お泊まり会〜最終日 海鷺家編
大雨の都合で、一週間も休校になり
土砂崩れで道が塞がり、
そして…変なタイミングで翔の家族は出かけている。
一人を心配した幼馴染、鎌田健と健の家族が、翔に差し入れ、健が泊まるという
なんともありがた迷惑と言いたいほどの出来事がおきた。
翔は、普通の人とは少し感覚が違って
繊細な心の持ち主なので、一人でも苦ではないのだ。
そして、一週間中、3日も健と過ごしていた。
健「さすがに3日も一緒にいると住んでるって感覚になってきたな…。雨止まねーし。地球やばくね?」
翔「たしかに…ずっと健といると不思議とずっと住んでるみたい…いやこの話はもういいよ。雨早く止んでほしい」
健「俺といるのキツくなったか?( ̄▽ ̄)
俺、結構アホだから」
翔「きついかと言われると…そうでもない。ちゃんと手伝ってくれるし、俺に気遣って話しかけてくれてるし。ただ、アホに関しては…ノーコメントで」
健「え!?」
またもや変な会話をしている二人に、
止む気配のない雨。
健は、翔ももう大丈夫だろうから
俺帰るな!と言い始めた。
翔が繊細で敏感なことはよく知っている。
一人の時間があった方が翔とっては気が楽なことかもしれないと思ったからだ…
幼馴染でずっとにいても、他人に変わりはない。決してネガティヴな意味ではなく、
健なりの翔を思った行動なのだ。
翔「帰るの?まだ雨降ってるのに…」
健「俺、まだやること残ってたの思い出したし、そろそろ帰んねーと。うちの手伝いもしねーとな!」
翔「そっか。ごめんね…俺が心配かけて」
健「お前はなんも悪くねーだろ?
うちの母ちゃんがいけって言ったのが始まりだからよ。俺からも言っておくから!
また学校でな!
あ!連絡はするからな!」
翔「うんありがとう。」
まだ雨が少し降っている午後、
健は家に帰った。
そして、一人になった翔。
勉強も終えて、片付けも終えて、
親友も帰って、
本当に何もすることがなくなった。
特にやることもなく、リビングに寝転がり、ぼーっと天井を見つめる。
翔「何もやる気がおきない。
一人って静かだな…」
明日まで休み…というか…1週間だから、
土日含めて3日…
翔(3日か…何しよう…)
歌詞を書くか…小説を書くか…
とりあえずやりたいことをやってみることにした。
一人でご飯を作って、食べて、片付けて、
ぼーっとテレビやスマホを眺め、消して
部屋に行く。
スマホを眺めて、ゲームをして、ラジオを聴いて、何をやっても気は沈んだまま。
俺は元々ネガティブだし、疲れやすいのもあるし、何もやりたくない。どうでもいい。
寝よう。
金曜日の朝、ふと思った。
リビングやトイレ、お風呂と掃除はしていたものの、自分の部屋の掃除はしていなかった。
今日は、自分の部屋の掃除をしようと思い、音楽を流しながら、片っ端から片付けていく。
しばらく掃除してなかった収納他にもホコリが溜まっていた、そして、袋に入った懐かしいおもちゃなどが奥の方から出てきた。
何かの戦隊モノだろうか?
バトルマン2号と書かれた箱と、腕や足が動く特撮ヒーローフィギュアだった。
これは後回しにして、ホコリの掃除、
掃除機をかけて、ピカピカになった。
あらかた終えて、出てきたおもちゃを処分しようと、袋に入れていた物を一つ、また一つと、鑑定士のように見ていらない物を捨てる。
ボロボロになった小さい漫画本は処分、よくわからない、何かと対になっていたであろうバトル者の武器も処分。
さっきのバトルマン2号のフィギュアが最後になった。
翔「俺、バトルもの好きだったんだな…。
これ、子供の頃にどうしても欲しかったけど、値段が高くて買えなかったんだよな。んで、誕生日プレゼントにもらって
嬉しくてはしゃいだっけ。」
捨てるか一番迷うタイプのおもちゃって、大きくなるとあんまりワクワクしなくなるけど、子供の頃に遊んだ跡の汚れとか傷が思い出として残ってるのは、
ちゃんと子供の頃があったんだなって懐かしくなる。
一応保留にしておいて、ホコリは綺麗に拭き取って、収納にしまっておく。
お昼を食べてゲームをする。
懐かしいゲームが出てきたせいで、
夢中になって遊んでしまった…
PM 14:35分
何もすることがない。
気づけばもう一日も半分…
翔「(人と人との繋がりよりも、自分を知る時間の方が、生きる時間よりも短く
儚く去る事
葉が落ちる間に流れゆく、後悔しない
生き方などあるのか?過ちを犯すそれが人間)
この小説なにかで見たような…」
「俺は一人のほうが楽なんだよ…
あっち行けよ!
放おっておけばいいだろ!俺は…
俺は、お前にとって…つまらない」
翔「はっ!…ゆ…夢か…
PM 17:50
寝てたのか…あれ…もうこんな時間か。」
変な夢に引っかかるも、お風呂をためておき、その間に夕食を作る。
今日は、ごはんと生姜焼きとみそ汁。
翔「何だったんだろう…夢なのに。」
ご飯ができたので、あとで食べられるように先にお風呂に入り、テレビをつける。
テレビ
「えー…現在の天気は未だ雨のままです
こちらの駅では…
(チャンネルを変える)
あは!この店の店長めっちゃいい人じゃん!
芸人
ため口って友達か!」
あんまり面白いのやってない。
ご飯を食べて、趣味を嗜む。
お絵かき
ぐちゃぐちゃに描いてみたり、
ぬりえをして見たり、
本格的に喜怒哀楽のイラストを描いてみたり。
翔「はぁ…健今何してるかな?
ピコンっ!)
健、返信はやっ…」
健「俺ん家にぎやかすぎてうるせーw
いつものことだけどさ、お前といると静かだし、ごちゃごちゃ言われねーからさ
翔の家にまた行きてーな!(^o^)!」
翔「家族ってそう言うものだからね。
また、そのうち遊びに来てよ。
明日には道通れるみたいだから、
学校で」
健「おー!また学校で会えるな!
サボる気満々だぜ!」
久しぶり?
いや、1週間ぶりの学校だけど、
もうサボる気満々の健に、なぜか乗っかりたいと思った俺だった。
テレビから流れるニュースでは、
明日には止むでしょうと報道していた。
こちらは、もう雨の音は静かになるどころか、さっきまでパラパラと降っていたのにカーテンを開け窓の外を覗くと止んでいた。
翔「ほんとだ、雨止んでる。」
あと、2日は暇だな。
予習しておこうかな。
なぜか、PM 19:30に
勉強をしている翔。
真面目もいいとこだ。陰キャだな俺…と
ぶつぶつネガティブ発言しながらも、
苦戦して悩んでいた問題に向き合って
1時間ほど勉強した。
その後は、健とLINEでくだらないやりとりをして、眠りについた。