聞こえるので、鬼の熊さんは岩肌とか全く関係なく俺たちと同じ速さで走っているのだろう。
鬼の熊さん、、、奴は化け物か。
森を越え、岩山を越え、そして目の前には、、、盆地。
曇の階段というよりは、滑り台という形でその広い平野に駆け下りていく。
異世界補正ともいうべきか、川や大きな泉や草原が広がるその盆地は、周りがうっとおしいくらいの森や岩山でさえなければ人口1万人もの街を設立できるぐらいの広さや立地条件があった。
「ま、、、、まいたか?」
「お師匠さん!それ一番言っちゃあいけないフラグだ!」
岩山からこっちに向かって大きな塊が下って来る。
お師匠さんはふっ、と笑うと詠唱し始めた。
・・・戦うつもりかよ。
げに恐ろしきは、食い物への執念。
お師匠さんも鬼の熊さんも血走った目で俺の手にあるべたべたする巣を見ている。
「私たちの戦いはこれからです!」
「グボルグワアッツ!(蜂蜜寄越せえぇぇっ)」
森に囲まれた岩山の中心部は、軍隊でも丸々入れそうな盆地があった。
ここを見ること自体は予定にはなかったが、こんなにでっかい盆地を見られたのだから良しとしよう。
・・・お師匠さんの魔力切れと引き換えだったが。
彼女は幸せそうに胸にどっから持ってきたのか小壺に入れた蜂蜜を抱きしめて眠っていた。
本来は岩山を越えるのではなく、岩山周りの森を通って迂回する予定だったのに・・・
意図しないハイキングのせいで、めっちゃ疲れた。
もう一度、岩肌の坂を上る。
呼び出した雲の上に、荷物やら眠ってるバカなどを乗せて自分は歩く。
2か月間甘党なこの少女と旅をしてきたが、残念ながら動く雲の上に乗るという○斗雲的な使い方は出来なかった。
魔術は基本操作が一番難しく、アリアほどの人間でも操作に意識を使わねばならないようで、本来の威力の3割しか使えてないそうだ。
そんだけ難しい感じなので、自分が浮かんでるなんて不安定な状況で魔術の操作は出来ないので○斗雲は出来ない。
ま、自分で歩くからこそ達成感があるので、これはこれでいい。
盆地の坂をようやく越えることが出来た。
事実上一番標高が高いことになる、盆地の縁から見えるそこからの景色は違う意味での達成感も与えてくれた。
岩山を越えた先にあったのは切り開かれた森にある一本の街道。
そして、街道の先にあるのはこの辺では大きな村。
火山と森という大きな資源が近くにあり、村を囲む広い平原。
理想的な立地であるその村は、人が活気良く生活しているのがここからでも分かる。
2か月の旅の目的地でもあるその村の名前は『ココノハ村』
そこまでは後、少しだ。
「鬼の熊さんに襲われた?そりゃ、災難だったな。坊主。普通なら、獲物を奪わない限りは絶対襲ってこない温厚なモンスターなんだがな。」
「ははは・・・」
村に辿り着くまで、それから丸1日。
盆地を通ったから、直線距離的に移動できたんでこの時間でたどり着けたからまあいいけどさ。
森を通って迂回すると、もう2,3日かかってしまうからなあ。
なんで、森を移動しながら迂回するのかといえば、岩で足元もおぼつかない坂道を通ると疲れるからだ。
ソースは俺。
今、すんげえ疲れてる。
ようやくたどり着いた村は、村という割には大きな門があり、若い男の門番を常時二人たてるぐらいには経済的にも人材的にも余裕があるようだった。
一人の門番がアリアの身分証明書が本物か確認している間に俺はもう一人の門番と世間話をしていた。
「へえ、冒険者ギルドココノハ村支部で冒険者登録をしにねえ。俺と同じぐらいの年なのにたいしたもんだな。」
「どうも。それにしても大きな村ですね。こんな森や山に囲まれた地にこんなに大きな村があるとは思わなかったです。」
「ははは、ここは火山のお蔭で温泉もあるし、森が近くにあるから土の養分が多く作物も良く育つ。観光地として、外からも人が良く来る。」
「へえ、、、飯が旨いのか。」
