第3章我儘少年part1
予想していたはずの痛みが無かった。
意識がハッキリするとともに発せられるはずの痛みが無かった。
ふくらはぎを少々削がれた痛みとか全身の打撲とか・・・そういう痛みとかは残ってる。
けれども右目をあの術式に削がれたはずなのに・・・・その痛みはなかった。
「サクラ、分かるか!」
「・・・おう」
左目に見知った顔が映る。
返事をすると明らかに安堵した表情をした。
周囲を確認するがここはどうやら崖の狭間らしい・・・
「桜・・・俺どうなった?」
「地盤の狭間に運よく落ちたんだ・・・そのお蔭で死なずに済んだ。」
「そっか、、、、アリアは?」
「・・・・ん」
アリアのことを聞くと桜は顔をしかめた。
でも、、、指さした。
出来る限り俺達と距離をとりたいのか、限られた空間の端の端で顔をうつむかせ三角座りをしていた。
その手には紅い鎖の輪っかが・・・・ん?
「俺の首輪・・・取れた?」
今まであったはずの熱苦しい感覚はなくなっていた。
ついでに言えば右目を覆うように白雲が覆っていて即席の眼帯になっていた。
もしかして・・・痛みを感じないのはこの雲のお蔭か?
桜が一応は伝えなければいけないだろうから・・・と前置きを置いて話し出す。
「アリアが応急処置をしてくれたから・・・お前は生きてる。」
「そっか」
「後は二人で話した方がいいと思うから・・・消えるけど・・・・『一応は』気をつけてくれ」
「うん、、、サンキュな」
本当は心配だという感情をばりばり醸し出してるくせに、元からあったアリアへの信頼とアリアが一度は殺しかけたとはいえ俺の命を救ってくれたこと・・・どうしていいか分からなかったのだろう。
常にアリアと俺の間に立っていた彼は後は任せていいかと結局全部丸ごと放り投げていった。
「「・・・・・・・・・・」」
何を話せばいいだろうか?
モルロンド伯爵直轄領の雲アリアちゃんとの出会いを除けば彼女に会うのは久しぶりだ。
かつて俺は彼女に本当の自分で会いに行くと約束した。
・・・・けどもこんな再会になるなんて予想してなくて何を言えばいいか分からなかった。
ま、とりあえず・・・・・
「取り敢えず再会記念にセクハラしてもいい?」
「・・・・・・・・・」
ただでさえ寒いのにますます寒くなった・・・・
黙ってた方が明らかにいいのだろうがそうすると辺りの暗さも相まって気分が落ちる。
電灯無かったかなと周囲を見渡すが荷物類は全部無くしてしまったらしい。
防寒具の『炎衣』もねえし、、、身体もダメージのせいか重い・・・
魔力が上手く体に回らんし、、、、どうしようか?
とてもとても自力では脱出できそうにはない。
「・・・・・・・何であなたはいつもいつも」
アリアが絞り出すような声で状況を確認していた俺に言った。
彼女もどうやら魔力がギリギリだったらしい。
まあ、今考えれば『曇脈展開≪クラウド・アクセス≫』状態の俺を殺せるほどの魔術連発しまくってたんだ。
ただでさえ自己資本魔力が少なく繊細な魔術の方が得意な彼女が考えなしに威力規模重視の魔術ばかり使ってれば当然魔力枯渇になる。
「ん?」
「あなたは・・・どうしてここまでひどいことをされてるのに王国の為に!」
「いだっ!?」
彼女はそう言いながら紅い鎖首輪をブン投げてきた。
顔にビシッと当たって痛い・・・紅い鎖首輪はただでさえ構成がギリギリだったらしくあっけなく地面に落ちカシャンと砕けた。
・・・・・まあいいか。
「何すんだよ、一応あれもサニアを守るためには必要なんだぞ?」
「・・・・・あなたって人は!」
魔術を使えないからかただのヤケクソか銀色に光る二つの光があるところからブオンと大きな風を起こして飛んできたのは・・・杖!?
