飼い主を拾う。
「ただいま~」
玄関の方で、弟の声がした。
外は驚く程の大雨が降っている。
確かアイツは、傘を持たずに出かけて行ったから、びしょ濡れになっているハズだ。
という訳で、タオルを持って玄関に向かう。
「おかえr・・・」
もちろん、「おかえあーる」と言った訳では無い。
「おかえり」と言おうとしたつもりが、弟の予想外の姿に気を取られ、
途中で中断する形となっただけである。
何この訳の分からん説明は。
とにかく、である。
その弟の予想外の姿とは、一体何だったのか?!
次回へ続く!!
訳が無い。
とにかく(二回目)、弟は、ずぶ濡れになっているうえに、怪しげなダンボール箱を抱えていた。
ダンボール箱の正面には、大きくかつ乱雑に「拾って下さい」と書かれている。
因みに弟は、不気味なくらいに満面の笑み。正直ちょっとビビった。
・・・まさか・・・いや、さすがにもういい歳なんだし、それはないか・・・
・・・じゃあ、あの「拾って下さい」の字はなんなんだ・・・?
・・・いや、まさかな。まさかな・・・
「ただいまー」
そんな俺の思惑をよそに、すさまじい笑顔でズンズンとリビングに向かう。
当然、弟が歩いた後には、次々と新しい水溜りができていく。
「おい、体ふけよ!」
慌てて弟を追いかけ、俺もリビングへと向かった。
あぁ、もう手遅れだった。
弟は、ずぶ濡れのまま、カーペットの床に座り込んでいた。
目線の先は、あの怪しい箱。
相変わらず、笑顔である。
やっちまった・・・
俺はため息をついて、弟の横に座った。
「・・・で?」
「で?とは?」
笑顔を崩さず、いつものほわほわした雰囲気を漂わせながら、俺に聞き返す弟。
ここまで笑顔を突き通されると、気が滅入る。
「だから、その箱は、何なんだよ」
タオルを渡しながら、弟に言った。
「やだなぁ、兄さん。分かってるくせに。」
弟は、俺からタオルを受け取ると、ダンボールを開け、タオルを使って中身を取り出す。
中身は、猫だった。
やっちまった・・・
再び、俺はそう思うのだった。
どうも、星里 天理という者です。
今回は、自分の大好きなギャグ系の話を書いてみました。
全然笑えないかもしれませんが、大目に見てやって下さい((オイ