1.初夜
断捨離
窓の外の真っ白な満月がライアを照らしてくれていた。ライアの右手は宇宙色に染まり、月の光を吸い込んでいた。突然、宇宙色の何かが体が右手から右肩、胴体を通って全身を覆った。宇宙色に染まったライアだった者は、ギョロリと三日月の様な目を開けた。それが目覚めたのだ。ライアが寝ていたベッドは宇宙色に染まり、それが歩けば歩くほど、その箇所は広がった。それはドアを開け、1歩1歩廊下の木製の床を踏みしめた。それが歩くたびにギシギシと音を立て、それに気付いた受付嬢は廊下の方に目をやった。暗闇の中からそれが現れると受付嬢は口を開いた。「い、ゐぬい様…?ゐぬい様ですね…?」その声は震えていた。「ゐぬい様。ゐぬい様。」ゐぬい様と呼ばれるそれは言葉の意味も分からずに繰り返し呟いた。ゐぬい様は床をきしませ、少しずつ受付嬢に近づいた。何度も何度も、自分の名前を繰り返しながら。受付嬢の顔を冷や汗がつたった。そして受付嬢は光をも越える勢いで額を床につけ、バタンという音がなった。「ごめんなさい!ごめんなさい!」受付嬢は狂ったように命乞いをした。ゐぬい様はしばらく受付嬢を見つめると、通りすぎた。命の危機を回避した受付嬢は涙を流して笑った。そしてそれが最期の表情となった。どこからか古い刀がやってきた。その刀は受付嬢の皮膚を、血管を、頭蓋骨を、脳を貫いた。受付嬢は体制を保ち、笑顔のまま痛みを感じる前に命を果てしなく遠くへ飛ばした。ゐぬい様は宿から出ると、あちらこちらにいる村人をみんな同じ方法で惨殺した。宿の外の村人はみな口をそろえてこう言った。「あの時失敗をしてすみません!もう二度としません!だから許してください!」と。村人は全員、それが最期の言葉となった。村には沢山の椿の花が咲いた。たとえどれだけ地上が汚れても全ての人へ平等に白く美しい光をくれる、今夜の満月は今日も誰かさんを癒してくれた。しばらくして、ゐぬい様はライアの部屋に戻った。そしてそっと目を閉じると、宇宙色の体は薄橙色に戻っていった。
ー裏話ー
今は1日一本エピソード出してるけど、多分すぐにペース落ちると思うお