「あっぶな!アリア、いい加減にしてくれません!?俺治癒魔術効かないんですよ!?」
「知ってますよ、そんなこと!誰があなたの応急措置をしたと思ってるんですか!だから怒ってるんです!」
「・・・・え?」
顔も姿も見えないぐらい遠く離れ暗いのに彼女が今どんな表情をしているか分かってしまった。
・・・うん、思い出してきた。
何か月も前に龍人の里火山支部の皆を助ける為に魔力枯渇になるまで魔術を使って死にかけて怒られたっけ・・・・
あんときと同じ顔をしてるんだなと分かった。
というより意外だったのは・・・・・・・
「・・・・・・俺の心配を『まだ』してくれてんだな。やっぱり。」
「・・・・・・・・・・・・」
彼女はあの時俺を本当に心配してくれて怒ってくれてた。
当時の俺は主人公願望が強いだけの死にたがりで彼女をずっと怒らせてばっかだった。
・・・・まあ、今でも変わんないけど。
「やっぱりアリアは俺の敵じゃない。」
「・・・・・・」
「だから俺はアリアに会えて少し嬉しくて少しだけ悲しい。」
「・・・・・・」
ずっと懐に入れてて血とかいろいろ付いちまってて・・・それでもずっと捨てられなかったアリアからの手紙二通。
彼女との約束は『本当の自分になって会いに行く』
正直それは果たせなかった。
ようやく自分について分かったことはアリアを含めた大事な人に幸せになって欲しくてそのためなら頑張れるってことだけだった。
「・・・ごめんな、アリア。・・・俺はまだ本当の自分になれてない。」
「・・・・・・」
「・・・勇者が憎かっただろうし・・・それで何も変わってない俺が勇者になってて・・・すごく辛かったと思う。『二重に』苦しかったと思う。」
「・・・・・・」
「でもアリアが俺の敵じゃないように・・・俺もアリアの敵じゃない。」
「・・・・・・」
「だから・・・・俺と昔みたいに・・・・少しだけ話してくれないか?アリアと・・・・敵じゃなくて昔みたいに話したいんだ。」
届いているだろうか俺の言葉は・・・
でも伝えなければ、、、、お互いがいるからこそ話し合わなきゃ永遠に分かりあえない。
話す機会が永遠に無くなってしまえばそれでもう終わり・・・・話し合わなきゃ大切な人と分かりあえる時は永遠に訪れないんだ。
銀色に光る二つの眼光。
それが揺らいでいた。
言いたいことは言ったから・・・待った。
彼女の返答を。
「殺さなかったのは貴方に借りがあったから・・・・仲間を救ってもらい私自身も救ってもらったから」
「・・・・ああ」
「あなたが命を握られてようが、相変わらず命を粗末にしようが、、、、あなたが勇者である以上ただの敵です。」
「・・・・ああ」
彼女はそれだけ言うと小さな二つの光を消した。
・・・・もう話すことはないとまぶたを閉じ外界との交流を断った。
「・・・それだけ憎いってことか」
鼻の奥が痺れ、眼元が熱くなってきた。
泣きそうだった。
・・・・・・・結局彼女と分かり合えないことは分かっていた。
『勇者』『英雄』がどんな形であれ関われば、『勇者・英雄』に家族を殺された彼女が赦してくれるはずないのに。
「俺、、、、これでも次にお前に会うのを楽しみにしてたんだぜ?」
「・・・・・・・・・」
「また呑気に喧嘩して、美味いもん一緒に食ったり、旅したり・・・出来ると思ってたんだ。」
「・・・・・・・・」
だからここからは自己満足。
振られて泣いてるバカなガキが縋り付いてるのと同じ物だ。
「昔アリアに話したことあったっけな?俺とアリアが白髪の少女達をかけて戦う夢を見たって」
「・・・・・・・」
「その白髪の少女達がシノンとサニアなんだ」
「・・・・・・・」
「会ったのは偶然で・・・すぐに彼女達がそうだと分かった。」
モルロンド伯爵直轄領でギルドへ向かう道すがら、屋台にすぐ向かおうとするスカイを引きずりながら歩いていた。
そんな時にシノンを見つけた。
最初は無視しようと思った・・・・・アリアと戦う種になるかもしれない人間に声をかけるだなんて論外だから。
でも彼女は泣きながら助けてと叫んでいた。
心が悲鳴を上げていた・・・助けなきゃと思ってしまった。
だから声をかけてしまった・・・アリアとまた会うきっかけになるかもと自分に言い訳して。
サニアに自分が勇者を生み出す聖女だと言われた時、、、その時にアリアと何故戦うことになるのか理解できて、、、それでもサニアを見捨てれなかった。
もう、、、、大事な人になっていたから。
