閑話 かずさの名
流れ的に入れられなかったんですよね~
軽く読んでいただけると嬉しいです!
――かずさとノエル⑥でのお話――
「親父様、私の名前は親父様が付けたのですか」
かずさは長年気になっていた疑問を口にする。
「名前自体、親父様のような変わった名でもないし、村についてから考えたのですか」
ノエルは囲炉裏の薪をくべながら、かずさを一瞥する。
「いや、名はお前の親が決めていた」
かずさの頭に疑問符が浮かぶ。両親はノエルが発見した時点ですでに亡くなっていたはずだ。
「お前がくるまれた布に書いてあった。私はここの地方の文字は読めん。近辺の村に寄りがてら聞いたのだ。すると東方では珍しくない名らしい」
ノエルは立ち上がると壁に置かれた小棚から、ぼろぼろの小さな布切れを出す。
「これがその名前だ」
古いぼろきれには確かにこの地方の文字で、かずさ、と書かれている。一筆一筆が美しく丁寧だ。
かずさはじっとその文字を見つめてから優しく手で包み胸にあてた。
「大切にとっててくれたんですね。ありがとうございます、おやじさまっ」
もう今は亡き両親が残した唯一のもの。それを大事にとっておいてくれた気持ちがうれしくて、かずさは温かい気持ちになった。
ここまで読んでくださり、感謝感激雨あられッです!
あと四話で完結です。次のお話は、明日の22時頃に投稿予定です。
できれば、最後までお付き合いいただけると幸いです。