作物が育ち食糧が豊富な村は、余裕があるのでおいしいものに溢れている。
「おう!外の食習慣も取り入れてるからな!うちの郷土料理はかなり有名だ。」
そういって彼は自慢げに胸を張った。
へえ、、、自分の住む村に誇りがあるのか。
なんとなく胸が痛かった。
「おーい、サクラ!行きますよ~!」
アリアが手を振って呼んでいるので、それじゃあと言って村の門をくぐった。
「お師匠さん、ここの飯旨いらしいね。楽しみだ。」
「ああ、そういえば冒険者登録が出来る程の規模のギルド支部がある村に向かうとしか言ってませんでしたね。ええ、ここはとても美味しい特産品が沢山あります。」
「冒険者登録したいっていう俺の希望を叶えてくれたのは有り難いけど、わざわざこんなとこまで連れてきてもらって悪いな。」
俺のそんな声を聴くと、アリアは吹き出した。
「ふふっ、わざわざ冒険者登録をする為だけに2か月近くも移動しませんよ。元々用事があったんです。」
「へえ、、、何の用事だったの?」
「人に会いに、、、ね。」
彼女と会話しながら観光気分で辺りを見回した。
補給関係で多くの異世界の村を回ってきたが、ここまで大きな村に来たのは初めてだ。
中学の頃一度行ったことがある白川郷のように村中を用水路が流れる田園地帯であるが、洋風の木造家屋が並んでいるので外国にでも来た感じになる。
よく見れば、観光客用になのか屋根付きの足風呂が設立されている。
「お師匠さん、せっかく観光地に来たんだ。暇になったら、足湯に入ってこうぜ。」
「・・・そうですねー、時間が出来ればいいんですが。」
「? もしかして、すぐにこの村を発つのか?」
「・・・ははははは、そんなわけないじゃないじゃないですかー。なにいってるんですかー。ゆっくりするつもりですよーあははははは」
・・・2か月近く一緒に旅してるから、いや、してなくとも分かるが、ぜってえなんか隠してやがるコイツ。
さっさと吐かしてしまおうか。
「おい、何を隠してる?この隠し事下手くそな不器用敬語娘!」
「っつ、このバカ弟子サクラ!往来の前で何を言い出してんですか!」
「うるさい!お前に嵌められて、盗賊団のアジトに置き去りにされたこと忘れてねえぞ!」
「あ、あれは、あなたの魔法訓練にいい効果を与えると思って。」
「お前の良いは大抵、命の危機なんだよ!ほら!ジョロジョロ漏らしやがれ!」
「この野郎・・・女の子に漏らせとか・・・この2か月進歩どころかむしろ悪化している・・・駄目だコイツ・・・なんとかしないと・・・『曇の魔・・・ん?あ、着きましたよ。」
「おい!ごまかされないぞ!待てよ、お師匠さん!」
彼女はひときわ大きな木造屋敷に全速力で突っ込んでいった。
看板には大きな目立つ文字で
『冒険者ギルドココノハ村支部』
俺を非常にワクワクさせる書き方で書かれてた
、、、今は自分の主人公欲を満たすことに集中しよう。
ギルドの長い門をくぐると雪国ではなく
むさい男どもの楽園であった。
目の前が白くなった。自然と足が止まった。
ギルドの受付口から娘が立ちあがり、目の前の冒険者の社会の窓を蹴り落した。
雪のようなヒヤッとした冷気が流れこんだ。
娘は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、
「このようになりたくなかったら、丁寧な採取を行ってくださいねー」
薬草らしきものを持ってきたのであろうある冒険者の男は、手で口を包みジーザス!と講釈を垂れていた。
何だこの魔境はと俺はは辺りを眺めると、余りにもこの場にそぐわない二人の可憐な少女が受付口を挟んで会話をしていた。
その景色を目に入れながらも耳には悲鳴がずっと聞こえていた。
ジーザス!
・・・アリアが受付嬢の女性と会話していた。
積もる話もあるだろうからと離れて見ていると、受付嬢の少女が手招きしてきた。
なんか、ああされると逆に近づきにくいのはどうしてだろう?