夢の中の俺は多分今の俺とは別の理由や別の境遇から彼女と戦っていたのかもしれない。
でも一つだけわかるのは・・・あの時の俺は表面上は笑ってて・・・心の中は泣いていた。
「アリアもシノンもサニアも、、、守りたいから、、、どうしたらいいか分かんなくて、、、結局戦うしかなかったんだ。」
「・・・・・・・・」
何も答えてくれない。
それはそうだ・・・・ここまではただのあればいいなの理想論。
俺がただただ喋った理想の話。
意外とシビアな彼女の心を動かせるわけがない。
ずるずると脚を引きずって喋りながら移動していた。
俺が側に近寄っても、、、彼女はピクリとも動かず話もしない。
・・・・でもそれでいいと思った。
どさっと腰を下ろしアリアの横に座った。
聞こえないふりをしている彼女の為に、どちらも大切な俺の為に、、、ここからは現実的な話をするために。
「でも、、、、アリアと、、、、今なら、、、、別の道があるんじゃないかって、、、そう思ってた。」
「・・・・・・・」
「形はどうあれ、、、王国にいる限り帝国と戦うことになる。当然雷の勇者とも・・・」
「・・・・・・・」
「アリアに殺しをさせない、復讐をさせないなんてバカなことは言わない・・・・でも俺の大切な人を傷つけるならそれは否定しなきゃいけない。」
「・・・・・・」
「だから雷の勇者を討つのに協力するから、シノンとサニアに手を出さないでくれ・・・・」
「・・・・・・・」
「アリアと俺なら・・・・出来ないことは何もない。前に言っただろ?」
「・・・・・・・」
「だから、、、、俺の敵にならないでくれ。俺に君を傷付けさせないでくれ・・・・」
言葉は・・・どれだけ彼女に届いたのだろうか?
彼女に触れてないから分からない。
ひくりとも動かない何も話そうとしない彼女はまるで石像のようだ。
そんな石像に話しかけてると・・・自分の言葉を投げかけてる行為自体が凄く馬鹿らしく感じる。
「・・・・・・・」
駄目だ。
やっぱり彼女の顔が見たい。
そんな気持ちが強くなった。
怒ってるかもしれない、憎んでるかもしれない、恨んでるかもしれない。
それでも彼女の顔が見たかった。
たとえこの先、彼女が敵になったとしてもどんなに俺が許せないことをしたとしても
今この瞬間だけは、、、彼女を味方だと思っていられる今のうちに、、、彼女を一番きれいだと思えるうちに、、、、彼女の顔を見たかった。
「・・・・ごめんな」
右手でそっと彼女のあご骨に触れた。
寒気の充満する場所のせいか少しひんやりとしている。
でも彼女の肌は白磁の陶器のようにすべすべしていて、ふにっと少しだけ柔かかった。
そして湿っていた。
ゆっくりと彼女の意思を尊重しながら顔を上げていく。
意外なことに反抗もなく彼女は顔を上げてくれた。
銀色の眼、形の良い眉。
瞳を縁どる長い睫毛に紅をさしたような薄い小さな唇。
「「・・・・・・・」」
泣いていてもやっぱりアリアは美人だ。
人間と思えないほどの美貌だった。
涙さえも装飾に変えられる彼女は・・・やっぱり綺麗だとしか評しようがなかった。
昔と少しも変わってなさ過ぎて・・・・なんだかうれしくなってしまった。
「・・・逢いたかったよ、アリア」
「・・・・・ごめんなさい」
アリアはそう言って俺を抱きしめてくる。
急なその行動に抱きしめ返すのも忘れて呆然と受け止めるだけになる。
ふわりと香る彼女の花の香り。
そしてくらりと何か痺れる感触・・・・?
気づけば彼女にもたれかかるように倒れ伏していた。
アリアはそんな俺をゆっくりと地面に寝かせると立ち上がった。
涙を拭い、俺の頬に手を添えてきた。
笑っていた、、、まるで一通目の手紙を渡されたあの時を思い出させる無理につくろった笑顔を向けてきていた。
「甘ちゃんのあなたに・・・・どんなに憎くても人を殺せない程優しいあなたに・・・・私の重荷を背負わせられない・・・・分かってくれませんか?」
「・・・・・・・・・・・・」
痺れ薬・・・?
いつの間に?
何も語れない口をはくはくさせている中で彼女の声がぼんやりと耳に響く。
そして頬に置かれた彼女の手の温もりも・・・ぼんやりと感じてきた。
「私は変われない・・・けどあなたが好きです。・・・それがやっと確認出来て良かった・・・・そしてあなたが私を大切に想ってくれていて良かった。」
違うよ!違うよアリア!
俺は大事な人のためなら修羅になれるんだ!
