PROLOGUEーONE明晰夢
初めまして、よろしくお願いします。
「サニア、、、サニア、、、」
肩までかかる程の短さの白い髪の少女が、同じく白髪だが腰まで届くほど長さの髪の少女を揺さぶっていた。
髪の長い少女は腹に大きな空洞が出来ており血が勢いよく流れていた。
一目で分かる重傷だ。
「シノン、、、私は、、、大丈夫だから、、、あなたこそ怪我が、、、ごふっ」
「さにあぁ、さにあぁ・・・」
涙を流しながらシノンと呼ばれた少女は、髪の長い少女サニアの傷口を必死で抑えていた。
そんな彼女たちの前に『俺』が立っているのを、俺は空から見つめていた。
『俺』は黒い厨二なコートを羽織り、剣を握りしめた左手は震えていた。
「サクラ、そこをどいてください。」
「お師匠さん、、、やっぱりアンタはこうするのか・・・」
『俺』は振り向きざまに剣を引き抜く。
『俺』と向かい合うように立っていたのは、銀髪銀瞳の『綺麗な』美少女だった。
周りが粉塵で空気が澱んですらいるのに、彼女の体には傷一つなかった。
「退かないなら、いくらあなたでも、、、殺します。」
彼女は手に持った杖から白い霧、、、いや、雲を大量に出し始めた。
白雲は粉塵を薙ぎ払い、『俺』とシノンとサニアの周囲を覆う。
「サニアッ!」
シノンがサニアがその雲に触れないように覆いかぶさる。
『俺』もそれに対抗するかのように、剣から黒雲を出し彼女たちを守るように包み込ませる。
「・・・・・頼む。」
何かを小声でつぶやいた瞬間に青白く光る『俺』がもう一人現れ、彼女たちがいる黒雲のドームの中に入って行った。
「これで俺を倒さなきゃ、サニアには手を出せないぞ?アリア=レイディウス。」
「サクラ、、、私に勝てると思ってるんですか?あなたに『曇の魔術』を教えたのは私なんですよ?」
彼女の言葉と共に拡がる白雲は黒雲に巻き付き、ギリギリと締め付けはじめた。
『俺』は駆けだして彼女と剣と杖をかち合わせる。
火花と雲が散り、辺りを包む。
「アリア!俺は絶対に主人公として!ヒロインであるシノンとサニアは殺させはしない!」
「まだ、主人公とかそんなことを、、、人間には諦めねばならない時が必ずあることを知るべきです!」
「でもなあ!!」
「!?」
『俺』は雲を間に割り込ませて、一度距離を取った。
お互い息を荒くしながら見つめあう。
『俺』は一度つばを飲み込んで深呼吸すると、出来る限り大きな声を出し叫んだ。
「アリアも俺にとってはヒロインの一人なんだ!アリアもシノンもサニアも主人公として全員守ってみせる!」
「な、何を言ってるんですかっ!?そうやっていっつもふざけたことばかり言うから、、、セクハラばっかりしてくるから、、、破門にしたのを忘れてしまったんですか!」
「うっさい、俺はアリアのおっぱい揉みながら、首筋の匂いをクンカクンカしたいって言ってんだよ!文句あっか!」
「し、、、死ねえええええええええええ!この変態バカ弟子!」
「うっさい、この不器用敬語しか使えない、駄目師匠!」
最低の貶し合いをしながら二人はまた、ぶつかり合う。
剣と杖がかち合い火花が散っていく。
その火花も、二色の雲に吸い込まれて消えていく。
雲はお互いを喰らいあいながら、世界を二色に染め上げる。
雲に埋まって段々二人は見えなくなっていく。
それなのに、『俺が楽しそうに笑う声が』戦場にずっと響き渡っていく。
意識が段々遠のいて来た・・・
『俺』とアリアがどうなったのかを俺は知らない。




