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異世界でもう一人の俺が暴れすぎてキチガ○と呼ばれている件について  作者: 浅き夢見む氏
第五部:かつて交わした約束は曖昧なままで心に残る<王国編>
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第5章鎖を砕け、運命を変えろpart3

試験勉強集中できなくて連続投稿。

日光の強さがだんだん強くなっていた。

気づけば雪が降らなくなっていた。

王国民の表情は明るい・・・・・まあ、彼らの表情が明るいのは戦争が遠のいたからだろう。

でもやっぱり暖かい・・・・

王国は特に南寄りだから春が他国より早いみたいだ。





帝国と王国の争いで漁夫の利を狙おうとしていた英雄連邦と人間同盟。

後顧の憂いは絶つべきと全員賛成で帝国軍との戦いの為に用意していた余剰戦力をこれでもかと注ぎ込んだ。

結果は大勝・・・・今までのうっ憤を晴らすかのように聖十剣に王国兵士たちが奮起した。

今後は舐めた真似を二度としないように政府を陰から牛耳ると宰相は大喜びだ。

君が来てくれてよかったと人間同盟の首相と英雄連邦の長老エルフを土下座させながら高笑いをしていた。

あの人意外とゼノン義兄さん寄りだったな・・・黒い。





その一方で帝国の方はといえば音沙汰がない。

絶対に雷の勇者が攻めてくると王国最強四人でローテーション組んで、国境線で待機していたのに全く音沙汰がない。

暇すぎてガルブレイクさんから乗馬習っちまってたぞ・・・・全然上達しなかったが。

帝国に大量の間諜を送り込んだところ、雷の勇者は行方不明。

それどころか深刻な水不足の影響で、クーデターまで起きたとか。

女王陛下が相変わらず政変が多いなあの国はとため息をついていた。







取り敢えずいつまでも王都を離れるわけにはいかないと、王都に戻って一か月。

・・・・・・・恐ろしいくらい平和だ。

もう俺いらなくねってぐらい・・・・・いらなくね!?ってぐらい。


「幸せだ。」

「・・・・俺もだ。」

「お前はえっちな気分になってるだけだろ?」

「ばれた?」

「ふふふふっ!久しぶりだな、、、こうしてゆっくりしゃべるのは」

「ああ、、、、そうだな」


ある日のこと、、、シノンに急に呼び出された。

呼び出された場所は何の変哲もない場所。

特に景色が良いわけでもなく、近くに観光名所があるわけでもない。

人気が少なく広いだけの空き地。


シノンはそこで敷物を引いていた

そして俺に座れと行ってきた。

・・・・で、座ったらいきなり俺の太ももを枕にゴロゴロし始めた。


陽気な気候の中でシノンは俺の太ももの上をごろごろと転がる。

・・・・・手ぐらい繋いじゃ駄目なんかな?

特に露出の高い服じゃあないんだし、春向きのズボンスタイルだ。

けれど落ち着かないのは彼女のことを本気で好きだからだろう。


「サニアがな、この前な!」

「うん・・・」


好きだ。

色白で氷のような印象なのに心は燃えたぎるように激しい。

怒ると怖いけど、むきーってなってる顔は可愛い。

エッチなことは嫌いなくせに、俺の太ももを枕にしてくるぐらい無防備なところをたまに見せる。

そしてそんな彼女の笑顔が見たくて、、、、馬鹿みたいに頑張った俺がいた。


「・・・・・サクラ?」

「・・・・・ん?」

「王国を出るのか?」

「アリアがそろそろ出るって言ってた・・・・俺はシノンやサニア心配だし・・・・迷ってる。」

「・・・・・・迷ってくれてるのか」


顔を真っ赤にし、嬉しそうにシノンは俺の手を握って来た。

そして慌てて俺に見えないように顔を背けた。

・・・・手はつないだまま。


いつもは低体温気味なのに、こういう時だけじんわりと暖かくなる彼女の手の平。

・・・・・・・可愛いんですけど!

どうしたのシノンたん!?

そんなに某に行ってほしくないんでありますか!?