妙な気まづさを覚えながら近づいた。
「どうも。」
「君がサクラ君?ホントにアリアは同じ年の男の子を弟子にしちゃったんだ。昔から、妙に抜けてるところがあったけど」
「サマンサ!変なこと言わないで!」
二人の会話はまた俺を置いて走りはじめそうだったので、すぐに割り込む。
「ふ、二人は、幼馴染なんですか!?」
「そうそう、同じ故郷で生まれた大親友なんだよ。」
「へえ、、、用事ってあなたに会うためだったんですね。あ、俺はサクラ=レイディウスです。」
「あ、そういえば名乗ってなかったね。私はサマンサ=レガシィ。」
サマンサはそういってにこっと笑った。
茶色の髪を後ろで三つ編みにし、大きな眼鏡をかけた彼女は正直お師匠さんと比べるとたいして美人じゃなかった。
どちらかというと野暮ったい村娘って感じだった。
けど彼女の笑みは、人をすんごい安心させる笑みだった。
ちなみにお師匠さんがキリッとしたまごうこと無き美人だが、彼女が笑うときは命の危機を感じるので一時も安心できない。
「で?そろそろ会いに来た目的ってやつを教えてほしいんすが。」
「あ、そうですね。はい、『深森蜂の蜂蜜』・・・結婚おめでとう!」
そういって、アリアはいつの間にか手に持っていた手のひらサイズの小瓶を彼女に手渡した。
サマンサは、それを聞くや否や歓声を挙げた。
「え!?あの上級採集指定物の『深森蜂の蜂蜜』!?超高級食材じゃない!?本物!?」
「間違いなく本物ですよ・・・」
ああ、、、あんときの蜂蜜かあ。
懐かしいな、、、気持ち悪いぐらいに緑色の何百匹もの蜂。
そして、、、鬼の熊さん。
しかも、相打ちに近い形でようやく手に入れたってのにあのちっけえ小瓶二つぐらいしか取れなかったんでお師匠さんが泣き叫んだのは良い思い出だ。
八つ当たりされたのは良くない思い出だ。
「・・・ん?結婚!?サマンサさん結婚してるの!?俺と同じくらいの年なのに!?」
そんなことよりも、もっと大きな問題がありましたわ・・・
俺と同じ15歳ぐらいの彼女がもう結婚って日本じゃ有り得ないから!?
アリアは俺が異世界人だってことを思い出したのか、サマンサが不思議そうな顔をしてるのをみて慌ててフォローに入ってくれた。
「サクラの故郷では、そうじゃなかったかもしれないけどここら一帯では珍しくないですよ。大体私たちぐらいの年が適齢期だし。」
「い、異世界ギャップ・・・」
異世界ギャップには未だに驚かされる、、、サマンサが同じ年齢のはずなのに、俺より大人で余裕のある人間に見える。
く、、、これが童貞とそうでない者との差という事なのか・・・
それからサマンサの先輩がせっかくなんだからゆっくり話したら?と言ってくれたので、何故かギルドにある酒場でしゃべることになった。
とはいえ、本来は二人きりで色々語りたいこともあろうに俺がいるのは・・・
「ついでに、ギルド入会の資料作成しよっか!」
ってことだ。
「早く、依頼受けてみたいです。」
「おっけー、ギルド証に魔力を通して、説明さえ受ければ問題ないよ!」
そういわれて渡されたのは一枚の手のひらサイズの木でできた一枚のカード。
「これに?てか、えらく楽ですね。」
「これ自体が魔法道具で魔力やステータスを記録するだけじゃなく本部にデータとして送信までしてくれるからね。そして、登録された魔力は本部の御神木に刻まれるから偽造はほぼ不可能なの。そういうわけで、再発行はかなり手間暇かかるから絶対に無くしたら駄目だからね。有料だし。」
「もしかして、身分証明書代わりになったりします?これ?」
「ええ、アリアに教えてもらってた?」
「いや何となくです。」
なんて、テンプレなんだ・・・
謎の無駄に高性能なギルドカードに、身分証代わりになるとかいう謎の制度。
この世界の冒険者は優遇されすぎだろ、マジで。
「で、魔力を通すっと・・・おお。」
‐ギルドカード‐
サクラ=レイディウス
15歳 ホモ・サピエンス
初級冒険者
「案外、記載されてる内容はシンプルなんですね。」
魔力を通した瞬間、ギルドカードに浮き出てきた文字列はステータスと比べると案外簡単なものだった。
しげしげとそれを眺めてから、サマンサさんの方を見る。
「ま、簡単に説明するね。冒険者って昔はダンジョンもぐりの自営業って言われてたけど、今ではむしろ素材とか迷宮の宝を欲しがる人と冒険者の仲介屋としてのギルドが完成してからは、しっかりした職業として見られるようになりました。そしてギルドにおいて、ギルド員は全部で6段階に分けられます。」
ギルド職員としての仕事を意識してか、丁寧語を使い始めた。
「あ、それは知ってる。初級、下級、中級、上級、特級、特一級の六段階だったよな。」
「はい、アリアは確か中級だったっけ?」
「もう、、、最後に会った時の話でしょ。もう、上級に入ってるわよ。」
そこで、ドヤ顔して俺を見てくる俺の師匠はホントに器が小さい。
「で、級によっては何か制限があったりすんの?」
「あ、はい。原則、ギルドが指定した段階のクエストと同じレベルのクエストしか基本は受けてはならないことになっています。」
「ま、成功数を重ねていけば、ギルドから昇級試験の連絡が来るから頑張ってください。これは先輩からのアドバイスです。」
「初級からさっさと上に上がるために、さっさと討伐依頼受けまくるか!」
「あ、初級は採集依頼や配送依頼しか原則出来ないことになってるんです。初級の方は、大抵初心者ばかりで、戦い方を知らない方ばかりなので。」
そんな俺の声に、サマンサさんは苦笑いして、ごめんねと言ってくる。
・・・むう。
「えええ、、、せっかく冒険者になったってのになー。ゴブリンとかテンプレ魔物狩りまくろうと思ってたのに。」
「まあ、しかたないですよ。冒険者の方々に装備を整える資金を集めさせ、冒険者としての経験を積んでいってもらうのが目的ですから。クラスが上がるごとに優遇がつきますし、今は耐えてください。」
「あれ?私の時は、下級からスタートだった気がするんだけど?」
なぬ?
