2.平原の中
このまま眠っていたい
ハルクは顔を歪め、冷や汗をかいた。カミーユは
「ゐぬい様って奴、そんなに危険なのか?」
と聞いた。ハルクは答えた。
「通常のゐぬい様は魔王の1/3程度の力なんだ。でも今回のはそれを比較対象に出来ないレベル。要するに魔王、いやそれ以上の脅威となっているかもしれない。」と。
「とっとりあえず行こうよ!そんなこっ怖い話してないで…」
声を上げたのはライアだ。ライアはいつもこうやって仲間達を危険から遠ざけてくれる。しかし危険の殆どは仲間にとっては脅威でもなんでもない事だったりする。三人はライアが怯えてることを察知すると、足を動かし始めた。勇者一行は草原を歩いた。森に囲まれた草原は時々爽やかな風を吹かす。けれどもやはり、勇者一行の中に神の村が滅びた過ちを忘れた者はいなかった。草原にいる魔物はどれもレベルが低く、勇者一行にとっては脅威でもなんでもなく、順調に歩んでいた。そこでカミーユは言った。
「なぁなぁ、そのーゐぬい様?って奴、リーシャは会った事があるのか?」
リーシャは眠そうな顔でうなずいた。
「え!?本当に!?」
カミーユは目を輝かせてリーシャに詰めよった。
「じゃあさじゃあさ!ゐぬい様って何?」
リーシャは深いため息をつくと、ゆっくりと口を開いた。
「あー…ほぼ魔物と同じなんだけど、人間への憎しみが積み重なってできた存在。でも普通の魔物と違って絶対に10年周期で出てくるから力もそれぞれ違う。こう言えば良い?」
ハルクが二人の所に近付くと、
「そんで、今年のゐぬい様は今までにないほど強い訳だ。」と言った。
カミーユは少し不安げなハルクを見ると、大声で叫んだ。
「そんなの、正義のヒーローが倒してくれるよ!」
ハルクは一瞬ポカンとした表情を見せたがすぐに笑顔になった。リーシャは少し微笑んで指を指した。リーシャの指の先には栄えている村があった。
「丁度、次の村は正義の村だよ。」
リーシャは呟いた。
ー裏話ー
何も考えずに手をつけたお。昨日は出せなくてごめん