確率支配
薫は逃げていた。
なぜか怪しい人たちに後をつけられ、殺されそうになったので逃げている。
「はぁはぁはぁ。(なんでよりによって今日が狙われるのよ、大事な用事があったのに、本当に運がないわ。)」
薫の後から、2人の男と1人の女が走って来ている。
2人の男と、1人の女は薫の命を狙っている者たちである。3対1でこちらが有利なのにもかかわらず、1人の男がわからなそうにつぶやいた。
「まじかよ。陽動とかいろいろしているのに、なんで引っかかったり、追いつきもしないんだ?」
薫は、「100メートル先が見える」とかの異常者ではない。
なぜ薫は3対1なのに、逃げ切れている理由は……
「(次は、道が二つ。正解は、右の道。)」
薫は、次に左を行けば罠があるというのに、薫は逃げる道を分かっていた。
日向 薫の能力は、「確率支配」である。
1/5や1/10でも、確率は1/1になる能力である。
だが当たる確率高ければ負担が少ないが、当たる確率が低ければ低いほど、脳に負荷がかかる。
薫は、「確率支配」という異常な力で、逃げ延びているのである。
「はぁはぁはぁ(3対1の状況では、さすがに分が悪い。それに私は戦闘向きではないし、今は逃げることが正解)。」
薫は、ただ単に逃げているのではなく「確立支配」の力で今は逃げることに正解と導いているが、まだ見ぬ挽回のチャンスと絶望に近づくのであった。