「ああ、それは・・・「おいおい、初級で、しかもそんなひょろっちい体で討伐依頼なんて受けれると思ってんのかあ!?」・・・あれは、下級冒険者パーティークラメメス。」
サマンサさんが説明を始めようとしたとき、俺たちの話を聞いてたのか、むさくるしい男たちがこっちのテーブルに詰め寄って来た。
アリアをじっとりとなめまわすように見つめるそいつらは、唯一の男であり邪魔な俺を追い払おうとするつもりか、俺の椅子をガンと蹴り飛ばしながら詰め寄って来た。
「おい、新入りぃ!初級のくせにえらく夢見がちなセリフ吐いてやがるじゃねえか。」
その男達は俺を囲みながら、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべていた。
その一人が、俺の腕を掴んでくるもんだから振り払ったらいきなり切れ始めた。
「おい、てめえ!先輩がさっそく冒険者としてのイロハを教えてやろうとしてんのに何だぁその態度は!?ああん!?」
・・・マジウゼエエエ。
アリアやサマンサを既に自分のものだみたいな態度で見てるところも俺は男だっていうのに怖気を感じる。
筋肉はついてるようだが、顔のイケメソ分は残念ながらつかなかったようだ。
てか、ブサイクのマッチョってマジ気持ち悪い。
「「「んだと、こらあ!」」」
「あ、口に出てたか・・・」
周りの冒険者たちがおいおい喧嘩だ喧嘩だと辺りの机をどかし、暴れるスペースを作りはじめる。
・・・おいおい、この脂ぎった汚い筋肉をなぜ俺が触らにゃならんように仕向ける?
「「「ほおおう、、、面白いこと言うじゃねえか新入りくんよお・・・」」」
おっと、、、また口に出てたか。
勿論わざとであるが。
思考がうっかり口に出てて、相手を怒らせるのってやっぱり主人公っぽいし。
辺りのボルテージは一気に跳ね上がり、皆の注目が集まっていく。
なんか、こういうギルド所属してすぐに先輩たちにちょっかい掛けられるっていうテンプレって俺TUEEE系では絶対あるから、憧れてたんだよなあ!
そして、華麗にブッ飛ばして目立ちたくなかったんですが・・・やれやれとかいう感じに出来ればまさにそれって主人公じゃないですか?