「し、、、シノン?」

「・・・私はサニアを守る。」

「う、、、うん。」

「・・・私は王国を守る。」

「・・・・・まあ、、、なあ。」


シノンは再び聖十剣五位に任命された。

遊ばせとく戦力はない状況だったし、女王陛下も少し甘くなったからな・・・

でも俺はともかく彼女の場合は二度と、、、二度と我儘は許されない。


元々シノンは王国を気軽に出られる立場なんかじゃなかった。

獄炎の勇者ガルブレイク・エルリングスの娘で聖女サニア・エーメルティーの一番の盾。

彼女と公国で出会えたこと自体、ある意味では奇跡だ。


「・・・・・私はお前が好きなんだと思う。」

「キスしていい?」

「だめ」

「ええ!?」

「だめ」

「・・・・・・悪かったからさ」

「だめ」

「シノンさん、しっかりしろお!?」


ふるふる震えている彼女を落ち着けるのに時間が掛かった。





いつまでも枕にさせてると襲ってしまいそうだったので、向き直らせた。

青髪の少女は目をきょろきょろと落ち着かなく動かして今にも逃げ出しそうだ。

なのに俺の手はぎうっと握ったまま。


「で、、、急にどうしたんだよ?」

「お前の全部が好きだってことだ。」

「・・・・・・・・・・俺も好きだけど、こっぱずかしい」

「わ、私もだ!凄く心がざわついてる!」


真っ赤な顔してそう怒鳴ってくる。

・・・・・理路整然って言葉知ってるか?

気が動転していても手だけは離そうとしないんだから、彼女も必死なんだろう。

話だけは・・・・・きちんと聞いてあげよう。

彼女は・・・・・・口下手なりに・・・・必死で俺に伝えようとしてくれてるし。


「ま、、、、俺のこと好きでいてくれてありがとう。」

「うん、こっちこそありがとう。」


シノンがそう言って、、、少しだけ不満そうな顔をした。


「思ってたのと違う・・・・」

「シノンさん、、、、それを今言われても困るんだけど・・・・」

「・・・・・それはごめん」

「・・・・で、何が言いたかった?」

「うん・・・・」


すうっはあっと大きく息を吸って吐いて・・・彼女は自分を落ち着けた。

そして俺をじいっと見てきた。

俺の手をぎむっと握りつぶすように、、、もう胸に掻き抱きながらも(いいぞもっとやれ)・・・彼女は言ってきた。


「アリアについてってくれ」

「・・・・・そこでおうって答えると俺はただのクズになるんだが?」

「元々お前はクズだろう?」

「キチガイって言われるよりも傷つくんだが!?」


何を言ってるんだという顔で首を傾げられた・・・・

え、俺は一応王国三代目勇者の『黒の勇者』なんですけど・・・・何でクズなのよ!

酷いじゃない、あんなに頑張ったのに!