シノン、サニア、アリアの為になら鬼になれるんだ!
そう言おうとしても口ははくはくと力なく動くだけ。
「でもね・・・・やっぱり私の道にあなたは必要ないんです。私が心に重荷を背負ってでも・・・自分の信念を曲げてまで・・・・あなたが必要だとは言えないから・・・・だからあなたはここに置いていきます。」
「・・・・・・・・・・」
何で分かってくれない!
何で信じてくれない!
何で俺を少しでも君の隣りに置きたいと
想ってくれないんだ!
そう言おうと口がぱくぱくと動く。
アリアは・・・少しだけ逡巡すると顔を近づけてきた。
・・・・おい、やめろよ。
そんなの望んでない。
そんな別れの挨拶なんて望んでない、、、、別れたくないんだから!
「サクラ、、、、これは私の自己満足です。」
ふわりと香る彼女の香り
そして広がる彼女の感触
二度も経験したのに相変わらずそれは特別で・・・・身体中が痺れる。
唇に残る淡い淡い痺れは幸せで・・・・
なのに心は満たされない。
「・・・・・・・・ごめんなさい」
麻痺薬が脳にまで届いて来たのか・・・・視界が歪む。
意識を保とうと必死で目を開こうとするがそんなもの効きもしない。
なけなしの魔力で地盤をこじ開けた彼女が振り返ることもなく歩いていく。
もう二度と優しさは見せないつもりなのか一度も俺に笑いかけることもなく、振り返ることもなく。
おい、、、、待てよ。
そこまで俺を想っていてくれて、、、、何で別れの言葉一つさせてくれない!
何で君を引き留めさせてくれない!
何で君を抱きしめ返させてくれなかった!
消えゆく視界の片隅で彼女の銀色の髪がゆらゆらと揺れていく。
けれどもその後ろ姿は気付けば『また』遠くに行く。
何も伝えられず、何も出来ないまま・・・・彼女はまた遠くに。
一人で辛い道を歩こうとしている。
「あああああああああああっ!」
体の奥で何かが走った。
ふざけるなと心が体を動かした。
視界が見えない時が数秒経過し、、、、気付けばアリアを後ろから抱きしめていた。
右手に柔かい胸の感触がある、左腕には彼女の髪がサラサラと当たる。
普段なら気をつけるはずなのにそんなこと気にもせず一番重要なのは彼女を抱きしめることだと言わんばかりに彼女を捕まえていた。
アリアは当然暴れる・・・俺はそれでも離したくなかった。
「あなたはまた無茶をして・・・・『出してはいけないところ』の魔力で強引に体動かしてますね!」
「やっと俺は自分が分かったよ!」
「はい!?」
主人公になりたいだの
自分は無茶してもいいけど他の人にはして欲しくないだの
キチガイと呼ばれても自分のしたいことをし続けるだの
サニアもシノンも嫁に欲しいだの
二人と対立するはずのアリアも大事だの
幾らなんでも我儘が過ぎる
トツカをこんな遠くまで連れ出したり
弱いくせに龍人の郷で魔国に喧嘩を売ってスカイを心配させたり
必要のないクエストを受けてスカイに大怪我を負わせたり
シノンもサニアも心配させて一杯泣かせた
それでも譲れない我儘だった。
うん、俺は我儘だ。
すごい我儘だ。
殺せないくせに戦争に出るだなんて言いだして
強さを強調して半ば脅すように王国と契約しておきながらあっさりと瀕死になってる。
別れたくないからと今だってアリアのおっぱい鷲掴みにしながら抱きしめて動けないようにしている。
酷くて情けなくて自分勝手で
アリアの今まで背負ってきたものも何もかも忘れて俺の元にいろと・・・なんて勝手か
でもアリアに側にいてもらうには・・・・もらえるなら・・・・我儘でいい。
「アリアが側にいてくれるなら俺は我儘でいい!これが俺の『本当の自分』だ!」
「何を言ってるんですか、あなたは・・・・んんっ!?」
今までは言い訳がついた・・・・『曇脈展開«クラウド・アクセス»』のせいだと。
でもこれからシノンにアリアにサニアにする口づけは必ず自分の意思でするキスだ。
誰のせいでもなく、自分から愛を伝えるためにする口づけだ。
否定されても拒絶されても構わない。
俺は彼女達が欲しいし大切だから彼女達を護るし、彼女達がいなくならないように何度だって愛を叫ぶ。
何度だってキスをする。