ぶっちゃけ絡まれた時、ちょっとうれしかったです。
「あ!思い出した!ある一定の戦闘技能を見せることが出来れば、特例として下級からスタートすることを認めてくれるんだったよね!私も初めてギルド登録した時に、絡んできた下級冒険者を半○しにしたら、下級からスタートできたし!」
「え?まじ!?じゃあ、おれもこいつら×××にしたら、下級冒険者になれるの!?」
「え、、、ええ。冒険者としての力量は十分評価できるものといえますからね・・・人間としては最悪ですけど。」
やる気が出てきたので、思いっきり叫ぶ。
「おーし、かかってこいや!くっせえ、筋肉共!『黒曇衣≪コート≫』全開!」
「後悔すんなよ!生意気なクソガキがあ!」
「負けたら、一生俺たちのパシリにしてやるぜ!」
「ユング!可愛がってやんな!」
俺は黒衣が体を覆う部分を周りが怪しまない程度に広げていく。
一方相手は、一人が剣士であることは分かるが後の二人は何も武器を持ってなかった。
周りがどこからか木刀を持ってきたのだが俺は断り、相手の剣士はそれを受け取った。
そんな中、ユングと呼ばれた男が俺の前に立ちステップを踏み始めた。
それなりに自身があるのか、シャドーボクシングをするたびにビュンと風切り音がする。
俺は、そんな様子を見ながらも動くことはあえてしなかった。
『黒曇衣≪コート≫』は体の外の鎧の役割が目立つが、身体動作のアシストも手伝ってくれてる。
しかも俺の黒雲は自分の体には染み込ませられるようで、体の奥にまで『黒曇衣≪コート≫』を染み込ませてるから現実では運動不足気味の俺でも、、、
「ほいさ」
「!???」
声も出すまでもなく、ユングなるものは気絶した。
身体強化で『動体視力』を上げられることの出来る人間でもない限り、反応は絶対にできないレベルの貫き手だ。
それをただ、圧倒的な速度で鳩尾に撃ち込んだだけ。
圧倒的な身体能力や魔術の前では、生半可な技術や筋肉だけでは通じないいい見本だ。
一部の高ランク冒険者と俺たち師弟以外は何が起こったのかもわからなかったのだろう。
ざわめきが辺りを包む。
「この野郎、、、よくもユングを。」
剣士の奴が、木刀を投げ捨て真剣を引き抜く。
もう一人の奴は何してんのかと思いきや、ガチで詠唱し始めていた。
メンツとか、なんだかんだの為に引けなくなったのだろうが、ギルド内での抜剣や攻撃魔法はご法度だって聞いてる。
もう、ギルド員同士のけんかの枠を超えてしまった。
「おいおい、あいつらマジかよ。おい、手貸そうか?」
近くで見ていたおっちゃんが声をかけてくる。
よく見れば、俺に木刀を用意してくれた親切な人だった。
「いや、なんか時間の無駄だし、もう建物に被害が出る前に終わらせるつもりだしで、全然大丈夫です。逆に邪魔です。」
「おお、、、まあ、任すわ。」
「なんで、そんなひきつった顔してんすか・・・」
「ちょ、調子に乗ってんじゃねええ!」
学習能力が無いようなのか剣士の男は走り寄って来て大上段に振り上げた剣を俺の脳天に下ろそうとする。
ぶっちゃけ、アリアの魔法と比べると欠伸が出そうなほどの速度である。
ガンッ
そんな下級冒険者が持つような剣と取ってつけたような技術でこの『黒曇衣≪コート≫』は破れない。
自分ではゆっくり上げたつもりだったが、あっさりと右腕は剣を止めきっていた。
その時、剣士の陰に隠れていた男が、手をこっちにかざしてきた。
こいつ、仲間ごとかよ・・・しかも、詠唱級魔術。
「・・・・『紅蓮の炎よ、紅き光で焼き尽くせ』『ボム・フレア』!」
詠唱級魔術は俺の『曇神の審判≪クラウド・ジャッジメント≫』のように、詠唱を用いることで効率的に操作しなければ、発動させる魔力消費すら満足に足りなくなってしまうような大魔術のことである。
明らかにこんな場所で発動する魔術ではない。
「『曇の網≪ネット≫』!!」
湧き上がらせた黒雲を、高速で辺りにばらまく。
この『曇の網≪ネット≫』の主な用途は二つ。
一つ目は纏わせたものの、『知覚』。
黒雲に纏わせた魔術師と、その完成しつつある魔術を知覚することでその魔術が爆発を広範囲に広げるものだと分かった。
そして、二つ目の使い方。
暴れるものを抑え込む『網』。
曇の術は雲が元々水蒸気から作られているように、水属性寄りの術式なのだ。
下級冒険者の炎でぶち破られるような甘い術式は組んでない。
黒雲の網は爆発の音すら逃がさなかった。
全ての始末が終わった時、黒雲の中に閉じ込めた逃げ場のない爆炎をもろに喰らって黒こげになった魔術師(生きてはいる)が出たがそれは自業自得だっていうもんだ。
てか、おれTUEEEEEEEEEEE!
とか浮かれてしまったが俺はお師匠様同様、下級冒険者の地位と一緒に頭のおかしい人間という称号も手に入れてしまったのだった・・・・・




