プロローグ
僕だけの、秘密。
「憎い。」
「何で私だけが。」「みんなみんな、死んでしまえば良い」「この世界は理不尽だ」「痛い痛い痛い」「僕は悪くないのに」「ここにいるのは醜い集団だ」「何で?」「苦しい、苦しいのに」「全てあいつが悪いはず」「間違って産まれてしまった」「心を持て、裁きを下せ」「ウジ虫どもが。」「神様は俺を見捨てた」「さようなら、血濡れた世界」「やめて!やめて!」「どうしてそんな目で見るの?」「人間はズルいんだな」「こいつらは何を考えている?」「誰も仲間なんていない」「嫌だ!嫌だ!」
「でもそれ以上に…」
ーーーーーーー「幸せになりたい。」ーーーーーー
ベチョリ。という液体の音がした。■■■が静かに誕生したのだ。■■■はしばらく産まれた山を漂い、やがて近くの村にたどり着いた。白く輝く星の下、■■■は近くの建造物に密着し、少しずつ這い上がった。■■■は窓の出っ張りにぶつかると、出っ張りに沿って形を変え、なんとか登った。窓の中には1人の人間がいた。ドア付近に聖剣を立てかけ、ベッドの上で無防備に髪を乱して眠っていたそいつは、勇者と呼ばれる者だった。音も立てずに窓をどかし、■■■は部屋に入った。■■■がベッドをのしあがると、勇者の上に乗った。異変に気付いた勇者は上半身を起こそうとしたが、腹に力が入らなかった。勇者はなんとか頭だけ起こし、力が入らぬ胴体を見た。胴体には■■■が根ついていた。勇者は取り乱し、声を上げた。しかし今さっきまで寝ていた喉から出るのはかすれた醜い声だけだった。勇者はそっと、意識を散らした。
初めて書いた小説だお