俺は我儘だから。
さっきは自分からしてきたくせにアリアは驚愕の表情で固まっている。
彼女をもう一度抱きしめ直して思いの全てを唇に込める。
好きだよと、、、大切だよと、、、もうどこにもいかないでと。
比べることは失礼だけど彼女とのキスは今までで一番興奮する。
まるで神の彫像のように綺麗なアリアを一種の神聖視すらしていた。
その彼女を今野生の本能の赴くがまま蹂躙している。
神の創りし美少女をこんな俺が欲望のはけ口にしている・・・いいか、俺は我儘だし。
「ぷはっ、、、、アリアもう一回。」
「いやっ、、、やめ、、、あんっ!」
雪が降り積もるそんな場所で・・・何度も彼女に口づけをする。
最初は逃げ回っていた彼女も観念したのか口内での自由を許すようになる。
そしていつの間にか彼女の方からも無言で触れるように口づけをせがむようにになってきた。
二人だけの時間が続く間だけは・・・・ただただ相手の温もりだけで頭を埋め尽くしていた。
そうしたかったし、それにもう酔いしれていた。
「サクラアアアアアアアアアアアっ!良い御身分だなあ!」
「「・・・・・・・・・・・・」」
・・・・・・・・・・・・現実逃避していたかった。
嫁が雪山の雪を溶かしながら迫ってきていた。
ツバキにトツカがあららという顔でえらく後退している。
「まあ、、、自業自得だな?」
「ええ、、、酷い目にあえばいいと思います♪」
流石に俺の行動にイラッとしたのか二人とも助ける気配は無い。
慌ててお互い体を離すがそんなことで怒りが収まるシノンではない・・・・てかより怒りが増しているのか更に鎖を増やしながら迫ってきている。
「・・・・・・・私と同じ種の魔術師?」
「紹介するよ・・・あれがシノンだ。」
「・・・・・へえ?」
「そんな目で見るな・・・一応普段は優しいんだ。」
アリアがキチガイの周りにはキチガイしか集まりませんねという顔で俺を見る。
半ば否定できない俺としては目を逸らすしかない。
「なにをイチャイチャしてるんだああああああああああ!」
「・・・・・あ、そうだった。」
俺は我儘だったな。
いつもなら甘んじて鎖を受けて大怪我を受けるところだがさっき決めておいたことがあった。
早速実行だ。
「シノン」
「なっ!?」
力が抜けてるせいか思いのほかあっさりと彼女の前に移動できた。
驚愕する彼女の顔を改めて眺める・・・・うん、好きだ。
少し鋭い目も柳眉も拗ねた時少しだけ尖らせる口も・・・彼女全てが好きだ。
「好きだよ、シノン。」
「い、いきなり何をんむうっ!?」
「「「いきなり何してるの(ですか)!?」」
ああ、、、シノン。
まだ二度目なのに君のことが全てわかったみたいだ・・・
君のどこを舌でなぞれば君が気持ちいいか分かるようになってしまった。
君の唇の柔らかさ君の体温・・・味あわせてもらっている分お返ししなくちゃ。
「サ、、、サクラが死の淵を越えて本物の変態になった・・・・」
「私にあれだけしながらいきなり他の娘と・・・・なんでこんなのを」
「マスターが遂に自らの欲望に素直に・・・・やはり兄様もあれぐらいの欲望をお持ちなんでしょうか?」
「ちょっと、サクラさん!俺にまで火の粉が!」
何かいろいろ外野が言ってるが・・・・・シノン逃がさないぞ?
俺が外に注意を向けた瞬間涙目になりながら逃げようと魔術を使おうとした両手を抑える。
そしてお仕置きとしてさらに激しい口内マッサージを・・・
「ぶはっ、、、やめろばかあああああああっ!」
「んはっ・・・・・」
これは・・・・まさか・・・・・
下腹部から湧き上がるえねるぎぃ・・・
脳天まで付き上がる精魂・・・・・
シノンさんに・・・・マイソン・・・・・・蹴られた・・・・
ただいまと恰好よく言うはずの場面がなんか凄いことになっている。
シノンはぶちぎれて意識を失いかけている俺を遠慮なく蹴ってるし、アリアはブツブツ何か言ってるし、トツカはげらげら笑ってるし、桜はいかに自分と俺が違うかをツバキに必死で説明してる。
恰好つかねえ・・・・・まあいいか。
俺が我儘を通した結果だ。
そしてこれがサクラ=レイディウスのいる世界だ。