シノンは涙目になった俺を見てくすっと笑う。


「冗談だ、、、私は(・・)、お前をクズだなんて思ってない。」

「わ・た・し・は!?」

「・・・・話が進まないだろ」

「・・・・・・へい」


何か俺が悪いみたいになってる・・・・いいけどさ。

慣れっこだし・・・・

シノンは恥ずかしそうに顔を赤らめて、まるで恋する乙女のように叫ぶ。


「サクラはクズでキチガイだけど私のヒーローだ!」

「あ、、、はい。」

「だから行って欲しくないけど、お前を必要とする人の所へ行って欲しい!」

「・・・・・・・・・」

「お前が必要な人にとって・・・・お前が側にいるだけで・・・嬉しいから!お前に助けてもらえて今までの人生の中で一番嬉しかったから!」

「・・・・・シノン」

「だから私の為に行ってくれ!私もここで頑張る・・・・!?」


キスはしない・・・そんなこと以外でも気持ちは伝えられるから。。

替わりに彼女の薬指に指輪を通した。

そして同じデザインの指輪を自分の薬指に嵌めた。

手に嵌められた指輪をじいっと見ている彼女の耳にきちんと伝わるように言い間違えないように丁寧に言葉を重ねた。


「・・・・・・婚約指輪だと思ってくれ」

「・・・・・・へ?」

「必ず帰る・・・・その証だと思ってくれ」


わざわざモルロンド伯爵直轄領にまでいって買った二つのペアリング。

・・・・シノンとサニアにそれぞれ渡すつもりだった。

けれどサニアにはまた別のものを渡さないといけなくなったな・・・

つい自制が効かなくなった。


「サクラ・・・・本気か?」

「言ったろ、、、嫁にするって」

「おい、、、こっちを見ろ」

「無理、、、見れん、、、恥ずくて」

「もう、、、、ばか」

「・・・・・・すまん」

「いいよ、、、そういうサクラが見れて、、、本当に私を好きでいてくれてるんだって、、、分かって嬉しいから」

「・・・っ///」


シノンは嬉しそうに左指の婚約指輪をギュッと抱きしめた。

そして気づいたのかうるんだ瞳ですり寄って来た・・・・やめい、こっぱずかしい!


「魔道具か、、、これ?」

「ああ、、、お互いの心拍音を指から伝える『心合わせて』っていうリング・・・『霜葉』程じゃないけどさ・・・・・」

「サクラの心拍上がってる・・・・」

「・・・・他の指輪にすればよかったよ」

「・・・・どうして?」

「嘘が・・・・つけなくなる」









「浮気者!」

「出会い頭にそれ言われるとは思わんかったよ・・・」


急ぐように一緒に旅が出来ることを伝えに行ったのに真っ先に言われた言葉はそれだった。

・・・てか、銀髪の少女が涙目で凄いかんしゃくを起こしていた。

どうやらいろいろ見ていたらしい。

流石、曇の魔術のプロフェッショナル。

気づかなかった・・・・・


「私以外の女の子に指輪渡すなんて、この人間のクズ!」

「・・・・・ひていできねえ」


キチガイに我儘にクズ・・・・正直今になっては否定できない。

本当に俺は勇者と呼ばれる人間なのだろうか?

そして彼女と共に旅をしていい人間なのだろうか?と何度も反芻する。


「いや、それでも一緒に旅をしたいんだ」

「・・・・・何を言ってるんです?」


ひぐっひぐっと肩を上下させる彼女の側へと近づく。

そしたら近づいただけ離れていく・・・・・おい。


「近づけないだろ?」

「どうせまたキスで誤魔化すつもりなんでしょう!このクズ!」

「・・・・・・・俺が本気でキスしようとしたら今頃アリアは十七回はされてるぞ?」

「それもそうですね。」


けろっとした顔でアリアは立ち上がった。

・・・・どうやらからかうための演技だったらしい。

ダメ人間のくせに、こういうしょうもない演技だけは上手くなりやがって・・・・


「で?」

「今日中に王国を出る・・・・長い間待たせて悪かったな。」

「・・・・・そうでうか」

「そうでうか?」

「う、うるさいです!」


アリアがなら準備だと旅荷物を纏めはじめる。

少し嬉しそうだ、、、、結構待たせたしなぁ。

旅の中では甘いものを沢山奢って謝罪としよう。

俺は俺で何が必要だっただろうか・・・と考える。


女王陛下もガルブレイクさんもシノンが良いならと『雷の勇者討伐の旅』を許可してくれた。

サニアはおにいさんは一か月以上同じ土地に留まれないんだねって嫌味を言ってきたので、セクハラして懲らしめた。

トツカはミルともっと良い剣を作りたいから勝手に行って来いと冷たい言葉を言われたから、悲しみのジェットコースターローテンションサクラ(速度:当社比二倍)に十五回ほど乗せてあげた。

