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優しさに苛まれる心



学校のチャイム

(キーン…コーン…カーン)


今日は、担任が不在のため

うちのクラス2-Aは、自習になった。


一時限目から四時限目まで自習になっており、副担任の教師が代わりに来るらしい。


そのはずが、副担任は三年のクラス担任であるため、静かに自習をしていろ。と黒板に文字を書いて行ってしまったのだ。


つまり、うちのクラスは今

監視の縛りが無い自由な状態で

やりたい放題だ。


クラスには、真面目な奴から半分以上不良がいるのでずっと喋っているか

教室を出てサボるか、机に突っ伏して寝ているか、どれかでしかない。



健「自習めんどくせ〜」


クラスA「それな!マジだりぃ〜

テスト範囲とかもっとだる」


クラスA2「副担任も三年の担当だからって俺らを放って置くとかマジウケるw」


クラスA3「それな。本当は俺らに興味とか無いくせにな?どうせ不良だから

世話焼くのめんどくさいんじゃね?」


クラスA2「言えてる」


この会話に翔は、気質センサーが発動して

もしかして、本当は見てもらいたい?

認めてもらいたい?高校生といっても、

大人から見たら子供同然なんだろうし

大人に近づいてるとは言え、まだ心理的にも成長途中。


翔「(もちろん俺もなんだけどね…。

見てもらいたいとか、認めてもらいたいとか、どこかで思ってんのかな?)」


翔は、テスト範囲の勉強もだいたい終えて

自習する必要性を感じなくなっていた。

もちろん自信があるとかではなく、

内心ちょっとめんどくさいと思っているよう。


勉強道具をしまい、教室を後にすると

健たちに声をかけられる。


健「ん?翔どこ行くんだ?」


翔「サボり。かな」


クラスA「おー!海鷺にそんな勇気があるとは!見直したぜ!」


クラスA2「いやいや、元々俺らとサボってたじゃん」


クラスA3「ちげーよ、自習とかそう言うのをサボるのはなかったろ?

だから珍しいって意味じゃねーの?」


クラスA「そうそう!そういう事(^ ^)

っていうか俺らもうサボってるけどね」


(ノリがいいのかサボりたいのか、

俺に賛同してくる…

正直俺は一人で行動したいんだけど)



翔は足早に教室を出ると、人気(ひとけ)のない屋上へと逃げる。


うちの学校は、屋上に人なんか来ない。

サボる学生が多いが、ここまで来るやつは相当学校嫌いのやつだけ?だと思っている。


翔「はぁ…ここなら一人になれる。

やっぱ誰もいない。よし!」


普段読んでる本を持って、屋上の端で

気配を消している影のような学生、翔。


(主人公じゃあるまいし…w俺何思ってるんだ)


翔の読んでる本は

「脳裏に映るもの」

SAKU.A


本文の中に

「理想を超える理想は、

想像するよりも恐ろしく

得てはいけない領域にこそ存在する、言ってしまえば、

あの世とこの世の境界線のように簡単に超えてはいけないもの」

翔は、読みながら疑問に思っていた。理想を超えたらダメなのか?力が制御できなくなる事を恐れている?という意図を表すのか、わからないまま読み進める。


家族にはくじがある。

第4章の本文には説得のような言葉誘導。

「当たり外れの家族など、

生きる上でひとつもない。

育つ環境や教育で人の人生はあらかた決まってしまう。


母はこうあるべきだ、父はこうあるべきだ、童話の桃太郎のように、役職という名前をつけて人の生き方までも決めてしまう、それはもう操り人形だ。支配浴があるように、自分の思い通りに支配できる事の快感で、

歯車は一気に変わっていく」


気づけば、相手を自分の思い通りに動かそうとする人、

ロボットや操り人形じゃない。それは翔でもわかる事だが、なぜか共感してしまい

思考停止のまま、同じ道を繰り返し辿っていた。


翔「だからだ。こんなに同じ事で悩んでるのは…同じ道を繰り返しループしてるから

俺は前に進めないままなんだ…。

気質を言い訳にできないって、俺には無理だって決めつけてた。

俺自身も勝手に…」


その時、屋上のドアがガチャっと開く音がして、出てきたのは健だった。


健「あ!いたいた!翔、急に走って行っちまうから探したぜ。やっぱ屋上か(^ ^)

ここ人来ねーもんな」


翔「(なんで…

なんで健はいつも…俺に構うんだ。)」


子供の頃から変わってない。

いつもそうだ…


本人は無意識なんだろうけど、

俺が暗い顔してるのを察知して

俺を探して…声をかけて…



健「いや〜自習めんどくせーよな

クラスのやつと喋ってのもいいけど、

たまについていけねーんだよな…

あいつらの考えることたまにわかんないわ」


翔「健、なんで健は俺に構うんだ…

他の奴らと喋って、サボりたかったら一人でサボればいいのに…なんで…俺なんだよ」


(あぁ…最低だ。子供の頃からずっと一緒で、俺のことを守り続けて、俺を気にかけて…なのに俺は…)



健「そりゃあ、お前が心配だから?ってのもあるけど、俺さ、お前と一緒にいる方が楽なんだわ。お前のこと全部わかるわけじゃねーけど、昔から一緒にいるんだからわかっちまうんだよ(^ ^)

あぁ、また暗い顔してんなって、そういう時は声かけるか迷うけど、悩んでるんだってわかる。それなのに放って置くほうが無理だ。」


翔「俺は…健に感謝してるよ。

ずっと気にかけてくれて、ずっと一緒にいてくれて、子供の時から守ってくれて、

健に感謝しきれないほど尊敬もして…


でも、俺は…1人でいたい。」


(その方がいい。俺も一人は楽だけど…

その方が誰も傷つけない。一人でいた方がめんどくさい俺に合わせなくて済む。)


健「そっか…悪かったな。

お前はもうガキじゃねーもんな(^_^)

一人でいたいってわかってた。

お前の行動で、話してくれた気質のことも

そうなんだなってわかってた。

それでも一人にしたら、お前はいつか消えちまうんじゃ無いかって、一人で抱え込んじまうやつだって知ってたから尚更…な」


(そうだよ…本当にこいつは昔から…

健は昔から変わってない。自分より俺ばっか…)


翔「健…ごめん(泣)俺は…今俺は…

今は一人にしてくれ。」


健「でも…」


翔「一人にしてくれ!」


今までで一番大きな声を荒げた気がする。

それも、大切な幼馴染に。

そばにいてくれた友人にキツい言葉を向けてしまった。


健「ご、ごめん。じゃあ、俺クラス戻るわ!なんかあったら…俺に話したくなったら

話してくれ」


そう言って屋上を後にした。


ひどい事を言っても尚、俺を気にして…


(バカじゃねーの…泣

俺なんかより自分を優先しろよ…)


なんだか空は、曇りがかって

今にも泣き出しそうだった。

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