ツバキは王国に何か問題が起こったら即刻現実を通して俺に伝えてくれるように王国に残す。



『常識外』『葉擦れ』『上級冒険者稼業で貯めた金』『右目』

失ったものは数知れない

『シノン』『サニア』『王国』

守れたものは数知れない

『アリア』『ティアラ』『ミル』『ミミアン』『ガルブレイクさん』『ゼノン』『女王陛下』

大切な者の幸せを必死で考えて、ガチで喧嘩してガチで心の内を語り合った。

『』『』『』・・・・・・・・・・・

この国で出会った人たちの数は数え切れない



「・・・兄弟子、そろソロ。」

「おう、ありがと・・・・・お前も待たせて悪かったな」

「・・・・・・・フん」

「嫌われてるなあ、相変わらず・・・」


ティアラの呼びかけで考え事から戻る。

アリア一人では時間が掛かっていただろうが、ティアラが手伝ったお蔭でもう準備は終わっていたようだ。

俺の荷物は・・・・・・と考えてくすりと笑う。


何もいらないな。

金だけあれば後はどうとでもなる。


「荷物は?」

「これでいいんだ」

「・・・不用心ダヨ」

「曇の魔術師は全て黒雲で何とかするんだろ?」

「それとコレとは話違う」

「ま、、、後から理由付けただけだ。頑固な馬鹿の戯言だと思ってくれ」

「「・・・・・・変なの」」

「違いない!」


全部置いていく。

いずれまた取りに戻るから、絶対にここへ帰ってくるから。

だから全部置いていく。

王国に必ず帰る。


「行ってきます」

「誰に行ったんですか?」

「知らないのか、俺の元いた世界では家から出るときは必ずそう言うんだ。アリアとティアラも言っとけ」

「意味ワカンナイよ」

「私もここが帰る場所じゃないですし・・・」

「んだよ、冷たいなぁ・・・」


そして俺は思い出深い王都を出た。

アリアとの約束を果たすために。







「行ってらっしゃい」

「早く戻っておいでよ、君に渡したい魔道具が沢山ある。」

「私まだまだ生きれることになりました、あなたのお蔭です!」

「無茶は駄目ですよ」

「浮気すんなよ」

「勇者はお前だけだレイディウス」

「『王国・白装≪コート・ホワイティア≫』まで置いてきおって・・・サニアの勇者のはずなのに」

「次は種の魔術師を超えるよ」

「おにいさん、おぼえてろよ~~~~でも、今までありがとう!(赤面)」

「マスター、何かあったらすぐ行きますから」

「お土産のエロ本よろしく」

「サクラ、、、この鼓動、、、今から旅に出るんだな?・・・・行ってらっしゃい」





王都から出るその瞬間

ぶわっと頭に返事が返って来た。

・・・・まさかな?

幻聴って言いきるのはあまりにもリアルで・・・・『曇感知≪サーチ≫』使うなりすれば本当に言ったのか確認できるけども、、、、それは野暮だよな。




もう振り返らなかった。








これはどこでもない。

そうとしかいえない。

そんな場所で三人の男女が一人の少年の旅立ちを見守っていた。


「ふふふ、、、浮気者だがずっとシノンを幸せにしてくれそうだ。良い男だな、本当に♪」

「僕やガルより覇気があるねえ・・・・」

「二人とも、何を笑ってるんですか・・・あれだけの力を王国から笑顔で出すなんてヒナは何を考えているのやら・・・・それにしても二人の正妻と比べサニアに対してもあんな雑な対応を・・・・許せません!」

「まあまあ二代目陛下・・・サニアも喜んでたじゃないですか」

「それが一番問題なんですよ!」

「まあまあ、、、三代目勇者はきちんと皆平等に愛してくれるよ」

「・・・・・ふーん」

「いや、、、僕は不器用だったから出来なかったけど、、、君を愛してるって気持ちに一切偽りないよ?」

「ろ、ろいきゅん♡」

「ちょっと!ガルがいない私の前でいちゃつかないでください!ほら、もう行っちゃいますよ!」

「ああ、そうだね・・・」

「おほん・・・・せーので行きますか、お願いしますセシル。」

「はい、、、、せーの!」

「「「王国を助けてくれてありがとう!」」」


彼らの言葉は届かない。

けれども彼らは少し満足げだった。

王国の今をみて『満足』していた。

第5章終了!

予告なしに連続投稿して、ごめんなさい!

行けるか分からなかったんです!


今後の予定

第6章『本当は誰にでも出来ること』

エピローグ+閑話で終了!

更新は試験近いし気分がのったらやる感じで!

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